● ツェルニーからの手紙で10のレッスン

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数年前に、Twitterで お友達に教えて頂き、早速注文したのが
カール・ツェルニー 若き娘への手紙

もう4年ほど前の事です。というわけで、リライト記事です。

ツェルニーといえば、ピアノ学習者の多くが、散々悩まされた「指の訓練のための退屈なエチュード製造家」という認識ではいでしょうか?

 とは、この書の冒頭で、元東京芸術大学教授でピアニストの故 田村宏氏が書かれています。
 思わず笑ってしまった。

この「若き娘への手紙」は、ひとりの辺鄙な土地に住む、ある娘を対象にした紙上レッスンの形をとっています。

これはそもそも、1837年に即位した英国女王、クィーン・ヴィクトリアの勅命によって、英国のみで出版された教則本Op.500の補足として書かれた小冊子だということです。

また、ツェルニー自身の「序」として、この小冊子が作られた「わけ」が書かれています。

この時の出版社から、
「ツェルニーが長年ピアノ教師として生徒を指導してきた
 階段を一歩一歩のぼるような独特の教授法を、
 手紙の形で簡潔に、しかも親しみやすく書き下ろしてくれ」と依頼されたそう。

ツェルニーはこれを書いているうちに、

「手紙の形とは、口移しに教える方法に一番近いことに気付き、たいへん乗り気になった」

とも語っています。

また、「解説」では、この本の日本語訳をされた中村菊子氏が、以下のように補足しています。

「一つだけ注意したいのは、この本のピアノ楽習に対する基本的な教えは今も昔も変わらないが、打鍵法そのものについては、現在のピアノの構造が当時のピアノのそれよりも画期的に発達改良されているので、その点に留意して読まれた方が良いと思う」

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ピアノ学習者である少女への「レッスン」の手紙は、ひと月に1回、全部で10回、つまり10ヶ月に渡って10通が送られた、という事になっています(=10章に分かれている)。

レッスンの基本的条件について

あなたはまず何よりも先に、正しく、雅にピアノに
向かって座る事を身につけて下さい。

椅子は、両手を垂らしているとき、ひじがピアノの黒鍵よりちょっと下になるくらいの高さにしてください。

もし足が床に届かなかったら、小さな踏み台か、適当な高さの小箱を足のせに使うと良いでしょう。

 以下、姿勢について、鍵盤上の指について、
 打鍵について他、指の中で一番大切なものについてなど、
 細かく記されています。

打鍵法、音質、音階について

上手なヴァイオリニストが弾けば素晴らしい音を出す名器でも、不器用な人が弾くと、まるで何匹かの子猫がうめいているような音を出すものです。
ピアノでも同じ事が言えます。

もし、弾く人がピアノを正しく扱わなかったり、何も考えずにただ鍵盤を叩けば、いくら良い楽器でも、固い汚い音しか出さないでしょう。

拍子、音符の分け方、指使いについて

音符の長さとは、指が鍵盤をおさえている時間によって決められ、反対に、休止符の長さとは、指が鍵盤から離れている時間によって決められます。

私たちはこの二つの事柄を、混同しないように気を付けなければなりません。

ピアノの演奏上、次の二つの点は最も基本的なことなので、よく注意しましょう。

1.必ず正しい音を弾く事(はずさないこと)
2.拍子を正しくとる事

音楽の表現と装飾記号の弾き方について

あなたは時間を上手に使えば、一日のうちにどのくらい、たくさんの事ができるか、それを知らないのですね。

あなたは、もしピアノを早く上達させようと真剣に考えているのなら、毎日時間だけでもいいですから、ピアノのために費やしてください。

そのうちの30分は指の練習と、前に習った曲をさらう時間にあてる。
残りの時間を新曲の勉強に使うのです。

調性の勉強、曲の練習法、人前での演奏について

ピアニストにとって、どの調性も同じように弾ける練習ができていて、何調の曲でも楽に弾けるということは、必ず身に付けなければならない事です。

よく、ピアニストとして半分完成しかけている人の中に、いきなり有名な作曲家の大曲を舞台で
弾きさえすれば、うまく行くと思っている人が大勢いるようです。

しかし、それは演奏する人にとっても、その作品にとっても、決して誇れることではない。
そればかりか、聴衆をあきさせ、よくしたところで社交辞令か同情の拍手をおくられ、陰では批判されたり笑われたりするという、危険に自分をさらす事になるのです。

自分に適した曲を選ぶ事について

生徒が曲を選ぶとき、やさしい曲から次第に難しい曲へと進む事が、いかに大切であるか
述べています。

どの作曲家も演奏家も、仕事をする時、彼らは自分たちより前の人が築いたものを土台にして、その上に新しい創造を加えて芸術なり、科学なりを打ち立てていきます。

したがって、現在(1840年当時)のピアニストたちが弾いている曲は、そのような自然の過程により、あらゆる面において、一昔前の曲よりずっと難しくなっているといえましょう。

そのような曲を勉強するなら、音楽に対して相当深い知識と高度な技術を持たなければなりません。

他、

・通奏低音に関する基礎事項について
・和音の構成について
・通奏低音(続き)
・即興演奏について

という章があり、譜例を交えて詳しく語られています。

最後に、

J.N.フンメル著の「ピアノ奏法への理論と実技全般」は、ピアノ楽習の基礎から最高度の演奏段階に到達するまでに必要な知識が全て含まれている本であり、また、現在までに知られているピアノのメソードの本として、もっとも完全なものと言えましょう。

と書かれています。

途中、「バイエル教則本」が出版された事にも触れているが、それはほんの一文に過ぎない。

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最後までお読みくださり、ありがとうございました。

荒井千裕 拝

 

◆ARAI CHIHIRO PIANO LESSON(荒井ピアノ教室) クラス・メニュー

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投稿者プロフィール

Chihiro ARAIピアニスト / ピアノ講師
香港在住24年。ピアニストでピアノ講師。
香港演藝学院のエレノア・ウォン教授に師事。
ピアノ・ソロ、ヴァイオリンとのデュオ、二台ピアノ、オーケストラとのピアノ協奏曲などの演奏活動をしながら、香港と日本で「体も心もラクにピアノを弾く」をモットーにレッスンをしております。