● 演奏者のためのメンタル・トレーニングとは?

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スポーツドクターの辻秀一氏が
「演奏者のためのメンタル・トレーニング
  演奏者勝利学」

という本を出されている。
読まれた方も多いだろう。

「勝利学」という言葉は好きではないので、今まで手に取らなかった。
しかし、演奏者にとって、メンタルを鍛えるのは重要な事なので、読んでみました。

ポイントは、

・揺らがず、とらわれず、の
  良い心の状態。これを「フロー状態」と呼ぶ

・ライバルは誰だ?

対談に、入江一雄さんを迎えての第一章。

入江一雄さん

1986年生まれ。東京藝術大学附属音楽高校を経て東京藝術大学へ。
2008年、第77回日本音楽コンクール・ピアノ部門で第1位受賞。

入江さん曰く

「高校の時に、ライバルは誰だ?と考えた。
 結果、ライバルは自分だと。
 人に向けてはいけないと気付いてからは、気にならない。
 人に劣っていても、あいつに劣っている自分を
 越えなければって考えるようになった。

 人に負けたくないとも思わない。」

そう。ライバルは自分自身なのです。
自分との闘いなのです。
人との優劣ではない。
もちろん、コンクールや試験では順位がつくけれど、もし自分が1位になれなくても、それは人のせいではない。

そもそも藝術は受け取り手によって感じ方は異なるのだから。

ただ、「あの人(たち)には理解してもらえない」と言って、片付けてしまうのは簡単で危険だ。

入江さんの言葉が続く。

「人が評価するコンクールでも、人の評価は気にしないようにしている。
 そういうことだと割り切っている。

 人の意見を聞いて参考にすることは当然ですが、
 全てがそうだとは思わないので、自分がそうだと
 思う所だけを聞いています。
 そう切り替えました。」

これに対して著者の辻氏は
「それを、揺らがず、捉われず、つまりスポーツ心理学で
 ”フロー”と呼んでいる。

 フローな状態でいると、自分らしいことができ、
 いいパフォーマンスができる。

 結果は大事でm評価も気になる。
 ところが結果と評価こそが最大の揺らぎと
 とらわれの原因で、それによって結果が出ず、
 というのが 殆どの人だ。」

・好きは右脳を活性化させる成功の鍵

「とらわれない」ということは大事。
「揺らぎ」はその時に起こったこと。
「とらわれ」は長年にわたって自分の潜在意識の中に入り込んだマイナスの固定概念。

とらわれると何故いけないのか?
それは、この固定観念に応じたマイナスな思考や行動をとろうとしてしまうから。
一度「無理だ」と捉われると、潜在意識の固定概念に導かれて無理をつくる行動をしてしまう。
それは、その方が居心地がいいから。

とらわれにくくするには、右脳を活性化させるのが良い。

笑いは右脳の血流が良くなる。
笑いは理屈ではないから。

日々、小さなチャレンジをすることも、右脳の血流を良くして、とらわれない自分を作るために良いこと。
ちょっと勇気をもって、考えたり行動したりすることが習慣化されていると、右脳の血流が良くなる。

苦手な曲を練習するのは勇気がいるかもしれない。
しかし、その「苦手を克服する」という「結果」は気にしなくていい。
取り組んでみる、という事が大事。
そういうことをしていると、だんだん、とらわれにくくなっていく。

・言い聞かせる事が大事

コンクールで人の演奏が聴こえると揺らぎやすい、
という場合、どうしたらいいと思う?

と、入江さんに話をふった辻氏。

入江さんの答えは
「自分を信じて!と言い聞かせる。
 言い聞かせないと体にしみ込まないと思うから。」

辻氏は
「言い聞かせる事こそがメンタル・トレーニングの基本中の基本」
と言う。

言葉で何回も言い聞かせていくことが、思考を形成化する。
そしてスキル化していく。
それを実践した時に「気分がいいなぁ」という体験が伴うと、形成された思考がもっと強化されていく。

・本番って、いつだ?

「本番」とは一体何か?
誰かの前で弾く事か?
発表会、入試、コンクール、レッスンで先生の前で弾くことか?

大事なのは

「いつでもどこでも、この場は二度と来ない」

ということ。

つまり、「いつでもどこでも、本番」なのだ。
演奏するということは、人に聴いてもらうということ。
いつもそういう考え方を持っていることこそが「勝利の鍵」である。

人に聴いてもらうことでプレッシャーを感じる。
このプレッシャーを感じると実力を発揮できないのは何故か?

それは、プレッシャーに対する対策が弱いのではなく、本番をいつも特別のものと考えてしまっているからだ。

日頃にも本番が存在するのだ、という広い意味での「本番」を知っていないからなのだ。

そもそもモーツァルトやショパンは、弾いてくれる人を満足させるためだけではなく、最初からそれを
聴いてもらうために作曲している。

・最高の演奏のために良い心の状態を作る

良い心の状態を作る事が大事なのは、その向こう側に「良い演奏」がやってくるからです。

普通の人は、目に見える「技術」ばかりを習得しようとする。
スポーツでも音楽でも。

しかし、本当はその前に
「揺らがず、とらわれずの状態」を目指すべき。
これは私たちにとって心の目標です。

では「揺らがず、とらわれずの状態」とは、どういう心の状態なのか?

それは、「好き」という感情に満ちあふれているときになる状態。

好きなことを話したり聞いたりしている時、イライラしたりムカついたりする人はいないでしょう。
そして、他の人と「好き」を共有できれば、もっともっと気持ち良くなれます。

・メンタル・トレーニングの三原則

1. 繰り返しの原則
2. 負荷の原則
3. 部位特異性の原則

1. 繰り返しの原則とは

何かを身につけるには、繰り返しやらなければ習慣化しない。
だから、この本を読んだだけで本番に強くなると思ったら大間違い。

トレーニングの目的は「習慣」です。

2. 負荷の原則とは

負荷がかからないと、良い習慣は身に付かない。
簡単なことだけをやっていても、正しい習慣と向上はやってこない。

この「負荷の原則」を軽く見ている人が多い。
心と頭に負荷がかからない限り、向上はしない。
楽器を弾く人なら「繰り返し」と「負荷」がテクニックをつけるために大切なことであることをわかっているはず。

心もそれと同じ。

3. 部位特異性の原則とは

メンタル・トレーニングは脳に負荷をかけています。
これをやってこそ、フローな状態を創り出すことができるようになる。

ピアノに向かうのと同じように、メンタルのスキルを上げるためにトレーニングをしてください。

心や頭に負荷をかけて繰り返しのトレーニングをする時間と場所は、

1. 楽器を弾いている時。
2. 楽器に向かっている以外の時間。

・不快対策の思考をしない

・逃げる
・考えない(ようにする)
・あきらめる
・我慢する

これらの「不快対策」をするのではなく、「快を創る」という考え方をして、ネガティブ・シンキングの輪に陥らないように。
それが、ライフスキルです。

・「今」を生きる

過去・未来・今という三つがあるが、ポジティブなのは「今」。

「過去」と「未来」はネガティブ。

何故なら、「今」はこの瞬間にしかなく、「過去」と「未来」はそれよりも広くて大きい。

「あのとき、こうしていればよかった」
「もっとこうしておけば良かったんだ」と過去を振り返って反省するのは誰でもやりがち。

しかし、考えたからといって、過去は変えられない。

変えられない過去を振り返ると、「後悔」というマイナスの感情が涌き出す。
そして「とらわれ」を作る。

「今」に生きる。
「今」に全力を尽くす。

それが難しいなら、いつも「今」「今」「今」と自分に言ってみましょう。

「今すべきことは何?」とセルフトークしましょう。

「今」は英語で「now」ですが、「present」とも言う。
「現在」という意味ですが、
「今こそが、神様が与えてくれた最高のプレゼント」です。
このプレゼントを最高に活かして、生きる自分を創りましょう。

まだまだ、たくさんの「気付かされる」ことが書かれています。
気になる方は読んでみてください。

 

 

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お読みくださり、ありがとうございました。
 
荒井千裕 拝
 
 
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投稿者プロフィール

Chihiro ARAIピアニスト / ピアノ講師
香港在住24年。ピアニストでピアノ講師。
香港演藝学院のエレノア・ウォン教授に師事。
ピアノ・ソロ、ヴァイオリンとのデュオ、二台ピアノ、オーケストラとのピアノ協奏曲などの演奏活動をしながら、香港と日本で「体も心もラクにピアノを弾く」をモットーにレッスンをしております。