● 滑りやすい曲、どうしたらいい?

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photo by pei_monogaga

 

ご質問を頂きました。

滑りやすい曲の場合、最初にゆっくり練習をしてからでないと上手く弾けません。

でも、家で練習してる時はともかく、先生に見て頂く場合や、ましてや本番!などという時は!! そんな事は、していられないですよね。

「ゆっくり」と「速く」の練習を交互にしてるうちに、少しずつ成功率が上がってきたような気はするんですが…

滑りにくくするコツってありますか?

 

ピアノを弾く上で、「滑りやすい」という意味は、二つあると思います。

一つは、実際に つるっと滑ってしまう。
 =鍵盤そのものが指を吸い付けず滑る。

これは奏者の手によって二種類あります。

1. 指先から多く汗をかく方の場合、ピアノで弾くと、鍵盤上に汗が残ります。
 鍵盤上に汗が残った状態で弾くと、指が鍵盤上で滑る。
 つまり、雨の日や雨上がりに外を歩いていて、靴底が滑りやすいものだと、つるっと滑ってしまう事と同じです。

2. 指先から殆ど汗をかかない方の場合。

少々の汗は、鍵盤と指が磁石のようになると思います。
あるいは接着剤のような役割。

しかし、汗を殆どかかない方の場合、その磁石や接着剤となる役割を担うものが、ないんです。

だから、鍵盤に指先が触れるとツルッと滑ってしまう。

もう一つは、速いフレーズに対して指が思う様に動かずに滑る、つまり、指が正しい音価どおりに動かない
=独立してくれない、というものです。

今回の ご質問は、コレに該当します。

例えばこの曲、ドビュッシーの愛らしい組曲「子供の領分」の第一曲”グラドゥス・アド・パルナッスム博士”という舌をかみそうなタイトルの曲ですが・・・

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問題の部分はこの右手です。

もう、いきなり滑りそうですよね。ははは・・・って笑い事ではありません。

さて皆さん、この右手、どう捉えますか?

第一拍、左手でのオクターブを合図にしたかのように右手は、たった一瞬の呼吸(16分休符)で ごわ~~っと入る16分音符フレーズ。

「・そどれ」「みそどみ」「れふぁられ」「ふぁらしふぁ」

と、思いますか?捉えますか?

はい、それ、間違っていませんよね。
拍ごとに刻むわけですから。

もし、あなたが「リズム練習」を取り入れたいのでしたら、ちょっと気をつけたい事があります。

取り入れるリズム練習の種類は、以下のとおりです。

・ゆっくりピアニシモで音がデコボコしていないか?をよく聴きながら。

・(付点8分音符+16分音符での)「たっかたっか」というリズム練習。
 ただし、「たっか」と書いていますが、スタッカートにするわけではありません。
 「たーかたーか」というのが相応しいでしょうか。

・ゆっくりで、指をほどんど鍵盤から離さない状態でのスタッカート練習。

以上の三種類です。

リズム練習の二つ目「たっかたっか(たーかたーか)」の逆バージョンである「16分音符+付点8分音符」の「たかったかっ(たかーたかー)」は、逆効果ですので、この練習をする事はオススメしません。

※滑りやすいことを増長します。

さて、こういう基礎練習を終えたら、次にすることです。

楽譜をじっくり眺めて・・・

冒頭の右手フレーズは、小さな<山>が幾つも続いて大きな山を形成していますね。
まるで、山脈です。

<山を登る>、そしてまた次の<山を登る>、そう考えてみてください。

そのとき、もしも、拍単位での

「・そどれ」「みそどみ」「れふぁられ」「ふぁらしふぁ」と

読み取ると、その途端、それらは「山」ではなくなりますよね?

谷底へバンジージャンプして、また上へ戻されるような感じになってしまいます。

是非、山を登ってください。

そして頂上で景色を、次の山を見渡す、という感覚を持ってください。

そうすると、こうなります。

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お読み下さり、ありがとうございました。

荒井千裕 拝

 


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ベルギー在住ピアニスト・チェンバリストの
末次克史氏による
 
 
12月17日(土)開催。
 
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