あなたはピアノを弾いた後に「それはショパンじゃない」と言われた事はありませんか?筆者はあります。それはショパンじゃない?じゃ、ショパンの弾き方ってどんなものなの?他の作曲家とどう違うの?と思ったものです。しかし、当時の先生はそれを教えて下さる事はありませんでした。(自分で調べたり考えたりしなさいって事だったのでしょうね)

もう一度、メンデルスゾーンの曲を学んでみようと思った時に、改めてこの書を読み直してみました。この本は「作曲家別演奏法 シューベルト メンデルスゾーン シューマン ショパン」久元祐子氏の著作本。

副題にあるとおり、ロマン派上記4人の作曲家の作品例をあげ、その奏法についてを4章に分けて書かれています。さぁ、作曲家別(こちらではロマン派限定)で、どのように違うのでしょうか?

シューベルトの演奏法とは?

まずはオーストリアの作曲家フランツ・シューベルト(1797-1828)です。ここで取り上げているのは以下の作品。

  • ウィーンの淑女のためのレントラー
  • ワルツOp.9
  • ピアノ・ソナタ イ長調Op.120
  • 美しい水車小屋の娘”さすらい”
  • 即興曲 変ト長調Op.90-3
  • 即興曲 変イ長調Op.90-4
  • 即興曲 変ロ長調Op.142-3
  • 楽興の時 ヘ短調Op.94-3

レントラーとは

レントラーとは…オーストリアやバイエルンの各地域で見られた農民の踊りです。男性が高く掲げた手の下で、女性が回転して踊る3拍子の、どちらかと言えば素朴な踊り。

ワルツよりもテンポが遅く、のんびりした雰囲気。左手はリズムのように機械的にならず、ゆるやかな踊りが踊れるような「流れ」を作りたいものですね。

ワルツとは

ワルツとは…同じ3拍子の舞曲ですが、こちらは「都会の踊り」。足を滑らせる速い踊りで、レントラーよりも洗練された雰囲気をもっていました。

過度の思い入れや不自然で下品なテンポ・ルバートを行わず、あくまで淡々とした中に情感や香りが滲み出るような情潔感が求められるように思います。

また、ソナタに対して書かれた文章に以下のものがあります。

ピアノという楽器は、鳴らそうと力むと、反発して音が割れたり、近くで落っこちてしまう近鳴りの音が飛び出してしまいます。
ピアノに身を任せる、ピアノが本来持っている響きを弾き出そうとする事が大切です。

シューベルトの歌とは?

シューベルトの「歌」を自然に紡ぎ出せるようにするには…彼の歌曲の伴奏を弾いてみる事が一番なのではないか?歌曲の伴奏をする時に、歌の歌詞を全く省みないでただピアノのパート譜だけをガリガリと練習しても、シューベルトの音楽に近づく事はできないように思えます。

著書から引用します。

シューベルトは、指の都合を犠牲にして、内から湧き出る歌を歌っているところが結構あり、音楽を途切れさせない技術的な工夫が求められます。

これは、シューベルトはショパンやリストのようなコンサート・ピアニストではなかったということなのかもしれません。

やはり、シューベルトとはどんな人物だったのか?という事を知るのは、シューベルト作品を演奏する時に助けられますね。

メンデルスゾーン

フェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)はドイツの作曲家。こちらでは以下の作品が取り上げられています。

  • 無言歌集Op.19-4 信頼
  • 無言歌集Op.53-1岸辺にて
  • 無言歌集Op.62-6春の歌

さて、メンデルスゾーンの章では、始めの方に書かれているコラム「ワーグナーのメンデルスゾーン攻撃」の内容がとても興味深いので、是非著書をお読み下さいね。

シューマン

ロベルト・シューマン(1810-1856)はドイツの作曲家。ここで取り上げているのは以下の作品です。

  • クライスレリアーナ
  • 子どものためのアルバム
  • 森の情景
  • 子供の情景

シューマンは、恩師の娘クララとの結婚を巡っての恩師との争いの中で、クララに想いを寄せたものを含め、様々な名曲を書きました。

そして、久元氏はこのように書いています。

皮肉な事に、クララとの結婚によってシューマンのインスピレーションの源泉は消え失せました。
クララとの結婚後には、「クライスレリアーナ」のような名作群に匹敵する作品は、もはや生まれなかったことです。

うーん・・・人生の苦悩から生まれるものが人々の心を惹き付けるものとなるのか。

また、シューマンが残した助言として、

もし、みんなが第一ヴァイオリンを弾きたがったら、オーケストラはまとまらない。その持ち場持ち場にある音楽を全て尊敬するように。

自分の楽器を愛するのはいいが、それが唯一、最高のものであると思うような愚かなことのないように。

勉強に、終わりはない。

「トロイメライ」のように歌のような曲は…まず自分で声に出して、旋律を歌うことから始めるとよいでしょう。長いフレーズの歌い出しには、大きく十分なブレスをとってから歌い始める事が大切です。

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ショパン

フレデリック・ショパン(1810-1849)は、ポーランドの作曲家。本書で取り上げているのは以下の作品です。

  • ワルツ イ短調Op.34-2
  • 小犬のワルツ
  • ノクターン
  • エチュード
  • マズルカOp.59

小犬のワルツの装飾音とは?

「小犬のワルツ」の装飾音は…からっとした明快なトリルを弾きたいもの。そのためには、鍵盤にへばりつかないようにし、弾き終わった指を潔く離すことが大切なのですね。

ノクターンでアピールする?

ノクターンでは…多くの演奏を聴いていると、ショパンのノクターンでは音が大きすぎるという過ちを犯しやすいように思えます。鍵盤を叩きすぎると音が割れて汚くなり、また、音色の微妙な変化を表現しにくくなる事を覚えておきたい。

聴き手に自分のショパンをアピールしようという演奏姿勢は、ショパンの密やかな世界とは、最も遠くにあるものです。

ショパンの肖像画について

よく見られるショパンの肖像画、そして、ジョルジュ・サンドの肖像画についてのコラムも興味深いです。画家ドラクロワが描いたものですが、元は一枚の絵であったそう。「ショパンの演奏を聴き入るサンド」という画だったそうです。

2005年初版の本なので、既に購入して読まれた方も多いでしょう。が、もしまだ読んでいなくて興味を持たれたなら、読んでみるのも参考になりますよ。

作曲家別の演奏法って、違うの?何が違うの?どう違うの?と疑問に思ったら、今が読み時です♪

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