随分前に発刊された本を読み直しました。その名も「クラシックのあゆみ2、前期ロマン派の音楽 <シューベルトからリストまで」という岩井宏之氏の著です。

シューベルトもショパンもリストも、普通にピアノ・レッスンをしていれば彼らの作品に触れることがあるでしょう。でも、曲に触れるのと、その曲を作った人のことを知るのとは、別の話。

roman1これはピアノの学習をする人だけじゃなく教える人にとっても大事なこと。やはり、触れるならその背景は大なり小なり知っておきたいものです。

というわけで、本日は岩井宏之氏による「シューベルトからリストまで」という本についてお話したしますよ。

前期ロマン派の音楽「シューベルトからリストまで」の目次

まずはこの「前期ロマン派の音楽 シューベルトからリストまで」の目次をご紹介。何故なら私はいつも本屋で本を手にとって(買うかどうか)見る時、目次を重要視するからです。

  • 第一章 ロマン派の音楽 概説
  • 第二章 前期ロマン派の器楽曲
    1. 交響曲
    2. 管弦楽曲
    3. 協奏曲
    4. 室内楽曲
    5. 独奏曲
  • 第三章 前期ロマン派のオペラ・声楽曲
     1. オペラ
     2. 歌曲
     3. 宗教音楽

作曲家ごとに章(トピック)が分かれているわけではないんですね。器楽曲ごと、作品の形態ごとに分かれて、その中で作曲家たちのことが語られています。

西洋音楽のロマン派の時代区分とは?

西洋音楽(いわゆる「クラシック音楽」)におけるロマン派の音楽とは、約100年に渡っていますが、本書「前期ロマン派の音楽 シューベルトからリストまで」では以下のように区分しています。

  1. 初期ロマン派 1810-1830年頃まで
  2. 盛期ロマン派 1830-1850年頃まで
  3. 新ロマン派  1850-1890年頃まで
  4. 後期ロマン派 1890-1920年頃まで

時代区分がこんなふうにされていたってご存知でしたか?でもね、それぞれの時代にまたがって活躍していた作曲家もいたんですよね。きっちりその年で区切れたわけではないんです。

ロマン派と言われる時代の音楽の特色とは?

西洋音楽における「バロック音楽」と「ウィーン古典派の音楽」の間にあったような決定的な相違は、ウィーン古典派とロマン派の音楽の間には存在しません。

これは言い換えれば、ロマン派の音楽家たちは、古典派が完成した様式や形式を引き継ぎ、それらを特定の意図の元に発展させ、磨きをかけたもの、とでも言いましょうか。

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シューベルトの交響曲とは?

シューベルトの作品は、器楽曲・声楽曲を問わず、シューベルト自身の楽しみのために、また、シューベルトを囲む人たちの楽しみのために書かれたものが少なくありませんでした。

そのため、シューベルトは飛び抜けて難しい技術を要する作品はあまり書いていません。難しい技術より、表情豊かで親しみやすく、美しい旋律のものが多いのがシューベルトの交響曲の特徴です。

メンデルスゾーンの交響曲の特徴とは?

メンデルスゾーンの交響曲は、「スコットランド」(交響曲第3番)と「イタリア」(交響曲第4番)の二曲が代表作。

自然の情景や印象を音で表し、それを交響曲として自立させた作品には、ベートーヴェンの「田園」がありました。メンデルスゾーンの「スコットランド」と「イタリア」は、「田園」の系列に属します。しかしメンデルスゾーンの交響曲は、直接的・客観的な描写を意図したものではなく、メンデルスゾーン自身の感情を表現しているのが特徴。

メンデルスゾーンに弱点がある?

まぁ、人間ですから誰にでも弱点はあっておかしくありませんよね。メンデルスゾーンの弱点とは、品のよい洗練された
作品をめざすあまり、つねに慎重で控えめな表現に終始したことでした。

メンデルスゾーンの交響曲は、どこからみても流麗で均整がとれているけれど、圧倒するような力強さが不足しているのですね。それはメンデルスゾーンの特徴であり、長所とも言えると思いますが、他の作曲家の作品と比べると弱点と言われてしまうのでしょうか。

ベルリオーズの「幻想交響曲」の新しさとは?

ベルリオーズの「幻想交響曲」が発表された当時、その着想の新しさは断然光っていたようです。

ベルリオーズ以前のフランスの作曲家で、この曲のようにソナタ形式をこなして優れた交響曲を書いてみせた人はいませんでした。ベルリオーズの出現は、フランス近代器楽曲の基礎を打ち立てる重要な一石になったのですね。

リストと交響詩

「交響詩」とはリストが創始した標題音楽の形式であり、リストが使い始めた名称です。

これは、ベルリオーズが未解決のまま残した表題交響曲の音楽の形式と筋書きをいかにして一致させるかという問題に対して、リストが出した回答が「交響詩」だったというもの。

リストは、自由に公正された単一楽章の中で巧妙に主題操作をして主題集中度を高めることで、音楽的論理性をもった標題音楽を生み出しました。その結果、ソナタ形式にこだわらず、筋書きに応じていくつかの主題を自由に変奏・変容していく変奏曲のような形式に至ったのです。

前期ロマン派の協奏曲とは?

前期ロマン派を代表するヴァイオリン協奏曲を書いたのはメンデルスゾーンでした。

メンデルスゾーン以降のヴァイオリン協奏曲のうち目立つ作品といえば、シューマンのニ短調に、アンリ・ヴュータンの第4番(ニ短調)。

また、ピアノ協奏曲においては、シューマンが出現するまで独創的な作品は出ていません。

ショパンの二曲のピアノ協奏曲は、ショパン独特のピアノ書法の展開を見せ、リリックな表現に注目すべき点があります。

また、リストは伝統的な形式では新しい理念で音を表現するのは不可能だと実感し、伝統的な協奏曲から決別しました。しかし、そのためにリストは長い時間を必要とし、第1番に着手したのはシューマンのピアノ協奏曲と同じ頃でしたが、完成には20年を要したのです。

リストが新しい理念を作品の中で実現しようと苦心していたころ、リストの逆を行った作曲家がいました。古典派の形式理念に再び復帰する事で、協奏曲のかつての曳航を取り戻そうとしたのが、ブラームスでした。

その他のトピック

その他に本書「シューベルトからリストまで 前期ロマン派の音楽」で取り上げられているトピックは以下の通りです。

  • 室内楽曲について
  • ウェーバー、ショパン、シューマンのソナタについて
  • リストとブラームスの作品について
  • その他の作曲家の性格的小品について
  • ショパンとシューマンの傑作群について
  • リストの貢献について
  • 前期ロマン派のオペラや声楽曲について

以上の事柄について多くのページを割いて書かれています。どの項も非常に読み応えがあり、実に興味深く何度も読み返したい一冊です。前期ロマン派に興味のある方は是非、読んでみてください。おすすめの1冊です!

 

ピアノを弾くならシューベルトからリストまで前期ロマン派について知っておこう!のまとめ

  • 西洋音楽のロマン派の時代区分は初期・盛期・新・後期の4つに分けられる
  • ロマン派音楽の特徴は古典派の様式や形式を発展させ、磨きをかけたもの
  • シューベルトの交響曲は表情豊かで親しみやすく、美しい旋律のものが多い
  • メンデルスゾーンの交響曲は、メンデルスゾーン自身の感情を表現しているのが特徴
  • ベルリオーズの幻想交響曲はソナタ形式をこなして優れた交響曲を創ったのが特徴
  • 表題交響曲の音楽の形式と筋書きをいかにして一致させたものがリストの交響詩
  • 前期ロマン派の作曲家による協奏曲には各作曲家の特徴が現れている

西洋クラシック音楽の中で最も人気のある年代がロマン派であろうと思います。あなたもロマン派の作品に触れるなら、それぞれの作曲家とその作品の特徴を理解してみませんか?

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