トバイアス・マテイのピアノ演奏の根本原理はピアノ弾きに超オススメの良書!

2016年4月22日

ピアノ演奏の根本原理?何だか難しそうなタイトルの本ですよ。しかも本の装丁からしても、中身が難しそうに感じるのは私だけ?

でもね、これがビックリするくらい、わかりやすくてピアノを演奏する上で本当に活かせる事ばかりが書かれているのです。初めてこの本を手にとって読んだ時は、かなり心が震えましたよ。

トバイアス・マテイ「ピアノ演奏の根本原理」表紙
トバイアス・マテイ「ピアノ演奏の根本原理」表紙

「ピアノ演奏の根本原理」トバイアス・マテイ著で、大久保鎭一先生が訳されています。

ドバイアス・マテイは、1858年ロンドン生まれ。王立音楽学校の教授を経て、自ら創立した「マテイ・ピアノスクール」で、重量とリラクゼーションによってコントロールされたタッチに重点をおいたメソードを確立。

もしかすると、ある程度の目が開かれていないと、この本を読んでもピンとくるものを得られないかもしれません。

しかし、あなたが少しでも貪欲にピアノを演奏する事に向き合っているなら、何度も何度も読み返す事で、どんどん腑に落ちていきますよ。これは間違いない。本当にオススメ!

この「ピアノ演奏の根本原理」を開くと、「まえがき」の最初のタイトルが以下のようになっています。

日本語版発行によせるコンラート・ハンゼン教授のメッセージ並びに助言

親愛なる大久保さん

この書の訳をされた大久保先生を、ご存知の方もいらっしゃるだろう。私の大事な友人の先生でもあります。

2011年秋に、東京で友人たちと開催した「東日本大震災のためのチャリティ・コンサート」を聴きにいらしていました。友人から、大久保先生とハンゼン氏のことを聞いていたので、この書に興味を持ち、手にとったわけです。

以下、読んで私が気になったところを書き出していきますね。

意図する音を正確に出すためには

意図する音の強さや音の特性を正確に出すためには、音が出始める瞬間ばかりを考えていませんか?それでは不十分です。
一つ一つの音符について正しいタッチの形態、つまり鍵盤の正しい下ろし方を選ぶ必要がある。

しかしそれは、鍵盤を押し下げる時に、どの位の抵抗が指にかかるかを、実際に「感じなくては」不可能なのです。

鍵盤を最も弱い音で下げる時、筋肉の状態は?

鍵盤を最も弱い音で下げる時、筋肉は鍵盤を下げる間もその後も、同じ状態にあります。だから、これは唯一の「単純なタッチ」。

その他のタッチの形態は、全て色々と複合されています。と言うのは、鍵盤を下げた後では、鍵盤の動いている時とは別のことをしなければならない、ということがわかっているから。

自然なレガートとスタッカートと、テヌートとの違いは

自然なレガートとスタッカート、そしてあらゆる種類のテヌートとの違いは何か?というと、静止中に使用される重さのわずかな違いにあります。

つまり、レガートやテヌートでは、鍵盤を下げておくために指に重量が。しかしスタッカートでは、鍵盤を跳ね返させるために指に重量が与えられる。その違いです。

全ての力の発動は、鍵盤を扱っている間にはどうなる?

全ての力の発動は、鍵盤を扱っている間(打鍵している間)に、上方へ向かっていると感じること。

ここが間違いの元で、打鍵する動作によって鍵盤が下りることから、この動作は下方へ向かっているのではないという事が重要です。

筋肉に関する大きな間違いとは?

筋肉に関する大きな間違いとは、フォルテにおいてよく現れます。

それは、手と指だけを使おうとする時、

  • 腕を肩から押し付けて力を浪費する
  • 非音楽的な結果を招いてしまう

以上の事はありませんか?

あなた自身が実際にどうなっているか、客観視するように癖付けしましょう。

人為的なレガートの技術的原則

非常にわずかな、しかし「継続して途切れない」指と手の運動で、
すでに押し下げられた鍵盤に、軽い二度押しを加える。

これが、「人為的なレガート」の技術的な原則です。

注意深く聴くこと

何の注意も払わずに演奏するなら、その演奏はただ機械的な音並べにすぎません。

でもね、演奏が精神によって支配されている芸術であると、あなたが思うなら。

音楽的な感覚をあなたに起こさせるものを、正確に聴き取る。それからその感覚を、楽器へ伝達するように意識してみましょう。

それぞれの音が、デッサンの線と同じような結果を目指すもの

「それぞれの音が、デッサンの線と同じような結果を目指すものであるべき」という点に注意を払わないから、誤りが生じてしまうのです。

一つの音は、普通の人にとって、光の印象よりもさらに稀な現象である、ということを覚えておきたいですね。

リズム

ゆっくりな速度の時には、それぞれの音符に前もって注意を向けることができます。

そのため、「音の出だしと音色」を前もって正確に決められますよね。その上、音がどのように形成されるかを正確に確かめられる利点が。

そのような慎重な手順は、それぞれの音符を弾く前に、あなたの明確な思考(意識・想像)を必要とします。時間もかなり必要になりますね。

そこで多くのピアニストには、「本当にゆっくりした練習」の必要性が感じられるようになるのです。

ピアノの才能

 一般的な音楽的天分と並んで、ピアノの才能には更に次のような特殊な素質が必要です。

 1. 十分に発達した筋肉と、筋肉の自由な動き、
   筋肉の働きを識別し、すべての拮抗(きっこう)する
   筋肉の力を排除することのできる能力。

 2. リズムに帯する感覚、ならびに音量(音の強さ)、
   音質(音色)、そして音の長さにおける繊細な
   ニュアンスに対する優れた感覚。

 3. ピアノ演奏に必要な注意力。
   それは特殊な注意力で、個人的な傾向と結びついている。

付け加えると、忍耐力がなければ決して芸術家にはなれない、ということ。

これは、学習者の「性格(意志)の強さ」と「芸術に対する真の愛情」に左右されるもの。と同時に、ピアノ演奏に結びつく肉体的・精神的労苦に耐えられるだけの、健康と強さに関わってくるものです。

この他にも、ピアノのメカニズムや主要な筋肉活動と筋肉弛緩について、

  • 垂直に推進する指の構えと垂れ下がっている指の構え
  • 指の活動の違い
  • それに関連する腕の状態について

筋肉・鍵盤・音楽的効果の関係や、筋肉練習・タッチ法の分類・スタッカーティシモ・グリッサンド・スタッカートとレガートの形態についてや、正しい指のテクニックと正しくない指のテクニックについて。

また、親指運動について、親指の構えについて、腕タッチの際の運動について、不必要な運動について.....

あらゆる観点から、非常に細かく説明されています。

ただ一つ、この本には難点があります。それは、日本語文体がやや難解に感じられること。硬いんですよ。大久保先生のお人柄、といえばそうなのでしょうが。

しかし初版は1993年。そんなに大昔というわけではありません。だから、もしかしたらこの「ピアノ演奏の根本原理」は読み手を選ぶかもしれませんね。

この「ピアノ演奏の根本原理」は、非常に有意義な事がたくさん書かれています。でもね、決して分厚い本ではないの。1センチあるかな?1.5センチはないよ?くらいの厚さです。

だけど、読み難い・難しいと感じる人もいるでしょう。私自身、初めて読んだ時は「読むぞ!」と気合いを入れて、外気を遮断して集中して読んだ事を思い出します。

ともあれ、本気でピアノ演奏の根本を知りたい方は、一読も二読もすべき本だと思いますよ。私も繰り返し読んでいる愛著で、100回読み返す本の一つです。

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