ピアニストの筋肉と奏法について理解しよう!ツライ弾き方とはお別れだ!
日々のピアノ練習の中で、弾きにくいとか辛い、あるいは何度練習してもうまく弾けるようにならない、そんな風に感じることはたありませんか?
正しい体の使い方を知るのは難しいことではありません。正しい方法を理解して実践できればとてもラクなのに、あなたは知ることを避けていませんか?そろそろ、ちゃーんと理解して実践してみましょう!
Contents
ピアニストの筋肉と奏法の作者について
今日はあなたに「ピアニストの筋肉と奏法」という2015年に発行された本について、ご紹介します。この「ピアニストの筋肉と奏法」は、マリラ・フェレイラというロシア生まれのチリ人ピアニストでピアノ驚異に携わってきた方。
訳者は八重樫克彦さんと八重樫由貴子さんの共著で、医学博士で工学博士の酒井直隆氏が医療監修をされています。
それでは「ピアニストの筋肉と奏法」を読んで気になった点、是非あなたに読んで知って欲しい点についてご紹介していきますね。
筋肉の緊張をもたらす心理的要因とは?
人の心理状態は動作に影響するのはあなたにも思い当たることがあるかもしれませんね。不安があると、それは姿勢や動きに「緊張」として表れます。
ステージで演奏する時、ピアノを弾く手が震えたり足が震えたことはありませんか?人はロボットではなく、感情を持つ生き物ですからどんなに不安を払拭するべくトレーニングをしてきたって、突如不安に駆られるのは自然なこととも言えるでしょうね。
不安は筋肉の緊張を誘発します。そうして筋肉の緊張は不安を更に増大。筋肉と精神のどちらも疲弊状態に陥ってしまう事がどんなにか恐ろしい状態か、言うまでもないでしょう。そんな状態にさせないためにも、体が疲弊しないようにする方法を知っておきましょう。
生活動作と演奏動作とは?
動作が人によって違うのを感じたことはありませんか?
<歩く時も、かかとの音を鳴らして歩く人・ドタドタと足全体の音がする人・殆ど歩く音が聞こえない人がいます。くしゃみの仕方も鼻のかみ方も、人によって違いますよね。咳払いも然り。すごく親しい人のこうした癖は無意識のうちに体に染み込んでいますから、そんな人が少し離れたところを歩いていても、その存在に気付くこともあります。
生活動作とは
生活動作とは、日常生活での基本動作のことを言います。例えば立つ・座る・歩く・ものを掴む・握る・離すなど。
演奏動作とは
演奏動作とは、日常生活での動作=生活動作を応用し、その楽器演奏に求められる動きをするものを表します。
演奏時には、生活動作を基本に演奏動作が加わる?
言葉としては「生活動作」と「演奏動作」は分けられますが、実際には生活動作が演奏動作の土台となっています。あくまで演奏動作は生活動作の延長線上にあるということを理解しておきましょう。全くの別物ではありません。だから、生活動作の細かなことをあなたが説明できるなら、それは演奏動作へ応用させていくことが出来るということでしょうね。
これは荒井の例えですが、例えば腕を柔軟に使うことを伝える時に、「水風船で遊ぶ時のように」と言うか「塩コショウを降る時のように」と言うか「羽ばたくように」と言うのか「お風呂に入ってお湯をかくように」と言うのでは、聞き手の受け取り方・理解の仕方が変わるのはわかって頂けるのではないかと思います。
下腹部に息をためて(下腹に意識を置いて)、などと言う時も「重い荷物を持ち上げるように」と言うのか「トイレでおっきいのをする時のように踏ん張って!」と言うのでは、違いますよね(笑)。ちなみに私の師匠は「出産でいきむ時のように」と言われましたが「私お腹切ったのでいきむのわかりませーん!」と笑って言いましたら「じゃあトイレでおっきのをする時みたいに」と言われました(爆)。
日常の生活動作に例えられる演奏動作はたくさんあるのですから、普段の生活動作を「今これ、こうやってる」と意識して認識してみるのも、表現や理解の幅が広がるでしょう。
意識的動作と無意識的動作
生活動作にも演奏動作にも、意識的動作と無意識的動作から成り立っています。意識的動作とは、特定の目的をやり遂げた結果として生まれるものなので、行為を意識した上での持続的な努力が必要になります。
新しい習慣を取り入れようとしたら、21日間続けないと習慣にはならないと言われるのと同じことでしょう。(この場合は21日間続ける、という努力も必要だということ)
何か新しい動きを学んでそれを取り入れよう(身につけよう)とするなら、筋肉の活動よりも知的な活動を優先すべきである。
何故なら意識的に学んだ動きは少しずつ条件反射に変わって、最終的には意識しないで実行出来るようになるから。この点を私達は理解しいつも懐に置いておく必要があります。
ピアノを弾く上での頭の位置は重要だった!
ピアノを弾くのに、頭の位置はとても重要です。頭を適切なポジションに置くことが出来れば、演奏家にとって重要な知覚器官である「目と耳」がラクに使えるようになる!
頭をまっすぐにすると、楽器の音が聴き取りやすくなります。是非頭を上げて、ピアノの向こう側(鍵盤よりもっと向こう側)から音が出て来ることを想像して音の響きを聴いてみましょう。
耳介が響きの源、つまりピアノの弦のある前方を向くことになり、音をキャッチしやすくなります。その上、目をあまり動かさずに鍵盤と楽譜の療法を見ることも出来ます。
音域の広い曲を弾く時、端の方の鍵盤を見るのに頭を動かさなければならない場合があるでしょう。しかし、頭をまっすぐにしていると、鍵盤を見るために頭を動かすのもわずかで済みます。
頭を前へ傾けすぎると耳介が下向きになるので、音を聴き取りづらくなり、譜面も見づらくなる。そうなると楽譜と鍵盤を交互に見ることになるので、目が披露する。首も疲れる(笑)。
頭がどれほど重いのかを知っておきましょう。
肩関節のおかげでピアノを自由に弾けることを知っておこう!
ピアノを弾く時に、あなたが無意識のうちに意識しているのは「指」ではないでしょうか?何故なら、ピアノで実際に音を出すために鍵盤に触れるのは、指先だから。だから意識が指だけに行きがちで、体のことをどこかへ置いて忘れてしまうのでしょう。
鍵盤に触れるのは指ですが、その指が鍵盤に触れるために、大きな役割を果たしているのが肩関節です。肩関節とは、上腕の最上部にある関節。関節の頭が球状になっているため人間の身体にある関節の中で、一番自由に動くんですよ!
演奏する上で多種多様な動きが出来るのも、正確さを発揮できるのもこの「肩関節の可動性」のおかげです。ただしこの肩関節のことをヨコへ置いてしまって指先だけに囚われていると、肩関節を自由に使えない状態に。(自分で自分の首を締める状態に)
指は手の一部
私達は手のひらから飛び出した部分だけが指だと思いがち。しかし指は手のひらの内部から始まっているんです。
ちなみにMP関節とは、手を握りしめた時に出っ張る部分。手の甲の側から見た時、手首→手の甲→MP関節というように指先に向かっています。
指の使い方
あなたは日常生活では何年も指を使ってきても文句を言わないのに、ピアノ演奏となると嘆いてばかりいませんか?
あなたの指がうまく働かないのは、指のせいではないのです。それはピアノを習い始めた頃から指にばかり注目して、手や腕から切り離して使おうとしてきたからだ、という事にあなたは気付きません。
指は手のひらと一体になっていますよね。それなのにいざピアノを弾くとなると1本1本の指の動きを独立させようと躍起になります。指の機能だけを切り離したところで、指も含めた手のひらの働きが失われるだけ。
鍵盤上での指の置き方と働き方を司っているのは、手のひらと筋肉なのです!
演奏する上での指の使い方は、日常生活での指の働きの延長上に置くべきで、過度に特別視するべきではありません。
演奏時に音を運ぶのが指であり、その指は手・腕の一部であるということを覚えておきましょう。
手の動きを理解する
日常生活では大抵の場合、全ての指を同時に使って物を取り、それを使うために一定期間保持し、使い終わるとものを手放します。
ピアノの鍵盤上では、ひとつの鍵盤は1本の指で弾き、保持する必要はありません。鍵盤を使うのはほんのわずかな時間です。何故なら、音が発せられたらその音を変えることはできません。もう「済んだこと」になっているからですね。音を発するまでに、どんな音を出そうかと考え、それにふさわしい(と思われる)身体の使い方をしてそれが指先に伝達され、鍵盤に伝えられハンマーに伝えられて、その音は発します。
わざわざ保持しなければならない理由はありません。それをしようとするのは、日常生活であなたが物を使う時のことを思い出してみましょう。
あなた使うモノが熱かったり切れやすかったり尖っていたりしても、あなたの手の安全を損なうような脅かすような事がなければ無意識のうちに長時間でも持ち続けられます。これこそまさに生活習慣のなせるわざ。
手の開閉というのは、とても自然な動作です。この手の開閉の動作には、不必要な筋肉の緊張とは無縁のはず。
わたしたちは絶えず手を開いたり閉じたりしているわけではありませんよね。ある1つの形を維持したり、ある動作を繰り返し続けるといった事が、筋肉に重労働を強い疲れさせるのです。
だから、余計な動きをやめる・無意味な動きをやめることで、筋肉に余分な負担をかけずに済みます=すぐ脱力状態に戻せます。
ピアノの弾きにくさの代表「指くぐり」を考える
例えば「ドレミファソラシド」という音階を右手で弾く時、「123→12345」という指遣いにするでしょうか。「1」は親指を表しています。
「123」と指を順番に使ったら、「1」の指を他の4本の指の下をくぐらせて次の音へ(この場合ファへ)持っていきます。これが指くぐり。
こんな指くぐりで、なんとか親指の上に他の4本の指が位置するようにと、肘の動きを使って指くぐりをしていませんか?この時「中手骨」の助けを借りてみましょう。
「中手骨」とは、手のひら(手の甲)の中にある指先から手首に向かって繋がっている骨のこと。指くぐりの時に、中手骨の助けで「手のひらを折りたたむように」すれば、親指をラクにくぐらせることが出来ます。
ただし、この動作を終えた直後には、親指を元に戻し、手を広げた状態にすることも忘れてはなりません。戻すのは自然な動きです。
親指での打鍵の仕方
親指で打鍵する時は、中手骨の動きを使って行いましょう。親指は不器用だとか重い・思うように動いてくれないなど問題を感じることはありませんか?
親指は他の4本の指とは違って、指の関節が1つ少ないように見えるでしょう。しかし親指にも3つの関節と3本の指骨があると「捉えて」みて下さい。親指の負の意識を取り払うのに大きく役立ちますよ。
関節への意識の持ち方1つ・捉え方の違いで、親指の打鍵についての弾きにくさは改善されるでしょう。
ピアノで均質な音を得るために
開いた手を眺めてみて下さい。5本の指が同じ高さに揃っているのがわかるでしょうか?鍵盤上に置く時も、これと同じ感覚で手を自然に開いてみましょう。
するとそれだけで各指は均等に鍵盤を打つことが出来ます。そうして指は鍵盤を打つために「上げません」。
逆に指を下げるのです。これはつまり、開いた手を閉じる動作を行うだけ。手を閉じる時、各指は同じ力で動くので、音を均質にします。
鍵盤を弾くために指を上げるということは、既に下がった状態だったから指の位置が低いため、指を上げる以外に打鍵する方法がないということ。これは自ら難題を作り出していたという、まさに自分で自分の首を絞めていたようなものなのですね。
こうやって考えてみると、なんともおかしな話ですが、ほとんどの「弾きにくさ」は、余分な動きをしているか、自由に動けないよう動きを止めているという、自身の動きに問題があるのだろうと思います。
指に対する腕の安定とバランス
人や物を指すのは人間の習性です。この時、人さし指以外の指は握られていますよね。これを、ただ手を開いて鍵盤を打鍵すると安定させられます。
指は鍵盤に対して斜めに置かれます。指の力は、身体の外に向かって働きますが、それは決して真下方向への動きではありません。
各指にふさわしい方向に鍵盤を指すことができれば「各指に対する腕のバランス」はラクに得られます。
指だけで打鍵しようとすると、必然的に指は鍵盤に押し付けられ、動かなくなります。打鍵は前腕の動きで行うようにする。指はただ肩から発せられた重さを支えるだけです。
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