もっと「音楽的」なピアノ演奏をしてみない?ヒントはここにある!
ピアノを弾くって楽しいですよね。音をポンと鳴らすだけでも、ほんと楽しい!
それなのに、曲を最初から最後まで通して弾けるようになったら、めちゃめちゃ達成感もあるし、やった!わたしすごい!って思っちゃいますよね。嬉しくてたまらない。
だけど。もしかして、もう少し音楽的に弾けたら、もっとうんと!幸せな気持ちになれるんじゃないかしら?聴いてくれる人も、もっと楽しんでくれるんじゃないかな?
もし、あなたがそう思えるようになったら、ぜひこの本を読んでいただきたい!オススメします。あなたの演奏が、今よりもっと「音楽的」になること間違いありません。あなたへ、たくさんのヒントをお伝えしている本をご紹介します。
Contents
「音楽的」なピアノ演奏のヒントとは

もう既に読まれた方も多いでしょう。この「音楽的なピアノ演奏のヒント」は大変にオススメの1冊です。
この本を読んでね、師匠から伝授されてきた事の裏付けがとれたような気がしたんですよ。だからこそ、確信を持ってオススメできます。
野村三郎氏著のこの書、目次を見るだけで興味を持たれるでしょう。まず目次から紹介しますね。
第1章 まずバッハから
- バッハの技の秘密
- インヴェンションの仕掛け
- 恐るべき可能性を秘めた「インヴェンツィオ」
- 作品に秘められた「コトバ」
第2章 「愛の6度」を知っていますか?
- 音楽の約束事
- シューマンに見る「愛の6度」
- クララを飾る愛の音型
- 「愛の6度」あるいは花開く反行形
- 「嘆き」の音型を読む
第3章 ショパンとリストのファンタジー
- ショパンに刻まれた祖国の運命
- 語り尽くせぬショパンの悲劇
- 演奏者の解釈と聴き手の需要
- 現代へ先駆けたリスト
第4章 ショパンとブラームスのバラード
- 音楽と文学の関わり
(ショパンとミツキエヴィチ1/バラード第1番) - リトアニアの悲劇
(ショパンとミツキエヴィチ2/バラード第2番) - 水の精の物語
(ショパンとミツキエヴィチ3/バラード第3番) - ポーランド愛国の詩
(ショパンとミツキエヴィチ4/バラード第4番) - バラードに聴くブラームスの精神生活
- ブラームス晩年の作品
第5章 ファンタジーの翼を広げて
- 絵画の描写と音楽の描写
- ドビュッシーの音楽と絵画
- 音楽の原点はやはりバッハ
- 音楽の性格を決める要素
どの章も非常に興味深く、ワクワクして何度も読みました。その中でも特に!というところについて、少しご紹介していきますね。(この緑で表示している文章は、私荒井の注釈です。)
バッハとウィーン古典派
フォルケルがバッハの最初の伝記を書いたのは1802年。メンデルスゾーンによるベルリンでの「マタイ受難曲」の初演は1829年でした。
一見、バッハはウィーン古典派の頃には知られていなかったようにすら思われています。しかしそうではないんですね。実は大きな影響を与えていました。
具体例をあげると、モーツァルトの最後のソナタK.576 二長調の出だし(ら|れられふぁれふぁ|らーららー…)
この生き生きとした上昇するメロディは、まるでバッハの「平均律第二巻第5番」ニ長調のプレリュード(・れみふぁそ らふぁら れられ ふぁれふぁ|らー)これになんと似ていることでしょうか。
テーマだけではなく、モーツァルトが対位法的手法を用いていることがわかります。
お母さんの声、お父さんの声、ぼくの声
(平均律のテーマの弾き分け)←と副題として書かれていますが、私は平均律に限らずバッハのフーガ、またポリフォニックなその他の作品全てに通じると思っています。
バッハ「平均律第二巻第6番」ニ短調のフーガ。「れみふぁそふぁみふぁそらしらそら れー ど#ー どー|…」
出だしの声部はアルトです。そして次に出て来るテーマはソプラノでイ短調、その次に出て来るのはバスで、ニ短調に戻っている。
- アルトはお母さんに言われていること
- ソプラノは自分がそれに答えている
- バスはお父さん
対旋律も家族だけれど、同じ家族ではない。そう考えると非常にキャラクター付け(分け)/弾きわけをどうしたら良いか、想像するのは面白く、たやすいことになりますね。
バッハの「ラメント」
「ラメントLamento」とは「嘆き」である。これがバッハには良く出てきます。
そもそも「ラメント」とは、モンテヴェルディのオペラ「アリアンナの嘆き」に端を発するといわれています。しかしバッハがこれを用いたのは、決して偶然ではありません。
「平均律第1巻第6番」ニ短調のプレリュード終結部の右手の16分音符フレーズ、ここには4度の半音階下降が出てきます。これが「ラメント」の音型。
これは、ラヴェル「クープランの墓」の第1曲プレリュードの第14小節でも見る事ができますよ。
もちろん、バッハもその他の作曲家の作品にも、探せばたくさん見つける事ができる。例をあげていてはきりがないところ。
この「ラメント」は、嘆きを表している通り、非常に憂いを感じさせます。
愛の6度
「愛の6度」がよく用いられたのはロマン派に多く見られますが、その代表株はリストの「愛の夢」。冒頭(みー|どー)から「愛の6度」だ。
シューマン作品にも「愛の6度」は多い。しかし、ベートーヴェン作品にも「愛の6度」は登場するんですよ。
これを読んでいる方々は、ショパンのバラードについての項、これについて知りたいと思っている方が多いかもしれません。
だけどね、それを書いていると、とんでもなく長くなってしまうので。興味のある方は是非、この書を手にとってお読みください。
ほんっとうに!オススメの1冊ですよ。ピアノ弾きなら一家に1冊!
エンジョイ!あなたのピアノ・ライフをもっと豊かに!
もっとラクに心と体を使ってピアノを弾くお手伝いをしています。