超絶技巧は脳から生まれるって本当?メカニズムを知ってもっとラクにピアノを弾こう!
ピアノを弾く・学んでいく上で、様々な問題にぶつかるでしょう。
どうして間違えるのか?どうやったらちゃんと弾けるようになる?
なぜ本番で暗譜でピアノを弾くと、緊張したり真っ白になったりするのでしょうか?
そんなピアノの弾きにくさや緊張や不安感は、もしや脳に関係する?
そんな所に「ピアニストの脳を科学する」という本が!
だいぶ前に出版されたもので、出版当時はかなり話題になりました。
既にお読みの方もおられると思いますが、一過性の流行ものではありません。
もしまだ読んでおられない方のために、この「ピアニストの脳を科学する:超絶技巧のメカニズム」という古屋晋一氏の著作本をご紹介しましね。
Contents
ピアニストの脳を科学する*目次
ではまず、「ピアニストの脳を科学する:超絶技巧のメカニズム」の目次から見てまいりましょう。
- 超絶技巧を可能にする脳
- 音を動きに返還するしくみ
- 音楽家の耳
- 楽譜を読み、記憶する脳
- ピアニストの故障
- ピアニストの省エネ術
- 超絶技巧を支える運動技能
- 感動を生み出す演奏
さぁ、あなたが気になる項目はどれでしょうか?
私が気になったのは「音楽家の耳」と「楽譜を読み、記憶する脳」の章です。
超絶技巧は脳から生まれる?
ピアニストが、指をあれほど速く動かせるのは何故なのか?
指の筋力が人並みはずれて強いからでしょうか?
そこで、指先で物をつまむ力や手の握力を計測した結果、ピアニストと音楽家ではない人の手指の筋力には、顕著な差がなかったというのです。
では、ピアニストの「超絶技巧」を可能にしているものは何なのか?
ピアニストの超絶技巧を可能にしているものは、「脳」だという事なのですが、それについてこの「ピアニストの脳を科学する超絶技巧のメカニズム」には、細かく書かれています。
例えば…
- 指の動きが複雑になればなるほど、指の動きが早くなればなるほど、より多くの神経細胞が活動することが判明
- 同じ速さで同じ指の動きをしているにも関わらず、活動している神経細胞の数は、ピアニストの方が、音楽家ではない人よりも少ない
ということは?どういうことかと言うと…
→ピアニストの方が、脳は活発に働いていそうに思われるけれど、結果は逆だった!
→ピアニストの脳は、たくさん働かなくても複雑な指の動きができるように洗練されている!
なるほどねぇ。無駄なことを省いているということでしょうか。
分岐点は11歳?
脳の中のケーブルを包む「鞘」が発達すると運動技能が向上する、という事が起こります。
では、小さい頃にたくさんの練習を積んだピアニストは、その「鞘」が一般の人より発達しているのではないか?という所に着目して脳の計測をしたそうです。すると?
独立した指の動きや両手の動きを協調させる時に使われる、脳のケーブルの周りの「鞘」は11歳までの練習時間に比例して発達していることがわかったとのこと。
ピアノの練習は、早い時期に始めるのにこしたことはない、ということになります。
しかし「指が速く動くから、良いピアニストである」というわけではないということ。
指が早く動くというのは、手段の一つに過ぎないことがわかるでしょう。
小さい頃にたくさん練習を重ねても、その練習方法が間違っていれば、元も子もないですよね。
イメージ・トレーニングの効果
ピアノ演奏におけるイメージ・トレーニングは、どのように脳を変化させるのでしょうか?
全くピアノを弾いた事のない人を3つのグループに分けて、以下のような実験が行われました。
- 5日間、毎日2時間、ピアノを弾いて練習する。
- 毎日2時間「実際にピアノを弾いている指の動きを思い浮かべる」
- 5日間、特に何も練習せず普段通りに過ごす。
そうして、指の動きをつかさどる脳部位の神経細胞がどう変化したか?を検証しました。
すると、指を動かす神経細胞の働きが最も向上したのは「1」の毎日練習したグループ。
しかし、「2」のイメージ・トレーニングをしたグループも、指を動かす神経細胞の働きが向上していたんです。
そして、実際に「指がより速く正確に動くようになる」などの向上も見られたという。
イメージ・トレーニングは、それだけよりも、実際のピアノを使った練習と組み合わせた時に、より大きな効果を発揮する。
また、イメージ・トレーニングは練習として上手に取り入れれば、コンサートやコンクールなど本番の直前に、脳がリハーサルをするのにも役立つと言えます。
ここまでで、まだこの書の入口程度で、紹介したい事はたくさんあるんですよ。
だけど、それではとんでもなく長くなってしまいそうで、この「ピアニストの脳を科学する:超絶技巧のメカニズム」をお読み頂く方が良いと思います。
というわけで、簡単に箇条書きで参りますね。
- ピアニストは、指を一切動かしていなくても、ピアノの音を聴くだけで、指を動かすための神経細胞が活動する。
- ピアニストは事前に脳がミスする事に気づいている。
→ ミスの影響を最小限に抑えようとする。 - 楽譜を読む能力を身につけると、楽譜を見ているだけで身体を動かす脳の回路が働く。
- 音楽家がたくさんの楽曲を覚えることができる理由の一つは「記憶を蓄える脳が大きい」こと。
→ 耳から覚えた情報の一部を蓄えるために視覚野の神経細胞を活用している(音を画像として覚える)
※ この点は私自身、画像として記憶する事もありますので、納得。 - ピアニストは必要なときだけ筋肉を働かせ、それ以外は休ませている。
- タッチ・ノイズが発生すると(ピアノの音に混ざると)音が硬く聞こえる。
超絶技巧は脳から生まれるって本当?脳のメカニズムがわかればピアノはもっとラクに弾ける!のまとめ
- ピアニストの超絶技巧を可能にしているのは脳だった!
- ピアニストの脳は、たくさん働かなくても複雑な指の動きができるように洗練されている!
- 脳の中のケーブルを包む「鞘」が発達すると運動技能が向上する。その分岐点は11歳だった!
- イメージ・トレーニングは実際のピアノを使った練習と組み合わせた時に効果をより発揮する!
うあぁ、11歳までにこの本の存在を知っていたら!と思った人もいるでしょう。
でも11歳を大きく上回っているあなたも、これからのピアノ練習に活かせる事はいっぱいあります。
そして自信もつくでしょう。嘆くことばかりじゃない!知っていれば前へ進める事もある!
エンジョイ!あなたのピアノ・ライフをもっと豊かに!
もっとラクに心と体を使ってピアノを弾くお手伝いをしています。
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