古楽器から考えるバロック音楽の装飾法講座を受講して
バロック音楽と聞くと、条件反射のように難しく感じてしまっていませんか?

私達ピアノを弾く者は、様々な時代の作曲家が生み出した作品と向き合います。
そんな中で、基本だよと言われたり、バッハがわからないと他のは弾けないだとか
(逆にバッハ作品の理解が進めば他の作曲家の作品にも応用が効くだとか)言われたり。
そんなコト言ったって、そもそもバッハ様の時代にはピアノはなかったんだよね。
だからバッハ様はピアノのために(ピアノで弾く事を想定して)作っていないはず。
だから話はややこしくなっているのかもしれません。
バッハを始めとするバロック音楽をピアノで弾く事に苦手意識を持っている人もそうじゃない人も、本当はもっとバロック音楽のこと、知りたいんじゃないかなぁ?
もっとわかりやすく知ることが出来たら、もっと好奇心を持つことが出来たらピアノを弾く上で、何かが変わる気がしませんか?
そう思って、ベルギー在住の末次克史先生の「古楽器から考えるバロック音楽の装飾法」講座を受講してきましたよ。
古楽器ってなあに?
バッハやバロック音楽が大好きな人達には愚問かもしれませんね。
でもピアノを長年弾いていたってバッハが好きだって、古楽器のことはよくわからないという人も多いのでは?
今回は少人数での贅沢なワークショップの時間でした。
受講生と末次先生がテーブルを囲んで、膝を突き合わせて話すみたいな距離感。
そして同じ部屋には、チェンバロにパイプオルガンにクラヴィコードが!

末次先生と私達は、3つの古楽器に触れて感じて考えたり、デスクでお話を聞いては楽譜を見て頭で音を鳴らして考えたりと、行ったり来たりしながらの、あっという間の4時間を過ごしました。
オルガンとチェンバロとクラヴィコード、そもそもピアノと何が違うんだろう?
って見た目からの違いを確認したり、実際に触れてみてピアノとの違いを体感したり。
ピアノだって、音色や響きを考えて音を出すのは簡単じゃないけれど、いやいや古楽器の発音の難しいこと。
音の重ね方(音色の変化の付け方)の面白いこと。
これが古楽器?逆に?とっても手が込んでいて、モダンな気すらしてしまいますよ。

あれこれ書いても何ですから、気になる方には、是非末次先生の講座やレッスンをオススメします!
何しろね、現代のピアノでバッハはじめバロック音楽を弾くなら、そもそもその次代で使われていた古楽器に触れておくくらいは、必要じゃないかなぁ?
知るのと知らないのは大きな違いですよ。
遠い国のお話じゃない。
いや、遠い国のお話だったわけですが、だってほら、日本でだって触れられるんですから!
バッハの指遣いを考える
ピアノ学習者の難儀なことの一つに「指遣い(運指)」があるだろうと思います。
指遣いはフレーズを歌うのに・音楽を奏でるのにとても大事なもの。
でもね、楽譜に指遣いが書かれていると反抗したくなるのでしょうか?
書かれている指遣いを守らないといけない、だって書かれているからね。
とは言っても手指の形や癖は人それぞれなのだから、必ずしも書かれている指遣いがふさわしいかどうかは疑問。

そういう疑問や反抗心はちょっと横に置いておき。
バッハに限らないけれど、そもそもその作曲家自身が(校訂者ではなく)指遣いを書き残しているのだとしたら、そこから作曲家が伝えたかった事が何かあると思いませんか?
作曲家が伝えたかったことを読み取ることが出来ると思いませんか?
だけど「指遣いがこのように書かれているから」で済ませてしまっては、何も知ること・読み取ること・掴み取る事は出来ない。
一言で言えば「深読み出来ない」ってコト。
バッハが指遣いを書き残した作品は少ないけれどと、まずは指遣いナシのまっさらな楽譜を渡されての「考える時間」。
さぁ、あなたならどんな指遣いで弾く?
普段だったらどんな指遣いで弾くだろうか?を書き入れる。
末次先生の教えの特徴は、「答えを言わない」「自身の考えを押し付けない」「受講生の考える力を引き出す」こと。
人は押し付けられると反抗したくなるものなんだと思います。
子供の時、お母さんから「勉強しなさい!」と言われれば言われるほど勉強したくなくなりませんでしたか?
今やろうと思ってたのに!とつい言いたくなるもの。
先生から「何回言ったらわかるの!」と言われれば「知らねー」とメキメキ反抗心が膨らむもの(笑)。
それにね、教えられたものより、自分で考えて生み出したものの方が、絶対身になる。
どうして?が理解できます。
でもどうして我ら日本人は、考える力を失ってしまったかは多分、教えちゃったほうが早いから(笑)。
教わる方も「教えてもらえばいいや」と思うから(その方が簡単だと思うから)。
でもこれでは、身につくのにものすごく時間がかかるんですよね。
そこに気付くまでまた時間が(悪循環)。

話が飛びましたが、バッハの小曲楽譜に向かって指遣いを考えると、末次先生から「どうしてここはこの指遣いにしたのか?」などと聞き返されることも。
指遣いは「弾きやすさ」や、「次の音へのツナギやすさ」などを考慮するでしょう。
いかに音楽的に弾けるか?を軸に。
多分それが自分で考える指遣い。
でも自分で指遣いを考えるのが難しい人もいっぱいいると思います(だからレッスンで指遣いを聞かれる事も多い)。
まずは自分で考えてみる。
そして次はバッハの時代の指遣いの特徴を踏まえてもう一度、指遣いを考えてみる。
指遣いは音楽を作るという事はつまり、指遣いはアレを作る・・・ってあまり書くといけませんからこの辺りで(笑)。
アレが知りたかったら末次先生のレッスンへゴー!
バロック音楽の装飾法を考える
さぁ最後は本日のお題の「バロック音楽の装飾法を考える」時間でした。

そもそもね、指遣いも然りですが、装飾音も楽譜に書かれているから「弾かなきゃいけない」という思い込みがあるでしょう。
それにバロックの楽譜に書かれている装飾の記号はいっぱいあって、覚えるのも大変。
ほら、トリルだって「幾つ入れなきゃいけない」と囚われていませんか?
「弾かねば」に囚われていると、途端に音楽じゃないモードに。
だからこそ、そもそも「装飾音がそこにあるのはどうして?」を考えると良いのでしょう。
こちらも指遣いと同じでまずはまっさらな楽譜に、「わたしだったらどこにどんな装飾を入れる?」を考えて書きこんでいきます。
そしてやっぱり末次先生に「ここにこの装飾を入れた意味は?」と聞かれ答えることで、考える力の上げ方がわかってくるわけですよね。
小さい時からこのように教えられて育ったら、どうなるでしょう?
全ての音楽に、ワクワクとキラキラが溢れるんじゃないかしら。
装飾法と指遣いも、別物ではないと気付くでしょう。
末次先生の古楽器から考えるバロック音楽の装飾法講座を受講して
そうだなぁ、思うのは「勉強だ」と思うから、一つ一つの物事(カテゴリー?)を分けて取り入れようとしてしまうのかも、しれませんね。
でも、全ては繋がっているはずだといつか気付くことが出来れば、合点が行くし、更に面白くなるはず。
音楽は点と点ではなく、全てが繋がって流れているのだし(アーティキュレーションの話ではなく1曲は1つだということ)、打鍵だって指先一つでするというのは思い込みで、実は体は全部繋がっているワンピースなのだしね。
末次克史先生の講座(ワークショップ)は、答えを教えてもらうという今までの授業・レッスンのスタイルではありません。
だけど末次先生の講座やレッスンを受ければ、あなた自身で考える力がつき、益々向き合う音楽に対しての興味が湧いて、ワクワクが止まらなくなるでしょう。
末次先生の講義は少人数で受けてこそ!身になるだろうと、過去3回のワークショップをサポートさせて頂いて、外側から見ていた私が、実際に受講するという内側に入ってみて感じたコトです。
是非あなたも次回は勇気を出して参加しましょう!
末次先生が日本にご滞在中は、希望すればレッスンや少人数ワークショップを開催して下さいますよ。
ちなみに末次克史先生の今回のワークショップを振り返ってのブログ記事はこちらです。また一緒に受講した清水南妃先生の記事も合わせてお読み下さいね。
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