長く伸ばす音なのに「クレッシェンドしなさい」という、ピアノでは有り得なそうな指令が出されている事があります。ピアノは、打鍵した瞬間から音は減衰していきますよねぇ。

弦楽器ならボーイングで、管楽器や歌なら、呼吸のコントロールで「伸ばす音でのクレッシェンド」は可能ですが、打鍵したらどんどん響きが減衰していくピアノでは物理的には不可能です。でも「そうか、出来ないのか….」と諦めてしまうのは早い!では、どうしたらピアノにおいて、伸ばす音でクレッシェンドできるのでしょう?

今日は、そんな伸ばす音でクレッシェンドする方法についてお話しましょう。

伸ばす音でクレッシェンドする方法とは

ここで「聴こえ方のトリック」を使ってみましょう。一つのテクニックです。

長く伸ばす音符なのにクレッシェンドの指示がある場所・楽譜のその部分を、よーく見てみましょう。ほとんどの場合は、メロディである音が長く伸ばす音符ですが、それがクレッシェンドする気持ちだというのは、表現的に理解できると思います。

そして、メロディではない方の手の動き(音の動き)はどうなっているかを、見てみましょう。どうですか?結構動きがありませんか?その「動き」でクレッシェンドを助けてあげるのです。「追い上げ効果」のようなものです。

ただし忘れてはならないのは、メロディの中の伸ばす音の行方です。打鍵したら途端に減衰していきますが、その「減衰の仕方」を、一瞬で減衰させてしまうか少し保っていられるかは、打鍵の仕方で変わります。変えられます。

まず「一瞬で減衰してしまう」場合は、打鍵した指と共に手全体が「落ちきってしまう」のです。そうすると、音は下に落っこちて、それで「はい、サヨナラ」です。

打鍵した音を「一瞬で落としてしまうことなく立ち上げる」必要があります。その打鍵の仕方は上から、或は横から(前の音から)その伸ばす音に向かって、手指は今まさに打鍵しようとしている鍵盤に向かって「落ちて」いきます。そしていざ、打鍵!です。

この瞬間「てのひら」に風船があると想像し、その風船が一瞬で「ぶわ~~~~っ」と膨らんで「てのひらが押し上げられる」事をイメージして見ましょう。そうなると、指先が立ち上がっていきます。

指先が立ち上がるイメージは、体操選手の最後の着地です。どんな競技でも、最後に着地した瞬間体を起こし、背筋を伸ばして手を上げてポーズをとりますよね。それと同じです。

「落ちそうになったものを、持ち上げて宙に飛ばす」のです。そうすると、少しの間、音は上へ飛んでいってくれます。もう一方(メロディではない方)の動きにクレッシェンドをかけていくのは、そのほんの少しの持ち上がって飛んで行く音を聴いた後です。

こうすることで「聴こえ方のトリック」が成立します。駆け引きみたいなものですが。どうぞお試しくださいね。

ピアノで伸ばす音でクレッシェンドする方法

ピアノにおいて、伸ばす音でのクレッシェンド、はて、どうしたらいいんだろう?

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打鍵した音(指)を、その瞬間から引っ張り上げてみよう! 

それは、床に置いてある重いバッグやスーツケースとか、ミネラルウォーターやビールが入っているダンボールを持ち上げる時の感覚です。そんな重い物を持ち上げる時は、下半身を安定させて、腹筋で踏ん張って「んんんんんんんん~~~~!」ってやっていませんか?

指先だけとか腕だけでは持ち上げられません。無理して持ち上げても、腰を痛めてしまいます。

音を伸ばしている間中(伸ばす拍の分の時間をかけて)、鍵盤を掴み上げていくように。指先はまるでタコの吸盤のように、鍵盤に吸い付いているような感覚です。そして、その時の「てのひら」は、空間がもの凄く広がって行く感覚を持ち、手が立ち上がって行きます。

重い物を持ち上げるのですから、腕全体・下半身から上半身まで体全体が、上がって行く感じでもあります。こうすることで「伸ばす音でのクレッシェンド」が成立します。

実際にその音がクレッシェンドできているのか?と言うと、NOでしょう。しかし、このように打鍵すると音は落ちずに上がって宙を舞っていきます。(それは音の行方を聴き続ければわかります)

その「音の行方」を耳が追う事で、クレッシェンドしているという錯覚を起こします。その上、奏者のその体の動きを見ている聴き手は、視覚的にも「クレッシェンド」を体感してしまうというわけです。

楽譜に、両手共に伸ばす音でクレッシェンド!という指示が出て来たら、是非お試しくださいね。

呼吸はどうしたらいいの?

ピアノを弾くことと、各フレーズ(メロディ)にふさわしい呼吸をする事は、不可欠です。吸をする事を忘れないでください。忘れてしまうと酸欠になりますよ~。体中に力が入って肩が凝りますよ。目も疲れちゃいます。

両手共に伸ばす音符なのに、クレッシェンドの指示がある場合は、その「長く伸ばす音符」を打鍵する前に深く息を吸います。喉だけの「息を吸う」作業ではありません。体全体を使います。深呼吸をすると思って下さい。

ちょっとそこで、深呼吸してみましょうか。息はおなかに吸い込む腹式呼吸です。肩とか胸のあたりに吸い込むのではありません。しかし、腹式呼吸をするのが難しい場合は、喉を通って吸い込んだ息が、肩から胸へ→胸から下へ→おなかへ「落ちて行く」ことを強くイメージしてみましょう。

おなかへ吸い込むことをイメージするのが難しかったら、背中から腰へ吸った息を落とすコトをイメージしてみて下さい。温泉でゆるゆるしてる感じでもOKです。

イメージできましたか?イメージできたら、おなか(もしくは腰あたり)に入った息を、そこで終わりにせず、おなかが横に広がって、めちゃめちゃ体格の良いオペラ歌手になった自分を想像してみましょう。でっぷりしたカエルちゃんの姿を想像しても良いですね。

ここまで出来るようになることが第一段階です。

ここまで出来た方は、次に、ここまでの一連の息の吸い方にかける時間をなるべく速くしてみましょう。「喉からおなか(腰回り)まで息を落とす」までのスピードを速くする。でもそこから先、「おなかに入った息を横へ広げて行く」ところはゆっくりです。

それができると、肩から腕は少し脇が開いて広がる感覚になっていると思います。ふわっと腕が上がるような感覚です。大げさに言うと、水泳の「バタフライ」で両腕を前へ出す時のような感じです。

自分の意志ではなく、誰かに腕をつり上げられて行くような、自分の腕が「あやつり人形」のような状態です。つまり、意識して腕が上がって(脇の下が広がって)行くのではなく、自然と上がってしまう状態です。ここまでが第二段階です。

次に。おなかの中で横に広がった息を溜めたまま、吐き出さずそのままで「長い音を打鍵」してみましょう。さぁ、打鍵しましたよ。さぁ、あなたは何を感じるでしょうか?あなたが出した音は、どんな風に響いて広がっていくでしょうか?どんな風に聴こえますか?

是非、今までとの違いを感じて下さいね。あなたが感じられる事が一番大事なことです。打鍵の仕方や音色の変え方や響かせ方などを変えたいと思ったら、自ら体感して違いを感じることが出来ないと、変えるのは難しい。でも、自ら体感する事が出来たら、道はどんどん開けていきます。可能性はいくらでも、ある!

伸ばす音でクレッシェンドする方法は

  • 音の動きがどうなっているかを見る
  • メロディの中で伸ばす音の行方を追う
  • 打鍵のイメージは、体操選手のフィニッシュ(最後の着地)だ!
  • 打鍵の瞬間からその指を打鍵と逆の方向へ向かわせる(立ち上げる)!
  • 呼吸を忘れない
  • まず、あなたが感じることに意識を置く

たくさん書いてしまいましたが、まずは「あなた自身が感じること」が一番大事です。まず「感じること」に耳を傾けてみましょうね。それが出来れば、あなたが出す音は打鍵の後、どのように動いていくのか、また何故そのように動くのかがわかるでしょう。レッツ・トライ!

最後にお知らせです。

チェンバロから考えるバッハ講座Vol.3 装飾音の考え方〜講座のご案内

ベルギー在住鍵盤楽器奏者の末次克史先生による「チェンバロから考えるバッハ・ピアノ奏法の可能性〜Vol.3 バッハ・装飾音の考え方〜」ワークショップのご案内です。

2018年7月15日(日)13時〜

東京都杉並区のスタジオ・ピオティータさんにて

講座参加費:5,000円

ピアノとチェンバロを使ってのワークショップです。

詳細はこちらのページをご覧ください。お問合せ・ご予約はわたくし荒井がメールで承っております。

chihirohk@gmail.com

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