小節をまたがるスラーはよく出てきますから、あまり気にも留めていないかもしれません。でもね、ピアノでは右手と左手で同じ動きをする事も多いですよね。例えば右手がスラーで左手がスタッカートという場合です。こんな時、あなたはどうしているでしょうか?

ブルクミュラー「スティリアの女」から

また、同じ音が続く事もありますが、それらは全て同じ意味を持っているのでしょうか?もしかしたら、同じ音でも「終わりの音」と「始まりの音」があるとしたら、ニュアンスは変わってしまいますよね。そんな事を感じて考えて欲しいです。

小節をまたがるスラーに気を付けてみよう!

ブルクミュラー「スティリアの女」から

この「小節にまたがるスラー」というパターンは、3拍子の曲に多く見られるような気がします(今そう感じただけで、よく考えたら2拍子でも4拍子の曲でもありますね)。ピアノ譜例の右手が問題ですが、第3拍の音と次の小節の第1拍の音が「スラー」で繋がっています。

スラーで繋がる二つの音は近いので(二度の音程)、ピアノを打鍵する指先に意識を置けばその2つの音を繋げるのは難しことではないでしょう。

ところがそれを難しくしているのが、左手の動きです。3拍子で、いわゆるワルツの「ずんちゃっちゃ」の伴奏型ですね。ということは、右手がスラーになる第3拍から次の小節の第1拍への左手には、軽い跳躍があるという事。

この時の左手の「腕の動き」に、つい右手もつられて浮いてしまいます。すると、相当意識しない限り右手のこの場所をスラーで弾くことは出来ません。

この曲のこのフレーズに限らない事です。先日も他の生徒のレッスンの時に他の曲で、やはり3拍子のワルツに同じような問題が見られました。

本人は、「つなげているつもり」なので、もはや「切れている(ノン・レガートになっている)」事にすら、気付いていません。こんな時は、自覚できるまで何度もピンポイントでやらねばなりません。生徒も私も忍耐です。

だけどね、一度気付けばしめたもの!一度うまく弾ければ、やったー!です。一度「出来た!」を経験できれば、次も同じように意識すれば再現できるのですから。ただ、まぐれで出来ただけでは、二度目の正直はないので、そこは指導者側の注意が必要ですね。

いつも、あきらめちゃダメ。

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同じ音が続くけど、音色を変えたい時

ショパン「バラード第1晩」から

同じ音が続く時、その音(響き)のニュアンス/意味が変わる時があります。例えば上の譜例のように。

画像のはじめ、左手で繰り返されてきた「ファとド」の和音が画像の中央から、右手に受け渡されます。音は受け渡されるのですが、その音はただ同じ事を繰り返すわけではありません。

右手で弾く「ファとド」の和音は、「新たなフレーズの始まり」です。左手と右手、という「弾く手」が違うとはいえ、同じように打鍵しては、出てくる響きになんら変わる所は感じられないでしょう。そう思いませんか?気持ちを変えてみても、打鍵の仕方が同じなら出てくる音に変化を求めるのは難しいです。

では、あなたはその音を同じにしたいのでしょうか?それとも、気持ち(音色)を変えたいのか?まずそこを考えてみましょう。そもそもあなたが「同じにしたい」と決めたなら、話しは別。

 でも、ここでは「気持ちを変える」という前提で、話しを進めますね。

右手で弾くその和音、あなたは「どんな響き」が欲しいでしょう?あなたが想像するのは、どんな音かしら?透き通ったような音?遠くから真っ直ぐに伝わってくる音?それとも、遠くへ飛ばす音?

いやいや、深く沈んで行く音かしら?太い音かな?弾力のある音かしら?厚みが増していく音かなぁ?

「どうするのが、このフレーズに相応しいか」は置いておき、まずは「あなたは何を感じているのか?」「あなたは、どういう響きが欲しいのか?」あなたが感じて、あなたが考える。ここを大事にしたいですね。

「わたしはこうしたい!」が見つかったら、(一つじゃなくてもいいのです。可能性として、幾つか試すのは良い事です)その「音の響き方、音の響きの進み方」と同じように、腕から指先までを使って打鍵してみましょう。

目には見えない、音の響きが進んで行く様を体現してみる。あぁでもない、こうでもない、とやってみましょ。まずはね。

「こういう響きが欲しいんです!でも、どうやってもうまくできません(涙)」という事なら、私は喜んであなたのお手伝いをします。(この女子高生ちゃんとのレッスンでは、そこまで「済!」です。彼女が欲しい音を提示、言葉で表現してもらう→彼女、トライ→わたし、そういう時は、こうやって打鍵する→彼女、体現!納得)

小節にまたがるスラーで注意する事と同じ音で音色を変えたい時にしたらいい事のまとめ

  • 小節にまたがるスラーで注意する事は、本当に音が繋がっているのか徹底的に耳で聴く!
  • 同じ音で音色を変えたい場合は、どんな音色に変えたいのか、そもそも変えたいのかを自分で考える
  • 変えたい音色が見つかったら、どうやったらその音が出るのか試行錯誤を繰り返す
  • まぐれで出た音色は再現できない(身に付かない)ので、どうやって欲しい音が出たのかを理解できるまで繰り返す

技術の習得も表現することも、ピアノに限った話ではないと思います。どんな事でも、まず「わたし(あなた)がどう感じるか?」を大事にすること。そして、わたし(あなた)が感じたことを実践するにはどうしたら良いのか?を考えて試行錯誤すること(実行すること)なくして、あなたが欲しいものは得られない事を覚えておきましょう。

荒井千裕ピアノ・リサイタルのご案内

今年も東京でリサイタルを開催させて頂けることになりました。

毎年好評の「お話と映像とピアノ」のコラボレーションも、今回は「おんがくの絵本」としてバージョン・アップ!ドビュッシー没後100年の今年は、プログラムもドビュッシーの作品づくしです。

2018年9月2日(日)15時開演

東京南麻布のセントレホールにて

チケット代は以下の通りです。

  • 一般:4,000円
  • 中・高校生:3,000円
  • 小学生:2,000円

ご予約はこちらをクリックして開かれるページで承っております

セントレホールでお会いしましょう!

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