ピアノ奏法・テクニックにはいろいろなものがあります。音と音をつなげるスラーや、音と音を切り離すスタッカートも、それぞれの弾き方・奏法は1つではありません。

ベートーヴェン「悲愴ソナタ」第3楽章から

今日は、ピアノで弾く様々なスラーやスタッカートの奏法・弾き方・捉え方について考えてみましょう。

スラーはなんとなく付いているのではない

「スラー」(音符と音符の上や下に付いている弧線)って、何のために付いているんでしょう?

スラーが付いている間の音達は、手を繋ぐように、重ね合わせて奏でたいから だよね?それは、「スラーが付いている間」の話でしょ。じゃあね、「スラーが切れた時」って、どういう意味があるのでしょう?意味があるんだよ。想像して?

例えば、進行方向に向かって歩いているのに、突然前を歩いている人が振り返ってハッとさせられるような・・・長いスラーが一度切れた後の、短いスラーって、そんな感じじゃない?それなのに全てを繋げてしまったら、全然違うシチュエーションになっちゃうよ?

だから、スラーは、なんとなく付いているのでは、ないという事を忘れないでね。

重音スラーへの意識の置き方

画像の左手ですよ。赤丸で印を付けていますが、2つの重音にスラーが付いています。

ここはペダルの助けを借りて、響きのレガートにする方法もあるけれど、まずは基本を押さえておきましょ。響きのレガートは、基本の後の応用編ですよ。

まずは、指使いを考えるコトがポイント。

どの重音も、「135」や「145」という指で固定してしまうと難しいです。だから例えば、一つ目の重音「ラ♭ シ ファ」は、「1 2 4」の指で取ってみましょうか。そうして、スラーで繋がっている次の「ソ シ♭ ミ」を、「1 3 5」の指で取ってみましょう。

重音の上の音、「ファ」と二つめの重音「ミ」は、それぞれ「1」の指で取るので、他の指に替える場合より滑らかにはならないかもしれません。しかし、「ファ」から「ミ」は、すぐ隣の鍵盤ですよね。だから、「1」の指を「横に滑らす」感覚で弾いてみましょう。

それぞれの重音の「中の音」は、「シ」から「シ♭」へ、「2」から「3」の指へ。

白鍵から黒鍵という、わずかに半音の動きですから「シ♭」へ「3」の指の打鍵をするまで、それまで「シ」を弾いていた「2」の指の離鍵をしないよう、リレーのバトンを渡す時のように、という事を意識すれば良いのです。

それぞれの重音の「下の音」も、同じこと。「ラ♭」から「ソ」へ、「4」から「5」の指へ。こちらも、黒鍵から半音下の白鍵へ降りるだけです。二つめの「ソ」を「5」の指が打鍵するまで、それまで「ラ♭」を弾いていた「4」の指の離鍵をしないように、きちんと音を繋いであげる。

でもね、もっと簡単なのは・・・「2音の間に付くスラー」の「落として上げて」という基本の弾き方をすれば、良いだけなの。重音スラーへの意識の置き方のポイントは、1個ずつ捉えないコト。

スラーとスタッカートの組み合わせを楽しもう!

湯山昭「ポップコーン」から

両手共にスタッカートだと、軽快に弾くのは難しくないでしょう。ところが、ひとたび右手(一方の手)にスラーが入ると、無意識のうちに左手もつられてしまいます。すると、スタッカートであるはずの音の打鍵もスタッカートでなくなってしまうのは、ありがち。危険信号です。

手は動きは、逆になるから。右手は「ステイ」で、左手は「ジャンプ」。

湯山昭「ポップコーン」から

この右手は、気を付けたいですね。何故なら、この右手は全てをレガートで弾いてしまったり、あるいは逆に全てをスタッカートにしてしまいがちだから。ほら、その右手の始めのところ、スラーが付いているよ!と言うと、「あ!そうだね!」と、生徒ちゃんは気づいて直す。エラいエラい!

だけど、もうちょっと気を付けたいコトがありますよ。

「2音間に付いているスラー」というのは、1音目で手を落し、2音目で上げる。つまり、スラーの切れ目である2音目と、次にスタッカートが付いている3音目は「つながらない」というコト。

こんな所の打鍵はドリブルやヨーヨーをやる感覚でね♪←ヒント投げかけですよ。

同じ音でスタッカートが続く時

ベートーヴェン「悲愴ソナタ」第3楽章から

スラー付きのレガートな動きの後に、上の画像のように同じ音のスタカートが続くのも、割とよく見られるケース。ではね、もしもそこにスタッカートがなかったとしたらどうかしら?

同じ音を続けて弾く時、それを「極めてレガートで弾く」というのは、神経を使うことです。だから、ノン・レガートで弾くのは、容易いコト。それなのに、ここにはわざわざ「スタッカート」が付いているの。だから!ちゃんと切って。ちゃんと、打鍵し直してね。ちゃんと、その次の音(付点2分音符)に向かって行ってよ!というコトだよ。

楽譜は語る。

同じ音でスタッカートが続く時に気をつけること

ベートーヴェン「悲愴ソナタ」第3楽章から

「同じ音が続く時」というのは、それがレガートでもスタッカートでも、その打鍵にはとても注意が必要です。上の画像では、特に注意が必要ね。まず、リズム=音価です。

3連符が3つ続いた後の、3連符ではない8分音符二つ。スタッカート云々、同じ音が続く云々を抜きにしても、このように音価が突然変わる時は流されやすいもの。

正しい拍感を身につけるまでは、メトロノームを活用する事も、大いに役に立ちます。今は、スマホのアプリでもメトロノームは何種類も出ていますから、物体としてのメトロノームが今、手元にないから・・・という心配は、全く不要!是非、アプリ検索してスマホに
一つはメトロノーム・アプリを入れておきましょう。(スタジオで練習する時なども、便利ですよ)

さて問題の、同じ音のスタッカートが続く時に、気を付ける事について。それはね、「同じ音」だと「動く必要がない」から、無意識・無関心になってしまうから、問題を引き起こしてしまいます。意外にも無関心だから、問題の状態にも気付きにくいんですよね。

ピアノで同じ音が続く場合、それをレガートに弾くのでなければ、音は繋がりませんね。普通に切れちゃいます。だからピアノで同じ音が続いて、尚且つスタッカートの場合は問題になりやすいの。

ただ音が切れるだけで良いなら、それらの音にスタッカートは付かないでしょう。では何故、その同じ音にスタッカートがあるのでしょうか?はい、それはあなたが考えてみましょうね。

「何故?」は、自分で考えて欲しいのですが、打鍵するためのポイントはお話ししますよ。同じ音が続く時にスタッカートが付いている場合の打鍵のポイントは、「打鍵し直すこと」です。

もし、「打鍵し直すこと」の意味がわからなかったら、それもまずは自分で考えてみましょうね。

今日のピアノ動画*スクリャービン「エチュード」Op.42-4

ティブレイクは、スクリャービン様の「エチュード」Op.42-4です。

スクリャービンは私には難しいけれど、でも何だか惹かれます。

ピアノで弾くスラーとスタッカート奏法を考えるのまとめ

  • スラーは何となく付いているのではない事を覚えておこう
  • 重音スラーへの意識の置き方は、1個ずつ捉えず横の動きを見るのがポイント
  • スラーとスタッカートが交じるフレーズではヨーヨーやドリブルをイメージして楽しんじゃおう!
  • 同じ音が続いてスタッカートの時は、打鍵し直すのがポイント

ピアノを弾く上で、たいして難しそうでもないのに何だか崩れがちになるのがスラーやスタッカートの何気ないフレーズです。どんな動きでも、どうしてそうなるの?と疑問に感じて考えてみましょうね。それがあなたの音楽力を上げるコツでもあります。

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