演奏効果を上げる拍感と呼吸7つのポイント

ピアノに限らず、音楽をやるなら「どうフレーズを捉えて、どう呼吸をするか?」「休符をどう捉えるか?」「拍をどう感じるか?」という事は、とっても大事ですよね。

だけど、ピアノは実際に呼吸をしなくても、鍵盤をポンと押せば音は鳴ります。
だから!気づくと息が止まっていたり、呼吸を考えた時、さてどう呼吸をしたものか?わからなかったり。

はじめのうちは、意識しないとピアノを弾きながら、フレーズにふさわしい呼吸はできないでしょう。だって、どうやって呼吸したらいいか、わかっていないのですから。

でもね、演奏効果を上げる呼吸には、幾つかのポイントがあります。それを理解して実践を続ければ、必ず身につけられますよ。

到達点を明確にするには拍感と呼吸が大事

グリーグ「ピアノ協奏曲」より
グリーグ「ピアノ協奏曲」より

このトリルは、クライマックスに向けて高揚感を出していきます。
しかし、感極まるあまり拍感がなくなると、わかりにくい演奏になってしまうのね。

トリルで感情を込めすぎると、拍が曖昧になっちゃうし、逆に機械的に拍を数えながらトリルを弾いていては、音楽から遠ざかってしまいます。

このトリルは、次の

グリーグ「ピアノ協奏曲」
グリーグ「ピアノ協奏曲」

この左手と同じテンポで弾かないと、聴いている人の拍感が狂ってしまいます。

ここの呼吸はね、1枚目画像のトリルでは、臀部・下腹部に重心をデン!と置いて、深く息を吸っていきましょう。
そして2枚目画像では、腹部で「きばる」ように息を溜めながら。

最も重要なのは、2枚目画像の終わりの「ミファファ#ソ」ですよ。
これぞ!最後の頂点へ行くための指標なのですから。
だから、この「ミファファ#ソ」は、次の4分音符「ソ#」に向かっていかねば!躊躇しない。
想いをそのままストレートにぶつけてみましょう。

味わっていこうね。

ポイントは音型に合わせた呼吸法

練習曲でも呼吸を意識しよう
練習曲でも呼吸を意識しよう

一見「トリル」の練習曲のよう。
でもね、この曲はトリルの粒を揃えて弾く事が、最重要課題ではありません。

確かにトリルの練習も入ってはいますよ。
だけど、トリルに焦点をあてすぎると、逆にトリルに力が入ってしまいます。
そして、ただのエクササイズになってしまうよ。

ホントにただのトリルの練習曲だと思う?
ここに歌はないのかな?(あれ?何かのCMみたい?「そこに愛はないんかい!」)

あるよね。
左手が歌になっていますよ。
「ファーラードーレー|ドーーーラーファー」と、上昇して下降する歌。

その音の並び(行方)通りの呼吸をすればいいんです。

  • 音が上がっていく時は「息を吸いながら」
  • 音が下がっていく時は「息を吐きながら」

これが基本の呼吸です。
息を吸っていくとね、上半身が大きく開けるよね?
息を吐いていくと、身体の力が抜けていく感じ。
だけど、一瞬で力が抜けてしまうとしぼんでしまうでしょ。
だから、フレーズに合わせてコントロールして息を吐いていきましょう。

音が上がっていく時の呼吸
音が上がっていく時の呼吸

上の画像のように、音が上がっていく時は「息を吸って行く」。
上がりきる前に「もう吸えない!」状態になったら、吸った息をそのまま腹に溜めておく。

音が降りて行く時の呼吸
音が降りて行く時の呼吸

そして音が降りていく時は、「息を吐いて行く」。
ただし、一気に吐ききってしまわないように。

どのくらいの時間をかけて「降りて行くフレーズ」が続くのか、そのフレーズによって違いますね。
そのフレーズの長さに合わせて吐いて行くようにしましょう。

どこまでが一呼吸のフレーズなのかを知っておく

モーツァルト「2台ピアノのためのソナタ」第1楽章から
モーツァルト「2台ピアノのためのソナタ」第1楽章から

一音ずつで止まらない。終わりにしないでね。
最初の「レーー」から、どこまでが「一息」なのでしょうか?

それを理解して弾かないと、音楽になりません。
歌にならないよ(歌が伝わらないよ)。

どういう歌になっているのかがわかっていないと、呼吸できないでしょ?
どこまでで一息か考えたら、ちゃんとその通りに呼吸すること。
絶対、呼吸することを忘れてはいけないよ。

8分休符を受けて入るフレーズの呼吸

モーツァルト「2台ピアノのためのソナタ」第1楽章から
モーツァルト「2台ピアノのためのソナタ」第1楽章から

二台ピアノや協奏曲などは、パートナーと掛け合いになる所が多いもの。
そんな音楽の受け渡しは、タイミングが命とも言えるでしょう。

8分休符を受けて入る16分音符フレーズは、その8分休符で、鼻から「すっ!」と素早く息を吸うような、そんなタイミングで入れると良いですよ。

そして、16分音符フレーズが続いた後の、8分音符や4分音符といった音価が長くなる音は、本当に気を付けてほしいコトの一つ。16分音符の速さにつられないように。

あなたの中に「拍」という「軸」を、しっかり持っていてね。

同じ音が続いて2音目の音価が長い時の呼吸

ドビュッシー「小組曲」”舟歌”から
ドビュッシー「小組曲」”舟歌”から

画像は、右手と左手で同じメロディを弾く「ユニゾン」です。

フレーズの始まりは、「シーシー|ー」と、同じ音が続きますね。
同じ音が続く時の打鍵は「打鍵し直す」けれども、直角的にならないように。
機械的な動きにならないように、柔らかく。同じように打鍵しない。
何故なら1音目と2音目では、同じ音でも意味が違うから。

しかも、2音目は「タイ」で次の拍まで続きます。
つまり、1音目よりも2音目の方が長いですよ。

この場合は、タイだから弾かずに伸ばしている2小節目8分音符の「シ」の響きを、頭の中でもう一度確認するように聴き届けてみましょう。このエクササイズはとっても効果があるんですよ。

実際の打鍵は「シーシー|ーソラシ」だけれど、頭の中では「シーシー|ソラシ」と思うように。
つまりタイで弾くと、「シーシー|ソラシ」という感じになります。

もし、声を出して実際にこれを歌うなら、どんな呼吸配分をするかしら?
「シーシー|ー・・・ひぃ、息続かない~」じゃ、ない。
「シーシー|・・」ので、更に息をふわっと吐いて行くようにね。

出だしの休符は緊張感を表す呼吸

リスト「軽やかさ」から
リスト「軽やかさ」から

さぁ、出だしの8分休符が注目ポイント。
ここは、その音価で息を吸う所です。つまり、素早く吸う、という事。
これ、息を吸わなかったら絶対ダメな所ですよ。
だってこの休符は、出だしから「緊張感」を伝えるためのものだから。

この序奏に緊迫感を持たせることで、その後のこの曲の「変奏的カプリッチョな展開」が生きてくるのです。
忘れないでね。

常に拍感を失わないように

ショパン「ピアノ協奏曲第1番」第1楽章から
ショパン「ピアノ協奏曲第1番」第1楽章から

ソナタや協奏曲の第二楽章は、非常に気をつけなければならないコトがあります。

それは、「拍子感」。
画像の所などは、それぞれの音にこだわりを持って弾いていると、無意識のうちに「6拍子」に陥りがち。
でもね、「3拍子」なのよ。
だから、拍感は常にしっかりと持っていないとね。

だけどそれは、「1、2、3、」にあたる音がアクセントになるのとは、違います。
それでは縦割りに、ぶつ切れになってしまうでしょ。

音楽は常に次へ次へと、先に「向かっていくトコロ」があります。
それを忘れないでね。

今日のピアノ動画*リスト「軽やかさ」

ティブレイクは、リスト作曲「3つの演奏会用練習曲」第2番”軽やかさ”をお送りします。

2011年5月19日、香港agnès b.ホールにて。東日本大震災発生直後に、香港在住の日本が大好きな外国の方々が、日本のためにチャリティリサイタルを開催して下さいまして、チケットの収益は日本へ送られました。

まとめ

  • どこへ向かっていくのかを明確にするためには拍感と呼吸は欠かせない
  • 音型に合わせた呼吸をするのが自然に音楽的になるポイント
  • どこまでが一呼吸のフレーズなのか、弾く前に理解しておこう
  • 8分休符を受けて入るフレーズの呼吸は鼻から素早く吸う
  • 同じ音が続いても音の意味は違うので、呼吸の配分を考えておこう
  • 出だしの休符は緊張感を表しているので、素早く吸う
  • 拍感は拍子を理解していないと出せない

どれも、一つずつを取り上げれば難しい事ではありません。
さぁ、今あなたが出来る事から始めてみませんか?

あなたの音楽が、もっと生き生きと流れるようになりますよ。

エンジョイ!あなたのピアノ・ライフをもっと豊かに!
もっとラクに心と体を使ってピアノを弾くお手伝いをしています。

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