ピアノで音階・半音階を美しく弾くための4つのポイント
音階とは、書いて字のごとく「音の階段」。
「ドレミファソラシド」というように、ひとつずつ音が上がっていったり降りていく音の動きのことを「音階」と言います。
一段とばしはナシね♬
さて、「ドレミファソラシド」と言っても、ピアノの鍵盤を見て頂ければわかるように、

ピアノの場合「ドレミファソラシド」は全て、白鍵を弾きます。
だけどね、ピアノの鍵盤って、白鍵だけじゃないでしょう?黒鍵もありますよね。
「ドとレ」の間には黒鍵が。これは「ド#」であり、「レ♭」でもあります。
「レとミ」の間にも黒鍵がありますよね。
このように、白鍵だけじゃなく黒鍵も含め、隣り合う音を順番に弾く場合は「半音階」と言います。
それは、「ド」と「ド#/レ♭」との音程の関係を「半音」と言うから。
白鍵同士の「ドとレ」の音程の関係は「全音」と言います。
(他に半音は短二度、全音は長二度と言ったりしますが、ここでは割愛しますね)
というわけで、今日は、音階や半音階をもっと美しく弾くために、気をつけるべきポイントについてお話します!
Contents
ピアノで音階、どう弾くの?

「音階の弾き方」、指づかいのお話では、ありません。
「音階」とは、二度音程で動いて行くもの。
つまり、音の動きは、楽譜で見ると、「上がって行く」もしくは「降りて行く」。
または、その組み合わせになっています。
鍵盤上の動きでは、右へ行くか左へ行くか、横への動きですね。
音階を弾くのは横への動きなのですが、音を出すために指が上下する(鍵盤を押す、という感覚だ)と、全てが(1音1音が)、「上下に動く=縦の動き」になります。
「弾く=押す」だと無意識で思っていると、打鍵は縦の動きになりやすい。
特に、まだ指がしっかりしていない小さな子や、子供の頃に
「しっかり、はっきり弾きなさい!」とか
「マルカートで!」と、たくさん言われて育った方は、縦の動きになりやすいです。
かくいう私もそうでした。
するとね、レガートで弾いているつもりでも、出てくる音は、レガートには聴こえなくなります。
まな板で、きゅうりをトントントン!と切っているような感じ。
音は横へ動いているのだから、打鍵も、横へ繋げて行きましょうか。
ポイントは、
- 頑張って弾かない
- 鍵盤の底まで弾かない
上の画像の出だしは「ピアノ(p)」という指示なのに、出てくる音が大きくなってしまうのは、打鍵が縦の動きになってしまうから。
第1音の打鍵で落とし切らず、音が動いて行く方へ、水面を掻くように腕を回してみましょう。
横へ動いて行く事、回転する事を、意識してみよう!
半音階とはどういう意味なのか?

以前、メルマガに
半音階でメロディが紡がれる時というのは、
とても深い意味がある場合=重要な所です。
と書きましたら、以下のようなメッセージを頂きました。
半音階で音をつなぐ部分の重要性というのは、
音楽的な部分で という事だと思うのですが、半音階という事に何か特別な意味、或いは
決まりごとのようなものがあるのでしょうか?半音階のスケールを聴くと、なんとなく不思議な感覚がします。
とても素晴らしい事を感じておられるな、と思いましたよ。
「半音階」の前に、「半音」とは何? というところから お話ししましょう。
これは、音の幅(音程)を表す言葉の一種。
ピアノの鍵盤を見て頂いて、「ドとレ」や「レとミ」などの音の幅の事を「全音」と言います。
でもね、「ミとファ」の音の幅は「半音」と言います。
いずれも白鍵(白い鍵盤)の音である事は同じですが、
「ドとレ」「レとミ」VS「ミとファ」は、違う所があります。
鍵盤をよーっく見て頂くと お気づきになるかと思うのですが、

「ドとレ」「レとミ」は、それぞれの音の間に黒鍵(黒い鍵盤)が一つありますよね?
しかし、「ミとファ」の間には黒鍵はありません。
普段「ドとレ」は隣同士の音、と思っていますが、
「ド」のすぐ隣の鍵盤は、
「ドとレ」の間にある黒鍵「ド#」であり「レ♭」ですよね。
この場合の、
「ドとド#(レ♭)」の音の幅の事を「半音」と言います。
「ミとファ」や「シとド」は、間に黒鍵がありませんね。
これらはすぐ隣の音。
ですから「ミとファ」「シとド」の音の幅関係も「半音」と言います。
*「全音」は、「半音+半音」という事になります。
(「ドとレ」=全音・・・→
【「ドとド#(半音)」+「ド#とレ(半音)】=
半音+半音=全音)
さて、では「半音階の意味」、本題に入りますよ。
頂いたメッセージにもありますように、
「半音階を聴くと、不思議な感覚になる」
ロックバンドのギタリストさんが、ギター・ソロでうぃんうぃーん~~!と音を少し下げては戻す、という弾き方をする事があるでしょう。
やはり、独特の響きがしますよね。
半音移動って、脳が少しよじれて、時間の感覚がズレたまま階段を昇降するような感じにさせられます。
(ちょっと貧血状態?めまいがしているような、不安な状態)
その独特な響きを利用する、
その効果を狙っているところも、大きいと思います。
バッハの作品において
「低音部が半音階で下降する時、それは
キリストが十字架に貼付けられる嘆きのモチーフ」として使われている事も、あります。
バッハの作品は、教会の毎日の行事のために作られていましたから、全てがそうとは言いません。
しかし、キリストの事を想って、半音階に表したフレーズが登場するのは不自然じゃないですよね。
また、バッハはその後の全ての作曲家に大きな影響を与えて来た・与え続けていると言っても過言ではありません。
半音階は私の中では、半音ずつ「用心深く昇る(降りる)」というイメージがあります。
例えば、普通に長調の音階、ハ長調を見ますと「ドレミファソラシド」。
これらの音の中で、半音の関係にあるのは、「ミとファ」、そして「シとド」です。
ハ長調の場合、ハ=ドが主音ですね。
「シ」は、主音「ド」へ導く音、という「導音」と言います。
「導音」は、不安定な響きを持っているため、
【「主音」へ行きたがる(解決したがる)】性格を持っています。
この事を考えれば、「半音階」と言うのはその全ての音が常に、そして非常に不安定であり、その音だけでは(一人では)立っていられない、というような状態なのだと考えられるでしょう。
例えば、映画を見ている時に、ドキドキハラハラするような場面がありますよね。
息を呑んで展開を見守ってしまうような。
それに似たようなものではないかな?=半音階の意味。
ピアノは半音と全音の並びをうまく使うのがコツ
ピアノを弾いていると、音が上がっていったり下がっていく事の繰り返しで、メロディが・フレーズが出来ていることに気付くでしょう。
音が上がっていく、という事を感じるのは大事です。その一歩先を感じてみませんか?
音がどのように上がっていくのか?確認しよう

オクターブの音階フレーズで白鍵と黒鍵が混ざる場合、弾きにくさを覚える事はありませんか?
その動きが全て半音ならば、全ての隣り合う鍵盤をたどっていくように弾いていけるでしょう。
しかし、半音階ではない音階の場合は、半音と全音が混ざって動きを作りますよね。
半音と全音の動きが混ざっている時に感じる事とは?
半音程と全音程が混ざっていると、半音程から全音程になった時にわずかな「跳躍」を感じるでしょう。
そのために「弾きにくい」と感じます。それで音を外したり、してしまいます。
オクターブを弾く時に、「1と5」の指だけでなく「1と4」や、できれば「1と3」が使えるでしょうか?
もちろん、届かないのに無理に使う必要はありませんよ。
でも、届くかどうかに手の大きさは関係ありません。
広がる手を作れるかどうか、です。
※ 自分勝手な解釈で、手を広げようとしないで下さいね。
広がる手を作るには、大事なポイントがあります。
それは今日のトピックの主旨と少しずれるので、この記事ではお話ししません。
さて、音程の動きに合わせて、また、黒鍵と白鍵の動きに合わせて指使いを検討するだけで、だいぶ弾き易くなります。
可能なら、オクターブで3や4の指も使ってみよう!
このように上行フレーズの場合、黒鍵から白鍵に動く時は、黒鍵の上の音を「4」の指で、白鍵の上の音を弾く指を「5」にすると弾き易いでしょう。
(可能ならばですよ。無理は禁物です)
もし、「1と5」の指でなければ難しいという場合。
移動していくキーパーソンならぬキーフィンガーを、「3」の指だと思うこと。「3」の指で導いてあげるように、動いていくと良いです。
いずれにせよ、まずはそのフレーズ、半音程と全音程がどのように並んでいるのか?ということを「知る」のが最初です。
ぜひお試し下さいね。
長い音階フレーズは、指づかいと打鍵がポイント

- あ〜、この曲、音階が多くてね…
- アルペジオが多くてね…
- 和音が続くの苦手でね…
よく聞く3つの「いやだな〜」です。
でもね、曲ってそもそも、「音階」「アルペジオ」「和音」で出来ているのですよね。
アルペジオは分散和音ですから、そもそも和音です。
- この曲は音階が多いから
- この曲はアルペジオが多いから
- この曲は和音ばっかりだから
と敬遠するより、それらを克服する、親しんでしまう方が得策です。
「やる気と本気と好奇心」さえあれば、すぐ仲良しになれますよ♪
さて、こんな音階フレーズは、
「弾きにくいのは音階が続くから」とか、
「弾きにくいのは、左手だから」とか、
「弾きにくいのは、指がずれていくから」と思っているなら、その「思い込み」を外す方へ、意識を置けばいい。
このフレーズの場合は、通常の「音階の基本の指づかい」では、弾けません。
そのために、参考の指づかいが書かれていたり、自分でより自分に合った指づかいを考える事になります。
ここで大事なのは、「考える事」と、それを自分の「指に定着させる(言い聞かせる)事」。
出来たつもりで(覚えたつもりで)指に任せて弾いても、思うようには弾けません。
つっかえて弾き直したり、指づかいがぐちゃぐちゃになって、適当弾きになるのが、オチです。
多くの人が勘違いしやすいのが、「わかった」つもりになっている事。
指はあなたの体の一部ですが、あなたが自分で思っている通りには、動きません。
普段の事柄、例えばドアを開けるとか、蛇口をひねるとか、そういう日常の感覚的な事は、習慣として身についているから、出来るのです。
だけど、このフレーズのように、新しくやろうとする事の場合は、事情が変わりますよ。
(音階そのものは新しくなくても、指づかいや弾き方においては、今までと違う、と言う意味で「新しい」)
新しい事をやるなら、それが定着するまで、何度でも(指に)言い聞かせなければなりません。
そうしなければ、弾けるようには、ならないのです。
例えば、「ゆっくり練習」なら、弾けるようになったのに、「テンポを上げたら」元の木阿弥、弾けないの…
と言うのは、「ゆっくりの練習」なら、都度指先に言い聞かせて弾く事が出来るのに、
「テンポを上げたら」、指を動かす事だけに追われ、音を並べる事に追われ、
指先に動き方の、指遣いの指令を送る事が、すっこ抜けるのですね。
そんな暇、ない!って感じです。
たまには器用な人もいて、1回、或いは数回、指先に指令を送れば指が動きを覚えてくれる、と言う人もいますよ。
でも、多くの人は、そうではありません。
ここまでが、短くない道のりだと思いますが、ここまで言い聞かせが出来るようになったら、と言うか、本当は同時進行でやりたいところ。
もう一点、気をつけたい事が。
打鍵の仕方です。指づかいだけに囚われていると、音を並べるだけになってしまいます。
キュウリを叩いているみたいにね。
大事なのは、いかに音楽的に弾くか?弾けるか?と言う事。
じゃあ、音楽的に弾くために、打鍵はどうしたらいいんだろう?と考える事。
あなたが出す音をよく聴く事。
あなたの指の動きを、あちこちから見てみる事です。
イマドキは、スマホやタブレットで簡単に録画できますから、あっちからこっちから、角度や視点を変えて、自分の手の動きを撮って見てみましょう。
意外と、自分の手は指は、自分が思っているような動きをしていないのです。
ピアノ動画*モーツァルト「ピアノソナタ」K.545 第1楽章
ティブレイクは、先程出てきましたモーツァルト様の「ピアノソナタ」K.545の第1楽章をお送りします。
子供の頃は、指の運動のような曲だなぁ、なんて思いながらただ、指を動かしていただけのような気が。
大人になってから、なんて美しい曲なのだろう!って弾くたび・聴くたび感じます。名曲ですよね。
ピアノで音階・半音階を美しく弾くために気をつけるべきポイントまとめ
- 音階は、ガンバらないで弾こう!
- 音階の打鍵は上下に動くのではなく、横へ回転させていくのがポイント
- 半音階は不安定な心の動きを表すもの
- 音階・半音階は指づかいに囚われず、音楽的に弾くことを追求しよう!
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