ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章練習のポイント

作曲家三大Bと言えば、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Bach)にルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Beethoven)に、ヨハネス・ブラームス(Brahms)。

三大Bと言うだけあって、お三方とも偉大な作曲家です。実に素晴らしい作品を多く残してくださいました。

中でも古典派のベートーヴェンは、ピアノにおいては「ソナタ」全32曲がどれをとっても魅力あふれるものばかり。ピアノ学習者にとっても、ベートーヴェンの「ソナタ集」を買ってきなさいと先生から言われると、ちょっと嬉しく感じたのではないでしょうか?

作曲家ベートーヴェン
作曲家ベートーヴェン

今日はそのベートーヴェンのピアノ・ソナタから、第17番の「テンペスト」第1楽章を取り上げます。

演奏効果が上がる練習のポイント、ぜひ取り入れてみてくださいね。

フレーズの最後まで気づかってあげよう!

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章から
ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章2小節目から

2音スラーが続くフレーズです。

2音の間に付けられたスラーの打鍵は、難しいとは言えないかもしれません。でも、この画像のように2音間スラーがずっと続く上に、それが速いとなると、次第に自由が効かなくなってきます。

こんな時は、指づかいを含めて考えてみましょう。

  • どの指の組み合わせで弾いていくのか?
  • ポジション移動をどのようにしたらいいのか?
  • 打鍵の動きが大きくならないようにするには、どうしたらいいのか?
  • 上腕が固まらないようにするには、どうしたらいいのか?

何より全ての音に、気を使い続けるには、

  • どこを聴いたらいいのか?
  • どこを意識したらいいのか?

こんなフレーズで、音がダマになったり欠けやすいのは、降りてくる「終わりの音」です。例えば

  • ラソ ソファ ファミ ミレ
  • ラソ ソファ ファミ ミレ
  • レド ドシ シラ ラソ

といった、終わりの2音のこと。

ちゃんと最後まで気づかっていないと、最後まで聴いてあげられないと、自分がどんな風に弾いているのか すら、気付けません。

こんな2音間スラーのフレーズは、最後まで気づかうコトを意識してみましょう。
きっとそこから、突破口が見えてくる!

和音進行は、動いている音を聴くのがポイント

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章から
ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章2小節目から

さて、こんなフレーズでは、右手だけに意識が行っていませんか?左手は、ただ和音で刻んでいると、思っていませんか?

こんな和音続きのところは、和音の中で動いている音を追ってみましょう。

和音の中で動いている音の、その動き・響きの変化を感じてみよう!

そうしたら、今までとは違うものが見えて(聴こえて)くるかもしれませんよ。

他より伸ばす音は「響きの伸び」を味わうと生き生きしてくる

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章から
ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章5小節目から

コマゴマと動いてきた後の少し長く伸ばす音は、つれなくされやすいの。

きっとあなたは「そんなつもりはない」のでしょう。でもね、何だか邪険にされてるように聴こえます。

動いてきた後の、ちょっと伸ばす音は、その響きの「伸び」を味わってみましょう。目一杯味わってね!

どんな風に響きが立ち上がって、空気を振動して行くのかを、味わうよう意識してみましょう。響きの振動の、最後まで聴き届けるように。

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章から
ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章54小節目から

こんな所も、ですよ。

大事なのは、指を動かす事じゃなくて、響きを味わう事。全部は難しいかもしれないけど、こんな所こそ、味わってみましょうね。

目的地がどこにあるのかを理解しておこう

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章から
ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章8小節目から

どこかへ向かって行く、急き立てられているのが目に浮かぶような、フレーズです。

どんどん、どんどん、突き動かされて行くように、追われて逃げているように・・・

だけど、一体どこへ行くのだろう?どこに向かっているのかしら?

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章から
ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章13小節目

う。ここだ!とわかっているのよね。でもね、本当にわかっているのかしら?ここへ到達すると、「あ、ここだった」って気づいていないかしら?本当に「ここに向かっていく」って前に目標地点が見えていて向かってきたのかな?

右手は何かを教えてくれているのに、左手は何をしているのだろう?ただの、拍取りではありませんよ。左手も、一緒に目的地へ行ってみない?

右手だけで目的地へ行かないで、左手も一緒に。そうしたら、あなたが感じるもの、見えてくるもの、あなたに見える世界は、きっと変わってきますよ。

指に任せきりにしない

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章から
ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章69小節目から

左手の、うねるような8分音符の動き。とても規則的に上がっていきます。まるで、ハノンみたい?こんな動きこそ、指に任せきりにしないでね。

ソファソラ・シソラシ・ドシドレ・ミレミレ・・・いつでも、歌っていたい。歌いながら弾くのは、ちゃんと指に指令を伝えるのに、最適ですよ。

ここでは、拍の通りに「ソファソラ・シソラシ・ドシドレ・ミレミレ」と感じても良いけれど、動きとしてのとらえ方(グルーピング)として、

ソ・ファソラシ・ソラシド。シドレミ・レミレミ・・・」と感じるのも、推進力が出るし、指の動きもなめらかになって弾きやすくなりますよ。

このような動きのフレーズでは、いつも気にかけてあげたいもの。これらの動きから、ああなたは何を感じるのか?

ぜひ何かを感じて、ワクワクちゃいましょう。

二度の動きに意識を置いてみよう

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章から
ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章78小節目から

右手も左手も、気を付けたらもっと素敵になる!

そんなポイントを2点。

  • 各小節の終わりまで気を抜かない!
  • 二度音程の動き(トリル)は1音1音、声を出して歌うように

以上。決して指の体操にしないように。音楽は歌があってこそ!を忘れないでね。

会話の盛り上がりを想像してみよう

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章から
ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章79小節目から

こんなフレーズ、右手と左手が掛け合っていますね。

  • 漫才でボケてるのか?
  • 会話がうまいこと運ばないのか?
  • 会話がエスカレートしているのか?
  • 相手は誰なのか?
  • 話はちゃんとまとまるのか?こじれちゃうのか?

ちょっと想像してみるだけで、うんと面白くなります。あなたがどう弾くべきかも、つかめちゃいますよ!

そこに休符がある意味を考えてみよう

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章から
ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章93小節目から

伸ばす音の後に置かれている休符は、その存在を忘れられやすいもの。どうして忘れられやすいのかしら?伸ばす音に付いているフェルマータも、忘れられやすいですよ。

そもそも伸ばす音の場合、「その音がどのくらい伸びるのか」と言うのを感じる事を、ためらってしまうのかもしれません。「待てない」と言う人は多いですよ。あなたはどうかしら?

伸ばす音や休符を「待つ」って思うから、待てないんじゃない?それは、

  • 響きがどこまで広がっていくのか?
  • どのように響いていくのか?

とか、そういうのを聴いていたら、待つ必要はなくなります。多分、そこに相応しいだけ、伸びているだろう。

で、散々伸びたから?もうこれ以上、待てない?

いやいや、そうじゃなくてね、休符は何故、そこにあるんだろう?

だってね、そこに休符が必要ないのだとしたら、そもそもフェルマータが付いている音は、「付点2分音符」ではなく「全音符」にしたら良かったんじゃないの?

でも、ベートーヴェンさんは、「全音符」じゃなくて、「付点2分音符」にしたかったんだよね、きっとね。だからね、ただの記しじゃないと思うからね。ちょっと、考えてみましょう。

どうしてそこに、休符があるのだろう?ってね。

他の楽器だったら?と想像してみよう

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章から
ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章から

こんな、伴奏のない自由な旋律は、どうやって歌ったらいいのだろう?

「自由で、表情豊かに」となると、途端に自由になれなかったりしますよね。こんな時は、是非、もしこの旋律を演奏するのが、他の楽器だったら?と、想像してみて!

  • フルートなら?
  • クラリネットなら?
  • サキソフォンなら?
  • トランペットなら?
  • ユーフォニウムなら?
  • ヴァイオリンなら?
  • チェロなら??

他の楽器に触れた事があると、想像しやすいでしょう。もし、あなたが他の楽器の音色やその演奏する様を
想像するのが難しかったら、そんな時は、動画サイトでいろいろ観てご覧。

初めは、真似するのでもいいんです。でもね、真似するなら、いろんな人のを真似してみましょう。そうしているうちに、あなたの中でしっくりする歌い方が見えてきますよ。ただの真似じゃなくなるから。

ぜひ、やってみてね。

2音間スラーの打鍵は、横の動きで

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章から
ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番」テンペスト第1楽章181小節目から

「2音間スラー」の弾き方の基本は、1音目で落として、2音目で上がる。でも、その動きは、1音ずつではなく、
2音で一つの動きです。

「落として止まる」わけではなく、「落ちきる前に腕は回転して上がって行く」のがポイント。だから、画像のようなフレーズでも、小さな回転を繰り返しながら弾く事になります。

そうは言っても2音ごとの回転が大きいと、運動量が増え、当たりが強くなってしまいますよね。

「運動量が増える」と言う事は、「余分な動きが増える」と言う意味です。要は、そんなにいっぱい回転させんでも!ってハナシ。

「腕とか手首の回転」と言うよりは、「脇の下で小さなボールを、ストローで吹いて転がしてる」みたいなイメージかな?

ふんふん♪ふんふん♪ ってね、鼻歌っぽく。マイクを握りしめて、コブシを効かせないで。

そうだなぁ。坂道を、ボウリングのボールがゴロンゴロン・・・と回転しながら落ちていくのと、同じ坂道を、ピンポン球がころころころりん・・・と落ちていく、その違いみたいな。って、わかるかしら?通じてる?

打鍵は2音で一つの回転ですが、その回転の上下幅を大きく取らない。横に楕円を描くようなイメージを持って弾いてみましょう。楕円じゃなくて円でもいいけれど。横にね。横に、だよ。上じゃないよ。

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