コープランド「猫とネズミ」からアルペジオ・ポジション移動・指づかいのポイント教えます!
「猫とネズミ」と言えば、頭に浮かぶのは「トム&ジェリー」。
猫のトムとネズミのジェリーは、互いにいたずらを仕掛けたりして「じゃれあう」。
そのドタバタ劇がテンポよく展開されるアニメ。
トムとジェリーは音楽も良かった!
ちょこまかと動き回るネズミのジェリーと、豪快な動きの猫のトムは、何度見ても面白いもの。
アメリカの作曲家、アーロン・コープランド(1900-1990)のピアノ曲に、「猫とネズミ」という作品があります。
実はこの「猫とネズミ」は、最初に出版されたコープランド作品(1920年)。
コープランドの「猫とネズミ」は、ジャン・ド・ラ・フォンテーヌというフランスの詩人で、フォンテーヌの寓話「老猫と若いネズミ」を元に作曲されました。
実は、ブラジルの作曲家ヴィラ=ロボスも、フォンテーヌの寓話「老猫と若いネズミ」を元に作曲しています。
さて今日は、コープランドの「猫とネズミ」を題材に、「アルペジオ」の移動・跳躍、「ポジション移動」、「指づかい」にポイントを絞ってお伝えしていきますよ。
Contents
アルペジオは型を作って準備する!型のまま移動がオススメ

高音域から低音域へ一気にかけ抜けるフレーズですよ。
右手で弾く「32分音符4音」は、和音化して「型を作って準備」しておくのがポイント。
右手が弾き始める前に、左手で弾く和音も「型を作って準備」=スタンバイしておくこと。
右手→左手と「アルペジオ」と「和音」を受け渡して弾いていきますが、呼吸は右手も左手も一緒です。
コツは、両手ともそれらの音を弾く手の型を作っておいて、同時に鍵盤に手を落とすこと。
鍵盤に手を落としたら、その「手の型」を崩さずに、そのままでオクターブ移動しますよ。
そう、ただオクターブ移動するだけです。
常に手の型を準備している状態でね。
音域を移動するたびに、いちいち弾きに行かないのがポイントです。
一つ弾いた途端に、指をバラバラにして手の型を崩さないこと。
- 型を作って準備する
- その型のまま移動する
こうすると動作が少なくてすみますよ。
そのうえ、音もはずしません。これぞ、省エネ演奏法!
・・・と、これを楽譜を見て、自分で「あ!そうか!」と理解できるようになればいいんですけどね。
気づかないようなら、ヒントをポンポンと投げてみる。
そんなこんなのレッスン風景です。
「塊でポジション移動」の感覚を覚える

右手と左手で交互にトレモロのような動きでどんどん音域を移動していくフレーズです。
しかも動きは速い。
こんなフレーズでは、音をはずさずに素早く移動していくにはどうしたらいいか、考えてみましょうね。
こんな交互奏も

交互だし、移動が多くて忙しそう!
きゃーもう!音、つかめなーい!!わ・か・ん・な・いー!!!
って、慌てないでね。音の動きは、そんなに難しくないんだよ。
こんな動きはね、右手と左手を分けないで「両手一緒だ」と捉えるのがコツです。
両手で一緒に打鍵の用意をするつもりで。
両手で一緒に移動していく感覚でね。
まずは、両手同時打鍵でポジション移動する練習をしてみましょう。
あなたの目の動き・あなたの腕の移動は素早くね。準備は速く。
ただし、打鍵を急ぐのとは違います。
実際に打鍵する前には、手指が「そこにある」状態を目指しましょう。
目の動きもそうですが、移動の「間隔」は体に「感覚」として覚えこませる事も、出来ますよ。
それも「間隔と感覚を覚え込ます!」と意識するところから始まります。
意識しないで練習回数だけ重ねても、できるようにはなりません。これもポイントですよ。
指づかいは、次への弾きやすさを考えるとうまくいく!

ここで注目するのは、右手の和音ですよ。
右手の和音は、下から「ラシレファ#」となっています。
これ、パッと音を見たら「1235」もしくは「1234」の指で取るのではないでしょうか?
しかしこの和音、下から2音目の「シ」は「3」で取りなさいよ、という指示があります。
さぁて、どうしてだと思いますか?
それを考えれば答えが出るのはすぐですよ。
もちろん指づかいをどうするかは、必ず書かれているその通りにしなければならないというコトは、ありません。
あくまで「推奨」「オススメ」です。この指づかいが、弾きやすいんじゃない?
この指使いにしとくと、いいよ。みたいなね。
もちろん、基本の指使いもありますけどね。
ただ、人の手・指の形や大きさ長さ広がり具合などは様々ですから、あくまで参考に。
とは言いましたけどね、これはね、ちょっと注目ポイントですよ。
どうして「シ」を「3」で取ったらいいんでしょ?ちょっと考えてみてね。
わかりますか?そんなに難しいコトじゃないと思うので、答えは書きませーん♪
あ、それじゃダメか(笑)。レッスンでは考えてもらいますよ。
でも特別に答え合わせしましょう。
下から「ラシレファ#」の和音の「シ」を「3」の指で弾く理由はね、この「シ」は実は和音じゃないからね。
16分音符で動いている「シシ♭ララ♭ソファ#ファ」という半音での動きを、スムースに弾くためにはどうしたらいいかを考えます。
単純に「ラシレファ#」の和音を弾く、とだけ考えるなら「シ」を「3」でとる必要はないかもしれません。
でも「シシ♭ララ♭ソファ#ファ」という16分音符の動きをスムースに、よどみなく弾くためには、「シ」は「3」でとらなければむずかしい、ということがわかるでしょう。
是非、あなた自身で試してみてね。
そして、他の曲であっても、こんなふうに指づかいを考えていきましょう。
アルペジオ・ポジション移動・指づかいのポイントのまとめ
- アルペジオは型を作って準備したら、その型のまま移動するのがポイント
- カタマリのままポジション移動する間隔・感覚を意識して覚えよう!
- 指づかいは、続く音の動きの弾きやすさを考えるのがポイント
さぁ、このコープランドの「猫とネズミ」に限った事ではありません。
アルペジオも移動・跳躍や指づかいの決め方(考え方)は、どの曲にも通じます。
ぜひ、あなたも身につけてくださいね。
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