ショパン「黒鍵のエチュード」は、音をイメージして体をラクに使って弾こう!
ショパンと言えば、ピアノを愛する人達に圧倒的な人気のあるポーランドの作曲家。
1810年に生まれ、1849年に亡くなったフレデリック・フランソワ・ショパンは、「ピアノの詩人」と言われるにふさわしく、ピアノのための作品を多く生み出しました。

そのショパンのピアノ作品の中で、エチュードは作品10が12曲、作品25が12曲、そして「モシェレスのメトードのための3つの新練習曲」(作品番号なし)がタイトルの通り3曲、全部で25曲のエチュードがあります。
これらのエチュードの中で、どれかに絞るのは難しい。だってどれも素敵なんだもの。
ですが、ショパンのエチュードの中で、過去教えてきた中で一番レッスンにあがるのが多かったのが「黒鍵のエチュード」Op.10-5。
今日はこのショパンの「黒鍵のエチュード」を取り上げて、演奏のポイントをお話します。
Contents
イメージするもので出てくる音は変わる

たまたま、女子中高生の生徒たち二人が、前後のレッスンでこの黒鍵のエチュードをやっていた時がありました。
同じ先生のもと、同じようにその曲の指導を受けていても、出来上がり方は違う方を向いている。面白いですよね。これぞ音楽!
二人の歌も音色も風景も、全く違うものでした。ちょうど二人とも「そろそろ仕上げ」という段階に入ってきた時に、二人がイメージするもの、伝えたい気持ちが現れてきていたので、聞いてみました。
この曲ってさ、どんな感じがするの?
あなたはどんなイメージ持ってるの?
すると一人はこう答えましたよ。
うんとね、冷たいの。
ほら、黒鍵(黒いとがった鍵盤が)、なんか冷たそうじゃん?
わはは!うん、そうだね。「黒鍵」そのものが「とがっていて冷たそう」というイメージするの、わかる!(この曲がそうかどうかは別として)
彼女が、この曲に何かのイメージを持ってるって所がイイ!こんなふうにためらわずに言えるのもイイ!
本当にそういう事がこの曲に求められているかどうかは別。私はまず、生徒さんが自分で最初に抱いた気持ちを大事にして、生徒さんが感じたことを音に表すように手伝います。
さぁ、生徒さんの抱いたイメージを、彼女がもっと明確にできるよう導いていきます。
あのね、冷たいっていうのはさ、言い換えると「鋭い」とか」重くはない(というのを返すと、軽い?)」とかじゃないかな?
出だしの少しの間はイイ。アナタが抱いてるイメージ通りの音が出てるんだけど、すぐにさ、冷たいの真逆、「あたたかい音」になってるよ(笑)。
あたたかい音にはしたくないなら、指先の「1点」で打鍵する。だんだん、打鍵が指の「面(腹)」になっていっちゃってるから、音色の質が変わっちゃうんだよ。もちろん、それが欲しいところもあるよね?フレーズによって、持ってる性格は変わっていくからね。
重音打鍵の、疲れない方法

左手、8分音符の重音三つは、オクターブで中の二音が変化するだけ。それでも、オクターブがやっとなの・・・という方だと、とっても大変かもしれません。でも、どういう動きになっているのかはわかりますよね。
オクターブ和音の中の二音が変化するけれど、三つ目の重音では、元に戻ります。「行って、帰って来る」形ですね。
打鍵の仕方のお話をする前に、もう一度、思い出してみましょう。
この曲は、何拍子だったかしら?何分の何拍子、だったかしら?
わかったかな?決して、4拍子ではない、という事を覚えておいてね。この点が、頭から離れてしまうと、8分の4拍子で弾きがち。4拍子になりやすいので注意が必要です。
2拍子だと思うだけで、ラクに弾ける糸口をつかめますよ。では、打鍵の仕方のお話にいきます。
上の画像に曲線の矢印を書き入れている通り。
- 左手8分音符の一つ目で「手を落とす」。ただ、落とす。
- 二つ目では、手を「上げつつ」打鍵。
- 三つ目では、手を「上げながら」打鍵。
要するに、一つ目で手を落とし、上げながら二つ目・三つ目を打鍵する、この三つの重音合わせて、一つの動きをします。落ちて上がるという、上下の「一回転」ですよ。
三つの重音それぞれの打鍵で上下運動をするから、疲れるの。
無駄な動きは省く、エコ奏法を推奨しています♪
3連符を、弾きやすくする方法

次は、右手の3連符についてのお話です。
3連符が続いたり、6連符の場合、ちょっとだけ視点を変えるだけで、グン!と、弾きやすくなりますよ。とっても簡単な事なので、ぜひ、お試し下さいね。
それはね、3連符二つで「6音」になりますよね。例えば、画像の始め、「ソシレソミソ」が、
3連符だと三つずつですから、「ソシレ」「ソミソ」ですね。
これを、このようにとらえます。「ソシ」「レソ」「ミソ」と、2音ずつ捉えて弾く事。
とらえ方を変えるメリットは・・・きっとやってみたら、わかるでしょう。ぜひ、お試しを!
ピアノを弾く時の腕の動きは内側から外側へ

上の楽譜画像の左手の跳躍が問題点ですよ。
ここで音楽的に大事にしたいのは、拍頭にある低音のライン。でも、それを「感じ過ぎる」とどうなるでしょう?
拍頭を感じすぎてピアノを弾くと、低音の音を「弾きに行って」しまうようですよ。ん?ピアノを弾きに行ってしまうとすると、何か問題なのかしら?えぇ、拍頭の低音を弾きに行ってしまうとね、ドスンと落ちちゃうの。
あっち行ってこっち行って、あっち行って、ひぃひぃ・・・疲れちゃう...
拍頭を感じ過ぎて弾きに行ってしまうことで疲れちゃうなら、ちょっととらえ方を変えてみよう!
ピアノはとらえ方を変えるだけでグンと弾きやすくなる!
普通は「1,2」と数えるように、拍頭から次の拍へ・もしくは拍頭から後拍へととらえようとするでしょう。
しかしここは敢えて、後拍(裏拍)の和音から拍頭の低音へ行くんだ〜い!と、とらえてみる。さぁ、やってみましょう。
ただしね、後拍の和音に「重き・重さ」を置く訳ではありませんよ。後拍の和音に重き・重さを乗せちゃうと重いよね、本当に。拍が裏返ってしまうしね。
これは、「動きのとらえ方」の問題です。後拍の和音から次の拍頭の単音へ、行く。つまり。体の内側から外側へ、という動きです。ラクですよ〜♪是非やってみてね。
高音のアクセントをイメージしてみよう

ここの右手はね、手首を左右にブルンブルンって振るようにして弾くといいですよ。
「5」の指で打鍵する高音は、拍とは合いませんが、その音が「キンコンカンコン」って鳴る、鉄琴の音のような、そんな音をイメージして弾けたらもっと素敵です。
ショパン「黒鍵のエチュード」を弾くポイント
- イメージするもので出てくる音は変わってくる。あなたのイメージを大事にしよう!
- 重音は1つずつ打鍵しているとすぐ疲れる。まとめて1つの動きで弾くのがポイント
- ピアノを弾く時の腕の動きは内側から外側への回転が基本!
- 高音につくアクセントはどんな音なのかイメージしてみよう!
イメージしたら何だってできますよ♪さ、ちゃんと呼吸して、少しニッコリして弾いてみましょう。
こちらの記事もご参考までに。
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