ショパン「華麗なる大円舞曲」練習のちょっとしたポイント教えます!
ピアノの詩人とも呼ばれる作曲家ショパン。
ショパンが生み出したピアノ作品は、多くが今も世界中で愛されています。
なんと行ってもショパンの母国ポーランドでは、5年に一度、世界的ピアニストの登竜門と言われてきたショパン・コンクールが開催されていますよね。
ショパン・コンクールinアジアというものもあり、日本含めアジアでも多くの人達がショパンに夢中になっています。

ショパンは19曲のワルツを作曲しました。
「小犬のワルツ」「別れのワルツ」「ワルツ嬰ハ短調」などが好んで演奏される事が多いでしょう。
そんな中で、今日はショパンのワルツからダントツの憧れ曲、「華麗なる大円舞曲」を例に、練習でこだわったら良いポイントについてお話しますね。
Contents
ショパン「華麗なる大円舞曲」について
ポーランドの作曲家、フレデリック・フランソワ・ショパン(1810-1849)。
当時ショパンはヨーロッパでピアニストとして、そして作曲家として活動していました。
ショパンの作品はほとんどがピアノ曲であることからも、「ピアノの詩人」と呼ばれるように。
ノクターンにワルツ、マズルカ、ポロネーズ、即興曲、バラードにスケルツォ、エチュード、ソナタにピアノ協奏曲ほか、どのジャンルでも今なお世界中で愛されている曲ばかりです。
ピアノを習い始めると、ショパンの作品に憧れはじめると、子どもたちからは「小犬のワルツ」や「華麗なる大円舞曲」が、中高生や大人の方々からは「ノクターン第2番」や「軍隊ポロネーズ」に「別れの曲」「革命のエチュード」といったところが大人気!
もちろん、その他のたくさんのショパン作品も、とどまるところを知らず、「弾きたい!弾けるようになりたい!」と切望されます。
あなたはどうかしら?かくいう私も、ある1年はショパンしか弾かなかった時もあるほどでした。
大人の生徒さんには「ショパンしかレッスンに持ってこない」という方もいますよ。
ショパン、愛されていますね。
さて、ショパンはワルツを全部で19曲作りました。
「華麗なる大円舞曲」Op.18変ホ長調は、ショパンのワルツ第1番として、1833年に作曲され1834年に出版されたもの。
(ショパンが最初に作曲したワルツではなく、ショパンのワルツの中で最初に出版されたので第1番となっています)
たくさんの場面が登場するこの「華麗なる大円舞曲」は、その多様性から聴く者を飽きさせるヒマもなく、また弾き手は場面ごとに様々な想像力や技術が要求されます。
では、ショパンの「華麗なる大円舞曲」を練習する上で、少し気をつけたら良いポイントについて、ちょっとだけおすそ分け!
装飾音の存在感を考える
「装飾音」とは、書いて字の如く「飾り付ける音」。
では、装飾音があるフレーズでは、どんな風に飾り付けたらいいだろうか?

「装飾音」というのは、書いて字の如く、ある音を「飾り付ける」役割を持っています。
英語でも「オーナメント」と言います。(クリスマスツリーの飾り付けで子供達がウキウキしちゃうヤツ♡)
「装飾音」と私たちが言うのはカンタンなこと。
でもね、子どもたちにとっては「ソウショクオン」はてな?
「草食?な音?」って、そもそもそれ何な感じのようですよ。
「そうしょく」ってねー、漢字で書くとね、かくかくしかじか…って意味でね~って、動作を交えて、そこらにあるものも使って子どもでもわかるように、くだいて説明します。
でも「装飾音」という漢字がわかる大人でも、
「チリン」って弾けばいいんだ、と思い込んでいると、どんな曲のどんな場面の装飾音でも同じように速弾きしてしまいそう。
ちょっと気をつけたいところです。
鈴をチリーン!と鳴らすのも、風鈴が風に吹かれて風流に鳴るのも「装飾音」。
そして、ママが身につけているアクセサリーが、素敵な発色で光ったり音が鳴ったりするのも、装飾音のイメージとしてありですよ。
装飾音はね、それぞれのフレーズによって違うの。飾り付けているモノがいろいろあるようにね。
クリスマス・ツリーに飾り付けるオーナメントだって、大きなお星様もあれば、小さな木の実もあるでしょう。
キラキラ光るものもある。
だから、装飾音って一言で言っても、弾く(発音の)タイミングは、その曲やフレーズによって変わってくる。
この(上の画像の)フレーズならね、まるで、その装飾音は「和音」じゃないの?
っていうくらいの、装飾音がかかっている音と、「密接に」弾いてみたらどうかしら?
どうしてかと言うとね、そのように弾かないとね、まるで、「付点8分音符+16分音符」というリズムのように聴こえてしまうからね。
その違いがわかるといいな。
できれば両方で弾いてみてね、あなたはどっちが好きか、どちらがこのフレーズにふさわしいか、感じてみましょう。
ページめくりに気をつけよう

ページが変わるのは危険信号です。
フレーズの始まりがどこなのか?いい加減になりやすいからね。
上の画像のフレーズは、ここから始まるのではありません。

本当はここから始まるんですよ!
だけどね、ここでページをめくらないといけないから…
頭ではわかっているはず!でも、ついついページをめくってから弾き始めるでしょ。
だからこのセクションの頭から練習しようとしても、つい二枚目の画像からではなく、一枚目の(ページをめくった)ところから弾き始めちゃうのね。
あなたはそんなこと、ありませんか?
歌の始まりがどこからなのか、よくチェックしましょうね。
特にこの曲は、冒頭がアウフタクト(弱起)ではありませんので、注意です。
ページめくりに気をつけろ!
間違い探し、違いを楽しもう!

上の画像と下の画像は、微妙に違いますよ。(画像の粗さのことでは、アリマセーン)
さて、違う所は幾つあるかな?幾つ見つけられるかな~??

まず、譜読みは(今は)大雑把で良いので、その曲が「どんな構成で出来ているのか」を、知るよう努力してみましょう。
そして、「同じ(似ている、ほぼ同じ)」所は、どこに出てくるか?を、知る。
そうしたらね、ほぼ同じ(らしい)そこは、どこが・何が違うのだろう?という事を探して、知っておくことです。
書き込みするのも、いいよね。あなたの楽譜なのだから。
この作業をやることが、「譜読み」の効率を上げる第一歩ですよ。
後から間違いに気付いても、直すのは簡単ではありません。
「同じ」ではなく、「似てるけどちょっと違う」それを、味わう。
せっかく譜読みに練習をするのですから、楽しんじゃいましょうね~!
音が行って帰ってくる

画像右手の1小節目、【2分音符+4分音符】に注目。この2分音符の音は、ただ伸びているんじゃないの。
- リボン体操の、リボンを飛ばして戻すみたいに
- ヨーヨーが、伸びて行って戻って来るみたいに
- フリスビーが、飛んで行って戻って来るみたいに
その音の「響き」に、円を描かせたい。
音の響きが向こうに飛んで行って、そしてあなたに向かって帰って来ることを想像してみて!あなたに=次の4分音符に。
「たーーーた」じゃなくて、「たーぁ~~~た」ですよ。
では、そうするためには、どうしたらいいんだろう?って考えてみましょう。
- 打鍵した手を落としたままにしているかしら?
- それとも、上げていくのかしら?
- 回しているのかしら?
次の音に向けて、あなたの手をどんな風に動かしたら、どんな風に響の動きが、変わるかしら?
響き方が変化する・動くのを聴く事が出来たら、さあ、もっともっと面白くなってきますよ♪
音が尻もちをつかないようにするには?

画像の「モルデント」が付いているところ。(赤の縦線が付けられているところ。)
ここは、「ドスン」と尻餅をつきやすい、怖いところです。
まず、左手がその前の拍から「終わるかたち」を取っていますよ。
だから気を付けないと、打鍵と同時に手が落ちっぱなしになります。
右手は8分音符の「ラ」に「モルデント」が付いていて、「らしら」と弾く。
それで終わりではなく先が続いているので、「がんばって」弾いてしまいがち。
「尻餅要素」が二つ重なると、右手も左手も「ドスン!」と尻餅をついて、可哀想なアクセントが付いてしまいます。
こんなところでは、打鍵と同時に手首から肘から「ふわっと上げていく」柔らかさをもって弾いてみましょうね。
どうしてそこに休符があるのか?

どうしてそこに休符があるのか?って、考えてみたこと、ありますか?
この画像の最後。赤丸で囲んでいる、その小節です。
1小節丸々お休みって、どーゆーコト?
前の小節の、最後の音がフェルマータとか、タイで伸ばす音になっているとか、そういうのとは違うの?
って思いませんか?
な~ぜ~だろう?なぜなのかしら?
どうしてショパンさんは、その小節を丸ごと休符にしたんだろ~?って、考えてみてね。
そうしたら、そこをどうしたらいいのか、きっと答えが見つかりますよ。
ショパン「華麗なる大円舞曲」練習のポイントまとめ
- その装飾音はどんなものなのか考えてみよう
- よく似たフレーズはどこが違うのかを理解しておこう
- 伸ばす音は、その響きが行って帰ってくるのを味わっちゃおう!
- どうしてそこに休符があるのかを考えてみよう
あなたの音楽力を上げる最大のコツはね、好奇心旺盛になっちゃうことですよ!
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