ピアノで歌うために音の動きやバランスを意識する7つのコツ
ピアノで歌う。わかっているようで、心を込めて歌っているようでいて意外と伝わりにくいんですよね。
そんな、歌が伝わりにくいものの中に、二声になっているものがあります。
メロディがある右手だけで二声になっている場合ですね。
そもそもポリフォニーは各声部を弾き分ける事はやさしくありません。
それでも、ちゃんと自分の思いを伝えたいですよね。
というわけで、ピアノで歌うために音の動きやバランスを意識する弾き方のコツをお話します。
Contents
何がメロディかを知る練習法

画像の右手を見てみましょう。
多くの方に人気の「パッヘルベルのカノン」から。
音符の上下に「棒」が付いている音がありますよね。
普通は、音符の上か下か、どちらかに「棒」が付きます。
しかし、このように上にも下にも「棒」が付いている場合は、「音楽を奏でる人は、一人ではない」
もしくは、「歌が混ざっている(隠れている?)」事を、表しています。
このフレーズでは、
- 音符の上に棒が伸びて「8分音符」で書かれているソプラノの歌
- 音符の下に棒が伸びて「16分音符」で書かれているアルト(内声)=ハーモニーを作っている動き
この二つが、一緒になっています。つまり、「二声」になっているという事。
楽譜に書かれている通りに、横に一音ずつ譜読みをして右手で弾いてしまうと、一体何を弾いているのか、
わからないままになりがちです。
このような時は、8分音符で書かれている音の繋がりと、16分音符で書かれている音達を、分けて弾く練習をするのがオススメ。
長い音価の音の繋がり=この場合は8分音符のラインを弾いてみると、どんな歌なのかが見えてきますよ。
と、生徒さんに「8分音符だけの音の繋がり」を弾いてもらったら、
「あ!そうそう!この曲でした!
わたし、これを弾いてたんですね!」
目が輝きました☆わかってもらえて良かったです。
そう、全て右手で弾くものだからと、いつも全部を弾いてしまわないで、時に分けて弾く練習をしてみましょうね。
そうすることで、「歌のあり方」も分かるし、「メロディとハーモニーのバランスをどうしたらいいのか?」についても、考えられますよ。
歌(メロディ)を追いかけ続けるのがポイント

さてこちらの画像では、歌はどこにあるんだろう?
見てわかる歌もあるけれど、注意して見ないと見落とすような歌も、あります。
- 歌の始まりは、どこなんだろう?
- どんな風に、歌われて(歌って)いくのだろう?
- どんな風に、歌が入って(絡んで)くるのだろう?
- どんな風に、歌が継がれていくのだろう?
目を開けて、じっくり楽譜を読んでみましょう。
目を閉じて、ゆったりと頭の中で、音を鳴らしてみようか。
目の前の「次に弾く音」だけに、気持ちを持って行かれないようにね。
音の動きが変わった時はサイン!

画像2小節目に注目してみましょう。
1小節目とは、動きが異なりますね。
同じように始まるけれど、終わりが違う。
下段(ヘ音記号のところ)の終わりに書かれている、上第2線の「ミ」。
これは、それまでの左手の動きからすると、そこに「ミ」があっても不思議ではありません。
だけど、「棒」の向きが変わりましたよ。
そして、16分音符ではなくて8分音符になっていますね。
そう、それまでと変わったのです。
この「ミ」は、
- 右手の16分音符「しそみみしそ」の続き、或いは終わり、とも捉えられる
- 左手のそれまでの動きに「?」を付けるカタチとしても、捉えられる
右手にも左手にも、そこには休符はないのですから。
このように、動きが変わった時は、「あれ?」と、感じてみよう!
なんだろ?どしたん?何?ってね。疑問に思ってみる。好奇心を持ってね。
このような動きは、何かの変化の兆しですよ。あなたに何かを教えてくれているのですから。
見逃さないように気をつけてね。
気持ちが上向きなら音も上向きにしよう

意気揚々と、気持ちが上向いて、ニッコニコで終わる。そんな事が想像出来る曲の終わり。
それなら、そういう音にしてあげたいね♪
こんな時は、音を上に飛ばしてあげるんだよ。
そうするにはどうしたらいいかな?
うん、それはね。
打鍵したら手を上げていくんだよ。
打鍵した鍵盤に、触れている指は鍵盤に付けたまま。
だけど、「てのひら」の中で風船がふくらむように、手と腕を「ふんわり」と、上げていく。
決して、打鍵したまま、手を落としっぱなしにしないのがポイント。
よーく耳を澄ませて聴いてごらん?
ほら、音が上がっていくのが聴こえるよ!
バランスが悪いと感じたら、歌いたいところを意識する

上の画像と下の画像、

この二つは、作曲家は違いますし、年代も違いますよね。
前者が古典派(ベートーヴェン作曲)で、校舎はロマン派(ショパン作曲)。
でも、何だかとってもよく似ていると思いませんか?
この二つの曲は、弾く上で意識する事が、同じなのです。
もしあなたが「なんか、イマイチだな〜」という演奏になっていると気づく場合、バランスが良くないコトが原因。
本当はソプラノのラインを聴かせたいのに、内声の16分音符が「どーたーばーたー」と、五月蝿く出ちゃうんだな、これが。困ったもんだ。ぷんぷん。
って、言っていてもねぇ…変わらないよね。じゃ、どうしたらいいの?
内声はコントロールが難しく鈍い「1」の指も使うから、難しい。
じゃあね、歌ってみましょ♪
あなたは、どこを歌いたいの?どこの歌を聴かせたいの?
どこが「歌」だと思ってるのかな?
あなたが「ここが歌♪」と思うところを、ぜひ、あなた自身が歌ってみましょう。
あなたが歌う事で、あなたの脳は、あなたが本当に歌いたいように指先へ指令を送れますよ。
奏法と歌の関係を考える

右手に注目してみましょう。
右手は8分3連符で進行していきます。でもこれ、実は二声。
これは、8分3連符の第1音を「押さえておく=保持する」練習曲です。
しかし、早くからピアノ学習を始める、言い換えれば体(手)の小さな子が多い日本人には、厳しい場合が多いでしょう。
するとどうなるか?
「右手だけで二声になっている」という事を理解させて、演奏に反映させるのは、あまり簡単ではありません。
多くは、「しそれしそれどらふぁらふぁれ…」と聴こえる演奏に。
でも、歌は「しーーしーーどーーらーー…」です。
それを理解しているか否か?という違いだけでも、手の大きさや開き具合に関わらず、出てくる音楽は変わってきますよ。
気付きを与える練習法のうちの2点を。
- 8分3連符の中の、4分音符として伸ばす音を立て左手で、続く2音を右手で弾いていく
→これは「二声(2人の歌)」への意識付け - 各拍を、和音化して取る
8分音符「しそれ」を「しれそ」の和音として弾く
この時、「1」の指に指先も耳も、強く意識を置く
他にも方法はありますが、ご参考までに。
煮詰まったらオーケストラ化してみよう

もしも、何かに煮詰まったら…
煮詰まるというか、何かこう、ひらめくものがなくて自失呆然みたいになってしまったら、是非やって頂きたいな〜と思うことが。
先日練習していて、「あーそうだ、もしもこれがオーケストラの演奏だったら…」と、ふと想像…。
あ、あちゃー、そもそもオーケストラの曲だった(汗)笑
先日の「その時」は、確かに、そもそもオーケストラの曲(戯曲)を、作曲家本人がピアノ用に編曲したものでした。
でもね、曲によっては「ピアノのために」書かれたものが、オーケストラや弦楽○重奏とか、管楽器のために編曲されているものも、結構あります。
だからね、是非、想像してみて!
今、あなたが歌おうとしているそのフレーズ、オーケストラだったら、どの楽器が奏でるかしら?って。
この支えのハーモニーは、どの楽器が奏でているかしら?
このリズムを取っているのは、どの楽器かしら?ってね。
私は中学生時代からかな?他の楽器だったら?と想像するのが好きでした。
多分、吹奏楽をやっていた影響でしょう。
絶対、面白いですよ。
オーケストラの楽器じゃなくても、いいよね。
身近にある楽器、音が出るもの、歌手でもいい。
このメロディは、どのアニメ歌手?演歌歌手?とかね。
どうしても浮かばなかったら、それこそYouTubeで検索してみるのも、いいかもしれません。
バッハ作品がエレキギターで演奏されてる動画も結構あるし、ドビュッシーのピアノ曲が金管五重奏にアレンジされているものもありました。
でも、まずは自分で想像してみましょうね。
今日のピアノ動画*ベートーヴェン「悲愴ソナタ」第2楽章
ティブレイクは、ベートーヴェン作曲「悲愴ソナタ」の第2楽章をお送りします。
この悲愴ソナタの第2楽章は、老若男女問わず、歴代の生徒さんたちに大人気でした。名曲ですよね。
まとめ
- 音がたくさんあって、何がメロディかわからなかったら、二声になっていないか確認しよう
- 二声の動きなら、メロディの動きを最後まで追い続けるのがポイント
- 音の動きが変わった時は、気持ちの変化を教えてくれるサイン
- 気持ちが上向きなら、音を打鍵で落とさず持ち上げよう
- バランスが悪いと感じたら、歌いたい音のラインを意識して聴こう
- 二声をどう弾き分けるか?という奏法を考える事が、歌を表す事につながる
- それでも煮詰まったら「オーケストラだったらどの楽器?」と想像してみよう
もうね、ピアノを弾く時はやる事がいっぱいあるけれど、何をやるにしても、想像してみることが一番あなたの演奏に役立ちますよ。
どんな音色なのか?どんな響き?どっちへ響いていくの?どんな人が?どんな楽器?天気は?温度は?ってね。
エンジョイ!あなたのピアノ・ライフをもっと豊かに!
もっとラクに心と体を使ってピアノを弾くお手伝いをしています。
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