ドビュッシー「アラベスク第1番」演奏効果が上がる3つの練習ポイント
ピアノを弾くのって、大好き!って思っていても、練習するのは実際大変ですよね。
だって、譜読みするだけでもなかなか時間がかかる事でしょ?譜読みだって、読み落としは結構あるある(レッスンで指摘されるのは大抵、譜読みの間違いだったり読み落としだったり)。
なんとか弾けるようになるだけでも大変。でもね、せっかく練習するんだから、ちゃんと仕上げに向けて、最初から演奏効果が上がるポイントを意識してみませんか?

さぁ、この記事では、フランスの作曲家ドビュッシー様の「2つのアラベスク」第1番を例に、演奏効果が上がる3つの練習ポイントについて教えちゃいます!
他の曲でも活かせるポイントなので、ぜひ読んで理解して実践してくださいね。
Contents
両手で渡すアルペジオはリレーのバトンを渡すように

左手から右手へ、そしてまた左手へと音を繋いでいく出だし。とても美しい始まりです。
この、左手から右手へ、そして右手から左手へと音を受け渡すフレーズ、バトンは美しく渡したいですね。決して投げないでね。
「ハイ!ただいま、左手選手から、右手選手に変わりました!」って、はっきりわからないようにしたいもの。
そのためにはね、まず。
- 左手「ドミラ」を弾いたら、弾きっぱなしにしないこと
- 手の動きは、音が向かう方へ
- はじめは高音に向かっていくのだから、左手は「ドミラ」を弾いたら右手側へ抜ける
- 右手「ドミファ ソレシ」を弾いて、左手へ受け渡す時は、右手は左手側・低音側へ抜ける
ポイントは、親指を落としたままにしないこと。
美しいかな?デコボコしてないかな?って、あなた自身でちゃんと聴いてあげましょう。
欲しい音は、弾く前に聴くのがポイント

この画像の中で、一番大事にしたい音、あなたはどれだと思いますか?
大事にしたい音のポイントとは、
-
そのフレーズの中で、高い音
-
音程が離れる時
-
長く伸びる音
というのを基本として見ていきますよ。
「そのフレーズの中で、高い音」と、「長く伸びる音」がありますね。画像の2小節目(右手)、第2拍です。
2分音符でタイ。この音で終わりじゃありません。まだ続きますよ。続く8分3連符に向かっていきます。では、続く8分3連符に向かって行くように聴かせるには、どうしたらいいのでしょう?
大事にしたい音を、欲しい音で綺麗に発音するためには、その音を打鍵する前に、その音の響き・音色を聴く!こと。
師匠は私に「Pre-Listen !」と、数え切れないほど仰いました。師事した10年の間に一体、何回言われたことか。
あなたが欲しい音を、それ1音だけで出すことが出来るでしょうか?出来るなら、その音を頭に・心に焼き付けて、それを打鍵する前に心で聴くのです。「想像する」とも言うでしょう。
あなたが想像した音、それを再現するのです。
な~んにも考えなしに打鍵していては、欲しい音は出てきませんよ。
(それが難なくできる天才もいるでしょうけれども)
ぜひとも、うんとうんと!耳を澄ませて、あなたの頭の中でその欲しい音を、弾く前に響かせてくださいね。
向かって行く先の音も、弾く前に聴こう!

上で書いたのと同じこと。応用かな。
山を登るように、フレーズにも目的地がありますよね?その目的地=向かっていく先の音も、その音に向かっていってますよ!ということが わかるように弾いていくでしょう。
そしたらね、その目的地は「ここですよ!」って、どうやったら伝わるかしら?

やっぱり「Pre-Listen !」ですよ。
忘れないでね。ここは、次のフレーズの「始まり」でもあるけれど、それまでのフレーズの「目的地」でもあるということを。
大事な音は打鍵前に聴くと脳が正しい司令を出せる

画像2小節目の右手第1音「ラ」は、とっても大事な音。それまで「リタルダンド」で段々遅くしてきて、ここで「ア・テンポ」で元の速さに戻ります。
テンポが変わる。でも、突然テンポが変わるわけではない。タイミングがある。
その上、この曲の冒頭フレーズにはなかった音が、この「ラ」。つまり、新しい音が加わったんです。これは何かのお知らせでは?というように、その響きを打鍵する前に「聴く」。
>えー?出ていない音は聴こえないー!?
いいえ、聴こえますよ。
聴こう!と思えば聴こえるんです。
正しくは、今から発音するその音の響きを想像するの。
脳はね、何度でも言い聞かせてあげないと、欲するコトをしてくれないの。
一度欲しい音が出たからもう大丈夫!じゃ、ないのね。
いつも、弾くたびに「欲しい音の響きを想像する=前もって聴く」と、その響きを出すために、脳が必要な事(動きや呼吸)の司令を出す!
まさに、Pre-Listen !
師匠が教えて下さった、一番重要な事。
大事だから、この記事の中でも何度も書いています。忘れて欲しくないから。絶対に実行して欲しいからね。
流れの良い演奏にするポイント

そのフレーズがここから始まるのは、きっとわかるでしょう。
フレーズの始まりと終わりを理解しておくと、方向性を理解できます。どこへ向かって行くのか?ということね。
上の画像から始まるフレーズは、

ここまで。この画像の終わりまでで一つのフレーズです。
わかっているようでも、ちゃんと理解していないと1小節ずつで「よっこいしょ」の演奏になってしまうのね。「わかっている」のと「理解している」のは違いますよ。「聞く(聞こえている)」のと「聴く(聴きに行く)」のが全く違うのと同じこと。
「1フレーズ」というのは一つの大きな流れ。1フレーズで呼吸は一つです。
吸って吸って息を腹に溜めて、吐いていく。これが一つの呼吸。
フレーズがわかれば、そこにふさわしい呼吸の仕方もわかります。
フレーズはどこから始まって、どこまでなのかを知っておくと流れが良くなる!
なぜなら、音に推進力が出るからね。
ピアノ動画*ドビュッシー「2つのアラベスク」第1番
ティブレイクは、この記事で取り上げたドビュッシー様の「2つのアラベスク」第1番をお送りします。
ピアノはスタインウェイ。
今はもうないのですが、広尾にあったセントレホールというところでのリサイタルでした。
この曲は大好きで。ドビュッシー好きになったきっかけだったかもしれません。学生時代から何度弾いたか数え切れませんが、きっとこれからも弾くことでしょう。あなたもいかが?
ドビュッシー「アラベスク第1番」演奏効果が上がる練習のポイントまとめ
- 両手で受け継ぐアルペジオは、リレーのバトンを渡すように
- 欲しい音・大事な音は弾く前に聴く(想像する)のがポイント
- フレーズの始まりと終わりを理解できれば、向かいどころがわかるので流れの良い演奏になる
ピアノ弾きに人気の高いドビュッシー作曲の「2つのアラベスク」第1番を例に、演奏効果が上がる練習ポイントについてお話しました。
でもね、これはどの作品にも通じることです。ぜひ、今あなたが向き合っている曲でも応用できるところはないか?さがして実践してみてくださいね。
こちらもご参考までに。
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