ドビュッシー「アラベスク第2番」思い込みを外す5つの練習ポイント
スタッカートが書かれているから短くはねる?
同じフレーズが繰り返されているから、あ!カンタン?
そうね、そんなに難しい事ではないかもしれません。で
もね、もしかしたら思い込みに支配されていないかしら?
もうちょっとよく楽譜を読み込んでみたら、実はあなたが思い込んでいたこととは違う指示があるかもしれませんよ。
あなたはレッスンに行って、先生に「そこ違うよ」と注意されることは、ありませんか?

せっかく苦労して時間をかけて譜読みをして、練習を重ねるのです。
思い込みに支配されて読み落としがあったり、間違って覚えてしまうとしたら、なんてもったいないことをしているんだ!と思いませんか?
今日は、そんな思い込みやすい事はこういうところにある!とか、
ピアノ(p)の時のスタッカートはどう弾くと効果的なのか?とか、
タイの響きを味わって演奏に表すにはどうしたらいいのか?
ということを、ドビュッシー様の「2つのアラベスク第2番」を例に、練習のポイントをお話しちゃいます!
Contents
ピアノ(p)でのスタッカートを軽く弾くポイント

画像のように、「ピアノ」でなおかつ「デクレッシェンド」で、8分音符で下降して行くスタッカート(左手)に注目してみましょう。
こんなフレーズは、体重を感じさせずにトットッと「つま先で立ち去っていくように」弾きたいもの。
それなら、打鍵は指先のほんの1点で。
鍵盤に指が触れた瞬間に、逃げるように離鍵する。
はじめは難しいかもしれません。難しかったら、「ふっふっふっふっ」と息を吐きながら弾いてみましょう。
リコーダーでね(管楽器なら何でも良いのですが)、スタッカートのタンギングをするような感じです。
だから、打鍵のスピードは速く。
でもね、力は入りません。だから音が強くなることも、ないの。
「ピアノ」でスタッカートは、指先の1点で素早い打鍵をしよう!
※ ケースバイケースですよ。4分音符のスタッカートはまた話は別です。
音の響きに伸びやかさや広がりを持たせる方法

タイで伸びているのは、画像の第3拍。
では、想像してみてね。もしもこの音がタイではなかったら?
その音を改めて弾くことになりますよね。
同じ音を続けて弾く場合は、それぞれの打鍵の仕方が変わるコトが多いです。
なぜなら、音は同じでも、それぞれの音に込められた気持ちが変わるから。
じゃあ、タイでつながれて、2音目を改めて発音しないなら、気持ちに変化はないのかしら?
音は打鍵したらそれで終わりではありません。
今打鍵したその音は、次の音へ向かって行くの。音のバトンを渡しに行くんだよ。
だから、その「タイ」で伸びている「その音」を、もっと!聴いて、もっと!感じてみる。
そうしたら、うんと音の広がりが感じられて、伸びやかな演奏になりますよ。絶対やってみてね!
タイを感じる練習法

さて、上でお話したのと同じことですが、そのタイを感じるための練習法について補足します。
鉛筆で丸く囲っているところが、タイ。
全ての音がタイですが、ソプラノだけがその後、動きがありますよね。
だからこそ、そのタイで伸びている「8分音符」分の音価をめっさ!感じる必要があります。
もし、その音が「タイ」ではなかったら、打鍵し直すわけですよね?
だからこそ、このようなタイがあるフレーズでは、タイなしで打鍵する練習をしてみましょう。
するとね、その音を感じることができますよ。
それをね、感じるかどうかで、音が変わってくるの。その上、躍動感が出てくるから不思議ですよ。
あなたが「タイ」で伸びている音価分を、うんと感じてあげると、音に広がり(伸び)が出るよ!
ページが変わる時は気をつけろ!

ここから新しいフレーズが始まる、と勘違いしていないかしら?
いや、正確には右手はココから始まります。
でも、念の為、この前の小節を見てみましょう。

第4拍の左手「ソ」から、スラーが付いていますね。
それが1つ前の画像に続いているんです。
2枚の画像を小節順につなげて見ると、下のようになりますよ。
はじめの小節の第4拍(左手)「ソ」は次の小節の内声の、4分音符の動きにつながっています。
「・・・ソ→ソ#→ラ→ファ#→ファ(ダブル#)」という動き。
この動きは右手の動きにも連動していますよ。

右手はこの画像の8分3連符の第1音「シ」→第2拍4分音符「ド」→第3拍内声「ラ」→第4拍内声「ラ#」という動きが、左手の内声の「ソ#→ラ→ファ#→ファ(ダブル#)」という動きと連動しています。
だけどね、左手のフレーズは前の小節から始まるのだから、部分練習をするなら、

この第4拍左手の「ソ」から弾き始めなければ意味がありません。この事を忘れないで。
フレーズはいつも両手同時に始まるわけではない。という事を頭に置いて、譜読みは気をつけてやりましょう。
よく似ているフレーズは、違うところを探そう!

上の画像と下の画像、

これ。非常によく似ています。
でも同じようでいて、同じじゃない。
音が違うわけではなくてね。
アーティキュレーションが違います。
画像の1枚目=1回目のフレーズは、

こちらは右手のスラーは「2音ごと」に付いていますよね。
それに対して2枚目=2回目のフレーズでは

右手のスラーは「1小節ごと」になっていますよ!
この二つのフレーズでは、奏法が変わってきます。
想像してみてね。
2音ずつ音を切って行くのと、
1小節(8音)つなげて行くのでは、打鍵の動きは違うのが感じられるのではないかしら?
だから、よく似たフレーズは、本当に注意が必要です。
楽譜をじっくり読む。読み返す事。
特に、ある程度の音の動きが頭に入って弾けるようになると、「こうだ!」という思い込みに支配されてしまいます。
間違いではないけれど、よく似たフレーズで何が違うのか?違いをしっかり認める事!が正しい演奏を生むポイントです。
脳がふやけるまでハーモニーに浸ってみよう

普段、1拍ごとや2拍ごとにハーモニーが変わる音楽に慣れていると、このような指示には戸惑っちゃうかも?
もしくは気が付かないかもしれません。
画像からおわかり頂けるでしょうか?
ペダルを踏んでいる間(踏み替えるまで)の指示が長い。
画像1段目のピアニシモ(pp)の小節から、次の段までペダルは踏みっぱなしの指示になっています。
このような場合は、ハーモニーの響き・余韻・残響を味わいたいですね。
だから、ペダルの踏み替えが頻繁ではないのだと思います。
思いこみを無くそう!
ペダルを踏んでいる時間が長い場合は、ハーモニーに浸っちゃおう!
それが、ドビュッシーの世界を表すポイントです。
ピアノ動画*ドビュッシー「2つのアラベスク」第2番
ティブレイクは、ドビュッシー様の「2つのアラベスク」第2番をお送りします。
今はなき、広尾のセントレホールにて。ピアノはスタインウェイ。
とても柔らかい響きの良いピアノで、良いホールでした。閉鎖となり惜しいです。
ドビュッシー「アラベスク第2番」思い込みを外す練習のポイントまとめ
- ピアノでのスタッカートを軽く弾くポイントは、打鍵のスピードは速く逃げるように
- 音の響きに伸びやかさ・広がりを持たせたかったら、タイを外して弾く練習をしよう!
- ページが変わる時には、つながりのある音の存在に気をつけよう
- よく似ているフレーズでは、違うところを探そう!
- 長いペダルの指示は、脳がふやけるくらいまでハーモニーに浸ってみよう!
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