フォーレ「舟歌第4番」Op.44をもっと美しく弾くための練習のポイント
フランスの作曲家、ガブリエル・フォーレと言ったら、あなたはどんな作品を思い浮かべるでしょうか?
「シチリアーノ(シシリエンヌ)」Op.78ト短調や、ピアノ連弾の「ドリー組曲」などは、発表会や演奏会でもよく取り上げられる作品ですね。

今日はそのフォーレの「舟歌第4番」Op.44を取り上げて、もっと美しく弾くためのヒントをお伝えしちゃいます!
Contents
フォーレの「舟歌第4番」Op.44とは
フランスの作曲家、ガブリエル・ユルバン・フォーレ(1845-1924)は、フランスを代表する作曲家の一人です。
フォーレは同じフランスの作曲家、カミーユ・サン=サーンス(1835-1921)にピアノと作曲を師事しました。
フォーレは「舟歌」を13曲生み出しています。
「舟歌」とは、8分の6拍子や8分の12拍子のリズムに乗って、ゆったりとメロディが繰り返される作品。
まるで舟に揺られている様や、水面のきらめき・波の動きまでが体感できるような作品であるところが、「舟歌」と言うにふさわしい。
フォーレの「舟歌第4番」Op.44変イ長調は、1886年に作曲されました。
この曲は、「スーパーピアノレッスン」というNHKが放映していた番組の、第4期「フランス音楽の光彩」(2006年4月〜7月放送)で、フランスのピアニスト、ミシェル・ベロフを講師に迎えたシリーズでも取り上げられました。
ベロフ先生のレッスン模様が記憶に残っている方もいるでしょう。
ベロフ先生の「スーパーピアノレッスン」で取り上げられたことで、一気にピアノを愛する多くの人達に、身近な作品となったのではないでしょうか。
音価が変わった時は体内時計が変わりやすい?

とってもステキな舟歌。私はフォーレの舟歌の中でも、この第4番が大好きです。
いつか、この曲を誰か生徒が弾いてくれたら嬉しいな♪と思っていたころ、この舟歌第4番を弾いてくれた生徒ちゃんが、ようやく表れたのです!(嬉☆)
さて、舟歌と言えば8分の6拍子。
8分の6拍子=2拍子感覚で数えます(とらえます)よ。
2拍子でとらえるということは、1拍に16分音符が6個、8分音符なら3個入ることになります。
このような曲に限りませんが、音価が短い(速い)音符の後に出てくる、音価が長い(伸ばす)音符が現れる時は危険が。
つまり、短い音価の後の長い音価になった時、途端に「待てない(伸ばせない)」のか?
体内時計が狂って、テンポが上がりがちなんです。
自覚がないかもしれませんが、今までたくさんの生徒さんたちに教えてきて、この傾向にある人は非常に多い。
8分の6拍子は「2拍子感覚」でとらえますが、あなたが「テンポが変わってるよ!」と注意を受けた事があるなら、次のことに気をつけてみましょう。
- 8分音符=1として、「1.2.3.4.5.6.」と常に数えて
- または8分音符の速さにメトロノームを合わせて
練習してみること。これを強くオススメします!
多声は歌の行方に気をつけるのがコツ

問題は、画像の右手にありますよ。
上声(ソプラノ)は「らーそふぁみれ」と、歌ってきます。
ではその後、その歌はどのようになるでしょうか?
「らーそふぁみれ|ししらそふぁみ」?いや、そうではありません。
「らーそふぁみれ|しーーどーー」となりますよ。
画像の2小節目から、内声で「・しらそふぁみ|~」という「もう一人」の歌が始まっているでしょ。
それを忘れないでね。
多声フレーズは、それぞれの歌の行方に気をつけよう!
内声に歌がある時は、内声だけを取り出して練習するのがポイント!

このフレーズのメロディはどこにあるのでしょう?
メロディは、両手で弾く外側の音ではなく、内側(内声)にありますよ。
♪ミードシドラ|ミーーレーシ…♪
そのメロディは、右手でも左手でも取ります。
この曲ではなくても、代表的なのは、リストの「愛の夢」の冒頭のセクションにも、同じように内側にメロディがありますよ。
こんな時、「わかってる」つもりなんです。
でもね、「内声のメロディだけを取り出して弾いてごらん♪」とうながすと、意外に見落としている(勘違いしている)ことに気づくでしょう。
もし、勘違いしていなかったとしてもね、メロディだけを取り出さずに、いつも全てを一緒に弾いて練習しているとね、
- 「その歌の抑揚がどうあるべきか?」とか
- 「その歌はどこから始まって、どこに向かって行って、どこで終わるのか?」
ということの理解が薄く(甘く)なりがちなんです。
だからこそ、このような内側にメロディがあるフレーズでは、絶対に!そのメロディだけを取り出して練習するのが、上達の近道ですよ。
絶対的にオススメ!
大事な人の声を聴き続けよう!

低音から駆け上がってくる音の波も大事です。
しかし、ここで一番大事な事は、右手で弾く和音の高音、それまでの歌の終わりの音だ。
その音は、打鍵したら終わりではありませんよ。
いつまでもいつまでも、その響きを聴いてみましょう。
その響きの「残り香」=「残響」を、最後の最後まで味わってみましょう。
ねぇ、あなたが大事な人と別れる時のことを想像してみて。
その人の姿が見えなくなるまで、声が聴こえなくなるまで、目で耳で感覚でその人を追う・見守るように、ね。
もし、あなたがそういう事をしないなら、そんなドラマや映画のシーンを思い出してみてね。
伏線が張られていないか探ってみよう!

こんなフレーズ、あなたはどこに歌があると思いますか?
さぁ、考えてみましょう。じっくり楽譜を読んでみましょう。
ピアノを弾いて音を出さなくてもいいから、出てくる音を想像してみましょうね。
ではこの後、どうなるのか?見てみますよ。こうなります↓

こうなるんです♪それが何か?って感じ?
いやいや、そのままスルーしたらもったいないわ!いきますよ。
こちらは、一枚目の画像と共通点があります。
それを探せたらステキ!
画像の一枚目の方が、強く意識しなくても、その「歌」は表しやすいでしょう。
実は伏線を張っています。
その結果、二枚目の画像になる。ヒントは「左手」です♪って投げますよ。レッスンではね。
少し考えてもらいます。
でも、ここでは教えちゃいましょう。
もう一度画像を出しますよ。1枚目から。

左手(画像の下段)に注目してね。
16分音符の動きが4つ。全て16分音符が3つですね。
共通点は他にも。3音の16分音符の2〜3音目の音が「ミラ」というのが同じでしょ。
言い換えれば全ての1音目が変化しています。
その上!全ての1音目には、テヌート(ー)が付いていますよ。
その音をつなげると、
- ラ→ミ→ド→シ
という動きになっています。では、2枚目の画像をもう一度出してみましょう。

左手の和音、1つ目から4つ目までに共通音がありますね。「ミとラ」。それぞれの和音の最低音に動きがあります。
それが
- ラ→ミ→ド→シ(→ラ)
となっています。ほら!1枚目の画像のテヌート音と同じでしょ?
もう気づいたかな。
1枚目の画像では、「ラミラ」「ミミラ」などと16分音符で動いています。
しかし、2枚めの画像では、同じ音が和音になっていますよね。
つまり、響き(ハーモニー)は同じだということです。
こういうところに着目できるようになると、それぞれの「変化を味わって楽しんで弾く」ことが、できるようになりますよ。
謎解き?パズルをするように考えていく面白さを、あなたにも感じてもらえると嬉しいです♪
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