ピアノが弾きにくいなら指使いを考えよう!指使いの考え方教えます!

2021年2月1日

あなたはピアノで「歌うこと」と「奏法」は別のものだと考えていますか?

「ピアノの奏法」は「技術」だとすれば、「歌うこと」とは別かもしれません。

でもね、目の前の作品を弾くために必要な技術がなければ、実際に弾く事は出来ませんよね。
そしてピアノで「歌うこと」が出来なければ、どんなに技術があっても、メカニカルな演奏以上の何かを求めるのは難しくなります。

ピアノを弾く技術には、「指使い」も含まれます。
指使いが適当だったら、弾ける時もあれば弾けない時もあったり、バランスや出てくる音色のコントロールが難しくなります。

また、指使いは「今の弾きやすさ」より「今から次への弾きやすさ」を考えてみたいもの。
そしてそれは更に言うと「弾きやすいから」というところを超えて、「歌いやすい指使い」を考えられないかしら?

これは視点の問題です。ものは何でも見方次第。

さぁ、今日は「歌いやすい指使い」を考えてみませんか?そして、指使いの考え方を身に着けちゃいましょう!

指使いを気にかけてみよう

ドビュッシー「沈める寺」から
ドビュッシー「沈める寺」から

左手で弾く内声「ファミレドー」に注目してみましょう。

この画像は、私が使っているものですが、弾いて下さるのを聴いていて違和感があったのが、ココでした。

ん?どうしてだろう?と、もう一度弾いて頂くと、この「ファミレドー」の中で、一度「指かえ(指くぐり)」をされていたのです。

どうしてその人は指かえ(指くぐり)をしたのかと言うと、使っている楽譜にそのような指使い(運指)が書かれていたから。

「その指使いが架空付に書いてある」ということは、その校訂をされた方が「この指使いがいいんじゃない?」と思う理由があってオススメの意味で書き込んであるんですよね。

でもね、人の指は長さも強さも、それぞれの関節や筋肉の具合も違うでしょ。
だから、楽譜に指使いが書かれていると、その通りに弾きたくなる(もしくは「その通りに弾かねば!」と無意識に思ってしまう)かもしれません。

楽譜に書かれている指使いは、参考程度にしましょうね。
もちろん、まずは書かれている指使いを試すのはオススメします。
でも、書かれている指使いが絶対ではないということも覚えておきましょう。

指使いを決める基準は、「弾きやすさ」と「音楽的に弾ける」かどうかですよ。

もし、あなたが弾きにくいと感じなければ、その「ファミレドー」を「1234」の指で一息に弾いてはどうかしら?
と、その時にレッスンを受けてくださった方に提案してみました。

この「ファミレドー」の途中で指をかえると次に良いことがあるとします。
それがわかっていて、その効果を狙って弾くなら良いことですよ。
その理由がある、ということも十分考えられます。

だから、まずは考えてみる。そして、自分が出す音をよく聴いてみること。

  • 何か、違和感はないか?
  • 音楽的に奏でられているかどうか?

いろんな方法・基準・考え方があります。だから、まずは考えてみましょう。

教える側も押し付けではなく、提案して、一緒に模索する事を心がけたいですね。

ただし、音階・半音階のような、基本的な指使いは話が別。
最初に基本を覚えないと、一生、あらゆる曲で苦しみますよ。

弾き方のクセと弾きやすさを考える

ショパン「バラード第1番」から
ショパン「バラード第1番」から

右手の段は、ヘ音記号表示。

このフレーズは、右手は4小節同じ事が繰り返されます。
人によって違うかもしれませんが、ここには「難点」の引き金を引く要素が二つも。
一つは「ヘミオラだ」と言う事。

ヘミオラとは、

3拍子の曲で、2小節をまとめてそれを3つの拍に分け、大きな3拍子のようにすることをいう。 
もとの意味は「1足す2分の1」。 終止カデンツにおいて使われることが多い。
     by Wikipedia

このフレーズの場合、4分の6拍子ですが右手は1小節を3拍扱いととらえる事も出来ますが、左手は2拍の扱いになっていますよね。

もう一つの難点は、画像の2小節目からですが、左手が右手の上を通り、右手の左右の音を弾くと言う事(窮屈で弾きにくい?)。

さて、今日は大人の生徒さんと、ここの指使いをいろいろ考えてみました。
最終的にどうするかは、彼女の宿題。

これは手の形や指の動きの癖、弾き方の癖によって、随分と「弾きやすい」かどうかは変わります。
「弾きやすさ」で私主導で考えると、それは見た目「とっても弾きやすそう」だそうですが、彼女にとっては弾きやすくはないの。

彼女が弾きにくいとも弾きやすいとも、どちらとも感じられなかったその弾き方は、見た目とても不自然でした。
これは彼女と私では、指の動き方の癖が違うからでしょう。

同じ指使いで、打鍵の角度や呼吸やスピードなど、彼女と私が同じ弾き方をしても、全く同じになるとは言えないのですね。
指使いも角度も意識の置き所も、それからグルーピングの仕方も、幾つも一緒に考えました。

指使いを考える時のポイントは、いろいろあります。
作曲家の癖もありますが、自分の癖も知る事も大事。

そして「指使い」を考える時、指を使う順番(指番号)を考える事だけにとらわれない。
いろんな角度から、検証してましょう。

指使いの回転での意識の置き所を変えてみよう

ショパン「バラード第1番」から
ショパン「バラード第1番」から

こちらは「細かい動き」が回転しながら上がっていく右手と、ちょっとした跳躍が繰り返される左手。

左手の動きに、気持ちも目も釘付けになってしまいます。
動きを感覚(間隔)で覚えられれば良いのですが...

もしあなたがここで左手に釘付けになっていると、何か困ることがあるのかな?と聞いてみると、

あるんです。右手が置き去りに...お指の体操になってしまいます。
右手の音が、1音1音にならないよう気を使って、指使いにも気をつけて練習していても、なぜか弾くコトに必死になってしまいます。なんだか、ぎこちなくて。

全ての音を、鍵盤の底までしっかり弾く必要はありません。
鍵盤の底まで打鍵しなくても、音は出るからね。

さて。この曲は4分の6拍子なので、4分音符三つで1拍の2拍子ととらえます。

左手は、1拍で一つの動き(回転)で、1つ目の和音の打鍵で落とし左方向へ回転させながら、低音のオクターブを弾く。
弾いたら終わりにしないで、そのまま上がって中音域へ戻ってくる回転で、次を弾いていきましょう。

右手は、指使いにとらわれすぎないように。
(指使いをいい加減にしていい、という話ではなく、指使いだけに意識を置きすぎないでということ)

右手のグルーピングを、どうとらえているの?と聞くと、生徒さんは
→ 指くぐりをする「1」を起点にしていました。

 ↓

指使い・指くぐりは大事ですが、それとグルーピングはまた別のお話。
「1」を起点にすると、グループがとても不規則な形になるので、余計に音が多く凸凹する印象になるのじゃないかしら?

右手はね、半音も混ざる、とても狭い音域での動きが繰り返されます。
だから、「横滑り」もしくは「手の内の中」で弾くという感覚を持ってみましょうか。

「1」の指を起点にしないで、「拍」に合わせてみたらどうかしら?
「音型」も、「拍」に合ってるでしょ?

右手の1拍(で8分音符6音)の音型を、体の内側から外側への一つの「回転」で弾いてみるのは、どうかしら?

と生徒さんにいろいろ提案を投げかけます。
生徒さんは次々に試しますよ。すると、とっても弾きやすくなったよう。

回転の大きさは違っても、「拍」単位でとらえると、右手と左手で対象の動きになる=体の内側から外側への動きになるので、
弾きやすくなります。

この動きの中でクレッシェンドするなら、拍ごと(回転ごと)に腕の重さを少しずつ乗せていけばいいですよ。
加えて呼吸もね。少しずつ息を吸っていくことで音が豊かになっていきます。

鍵盤に、ピアノに、体ごと向かって行かなくてもいいんだ、ということを覚えておいてね。

どうやっても、なんかギコチナイ・弾きにくいと感じるなら、ぜひとも指使いや回転の、意識の置き所を変えてみるコトに挑戦してみて下さいね。

指使いの指示があっても、自分で考えてみるのがポイント

ドビュッシー「喜びの島」から
ドビュッシー「喜びの島」から

画像の楽譜には、初めから指使いが書き込まれています。
でもね、この通りでなければいけないと言う事はありません、と今までもお話してきました。

でもね、楽譜に書かれているなら、ちょっと見てみましょうよ。
一度は、その指使いで弾いてみましょう。
弾いてみた上で、その指使いではどうしても私にはしっくりこない・うまく(綺麗に)弾けないなら。

それから、自分であなたに合う、もっと綺麗に聴こえるように弾ける指使いを考えて、どんどん試してみたらいい

忘れないで欲しいこと。それは「行き当たりばったりで、適当に弾かないで」ね。
忘れないで。
綺麗な音で、綺麗な流れで弾けているか?

いつも、それを考えてね。

危険の少ない指使いを考えてみよう

ジョプリン「エンターテイナー」から
ジョプリン「エンターテイナー」から

左手のはじめの和音「ドミソ」を、「5 3 1」の指で弾いた生徒さん。

その後の、降りていく「そ→ど」を、「5→5」の指でポンポンと弾んで降りて行きました。
まるでトランポリンで寝っ転がるようにはずんでね。

あれ〜、それ、ちょっと危険じゃない?テキトー過ぎる気が(笑)。

「5→5→5」と同じ指を使って「ど→そ→ど」を降りていくのは、このわずか1小節の中で、2回もポジション移動する事になります。
そりゃ、運動量が多くなっちゃいますよね。
なんか、もったいない気がするな〜。

もうちょっと指使い、考えてみない?と生徒さんに言ってみたら、彼女は「そ→ど」の「そ」に「1」の指を持って行きましたよ。
おお!そうしたら、その後は移動しなくても「ど」を「5」で弾けますよね。
ほんのちょっとの工夫です。

指使いを少し変えてみたら、もっと弾きやすくなる!

指くぐりの指使い・とらえ方を考えてみよう

ドビュッシー「ピアノのために」”トッカータ”から
ドビュッシー「ピアノのために」”トッカータ”から

画像の右手の赤丸に注目しましょう。

「そ#しど#れ#」の「そ#」を「2」の指で弾き、次の「し」は白鍵なので「1」の指をくぐらせて上がって行きます。

ではその次の「ど#」には、「2」の指を持って行けば良いかしら?
それとも「3」の方が良いだろうか?

直前の「そ#」を「2」の指で弾いているので、「そ#しど#」を「2→1→2」の指にすると、「2」の指の動きがせわしなくなりそう。

これは人の手によって(手の動きや開きの具合によって)違うので、「私はどうか?」と考えてみましょうね。

「そ#」から「し」への音程(距離)と、
「し」から「ど#」への音程(距離)の違いも、考えてみましょう。

ある人の場合は、ここで「2」の指を使っていたけれど、「ど#」を外す確率が、とても高かったんです。
どうして外す(外れる)のかな?と見ていたら、「2」の指が、「ど#」の鍵盤を超えて、行き過ぎてしまう事が多かったの。

これは、「振り子」や「遠心力」の法則で、「そ#」から「し」への距離よりも、「2」の指はもっと遠くへ行こうとしてしまうの。
この事を理解すれば、コントロールすることも可能になるかもしれませんよね。
これも意識次第・人次第です。

じゃあ「ど#」を「3」の指で弾いたらどうだろう?と試してみると、外さず弾ける確率は上がりましたよ。

でもね、これで完全じゃないのよね。「3」の指で取ると、次に問題が訪れるんです。

「ど#」が「3」なら続く「れ#」は「4」、そして次の「そ#」は「5」だ。
「れ#」が「4」になると、「そ#」が遠いの。

脇を開いて、あなたの上腕が自由になっていれば、コントロール出来るかもしれません。
でも、無意識では難しいでしょう。

いずれにしても、無意識では厳しいフレーズです。
あなたがどこに意識を置けばコントロールできるのか?を知る事が出来ればグッドです。

「そ#しど#」の「ど#」を「2」の指で取れれば、後の問題は回避できるんですけどね。
じゃあ、どうしたら良いだろう?

「2」の指が遠心力で「ど#」を通り過ぎてしまうのを、弾くたび指先に指令を与えるように、見張るようにして弾くのか?
いやいや、グルーピング(とらえ方)を変えてみたらどう?

「そしどれ」「そしどれ」(#表示を省きます)を、「そ」「しどれそ」「しどれ...」ととらえては?
「そし」「どれそし」「どれ...」ととらえたらどう?

どうとらえると、「わたし」は弾きやすくなるかしら?と考える。
さぁ。やってみよう。トライ!トライ!

やれる事は、たくさんありますよ!

後につなげやすい指使いを考えよう!

ジョプリン「エンターテイナー」から
ジョプリン「エンターテイナー」から

画像は、左手ヘ音記号でヘ長調。「シ」に♭が付きます。

楽譜には、赤丸の最初の音に「3」と、指番号が書かれていますね。

その「シ♭」を、「3」の指で弾けば、その後の「しらしどれ」まで、ポジションを変えないで一息に弾けるからでしょう。

でもね、その前の音が1オクターブ下の「シ♭」なので、「3」と書かれていても、指は素直に「3」で弾こうとしません。
きっとそれは難しいのでしょう。

生徒さんは、「2」の指で弾きましたよ。「3」で取ったら一息で弾けるよと提案してみても、「2」の指が出てきます。

そうね、「2」でも、良いかもね。ただね、「2」で取ると動きが一つ多くなります。
=「しらしどれ」を「23212」で弾く。「しらしどれ」の「れ」を「2」で弾くことになるので、1回指マタギをしないといけません。

それでも、大きく動くわけではないのでね、手を落とさずに向こう側へ持っていくようにしたら、ラクに弾けます。
それを理解していれば、いいよね。

「しらしど」まで弾いて、「あれ?」ってならないように。

最後まで一息で歌えるように、弾けるように、言い聞かせてみましょうか。

後に繋げやすい指使いもあるけれど、やっぱり人によって違います。

気をつければ、すんなり出来ることもあれば、
気をつけても、その子人には難しいことも、あるんですよね。

だから、そんな時はレッスンで一緒に考えますよ。

出来ないから、難しいから、と言うだけであきらめないで、考えようね。

コープランド「ネコとネズミ」から
コープランド「ネコとネズミ」から

画像の右手の和音をどんな指で取るかについてです。
下から「ラシレファ#」という音で出来ていますね。
これ、パッと音を見たら「1235」もしくは「1234」の指で取るのではないでしょうか?

しかし楽譜には、下から2音目の「シ」は「3」で取りなさいよ、という指示があります。
もちろん、指使いは必ずしも書かれているその通りにしなければならない、というコトはありません。
あくまで「オススメ」。
この指使いが、弾きやすいんじゃない?という、指針です。

基本の指使いはあります。
ただし、人の手・指の形や大きさ長さ広がり具合などは様々ですから、あくまで参考に。

ではこの画像の場合は、どうして「シ」を「3」で取ったらいいのかわかりますか?
(こういうコトを考えて自分で答えを見つけられるよう、レッスンでは導いています。)

どうして「シ」を「3」の指で取ったらいいのか、言わないでおこうかと思いましたが(笑)タイトルの通り、次への弾きやすさを考えて「3」になっています。

和音ではない16分音符の動きに注目してみましょう。
「3」の指で弾きなさいよという指示の「シ」の次は「シの♭」で続いて「ラ」です。

つまり、白鍵→黒鍵→白鍵という凸凹の動きをしますから、黒鍵を弾きにくい「1」の指で取らないように、出だしの「シ(白鍵)」を「3」で取るように指示しているのですね。

このように、今弾くその音の指使いが弾きにくい場合、今のその音だけに注目しないで、その次への動きを見てみましょう。

今日のピアノ動画*ドビュッシー「沈める寺」

ティブレイクは、ドビュッシー作曲「前奏曲集第1巻」から”沈める寺”をお送りします。

ピアノはスタインウェイでした。

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