音楽的に弾くための指づかいを考えるポイント
ピアノを弾く上で、あなたが「難しい」と感じる事は、何ですか?
譜読みをすること?
それとも指が動くようになること?
どう表現したらいいか?かしら。それとも暗譜?
そうね、どれも大事でどれも大変であるという事に違いはありません。
でも、音楽を創る上でも、欲しい音色を出す上でも「指づかい」をどうするか?は、「ピアノを弾く上での大事ポイント」から外す事はできないんです。
だけど、ちょっぴり面倒だなぁって思っちゃう?
今日はその「指づかい」について考えていきますよ。
Contents
指づかいと響きを考えてみよう!

赤丸の和音を見てみましょう。
この楽譜には、こんなふうに指づかいが。
(他の楽譜には、書かれていません。
初版にも、指づかいは書かれていません。)
この指づかいが「正しい」とか、このように書いてあるから、この指づかいで弾くべき、
とか、そういうコトではありません。
右手も左手も、どちらも「ド#ミ#ソ#」という和音を弾きますよ。
へぇ、「1 3 5」の指じゃ、ないんだ?
なんか、面白そう。
どうして、和音の中の音を「1」でとるんだろう?
って疑問に思ったあなたはステキですよ♬
もしかしたら誤植かもしれないけど、誤植じゃないかもしれないでしょ?
だったら、「なぜその指づかいなの?」と疑問に思うことこそ自然です。
その指づかいで弾くと、何かが違うのかなぁ?
その指づかいを実際に採用するかどうかはさておき、試してみましょう。
ポイントは「1」(親指)ですよ。
親指は、ちょっと特別だ。
さて考えるついでに。
この赤丸の和音の前の和音を見て下さい。
音の並べ方は違うけれど、実は、赤丸の和音と実際に鳴る音は全部同じです。
じゃあなぜ、置き換えたんだろう?
(これは他の版も、この並びです。)
なぜ?
って突っ込むと、面白くなってくる!
何が違うんだろう?
響きがどう変わるんだろう?
あなた自身の感じ方に、違いはあるのだろうか?
さぁ、ワクワクの時間ですよ♪
指くぐりの指づかいと捉え方を考える

こちらも画像の赤丸の動きを見てみましょう。
「ソシドレ」の「ソ#」が「2」の指で、次の「シ」は「1」の指をくぐらせて上がって行きます。
その次の「ド#」には、「2」の指を持って行けば良いだろうか?
それとも「3」の方が良いかしら?
直前の音を「2」で弾いているので、その動きはせわしなくなる。
これは人の手によって(手の動きや開きの具合によって)違うので、「自分はどうか?」と考えてみましょう。
「ソ#」から「シ」への音程(距離)と、
「シ」から「ド#」への音程(距離)の違いもありますよ。
ある人の場合は、ここで「2」の指を使っていたけれど、「ド#」を外す確率が、とても高かった。
どうして外す(外れる)のかな?と見ていたら、「2」の指が「ド#」の鍵盤を超えて、行き過ぎてしまう事が。
これは、「振り子」や「遠心力」の法則。
「ソ#」から「シ」への距離より、もっと遠くへ行こうとしてしまうのだ、と言う事を理解すれば、コントロール出来る事かもしれません。
じゃあ「ド#」を「3」の指で弾いたらどうだろう?
とやってみると、外さず弾ける確率は上がりましたよ。
ただし、これで完全ではないの。
「3」で取ると、次に問題が訪れるから。
「ド#」が「3」なら続く「レ#」は「4」、
そして次のソ#」は「5」で弾きます。
「レ#」が「4」の指打鍵になると、「ソ#」が遠い。
脇を開いて、上腕が自由であれば、コントロール出来るかもしれません。
それでも、無意識ではなかなか。
何れにしても、無意識では厳しいフレーズなら、どこに意識を置けばコントロールできるのか?
を知る事が出来れば、良いよね。
「ソ#シド#」の「ド#」を「2」の指で取れれば、後の問題は回避できます。
じゃあ、どうしたら良いだろう?
遠心力で「2」の指が「ド#」を通り過ぎてしまうのを、弾くたび、指先に指令を与えるように、見張るようにして弾くのか?
それとも、グルーピング(捉え方)を変えて見たらどうだろう?
「ソシドレソシドレ」(#を省略)を、
- 「ソ」「シドレソ」「シドレ…」と捉えては?
- 「ソシ」「ドレソシ」「ドレ…」と捉えては??
どう捉えると、「わたし」は弾きやすいのだろう?
考える。
気付く。
知る。
理解する。
やってみる。トライ!トライ!
やれる事は、たくさんあるよ!
指づかいは次に向けて考えるのがポイント

生徒さんから質問が飛んできました。
Q・画像の3小節目の左手の和音、「ファソシレ」の指使いは、どれがオススメですか?
A・下から「5421」が良いかと。
Q・でも、その前の「ソシレ」を「531」で取ってるので、瞬時にパパッと変えるんですね?
A・二つ、方法はあるけれど…(以下後述)
画像の1小節目が「ソドレ」なので、これは「521」で取りますね。
すると、2小節目「ソシレ」を「531」で取るのは、自然です。
なぜなら「ソ」と「レ」という共通音があるから。
共通する音は同じ指で弾くのは、難しくはないでしょう。
画像3小節目の「ファソシレ」を「5421」で取るなら、2小節目の「ソシレ」を「421」で取る、というのもアリです。
方法は二つある、と書いたのは、こうです。
- 画像2小節目「ソシレ」は「531」で取る。
4音目の付点4分音符を弾いている時に、次の「ファソシレ」を弾く「5421」の指を、それらの鍵盤に寄せていく(前もっての準備をしておく)。
→すると、小節が変わる時に、間を空けずにパッと移動できます。 - 画像2小節目の「ソシレ」4音弾く間に、そのどこかで指使いを「531」から「421」に変えてしまう。
同音連打で「321 321」などと指を変えて弾くような、そんな感覚です。
方法1と「前もって準備をする」という点では同じです。
指づかいを考える時・迷った時、考える必要があるのは、
「その次に弾く音(音型)は、どんな指づかいで弾くのが自然だろうか?」
ということ。
それに合わせて、指づかいはどんどん修正していって構わないんです。
ご参考までにね。
指づかいだけに必死にならない

画像のようなフレーズに出会ったら、あなたは何を気にするかしら?
何が気になるでしょうか?
あなたの意識はどこへ向かうかしら?
多くの場合ですが、左手の音階フレーズを「ちゃんと弾こう」とする。
つまり、指づかいに必死になってしまいます。
うん、気持ちはよく分かるの。
だって、指づかいがおかしくなると、こんな音階フレーズは、弾ききれなくなっちゃうものね。
だけど、指づかいってのは、覚えてしまえばいいわけで。
(あら、バッサリと。身も蓋もない?)
じゃあね、右手の和音はどうかしら?
もしかしたら、左手の音階に「合わせること」で、必死になっていない?
右手の和音の動きだって、それぞれが「歌」ですよ。
軽い「相槌」のような、「鼻歌」のような。
でも、ちゃんとそこにも音楽がある、歌。
ただ拍を刻むためだけに、そこにあるわけじゃ、ないんです。
もう一ついいかしら?
みんな同じような動きをしているように見えますよね?
1小節ずつ、右手も左手も、同じリズムでしょ?
同じ動きよね?
わかるかしら?
二度ずつ、降りて行ってるのよね。
と言うことは?
見える景色が、1段階ずつ、下がる/降りていく感じがしないかしら?
そう感じられたら、同じ動きであっても、「ニュアンスやダイナミクス」は、微妙に変わるよね?
気持ちが、変わるんじゃない?
そう、楽譜はこうやって読みとっていくんですよ。
木(細部)ばかり見ていたら、そこには森(全体像)がある事に、気付けないでしょ。
同じように見えるかもしれないけれど、微妙な違い・変化はないか?
そこが気持ちの変わりどころ・表現の変えどころですよ。
今日のピアノ動画*ドビュッシー「トッカータ」
ティブレイクは、ドビュッシー作曲「ピアノのために」から第3曲”トッカータ”をお送りします。
私はバッハとシューマンとドビュッシーとラヴェル作品が好きで、よく弾いてきました。
類は友を呼ぶのか、ここ数年レッスンにいらしてくださる方々は、これらの作品を持ってきてくださることが多くて嬉しいです。
指づかいまとめ
- 指づかいと響きの関係に注目してみよう
- 指くぐりの指づかいが弾きにくかったら、捉え方を見直してみよう
- 指づかいは、次の音の弾きやすさを考えてみよう
- 指づかいだけに必死にならない。そこで大事なことを見失わないようにしよう
ピアノを弾く上で、指づかい決めは大事です。それは確かで、弾くたびに違う指づかいをしていては、出てくる音も変わってしまいますよ。
でもね、指づかいだけに縛られてしまうのも、本末転倒。本来の音楽を見失わないように、本来の音楽をより活かすための指づかいを考えていきましょうね。
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