ギロック「魔法の木」を通してスタッカートの奏法について考えてみよう
スタッカートって「短く切る」とか「はねる」とか習いましたか?
音を切り分ける、とも言います。それはスタッカートの「意味」。
じゃあ実際はどうなの?どう弾くの?という事を考えてみましょう。
そもそもスタッカートがついている音も、8分音符だったり4分音符だったり、音価は様々。その上、他のライン(声部)の動きはどうなっているのか?他のラインもスタッカートなのか、そうじゃないのか、いろいろですよね。
だから、どんな状態になっているのか?どんな状況なのか?を想像して考えていきましょう。
あなたの音楽表現力が、さらに上がりますよ。
スタッカートとスラーは逆の動きだよね

子供たちに大人気の、ギロック作曲の「魔法の木」。弾きたがる子は多いのだけど、ピアノ初心者も上級者でも、チビッコちゃんでも大人でも、目一杯気をつけないと残念賞になりやすい「スタッカートとスラー、同時弾き」ですよ。
片手でスタッカート、もう一方の手はスラー(レガート)。これが大変です。
レガートを意識すると、スタッカートが重くなる。
スタッカートを意識すると、レガートでなくなる。
右手スタッカートの和音はね、「お風呂、丁度いいかな?」って、お湯に手を入れたら思いのほか熱くて、
「あちっ!あちっ!あちっ!あちっ!」という感じで。
まず、鍵盤に指をつけておきましょう。その状態から、まるで逃げるように。それがここのスタッカート。
左手レガートは、指づかいに気をつけるのはもちろんのこと。
手を広げて、きちんと仲良しさんでつなげていきましょう。
台風のように、風がピューっと木々を揺さぶるように。
どんなシーン?って、いっぱい想像してね。
どんなスタッカートなのか、想像してみよう
もう一度、画像を出しますね。

タイトルがあるから、風景を想像しやすいよね。
小2ちゃんが、「魔法の木」と言って、一体どんな風景を想像するのかな?なんて思いながらレッスン。
最初は、左手の流れるメロディの動きにつられて、右手の和音スタッカートがスタッカートにならず。
左手と動きが逆になるけれど、もうちょっと軽く上げてみてご覧?
(こういうの、難しいよね・・・と思いつつ)
さらっと出来ちゃったSちゃん。ステキ☆
すっごい良い感じになったよ!動きが出てきたもの。
ほら、「魔法の木」だものね。木が、枝が、動いているんだよね。
木や枝は、どうやって動いてるんだろうね?
風にあおられているのかな~?
木が風を起こすように動いているのかなぁ?
「うん、魔法の木だもんね♡」って、どんな魔法の木がSちゃんの頭の中で見えてたのか、わからないけれど、ニコニコでお返事がかわいかったのを思い出します。
「どんなスタッカートなの?」って、想像してみるだけで、全然タッチが変わるよ。それが魔法そのものだよね。
子供達の想像力・創造力を囲ってしまわないように、うんと広げてあげたいですね。
指が届く音程には気をつけよう

さぁ、ここからは右手が二声になっていますよ。
ソプラノの「・れードシラソ|ラー~~そ」でスラーが終わっていますよね。スタッカートも付いています。そこで息を吸ってみましょう。もちろん、次の音はすぐに入るから、ゆっくり吸うのではなく素早くね。
吸い直して次の音打鍵に入るんだよ。
だけど、そこね、すごーく気をつけないといけないの。
だってね、指は届いちゃうんだよね。
だから、ここできちんと呼吸しないと、レガートになってしまいます。音と音がつながってしまうのね。
- アーティキュレーションをきちんと理解していれば…
- 呼吸がしっかりできれいれば…
出来る事です。
だからね、指が届く音程の動きでスラーが切れたり、スタッカートが付いていたり、そこに休符が入るところは、注意が必要。安易にとらえないでね。音の動きだけを見ないで、アーティキュレーションがどうなっているのかを、きちんと理解しましょう。
アーティキュレーションは、「頭でわかっている」つもりでいる事が多いんです。
呼吸も「している」つもりでしょ。
これが、ピアノの怖いところです。
実際にあなたの喉を使わなくても、音は出てしまうから。
だから、指が届く音程には、うんと気を付けろ!ですよ。
まとめ
- スタッカートとスラーは逆の動きだということを理解しておこう
- そのスタッカートは一体どんなものなのか、想像してみよう
- 指が届く音程の動きでは、無意識に打鍵しやすいのでアーティキュレーションを理解しよう
アーティキュレーションをどう理解して演奏に反映させるか?で、その演奏が劇的に躍動感いっぱいになったり停滞感を持ったりします。スタッカートも同じ事。そのスタッカートはどんな状況なのか?想像してみましょう。
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