ピアノ譜読みはグルーピングとレイヤーがポイント!バッハ「平均律」で解説

2021年5月14日

バッハは他の作曲家の作品を弾く「基礎」となる、なんて言われることもあるようです。

そうね。私も大人になってからベートーヴェンやシューマンの作品と向き合っていた時に、「あ、もう一度ちゃんとバッハと向き合わないといけない」と気づきました。バッハの重要性に気づいたというのでしょうかね。そもそもバッハ作品は好きでしたけど、それまでは多分、なんとなく弾いていて(課題として与えられてきたから、程度に)、それは今思うとずいぶんバッハ様に失礼だった?かもしれませんね。

ポリフォニー音楽をやる上ではバッハの作品と向き合う事は欠かせません。でもね、ポリフォニーに限らず、楽譜をどう読み解くか?演奏に反映させる表現をどうするか?のヒントは、バッハの楽譜にいっぱい詰まっています!まるで宝箱のよう。

譜読みをどうしたらいいのか?譜読みのポイントを理解しておきたかったら、ぜひ、バッハの楽譜と向き合ってみましょう。

バッハ「平均律第1巻第4番」プレリュードから

さて今日は、演奏に役立つ効果的な譜読みの方法を、グルーピングとレイヤーとに焦点をあてて、バッハ「平均律第1巻第4番」プレリュードのフレーズを例にお話していきます!

そもそも「譜読み」とは?

クラシックでピアノを弾く上で、音の出し方とか体の使い方などの技術面を横に置くと、最大の問題は「譜読み」、つまり楽譜を読むことにあるでしょう。

楽譜を読むと言っても、それがそんなに簡単ではないということは、譜読みが不得手ではない人でも感じるのではないでしょうか。

なぜなら、楽譜を読むということは、単に音の動きを読んでいくだけではないから。

音の動きを曲の最初から最後まで読んで、両手で弾けるようになることを「譜読みをした」というのではありません。

譜読みはもっと広範囲なものです。音の動きだけではなく、楽譜に書かれている全ての情報を読み取ること。

例えば強弱の指示やアーティキュレーション(スラーやスタッカートなどの付き方)を正しく読むことも含みます。意外とアバウトになりやすいのが、音の長さ・休符の存在でしょうか。

ペダルの指示がどのようにされているか、指づかいの指示があるかどうか?を読み取ることももちろん。ただし、ペダルや指づかいの指示は、それが作曲家自身によるものなのか、校訂者によるものなのかを知っておくことも大事です。

譜読みのポイント・ツボを知っておこう

譜読みとは楽譜に書かれていることを読み取ること、作曲家の思いを汲み取ることとも言えます。

そんな大事な譜読みをする時のポイント・ツボとも言えることをお話しますよ。

それはね、楽譜に書かれていることを正しく読み取ったら、「なぜ?」と疑問に思うこと。

  • どうしてこの作曲家は、次の音にこの音を選んだんだろう?
  • どうしてこの音は突然ピアノ(p)になったんだろう?
  • どうしてこの音からスラーが付いているんだろう?
  • なぜここに休符があるんだろう?

などなど。逆転の発想もとても良いので、「どうして」を「もしこれがこうだったらどうかしら?」を考えると、あなたの中でひらめく(理解・解決できる)のが早くなるかもしれません。

では、表題の通り、バッハ作曲「平均律」のフレーズを例に、譜読みのコツ「グルーピング」と「レイヤー」について、解説していきますよ!

今ここの音は、どこへ向かって行くのか?を知る

バッハ「平均律第1巻第4番」プレリュードから

バッハ作曲の「平均律第1巻第4番」のプレリュード冒頭です。

右手を見ていきますよ。「そふぁみれみど」と8分音符の動きで始まりますね。この「そふぁみれみど」という音の動きは、いったいどこへ向かっていくのか?を、まずは考えてみましょうね。

「音がどこへ向かっていくか?」のポイントは「高い音」です。

そのフレーズの中で「一番高い音」を探してみましょう。その高い音へ向かっていることが多いから。そのフレーズの中で一番高い音の音価が、それまでの動きよりも長いなら、そこですよ。

上の画像なら「そふぁみれみど」という8分音符で下降してきた動きの次の、付点4分音符での1オクターブ上の「ド」が、向かいどころです。

どこに向かっていくのか?の見方

「今この音」がどこに向かっていくのか?をどう見るかのポイントをまとめますよ。

  • フレーズの中で高い音を見る
  • フレーズの中で高い音が長く伸ばす音ならポイント高し
  • 音の方向が逆転した時は注意
  • 音程が突然離れた時は、その距離感に疑問を持つ

もう一度画像を出して説明しますよ。

バッハ「平均律第1巻第4番」プレリュードから

右手の「そふぁみれみど」という8分音符の動きだけを見ても、「そふぁみれ」と下降してきたのに、どうして「そふぁみれど」と素直に下降し続けないのかな?どうして「そふぁみれ」からもう一度「み」に上がって「みど」という動きになったんだろう?

と、疑問を持ってみるのが大事です。音の動きが素直でなくなった時は「疑問を持つポイント」ですよ。

例えば、あなたはお友達3人と一緒に歩いています。でも歩道が狭いので、2人ずつ並んで前後合わせて4人で歩いてるの。前列にいるあなたは隣の友達に話しかけています。だけど、ちょっと後ろの友達にも話を聞いてほしくて「ね!」と振り向いて話しかける。それが「そふぁみれ」から「みど」への動きのようなもの。

でも、少し大きくとらえて見ると「そふぁみれ」も、あなたは隣の友達の顔を見て話しているのだけど、話しかける意識としては、後ろにいる友達にも聞こえるように話しているような感じ。その念押し(同意が欲しい)が、「みど」。だから「そふぁみれみど」で大きめの1つのラインと捉えられますよ。

ところが!せっかく「そふぁみれみど」と降りてきたのに、どうして急に8度も上の「ど」へ上がってしまったのでしょうか?

じゃあ、こう考えてみて。想像してね。

きっとあなたは違うかもしれないけれど、もしもあなたが不精な人だとしたら?と想像してみて。ちなみに私はとても不精なので、いつも、こんな(次に書くような)感じです。

「そふぁみれみど」は、近くにある物をなんとか動きを少なくして取ろうとしているところ。でもね、取りたいものにちょっと触れるだけで、それが逆にもっと自分から遠くへ行ってしまう。クレーンゲームみたい?

でも、どうしてもソレを取りたい私。立ち上がって取りに行けばいいのだけど、座ったまま体をうーん!と伸ばして伸ばして!届いた!取れた!...みたいな感じが、8度上の「ど」へのエネルギー量、エネルギーの感覚。

8度=1オクターブという音の開きはね、

ド→ド#→レ→レ#→ミ→ファ→ファ#→ソ→ソ#→ラ→ラ#→シ→ド

これだけの音を経ているわけです。ドから8度上のドへと、楽譜を見るとポン!と上がっているように見えちゃうけれど、これはそんなに簡単なことじゃないの。

だってね、もしもあなたが、あなたの喉を使って実際に声を出してこの8度の開きがある2つの「ド」を歌うとしたらどうかしら?そんなに簡単じゃないって、痛感するでしょう。

大きなフレーズで読むポイント

さて、バッハ「平均律第1巻第4番」プレリュードは、

バッハ「平均律第1巻第4番」プレリュードから

このように始まりました。1小節目の中での「向かいどころはどこか?」を、どう読んで理解するか?について、今までお話してきましたね。

でもね、曲って1小節で終わりじゃないのでね、その先も見ていきましょう。続く第3小節目は以下のようになります。

バッハ「平均律第1巻第4番」プレリュードから

あら!なんだか1小節目によく似ていますよね。

もうわかりますよね。この第3小節目の中での、音の向かい先は画像にも書き入れた通り、付点4分音符の「ソ」。これを理解したあなたは素晴らしい!一歩前進ですよ。

さ、もう一つ何か1小節目と違うことに気づいたかしら?

1小節目と3小節目の違いは、音程ですよ。

1小節目は「そふぁみれみど」と始まりましたが、3小節目は「れどしらしそ」ときました。1小節目より3小節目の方が音が高いですよね。5度上で同じ動きになっています。

ということは?

あなたが見ている景色が違うということ。

例えば「そふぁみれみど」ではあなたは座って外の景色を見ているとします。すると「れどしらしそ」では、あなたは立ち上がって、ちょっと背伸びをして外の、少し遠くの景色を見るような、そんな違いを感じられるかしら?

座った状態で見える景色と、立ち上がって見える景色では違いがあるということ。その感覚の違いを、音色や表現に表すことができます。それが、あなたの音楽を創るということ。

3段階レイヤーの動きを読む

バッハ「平均律第1巻第4番」プレリュードから

さぁ、グルーピングの次は「レイヤー」です。

例えば上の画像。こちらでも1小節ごとに3回、同じリズムで同じ音の動きが繰り返されているのがわかりますよね。

でも、違うことが一つあります。それはさっきもお話した「音の高さ」。

1小節ごとに、二度ずつ下がっていますよね。

これをね「あぁ、二度ずつ下がってるんだ」で終わりにしないこと。この「二度ずつ下がる」(フレーズによっては上がる)という変化を「味わう」のが、あなたの音楽を創る上で大事なの。

  • 画像の①では、あなたは4階にいて外の景色を見ている
  • 画像の②では、あなたは3階に降りてきて外を見ている
  • 画像の③では、あなたは2階に降りてきて外を見る

そんなことを想像して!あなたがいる高さ(階数)が違うと思えば、見えてくるものは変わってきますよね。

例えば、4階にいたら見える富士山が、3階に降りたらビルに阻まれて見えなくなっちゃった。2階に降りたらもう、景色どころじゃなくて、カーテンを閉めたくなるような光景だったり。

4階から見る景色は清々しい気持ちになるのに、降りてくると、どんどん清々しさが薄れていく。

そう感じてみると、多分あなたは上の画像での3回繰り返されるよく似たフレーズの弾き方を、音色を、同じにはしないんじゃないかしら?ちょっと変えようって思うのではないかしら?

これがレイヤーを読む・感じることです。レイヤーを読んで感じることができれば、あなたの音楽力はグン!と上がりますよ。

3回同じことが繰り返されるけれど、音の高さが変わるというレイヤーは、どんな曲にもよく出てきますので、覚えておくと応用がききます!

今日のピアノ動画*バッハ「平均律第1巻第4番」

ティブレイクは、バッハ様の「平均律クラヴィーア曲集第1巻第4番」BWV849のプレリュードとフーガをお送りします。

もっと自由でもいいかな。今の私なら、そう、自分に言いながら弾きそうな気がします。

グルーピングとレイヤーを見るピアノ譜読みのポイント!まとめ

  • 音の動きが同じところでグルーピングする
  • 音の動きが逆転したら、なぜ?と考える
  • 突然音程が開いた時は、その距離とエネルギーを感じよう
  • 同じ音の動きが繰り返される時は、その高さの違いを感じてみよう

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