ショパン「英雄ポロネーズ」練習のポイント7つ教えます!
ピアノを愛する人達にとって、決して外すことが出来ない作曲家の筆頭にあがるのが、ショパンではないでしょうか?
もちろん、他の作曲家だって素晴らしいし、ステキな作品をたくさん生み出しましたよね。それでも、老若男女問わず、国を問わず人気が高いのはやはり、ショパンでしょう。

ショパンの作品といえば、ワルツにマズルカ、即興曲にバラードにスケルツォにソナタ…ってどの分野をとっても魅力あふれる作品ばかり。
そしてショパンと言えば?そう、「ポロネーズ」を忘れてはいけません!
だれ?「ポロネーゼ」と覚えちゃったのは?(昔の生徒さんにいました)
今日はショパンの「ポロネーズ」から、人気の高い「英雄ポロネーズ」を練習するためのポイントをお話します!ちょっとしたポイントを抑えておけば、あなたの練習は効果倍増に♬
Contents
ショパン「英雄ポロネーズ」とは
ポーランド出身の作曲家、フレデリック・フランソワ・ショパン(1810-1849)は、先にお話しましたように、ピアノのための作品をたくさん生み出しました。それゆえ「ピアノの詩人」と呼ばれるほど。
ショパンは「ポロネーズ」を16曲作りました。その中で、どのポロネーズが好きかは人それぞれでしょう。どのポロネーズにも魅力がいっぱいありますしね。
ただ、一般的に人気が高いものに、タイトルがついている「軍隊」「英雄」「幻想」があげられるように感じています。
「ポロネーズ」とは、フランス語で「ポーランド風の」という意味を持つそう。「ポロネーズ」とは、ゆったりとしたテンポの荘重なポーランドの舞曲です。
昔、YouTubeが開設された頃に、あるポロネーズの演奏動画をアップしました所、ポーランドの方がポロネーズについて教えてくださいました。
ポロネーズというのはね、我々ポーランド人なら必ず踊ったことがある大事な踊りなんだよ。
高校の卒業式でね、生徒たち男女が手を取り合って、厳かに入場する。それがポロネーズなんだ。
YouTubeで踊りを検索したらきっと出てくるから、観てごらん。
と。親切に教えてくれたポーランドの方。きっと彼は私の演奏を聴いて「そんなんじゃない!ポロネーズはもっと違う!」と怒り心頭になったかとも思います。それなのに、演奏を批判することもなく、親切に教えてくださいました。感謝しかありません。
ですから「そうかぁ」と思って検索しましたよ、ポロネーズの踊りを。きっと今でもいくつか出てくると思いますから、気になったらYouTubeで検索してみてね。
「英雄ポロネーズ」は、ショパンが1842年に作曲したもの。ショパンが32歳だった時のことです。出版されたのは翌年1843年。
半音階の上昇や、中間部の低音でのオクターブの動きが特徴的で、勇ましい感じが現れていますね。でもね、このポロネーズに「英雄」と名付けたのはショパンではないんですって。でも、誰が名付けたのか、今となってはわからないようです。
半音から全音の微妙な変化を感じてみよう

これは1回目。そして

2回目はこのように。そして…

こちらは3回目に登場する「似たフレーズ」。
この3回目になると、右手はちょっと気をつけて弾かないと!と、気付くでしょうか。
それまでは「半音」で動いていたのに、この3回目だけ、途中に「全音」が入るのです。それは、右手の和音の上の音だけ。和音の下の音は「半音」のまま進行。左手も「半音階」のまま。
たった一ヶ所、「全音」に音程が変わるだけで、なんと響きの変わることでしょうか!
それは どんな響きかしら?何を感じるかしら?その響きの違いを、感じてね。すると、この後に展開/発展して行く事に、
もっと!ワクワク出来るでしょう。
何かの変化を、うんと感じちゃおう!
オクターブの動きは、頑張らないのがポイント!

この曲の、左手オクターブの動きにはホント、泣かされますね。これは、まだ序盤ですよ。しかし中間部には、さらにごっついオクターブ・フレーズが待ち受けています。
ここで「シニソー!」になっている場合ではありません。特にね、自分の体の外側から体の中心(内側)へ腕を移動させてくるというのは、苦しくなりがちです。息も止まりがち。逆に言うと、自分の体の中心から外側へ腕を出す・動かしていくのは、ラクなのです。
だから、音域移動が繰り返される場合は、その音のとらえ方・グルーピングを内側から外側へととらえてみましょう。しかし、この画像の場合は一方向なので・・・グループを細かく分けるのも一つの方法ですよ。
オクターブの動きはグループ分けしてみる
グループを細かく分ける。もう一度画像を出しますね。

左手のオクターブの動きですが、例えば
「シ |ミファソ|ラシド」というように「|」のところで軽く打鍵を改めるような感じでね、弾いてみると良いかもしれませんよ。
ぜひ試してみてくださいね。もう一つ、オクターブの動きを弾きやすくする方法があります。
オクターブの動きは、鼻息(鼻歌)打鍵も有効
オクターブの動きを弾きやすくするもう一つの方法とは?
腕を、外側から自分の中心へと持ってこなければならない時は、ちょっとした窮屈さを感じるでしょう。では、窮屈さを抜いて弾くために。
鼻歌でも歌うような感じで、息を少しずつ吐きながら打鍵してみましょう。小刻みにね。
「ふーっふっふっふっふっふっふっふー」と。軽い鼻息/鼻歌ですよ。演歌じゃありませんからね 😉
オクターブ打鍵で注意することとは?
このようなオクターブの打鍵での注意事項について。
それは、弾く時に脇が閉まらないようにすること。あなたの脇の下に「こぶし一つ分」もしくは
「スーパーボール1個分」入っているという感覚を、イメージしてみてね。
準備は素早く

さぁ、いよいよ始まりますよ!というフレーズの出だしです。ここは右手のリズムに注意を向けてみましょう。
もしかしたら、リズムはわかっているのに、正しく弾けていないのかもしれません。
ある生徒さんの弾く姿を「なぜ正しく弾けないのだろう?」と思って観察すると…左手が間に合っていないと気付きました。
それは、左手が間に合わないと言うより、左手打鍵の準備が出来ていなかったのです(左手の二つ目の8分音符)。だから、右手が正しいリズムで弾けないのね。
このような場合のちょっとしたポイント!
右手を意識する前に、左手です。左手の第1音を弾いたらすぐに第2音のポジションに「準備にくる!」
準備に「行く」と言うより
準備に「来る」ととらえてみると、
ちょっと感覚が変わる気がしますよ。
次への準備は、早めに。
右手の二つ目の和音(休符後の32分音符)を打鍵する時には、既に左手は用意が出来ている状態でね。
和音のスラーは上の音の繋がりを意識しよう!

次に気をつけたいのは、画像の右手です。
三度音程の和音の動きでスラー。しかもその時の左手にはスタッカートが付いていますよ。こんな場合は、右手も左手の動きにつられやすいので注意が必要です。
あなたの右手がついノン・レガートで弾いてしまっている(もしくは思いっきりスタッカートで弾いてしまっている)ということに気づかないかもしれません。
左手にスタッカートが付いているところには、右手はスラーが付いていますよ。左右で違うアーティキュレーションのところは、意識してレガートで弾くようにしないとね。
意識の置き方
もう一度画像を出しますね。

このように右手はスラーで左手はスタッカートという場合、三度音程の和音の上の音の動きを「つなげる」ことに意識を置いてみましょう。和音の下の音ではありませんよ。
和音の上の音は、指づかいが「2-3-4」となります。ここは一音目で手を落として横に回転させるように。でも手を落としたまま二音目を、そして三音目へと動いていけばいいだけです。
この三つの和音の打鍵、腕の動きは一つ!
まずはそこに気持ちを集中して弾いてみましょう。
速い音符のスタッカートをラクに弾く方法

この画像のようなスタッカート・フレーズで、手がツラくなる原因の一つに「動きが多い(余計な動きをしている)」ということがあります。
画像のような音価の短いスタッカートは、打鍵は極めてレガートに近いのだと覚えておきましょう。え?レガートとスタッカートは真逆じゃないの?と思われるかもしれませんね。この点については機会があればお話ししたいとは思いますが、長くなるので今はやめておきます。
スタッカートの打鍵は一つではない!
スタッカートの打鍵の仕方も一つではありません。

この画像の左手オクターブの場合、
- オクターブだ!
- スタッカートだ!
- 降りたら戻って(上がって)くる=跳躍する!
- 速いわー!
と、大変意識を持ってしまう要素が多めですよね。
呼吸や腕の使い方も大事です。しかし、一音ずつ打鍵するたびに「上下運動」をしすぎていないでしょうか?
このスタッカートは、鍵盤に指先が触れる時間は「ほんの一瞬でいいのだ!」と思うくらいで良いです。
打鍵するたびに手が上下に動かないように。
一音打鍵するたびに「飛び上がらない」ということが大事です。
特別に強い音が必要なわけでもないのに、打鍵するのに高い位置から手を落とす必要はありません。
その「上下の動き」が無駄なのです。
その「上下の動き」が、腕を疲れさせるの。あなたをつらくしている原因です。
次第に盛り上がって音量を上げる必要はありますが、それでも手の上下運動は必要ありませんよ。
オクターブ・スタッカート・フレーズで音量を上げていく方法
じゃ、手の上下運動なくして、どうやって音量を上げていくのか?
答えはね、「腕の重みを鍵盤に乗せていく」こと。それだけで音量を上げていくことができます。でもね、腕の重みを鍵盤に乗せていくことは、鍵盤にしがみつくのとは違うので気をつけてね。
正しい奏法・間違った奏法などと一言で片付けられません。ただ、あなたが弾いていてツライと感じるなら、何かが違っているサインですよ。
さて、このように音価が短い速い音符のスタッカートでは、
- 手の上下運動は必要ない
- 極力、指は鍵盤に触れているように
ということを是非、参考にして頂ければ嬉しいです。
レガートをペダルに頼る前に

左手の動きがちょっと頭に入りにくい動きでしょうか?
右手の音の動きをよく聴いて弾いている、それOK!ナイスですよ。確かに右手が大事よね。だけどね、左手にも注目してみましょう。
左手のその動き、スラーがついてますよ。つまり「レガート(音と音をつなげて)でよろしく!」ってコトですよね。
確かにここ、ペダルは使いますよ。でもね、ペダルを使う場合のレガート奏法も、いろいろあります。これについては実践で説明して体感してもらうのが一番わかりやすいので、ここで説明するのは省きますね。
きっちりレガートで弾くのが困難だとしても、まずは、出来る限り指でのレガートを意識する。
これが最初に意識して弾くべきこと。いろいろ改良する(応用する)のは、その後のハナシですよ♪
自分が出す音を、もっと聴こう!

右手の美しい流れが素敵だから、そちらに気持ちがいくのは当然のこと。だけど、なんだかとても元気がいい感じが前面に出てまうとしたら、何故なのでしょう?あなたは何故だと思う?
左手もレガートよね。きっと「はい、わかってますー」って思ってるでしょ。それでも、レガートになっていないとしたら?
手が届かないわけじゃないんです。ただね、手が、指が意識不足で怠けてるだけなの。
ちょっと気をつけてみましょうか。左手の和音の動きは、繋げて弾けるよね。一音ずつ手が上下運動をしないようにね。ほ~ら!ちょっと気をつけるだけで美しくなったでしょ。
ピアノはね、一つの動きだけに気を取られていると足りないの。
右耳で右手の音をよく聴いて、左耳で左手の音をよく聴く。
少しずつ、自分の音を聴くことに挑戦しましょうね。
ピアノ動画*ショパン「英雄ポロネーズ」Op.53
ティブレイクは、ショパン様の「英雄ポロネーズ」Op.53を。
2016年のリサイタルから、ピアノはシゲルカワイ。
ショパン「英雄ポロネーズ」練習のまとめ
- オクターブの動きは頑張らないのがポイント
- オクターブ・フレーズはグループ分けすると弾きやすくなる!
- オクターブ打鍵で注意するのは「脇の下」
- 移動打鍵は準備をすばやくする!
- 和音スラーは、音のつながりに意識を置こう!
- オクターブ・スタッカートは上下運動をなくすのがコツ
- レガートはペダルに頼る前に指でつないでみよう!
さぁ、この「英雄ポロネーズ」に限った事ではありません。いろんな曲で活かす事ができますよ。ぜひいろいろ試してみてくださいね。
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