欲しい音によって変わる!ピアノでの打鍵9つのコツ

ピアノは、鍵盤をポンと押せば(落とせば)音が出ますよね。
その上、調律してあれば音の狂いが気になる事もないでしょう。

だから、無頓着になりやすいのが、ピアノの「打鍵」。
あなたは「どう打鍵するか?」「どう離鍵するか?」を意識していますか?

打鍵について、離鍵について意識した事がないなら、この際、ちょっと考えてみましょう。
いつも同じ打鍵をしていては、出てくる音色に変わりはありません。
音色を変えたかったら、打鍵を変えてみましょう。
性格を変えたかったら、離鍵の具合にも気を配ってみましょうか。

打鍵の仕方はフレーズをどう捉えるかで変わる

ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第2番」第3楽章から
ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第2番」第3楽章から

はじめは上の画像のように、左手→右手と「追いかけっこ」のようになっていますよ。
ところがこの後…

ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第2番」第3楽章から
ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第2番」第3楽章から

それまでの動きに変化が現れます!
それは、今までとはどう変わっているでしょうか?

  • 左手が短くなっている?
  • 右手が「質問形」になっているかしら?

そう!正解ですよ。
そしてもう一つ。
左手が「ハーモニー」に転じています。
左手の動きは16分音符で「ファラドミ(ト音記号表記)」となっていますね。
この「ファラドミ」を和音化した響きとしてハーモニーと捉えるか、「ファラドミ」という音の動き(メロディ)と捉えるかで、奏法・表現の仕方が変わってきます。

だから、いつもどんなパッセージにも好奇心を持って見つめ、考えてみましょうね。
(ハーモニーと捉えるなら、どのように弾くのか?という事はレッスンでお伝えしています。)

移動の準備は素早く!が鉄則

左手から右手への音のバトン
左手から右手への音のバトン

この画像の場合は、左手から右手へと音のバトンを渡したら、1オクターブずつ音域が上がっていきますよ。
左手から右手へバトンを渡したら、右手が弾き終わるまで待っているのでは、ちょっと遅いのね。

右手へバトンを渡したら、左手はすぐに次に打鍵する音の位置へと移動しましょう。
この場合は、右手の上で左手がスタンバイしている状態に。

そして、右手は打鍵を終えると同時に次の位置へ。
左手にお席を譲ります。さっとね。

左手は既に打鍵の準備ができている状態ですから、ただ指をその鍵盤に落とすだけですよ。

どんな時も、打鍵のための準備は素早く、スタンバイしておくのがポイントです。

ピアニシモの打鍵はビビらずストン!と落とすだけ

ブルクミュラー「優しい心」から
ブルクミュラー「優しい心」から

ピアニシモで和音で終わるの、多いですよね。
(画像にはピアニシモの指示が見えませんが、ここはピアニシモです)

最後まできて、静かにキレイな音を出したい!
って思ったら、飛び出ちゃったり、逆に「鳴らない音」があったり。
あるあるでしょうか。

音が飛び出たり鳴らない(かすれたりする)のは、あなたがビビった瞬間に、あなたの身体がこわばって息が止まってしまうから。

ピアニシモでは、その音の指を用意したら、「ふっと」と息を吐いて、「ストン!」と打鍵しましょう。

静かな音を出したい時は、打鍵スピードを落とすと、音がかすれてしまう事を覚えておいてね。

スタッカートの打鍵は「上げる」

ブルクミュラー「おしゃべり」から
ブルクミュラー「おしゃべり」から

「右手の同音連打で指かえ」に気を取られていると(気をつけていると)ね、意外と左手がアカンタレブーになってしまう。

ピアノって、右手も左手も、そして足(ペダル)もあって、それぞれが違う動きでしょ。
ピアノを弾くという事は、聖徳太子になるみたいなものかもしれませんね。
ほら、聖徳太子は一度に何人もの話を同時に聞けたって言うでしょ?

左手の和音にスタッカートも、各拍に音があるなら、きっと意識しなくても出来るでしょう。

ところが音と音の間に「休符」をはさむ。
つまり、第2拍には弾く音がない、という状態になると…
すっごい気を付けないと、第1拍の打鍵をした後、そのまま置きっぱなしになっちゃうんです。

もし、そこにスタッカートがなくたって、そこは休符なの。
でも、スタッカートが付いているでしょ。
これはもう「軽快に弾いてね」ってコトだと思いませんか?

スタッカート音は、打鍵したと同時に「上げる!」

イメージは、トランポリンだ♪
すっごい楽しい状態をイメージしていてね。
それなのに、打鍵後に手を置きっぱなしにしちゃうと、つまんない音になってしまいますよ。

これは、楽しい「おしゃべり」だからね♪楽しくね!

装飾音付きの音は引っ張らないのがポイント

ベートーヴェン「悲愴ソナタ」第2楽章から
ベートーヴェン「悲愴ソナタ」第2楽章から

装飾音が付いてスラー、レガートで弾くとなると?
和音でスラー、レガートで弾くとなると、途端に息が止まって苦しくなってしまうんです。
どうして、鍵盤に「しがみついて」弾いてしまうのかしら?
なぜ、「息をする事を、忘れてしまう」のだろう?

トランポリンのように、柔らかいソファーのように、沈む弾力を感じたら、自然に逆らわないで上がってこようか。
手を、指を手前へ引いてしまわず、上げてね、奥へと。
息は吸ったら、吐こうよ。吸いっぱなしにしてたら、つらくなっちゃうよね。

息は吸って吐く、そしてまた吸って吐く。
その繰り返しですよ。忘れないでね。

動きも呼吸も、ずっと回っていくもの。
手の動きもですよ。

同時に打鍵する音にタイとスタッカートが混在している場合

ドビュッシー「前奏曲集第1巻」パックの踊りから
ドビュッシー「前奏曲集第1巻」パックの踊りから

赤丸してある所に注目してね。
和音の下の2音は4分音符だったり、8分音符でタイで伸びています。
つまり、伸ばす音ね。

でも、和音の上の1音は、16分音符スタッカート付きになっていますよ。
そもそも、この3音を和音と言うには語弊がありますね。
実際、和音となっているのは下の2音で、上の1音は多声部の16分音符での動きですから。
なのですが、ちょっとここでは赤丸の3音で和音、と思ってみてください。

もしこれらの音を、左手「5.3.1」の指で弾くとしましょう。
すると、「5.3」の指は押さえたまま、「1」の指は、軽く弾いてすぐ指を上げるという、逆の動きになります。デコピン?とか、おはじきをするような感覚、と言って、わかるかしら?

これは鍵盤上じゃなくても、練習できますよ。
5指を机とか足の上に、「置いた瞬間、1指だけ上げる」。

そのように弾くか そうじゃないかで、出てくる音・音楽は、まるで変わってしまいます。
それは聴いたらわかるので、あなたも出てくる音の違いをしっかり聴いてみましょう。

さぁ、わかったら、やってみましょ♪

同時打鍵の中に、スタッカートとタイや伸ばす音がある時は、指先に意識を強く置こう!

二声の動きは手首を使おう

ネッケ「クシコスポスト」から
ネッケ「クシコスポスト」から

16分音符で動く「ララミファドッ」「ソソミソシッ」は、その中に4分音符も混ざり、二声になっています。
「ラーーードッ」「ソーーーシッ」という動きがソプラノでメインですね。

とても元気が良くて楽しい曲です。
快活な曲ですから、テンポ良く弾いていく(前へ進む)事に気持ちが行ってしまうかもしれません。
ここは「ララミファドッ」も「ソソミソシッ」も、弾き始めの音(4分音符でもある音)からその次の音は8度下であるにも関わらず、弾き終わりは、その8度下の音から見ると、10度も上の音になるのです。

「ララミファドッ」ですが、メロディは「ラーーードッ」ですよ。
それがわかって弾いているだけに、鍵盤に執着してしまいます。無意識のうちにね。

こんな所では、手首を使うのがポイントです。
手首をしなやかに回転させて、鍵盤に執着する事なく、音を良い方向へと飛ばしてあげましょう。

一音目で手を落としたら(手首のバネを使って、自然にちゃんと落とす)、落ちた所で止めず「ギュ〜ん」と、8度下の次の音に向かって、下から左斜め上へ回転させて、手を上げていく。
そして8度下の「ラ」を弾くのです。

続けて(動きは止まらず手首を使い)、上へ右斜め向こうへと回しながら「ミファ」を弾く。
終わりの音の打鍵で手を落とさず、右斜め向こうへ上げて、音を飛ばす。ここで力を抜きましょう。

手首を自然に使えるようになったら、うんとラクに弾けますよ。

第1音で印象づける打鍵とは?

グリーグ「ピアノ協奏曲」第1楽章から
グリーグ「ピアノ協奏曲」第1楽章から

きっと多くの人が印象深く記憶に残ると思われる、この冒頭。
ただのフォルテシモじゃ、ないの。
その第一音で惹き付けられなければ、「その後を聴こう」という気になるかしら?
第一音目で「終わってしまう音」を、出したくありません。

じゃあ、どうしたら良いのだろう?
これから何かが始まるところ。
ティンパニが畳み掛けるように、バトンを渡しにくるんです。
だから、そのバトンをちゃんと受け取らなきゃね。

こんな打鍵をする時のコツは、物凄く重い荷物を持ち上げる時の体の状態を再現する事。
鍵盤を掴み上げるように。
指先で鍵盤を掴み上げるように。

そして腹。
重い荷物を持ち上げようとする時、あなたはどんな状態でしょうか?
あなたは一体どんな準備をするかしら?
呼吸も、身体そのものも。想像してね。

それと、同じ事です。

考えてごらん。
思い出してごらん。
さぁ、想像力を、創造力を、フルに使いましょう!

拍をまたぐ連打はタンギングするように

リスト「パガニーニ・エチュード第6番」から
リスト「パガニーニ・エチュード第6番」から

和音の同音連打は、ポジションも手の形も同じなので、弾きやすいかもしれません。
だけどね、ちょっとだけ気をつけたい事があります。

それはこの画像のように、拍をまたいでの同音連打の時。

リスト「パガニーニ・エチュード第6番」から
リスト「パガニーニ・エチュード第6番」から

その時は、改めて打鍵し直すのがポイント。

例えば管楽器でタンギングをする時に、ちょっとストレスを与えてタンギングし直す、そんな感じです。
同じように走っていても、そこに来たらちょっとステップを踏み込んでもうちょっと高く飛ぼうとするような感じ。

「入り直す」「息を吸う/吸い直す」ように。
するとね、もっと素敵になりますよ。
音が詰まってしまう事がなくなるんです。

あ!その感覚、わかったわー!と思って頂けたら、是非お試し下さいね。

ピアノ動画*ベートーヴェン「悲愴ソナタ」第2楽章

ティブレイクは、ベートーヴェン作曲の「ピアノ・ソナタ第8番」”悲愴”第2楽章をお送りします。

老若男女問わず、人気の高い曲ですよね。「悲愴ソナタ」は、まずこの第2楽章から始めた、という方も多いようです。

まとめ

  • どう打鍵するか?はフレーズをどう捉えるかで変わってくる
  • 移動の準備は素早く!
  • ピアニシモの打鍵はビビらずストンと落とすのがコツ
  • スタッカートは打鍵後、手(指)を上げるのがポイント
  • 装飾音付きの音は引っ張らない
  • 同時打鍵音にタイとスタッカートが混ざっていたら、打鍵する指先に意識を強く置こう
  • 二声の動きは手首を柔軟に使おう!
  • 第1音で印象づけるには、指先で鍵盤を掴み上げるように打鍵しよう
  • 拍をまたぐ連打は、タンギングするように改めること

打鍵と一言で言っても、どんな音が欲しいのか?によって、打鍵の仕方は千差万別。
まずは、あなたがどんな音が欲しいのか?を強くイメージするところから始めてみましょう。

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