【ピアノ奏法】体に優しい良い音を出す打鍵12のポイント

2021年2月10日

ピアノを弾くって、奥が深いですよね。

楽譜を読むところから始まって、どんな風に表現していくのか?技術をどう克服するのかなど、問題は山積みです。

そんな中で、一番後回しになりやすいのが「打鍵の仕方」かもしれません。なぜなら、ピアノって鍵盤をポンと落とせば音は出ますよね。音は、出ます。とりあえずね。

だから、音色やどんな風に響かせるか?とか、長さに無頓着になりやすいもの。

時代によってもどう打鍵するのか、手の形はどうあるべきかなど、変化しています。それは私が子供の頃と現在でも随分違いますし、それとは別の次元で、作曲家がどの時代に生きていたのか?その作品はどんなものなのか?などによっても、どう弾くか・どう打鍵するかは変わるもの。

打鍵の仕方で出てくる音質・音色・打鍵後の響きの残り方や音が飛んでいく方向は、全然違ってきます。

文章だけで全てが伝わるとは思いませんが、少しでもあなたがピアノを弾く上で参考になればと思い、今日は体に優しい(体に無理のない)方法で少しでも良い音を出す「ピアノの打鍵の仕方」について、お話していきますね。

打鍵する前にその音を聴く

ショパン「スケルツォ第2番」から
ショパン「スケルツォ第2番」から

休符の後の、右手の「どーーー」と伸ばす音は、一体どんな響きがするのかしら?
あなたはどんな響きが、欲しいのだろう?

音を、出してみてから

  • あれ、こんな音が欲しかったんじゃない
  • あれ?うわ〜ん、ちゃんと鳴らなかった〜!
  • ウォッ、出過ぎた...

じゃ、なくてね。

  • 音が出る前に
  • 発音する前に
  • 打鍵する前に
  • 鍵盤に指が触れる前に

頭の中でその音の響きを、自分が欲しい響きを想像する。
打鍵する前に、その音の響きを、聴くんだよ。
欲しい音の響きを、弾く前に想像するの。

それだけでいい。それだけで、いいんだよ。でもね、これはうんと意識しないと出来ないの。

想像する事を、打鍵する前にその音を想像する事を、意識してみましょう。

英語ではプレ・リッスン(Pre-listen)と言います。これが簡単なようで、想像する事に慣れていない人には、
あまり簡単ではありません。でもね、これもトレーニング次第。トレーニングを積めば、簡単に出来るようになりますよ。

まず、「わたしは、どんな音の響きが欲しいのか?」です。これが、あなたの中で明確になっていないと、その響きを想像する事は、出来ません。

なんでも、とにかく想像してみる、考えてみると言う、自発的行動を意識してみましょう。

そこにピアノが無くても、音は聴こえるよ。あなたが想像するかしないか?それだけです。

1フレーズは1つの回転・1つの動きで弾くのがポイント

ショパン「スケルツォ第2番」から
ショパン「スケルツォ第2番」から

「ドーーー」から続く8分音符「レファミドラ」。この伸ばす音とその後の動きは、別物ではありません。

「ドーーー」の響きは「レファミドラ」に向かって行く。
「ドーーー」が先導して連れて行く、引っ張って行くのです。

それなら、打鍵する手・腕の動きは、それら全てで「1回転」にしてみましょう。そうすると、1つの動きで打鍵できますから、1つのフレーズとしてちゃんと聴こえますよ。

さぁ、音の・響きの動きを想像してみよう!

同じ音が続く時は、打鍵を改めるのがポイント

カバレフスキー「ダンス」Op.27-27から
カバレフスキー「ダンス」Op.27-27から

同じ音が続く時が問題です。

「やったー!弾き易い!」とか、「イェーイ!カンタン♡」と、安易に喜ばないでね。同じ音が続くのには、意味があります。

この画像のように同じ音が続く時は、その同じ音は、同じ意味じゃないよ〜!という事が多いもの。

まず、画像例では(和音の上の音で)「ふぁそ|ららどし|ら」という音の動き。これを、「ふぁそら」と「らどしら」の二つに、グループ分けすることが出来ます。

指使いも、そのように分けて、改めて取り直すよう指示が出ていますよね。そのような指使いをしないと、打鍵が「改まらない」から。音のニュアンスが変わらないからです。

この、二つのグループに分けられたものが「繋がって」、一つのフレーズになりますよ。

「ふぁそららどしら」ととらえるのと、「ふぁそら」(吸!)「らどしら」ととらえるのでは、出て来る音や響きが変わってきます。

同じ音が続く時、打鍵を改めるとね、音が生き生きとして輝いてきますよ!

重音打鍵をラクに弾く方法

ショパン「黒鍵のエチュード」から
ショパン「黒鍵のエチュード」から

左手の8分音符の重音三つは、オクターブで、中の二音が変化するだけです。それでも、オクターブがやっとなの...という人なら、ちょっと大変ですよね。

でも、音の動き方はわかるでしょう。中の二音が変化しますが、三つ目の重音では、元に戻ります。音が「行って、帰って来る」形ですね。

打鍵の仕方のお話をする前に、もう一度、思い出してみましょう。

  • この曲は、何拍子だったかしら?
  • 何分の何拍子だったかしら?

わかったかな?

決して「4拍子ではない」という事を覚えておきましょうね。この拍子感が、頭から離れてしまうと、8分の4拍子で弾きがちなの。そうなりやすいんです。「2拍子だ」と思うだけで、ラクになれる糸口をつかめますよ。

では、打鍵の仕方のお話に入りましょう。

画像に、矢印曲線を書き入れている通りです。一つ目で、手を落とす。ただ、落とす。
そして、二つ目では、手を「上げつつ」打鍵。
三つ目では、手を「上げながら」打鍵。です。

要するに、一つ目で手を落とし、上げながら二つ目・三つ目を打鍵する。この三つの重音合わせて、打鍵は一つの動きなのです。落ちて上がるという、上下の「一回転」ですよ。

三つの重音それぞれに、上下運動をするから、疲れるのです。

無駄な動きは省く、エコ奏法を推奨しています♪

速いパッセージこそ、準備とタイミングに気をつけろ!

ドビュッシー「ゴリウォーグのケークウォーク」から
ドビュッシー「ゴリウォーグのケークウォーク」から

最後を、決められたらカッコイイ曲、ありますよね。

ガツン!とカッコ良く決めるつもりが、「あ〜ぁ、滑っちゃった」とか「あ〜ぁ、外しちゃった」などと悲しい結果になっちゃう事も。それを回避しつつ、カッコ良く決めるには、どうしたらいいのだろう?

そもそも上の画像の場合は、音が並んでいる単純な音階のようでいて、右手も左手も5指ずつしかないのに「6音続く」という事が、難点。

いやいや、そうは言ってもね、何を慌てる事があるでしょうか?

「ドーーシラソファ」を、どんな指使いで取るかは、人それぞれ。画像に書かれている指使いも、1種類ではありませんが。

ちなみに私は、右手は「5--4321」と取り、左手は「1--2345」と、取ります。

しかし、最後の音を弾く時は、打鍵のほんの一瞬前に、その音の鍵盤上に「打鍵するぞ!」の用意(ポジショニング)が出来ている状態にしておきますよ。コンマ○秒とか、数えられない、ほんのちょっとの間です。それは、聴いたら「間」としては聴こえないかもしれないくらいの「間」。

それでもね、確実に打鍵できますよ。だから、速いパッセージこそ、準備とタイミングを大事にするのです。

覚えておいて実践してね。お約束ですよ。

ガンバらない・しがみつかないのがラクに打鍵するコツ

ショパン「別れの曲」から
ショパン「別れの曲」から

右手も左手も、それぞれ二声あります。右手は上声がメロディ。右手の下(内)声はハーモニーを成す伴奏。

そんな右手の二声は、その開きがオクターブになっているので、手はつい一生懸命開いて、鍵盤に這いつくばるように頑張ってしまいます。

鍵盤にしがみついて弾いている例
鍵盤にしがみついて弾いている例

まるで、鍵盤に「しがみついて」いるようです。
すると、一生懸命な、こんな感じ。

鍵盤にしがみついて、頑張っちゃってます💦

では、その真逆をいってみましょうか。一生懸命「頑張らない」、しがみつかない、手(腕)を手前に引っ張らないでね。

鍵盤に執着しないで弾いている例
鍵盤に執着しないで弾いている例

打鍵は「下へ」と思わず。鍵盤に触れたら「向こう(奥)へ」いく感覚で。

音でどこまで伝わるか、わかりませんが、あなたもぜひ、お試し下さい。

真逆のやり方をすると、

  • 今までと何が違うのか?
  • 腕の状態はどう変化するか?(ラクになるのかツラくなるのか?)
  • 音のバランスはどう変化するか?
  • 音色は変化するのか?

探ってね。あなた自身が体感したことは、忘れませんよ。

分散和音(アルペジオ)を打鍵しやすくするには?

o0550055313749892956こんな左手。一つ目は「レシレ」、二つ目は「レドミ」。

オクターブは超えないけれど、このような分散和音が続くと、だんだん手がしんどくなってきませんか?窮屈さを感じたり、しませんか?

ではそんな時、あなたは「どんな弾き方」をしているでしょうか?

手前に引っ張って弾く例
手前に引っ張って弾く例

このように、なっていませんか?

「てのひら」を、突っ張るように広げている。その「てのひら」が、鍵盤の上を這うように、なぞるように動いていませんか?これでは苦しいですよね

じゃ、こうしてみましょうか?

向こう側へ開放させて打鍵する例
向こう側へ開放させて打鍵する例

一つ目の「レシレ」で言うと...第1音の「レ」(5の指)を打鍵すると同時に、手首から上がります。次の「シ」に向かって、上へ上右へと弧を描くように。

そして「シ」を打鍵したら、そのまま右斜め下の「レ」へ緩やかに着地する。方法が逆なの。腕を、前(鍵盤の向こう)へ「差し出す」感覚です。

ぜひ、お試しくださいね。

黒鍵の大事な音の打鍵法

リスト「パガニーニ・エチュード第6番」主題と変奏から
リスト「パガニーニ・エチュード第6番」主題と変奏から

画像の左手、内声和音の上の音の動きが大事なメロディです。だけどね、赤丸してある和音の上の音が聴こえにくいの。どうしてだろう?

それはね、その音が黒鍵だからかもしれません。それ以外の和音は、上の音は白鍵ですよね。

黒鍵の音を聴かせたい時は、鍵盤の奥深くに指が入って行くように、強く意識するのがポイントです。

そうは言っても跳躍もあるし、右手はアルペジオだし、気が回りきらないですよね。その音の打鍵、テヌート気味の打鍵で、少し踏み留まって(ステイして)あげられると良いですよ。

でも、跳躍があるから厳しいんだよ!って思うよね。うん、わかるよ。その黒鍵の打鍵は「1の指」(親指)だよね。

親指の指先でつかむのではなくてね、親指の第1関節を使ってみましょうか。

黒鍵の打鍵はね、鍵盤に対して指は真っ直ぐではなく、少し斜めに乗せるといいですよ。

そして、このように「その音を他よりももっと聴かせたい時」は、指先から第一関節まで全てを使って、
鍵盤の中に入って行く、という意識で弾いてみましょう。

ピアニシモでの和音打鍵はビビらないのがコツ

ドビュッシー「沈める寺」から
ドビュッシー「沈める寺」から

ピアニシモで和音となると、途端にビビってしまうのでしょうか?あなたはどう?うわ〜、音が飛び出ませんように!って、息を止めていませんか?

それ、それよぉ!息を止めちゃったら、体のコントロールは出来なくなりますよ。

静かな音が鳴りますように...って、ゆっくり打鍵していませんか?

それ、それよぉ!だから、鳴らない音があったり、かすれたりしちゃうのよ。

ピアニシモで和音を弾く時は、上半身を自然に。(前屈しないように)鍵盤上に、その和音を弾く準備をする。脇の下はなるべく広くとる(ゆったりした感じ)。

そして、息を少し「フッ」と軽く吐くのに合わせ、鍵盤上に用意した手(指)を、ただストン!と落とすだけ。落とすだけです。

決して、ゆるりと沈んでいく事をイメージしないでね。ただ、ストン!と落とすだけですよ。この時、息が止まってると、腕に余計な力が入ってしまいます。するとコントロールが効かず、音が飛び出ちゃうの。

打鍵のスピードは落とさず、ただ余計な力を加えない(載せない)。それだけ。

ビビらない。解放するだけ。

どの音を聴くのか?で打鍵のバランスは変わる

和音(重音)を弾く時、ちょっと意識したいな、意識したらいいんじゃない?と思う事があります。それは「どの音を聴くのか?」という事。

この画像の、前からの繋がりもあるので、ここだけを見てこうすべき!という正解は出せませんが。

でもね、この二つの和音だけを見ても、その中で聴きたい音・より響かせたい音はどれか?と考えてみましょうか。いろいろ、打鍵のバランスを変えて感じてみるの。

一番聴きたい音だけじゃなく、その次に寄り添うように・支えるように響いてきたら美しい音は、どれかしら?と、探ってみるのは面白いですよ。

響かせたいな、より聴かせたいなと思う音の打鍵をする指が、打鍵する瞬間に、他の指よりも素早く、他の指よりももっと鍵盤の奥へと入っていくようなイメージで。

バランスを変えると、聴こえ方もすっかり変わりますよ。意識してみてね。

装飾音が弾きにくかったら打鍵を改めよう

リスト「ハンガリアン・ラプソディ第2番」から
リスト「ハンガリアン・ラプソディ第2番」から

この「ふぁそふぁ」のような装飾音を、右手で「454」の指使いで弾くのは、ちょっと弾きにくいかもしれません。

指使いについて

指使いは、個々にとってより良いものを考えてみる。その努力を惜しまない。

そして、それを取り入れてみる(試してみる)事を、面倒くさがらないようにしましょう。

装飾音について

装飾音に対して、今までよりも更に、「大事に」「愛しい人」を見つめるように向き合ってみましょう。弾くたびにね。

決して、自爆して突っ込んで行かないように。その装飾音に、なだれ込まない。その装飾音を弾き始める時、打鍵を「改めて」みましょう。

フレーズを分けるわけではありません。ただ、打鍵を、方向を、改めてみる。

レッツ・トライ!

無駄な動きを省くことで、効果的な打鍵ができる!

ラフマニノフ「楽興の時第4番」から
ラフマニノフ「楽興の時第4番」から

右手のスラーは、8分音符二つずつ。そして、1音目にはアクセントが付いています。こんな時は

  • 1音目で手を落として、2音目に向かって回転させていく
  • 2音目の打鍵で腕は上がる

これで「落として(回転させながら)上がる」という「1アクション」、「一つの動き」で弾けますよ。

左手も同じこと。スラーが付いている音の群れで「一つの動き」をとりながら、打鍵していきましょう。左手の「どらみ」の動きで打鍵を表すなら、

  • 手を落として1音目「ど」を打鍵
  • そのまま(上げずにただ横へ回転する過程で)2音目「ら」を打鍵
  • 更にそのまま横へ回転し、3音目「み」を打鍵で手を上げる

ここまでで「1アクション」です。

そしてまた回転させながら次のスラーの1音目「し」に落とす。以下、同じように横へ回転しながら弾いていきます。

「どらみ・しら」「しられ・しら」「どらみ・しら」「しられ・しら」ではなく、

「どらみ」「しらしられ」「しらどらみ」「しらしられ」と打鍵のグループ分けをとらえてみましょう。

ピアノ動画*ドビュッシー「沈める寺」

ティブレイクは、ドビュッシー作曲「前奏曲集第1巻」から”沈める寺”をお送りします。

ピアノはスタインウェイ。ドビュッシー没後100年のオール・ドビュッシー・リサイタルから。

体に優しくて良い音を出す打鍵の仕方まとめ

  • 打鍵する前にその音を聴く
  • 1フレーズは1回転・1つの動きで弾く
  • 同じ音が続く時は打鍵を改める
  • 重音打鍵をラクに弾くには1つずつの打鍵にしないこと
  • 速いパッセージこそ準備を怠らずタイミングに気をつける
  • 鍵盤にしがみつかないのがラクに打鍵するポイント
  • アルペジオは打鍵を鍵盤の奥へ持っていく
  • 黒鍵打鍵は、鍵盤の奥深くに指が入っていくように
  • ピアニシモの打鍵はビビらないでストンと落とすこと
  • 和音の打鍵は「どの音を聴きたいのか」でバランスが変わる
  • 装飾音が弾きにくいなら、打鍵を改めるのがコツ
  • とにかく無駄な動きを省くこと!

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