弾きにくいと無意識に見なかった事にしてしまうスタッカートを大事に弾く3つのコツ
あなたは「スタッカート」の意味を、どのように理解していますか?
私の所にレッスンに見えた大人の生徒さんの殆どが、こう答えました。
「スタッカートは、はねる!」
うん、イメージとしては、わかるんだけどね。
でもね、音価が違う場合はどうやってスタッカートを弾き分けるんでしょう?
- 2分音符についているスタッカート
- 4分音符についているスタッカート
- 8分音符についている….
- 16分音符についているスタッカート
どの音価についているスタッカートも「はねる」なら、どうやって音価を弾き分けたらいいのかな?
もちろん「音価の問題ではない」という場面も、あるかもしれません。
でもね、作曲家は、単に「はねて短く」したいなら、長い音符(4分音符や2分音符)で表すことはなかったんじゃない?
さぁ、スタッカートの意味と弾き方を考えていく癖をつけましょう。
Contents
スタッカートはスタッカート、作曲家の意志を汲み取ろう

上の画像の中で弾きにくいのは、画像1小節目最後の8分音符と、2小節目最初の8分音符がスタッカートだから。
なぜその音にスタッカートが付いているのかなぁ?
スタッカート無しじゃ、駄目だったのかしら?
次の音と音程も近い=跳躍するわけではありません。
だから、意識をはっきり持って指先に指示を送らなければ、スタッカートで弾くのはちょっと難しそうですよ。
「弾いてるつもり」でレガートになってしまいそうよね。
でもね、作曲者のバルトークさんが、この音にどーしてもスタッカートが欲しかったんじゃないかしら?
だってね、もしスタッカートが付いてなかったら?(スタッカート無しで弾いてみてね)
この楽譜の通りに弾いたら?(楽譜通りにスタッカート有りで弾いてみましょう)
この二つの弾き方は、出てくる音・音楽が全然違うものになっていないかしら?
あなたはどちらが面白いと思う?
そういう事をバルトークさんは伝えたくって、この音にスタッカートを付けたのだと思いますよ。
作曲家が指示している事は、あなたが弾きにくいとか弾きやすいとかは、関係ないのよね。
弾きやすさはちょっと横に置いておいて、まずは作曲家の指示に従って作曲家の気持ちに寄り添ってみましょう。
そうじゃないとね、バルトークさん、化けて出てくるよ!(笑)
次の例も同じ事です。
スタッカートの有る無しでどう変わる?

そこに「スタッカート」があるの、気付いているかしら?
どうしてそこに「スタッカート」があるんだろう?って考えてみてね。
その音に、スタッカートが有るのと無いのでは、どんな風に聴こえ方が変わるだろう?
- どんな風に、気持ちが変わるだろう?
- どんな風に、状況が変わるだろう?
是非、弾き分けしてみてね。
どう違うのか?を、あなた自身で感じる事が大事です。
先生に言われたから、楽譜に書いてあるからでしょ!で片付けないで、あなたが弾き分けてみて、そして考える。
「どうしてこの音にはスタッカートが付けられているんだろう?」って。
自分で納得出来ない事には、弾けませんよ。
さぁ、考えましょう。「なんでそこにスタッカートが付いているんだろう?」
スタッカートの打鍵は「上げる」

画像の曲、このフレーズは、右手にも左手にも「気をつけるポイント」があります。
右手はスラー、左手はスタッカートの和音ですね。
右手はスラーが付いているんだけど、同じ音が3回繰り返される上に指を替えていく指示が。
この「右手の同音連打で指替え」に気を取られていると(気をつけていると)、左手が生気を失ってしまうのよね。
ピアノって、右手も左手もある。そして足(ペダル)もあって、それぞれが違う動きをします。
ピアノを弾くっていうのは、まるで聖徳太子みたいなものじゃないかしら。
ほら、聖徳太子は一度に何人もの話を同時に聞けたって言うでしょ?
左手の和音にスタッカートも、各拍に音があるなら、きっと意識しなくても出来るでしょう。
ところが、音と音の間に「休符」をはさんでいますよ。
つまり、第2拍には弾く音がない、ということね。
するとね、意識していないと、第1拍の打鍵をしたら、そのまま指を置きっぱなしにしちゃいます。
もしそこにスタッカートがなかったとしても、そこには休符がありますよ。
でもね、スタッカートが付いているのよね。
これはもう「軽快に弾いてね」ってコトです。
スタッカート音は、打鍵したと同時に「上げる!」
置きっぱなしにしないでね。
イメージは、トランポリンですよ♪
すっごい楽しいの。
でもね、打鍵したまま指を置きっぱなしにしちゃうと、つまんな〜い音になっちゃいますよ。
この曲は、楽しい「おしゃべり」ですからね。忘れないでね。
16分音符スタッカートは、つま先で軽く走るように

左手の16分音符スタッカート。細かいですね〜。
はずしちゃうかも…という無意識のうちの怖さと「スタッカートだ!」、と気張ってしまうと、重くなりがち。重力を感じます。
(「廊下は走らない!」なんて言われそうな、思いっきりドタドタと走っているような感じ)
こんなフレーズは、力まない。頑張らない。と言うは易しですね。
- 鍵盤の底まで弾こうとするのをやめる
- ピアノに、向かって行かない
まるで、つま先で「トットットットッ」と軽く走るように、「ふんふんふんふん♪」と鼻歌でも歌うようにね。
鼻歌を歌う時に、肩肘張らないでしょ?
あなたのスタッカートは、肩肘張って一所懸命ではありませんか?
リコーダーで、舌先のほんの一点で、すごく短いタンギングをするように。
背筋から上腕を自由にしてあげてね。
想像してご覧。
あなたが鍵盤を打鍵しようとするのではなく、鍵盤は既に底に沈んでいて、鍵盤が自らあなたの指に触れよう!と上がってくる事を。
今日のピアノ動画*モーツァルト「ロンド」ニ長調
ティブレイクは、モーツァルト作曲の「ロンド」ニ長調をお送りします。
小学生から大人まで、多くの生徒さんたちに大人気のモーツァルト作品。
いろんな場面や会話が想像できる、楽しい曲ですよね。
まとめ
- なぜその音にスタッカートが付いているのか?作曲家の気持ちを考えてみよう
- スタッカートは打鍵したら落としたままにしないで手を上げるのがコツ
- 16分音符のスタッカートは、つま先で軽く走るように
楽譜に書かれている記号や用語はたくさんありますよね。
書かれているから、その通りに弾くのではなく、どうしてそこにその指示があるのかな?
もしその指示がなかったら?と、作曲家の意志を汲み取る努力をしてみましょう。
あなたの音楽をもっともっと豊かにするためにね。
エンジョイ!あなたのピアノ・ライフをもっと豊かに!
もっとラクに心と体を使ってピアノを弾くお手伝いをしています。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません