音程が教えてくれるものを感じてピアノの表現力を上げよう

あなたはピアノを弾く時、音程について考えたことはありますか?

歌う人や管楽器奏者なら、演奏するためには喉を使わざるを得ないから、音程は常に意識する事でしょう。
でもピアノはね、ほら、鍵盤を押したら音は鳴ってしまうのでね、ちょっと問題があります。

手指が無理をしなくても届く音の動きなら、無意識に考えずに弾いてしまうこと(本当はそこに感情があるのに)。
簡単に届かない音の動きだと、それらの音の繋がりを考えずに、無防備に飛びがち。飛んじゃった音は、本当にその扱いで良かったのかなぁ?

さぁ、今日は「音程」について考えていきますよ。
音程を意識するようになれば、あなたの音楽表現に更に深みが増しますよ。

音の幅がどのくらい変わるのかを知っておこう

音の動き・音程の開きに注目しよう
音の動き・音程の開きに注目しよう

左手の動きは、画像の1小節目は2回同じことを繰り返していますが、2小節目では変わっていきますよ。
でもね、音が変わっても、「同じような」「似た」印象を受けがち。
ふんふん、8分音符4つのカタマリで、みんな3音目に「♯(シャープ)」が付いてるし~♪わかってるも~ん♪
と思っているのに、実際に弾くと、何故か音を外してしまいます。

どうして音を外してしまうのかしら?って、考えてみたこと、ありますか?
では、考えてみあしょう。
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それはね、1音目から2音目の「音程」(音の幅)が違う・変わっているからですよ。
その音程が、どのように変わっているのか、それを知っておく。理解しておきましょう。
頭にたたきこむくらいにね。
そうしたら、ほら、もう大丈夫だから。

同じような動きが続く時は、それぞれの音程に変化がないかを知ると、音をはずさなくなる!

同じ動きが続く感じなのに音を外すのは、微妙に音程が変わるから。
だから、音の幅がどのくらい変わるのかを知っておく事で回避できますよ。

音程が変わる動きは和音化して手の形を覚えよう

音の動き・音程の開きに注目しよう
音の動き・音程の開きに注目しよう

この左手の動きのように、似ているようでいて、2拍ごとに微妙に音程が変わる場合について。

各指の幅がちょっと変わるので、頭で音はわかっていても、その通りに指が反応してくれない事があります。そんな時は、この画像例で言いますと、2拍ごとに和音化して弾く練習がオススメですよ。つまり、8分音符4つずつを和音として、まとめて弾くのです。

ハーモニーの移り変わりを知る事も出来ますよ♪

音の動き・音程の開きに注目しよう
音の動き・音程の開きに注目しよう

こちらも左手の練習法は同じ事。ひとつ上の画像の続きです。

右手はどの音へ向かっていくのかを意識して歌いましょう。
スラーの最後の音も、耳を傾けて聴き続けてね。

音域が変わるなら二声と捉えられる

ランゲ「荒野のバラ」から
ランゲ「荒野のバラ」から

右手の動きに注目してみましょう。同じリズムのメロディが繰り返されています。

それらのメロディは、高音域と中音域を行ったり来たりと交互に繰り返しているのがわかりますね。
その上、強弱の指示も異なります。高音域の時は「ピアノ」で、中音域では「フォルテ」。

このような場合では、高音域と中音域で声部が違う、言い換えれば「性格(キャラクター)」が違う登場人物がいる、と捉えると表情をつけやすいですよ。

例えば、高音域は あなたみたいな女の子。
中音域はパパで、二人で会話してる感じね。
小鳥さんとライオンの会話とかでもいいんだけど。

強弱を変えるだけでもいいけれど、イメージするキャラクターを明確にすると、もっとハッキリ伝わります。

例えば、高音域では少し指を立たせて指先での打鍵。キラキラした音を出す。
中音域では、少し指を寝かせて鍵盤に触れる「面」を多くして、温かい/深みのある音を出す。

譜面上「二声」に見えなくても、音域が違う場合は二声(二人いる)ようなもの。ならば性格を(打鍵を)変えてみよう!

楽譜上はシンプルでも、音域がはっきり異なるフレーズが交互に出てくる時は、二声だと捉え、キャラクター(性格/打鍵)を変えるのがポイント!

6度の幅を感じるコツ

バッハ「インヴェンション第13番」から
バッハ「インヴェンション第13番」から

楽譜の右手、8分音符の動きは「6度」の音程になっています。
この「6度の音程の開き」は簡単ではありません。あなたが実際に喉を使って歌うことを想像してみてね。
不用意に声を出すのでは、6度も上の正しい音程をとるのは難しい事がわかるでしょう。
それと同じことです。

ある種の緊張感を伴う。
(がちがちになる緊張状態ではありません。)

「ファ」から6度上の「レ」までの間には、実にたくさんの音があります。
【ファ→ファ♯→ソ→ソ♯→ラ→ラ♯→シ→ド→ド♯ 】ときて、やっと「レ」に達するの。

その経過する音を、それらを乗り越えてやっとたどり着く、という事を意識して弾きましょう。
意識してみれば、それは簡単な事ではないと気づくでしょう。指だけで弾くのは簡単だとしても。

更に付け加えるなら、6度上の音は「タイ」で伸びる特別な音である事。
タイで伸びる音は、「その音がタイでなかったら?」と「タイで伸び続ける音の行方・響き」を意識すると、音楽に膨らみが増します。
この6度の動きは、棒高跳びのような感覚なのでしょうか?

6度上がる音で、それがタイで更に伸びる音は特別。6度の音程は、その間の音を全て感じると、簡単ではない事を表せますよ。

音程が狭い時に気をつけるポイント

バッハ「インヴェンション第13番」から
バッハ「インヴェンション第13番」から

次は画像の左手です。
音の動きの中で、一番狭い音程=半音がありますね。
「レ#」→「ミ」という動きです。この2音の音程が半音。

半音程は、その音程の「狭さ」をうんと感じてみましょう。
狭い通りを、体を横にしてすり抜ける。そんな感じです。

逆に音程が離れているなら「すごく遠い所に飛びあがる」、棒高跳びのようなイメージもイイですね。

もし、そのフレーズに「半音程」がない場合は、「二度音程」が「狭い音程を表すもの」として大事になります。

音程が狭い時、特に半音程はその狭さを感じよう!

音程が離れている時に気をつけるポイント

バッハ「インヴェンション第13番」から
バッハ「インヴェンション第13番」から

ここまで「音程」についてお話してきましたが、「音程」が大事だということ、わかって頂けたでしょうか?

音程は狭くても大事。
音程が離れていても、大事なのです。

音程がどれほど離れているか(狭いのか)が、表情を表したりタイミング(間)を取る道標となりますよ。

音程を感じる基準は、「他より”うんと!”」。
この画像なら、左手の「第2拍」に当たります。オクターブで低い「ミ」から上の「ミ」へ上がりますよ。

何度も言いますが、実際に声を出して歌う事を想像してみてください。本当に声を出して歌ってみると、より体感できますよ。管楽器を経験した方も、管楽器で演奏する事を思い返してみると、納得出来るのではないでしょうか。

「音程が離れている」、そのピッチをとるのは決して「やさしいこと」ではありません。

鍵盤を見ても、わかるでしょう。改めて鍵盤を見てみましょうか。
低い「ミ」から1オクターブ上の「ミ」までの「間」に、一体幾つの音(鍵盤)があるでしょう?
それら、一つ一つを「乗り越えて」、やっと到達するの。だから、その「やっと感」を感じて欲しいのです。
「距離感」とでも言いましょうか。

音程が広がった時は時間を取るのがポイント

ラフマニノフ「前奏曲嬰ハ短調」”鐘”から
ラフマニノフ「前奏曲嬰ハ短調」”鐘”から

画像の第3拍、右手に注目。
右手は各拍、同じような動きをしています。が、第1拍は「ソソド」、第2拍は「ファラド」で、どちらも「8度以内」の動き。
オクターブが届くなら、「弾きにくい」ということはないでしょう。

しかし、第3拍は、「ラファド」で、「ラ」から下の「ファ#」へは、「10度」の開きになっていますよ。
これが届く人はあまりいないですね。(手の大きい男性ならともかく、女性や子供ではなかなか…)

だから、「焦って」「急いで」、飛んでしまうのでしょう。だから、ぎこちなくなってしまうのね。でもね、焦って急いで飛んで、イイ事ナッシング。
ペダルを使っても、「飛んだ打鍵」は、わかるもの。当たりが強くなっちゃうし、急いでいるから、実際「ラ」から「ファ#」への音価が短くなりがちです。

それに。
3連符で動いているけれど、実はメロディは各拍の頭の音にありますね。
4分音符になってますよ。「ソーファー ラーソー」がメロディ。これを浮き立たせて綺麗に弾きたい、聴きたいですよね。

じゃ、どうしたらいいかしら?

それはね、「ラ」を気持ち、長めに指を置いておく。テヌートだと思うとイイネ!
そして、次の「ファ#」へは、とにかく「跳ぶ意識」を失くして弾いてみましょう。
ストレッチすると思ってね。

「時間を取っていい」んですよ。時間を取る、って思ってね。

そこで時間を取ったって、大した時間じゃありません。コンマ○秒のことですから。

もう一度言うけど、「ソソド ファラド ラファド ソソド」って聴きたいんじゃないの。
「ソーファー ラーソー」って聴きたいのです。ここは二声ですよ。
つまり、二人の人が歌っているという事。

メインは「ソーファー ラーソー」で、それを支えてるのが「ソソド ファラド ラファド ソソド」。
そういう事を、理解して弾きましょう。

音が広がっていく時は、想いを壮大に広げよう

バッハ「インヴェンション第13番」から
バッハ「インヴェンション第13番」から

基本的に、「音が上がっていく時は、息を吸っていきながらクレッシェンド」で、「音が下がっていく時は、息を吐きながらデクレッシェンド」します。
これは「基本的には」の事。

例外があります。
画像のように、両手の音が広がっていくフレーズでは、壮大さをどんどん増していくようなクレッシェンドです。
右手がクレッシェンドで、左手はデクレッシェンド、には なりません。

この中でのポイントは….

  • 右手 : フレーズの中での最高音に向かっていく
  • 左手 : 半音程になっている二音は、打鍵する指先から あなたの強い想いが鍵盤の中に入っていくように

両手(音域が)広がっていくフレーズでは、息を身体の底へ深く吸って貯めていきながら、壮大さを感じよう!

今日のピアノ動画*ラフマニノフ「前奏曲嬰ハ短調」”鐘”

ティブレイクは、ラフマニノフ作曲の「前奏曲嬰ハ短調」”鐘”Op.3-2をお送りします。

ラフマニノフ自身は、アンコールで演奏する事を所望されすぎてイヤになった、なんていう話もありますが、老若男女に人気の強い作品ですよね。

まとめ

  • 音の幅(音程)がどのくらい変わるのかを理解しておこう
  • 音程が変わる動きは和音化して動きも響きも覚えよう
  • 音域が変わる動きなら、二声と捉えて歌おう
  • 音程が狭い時は、その狭さを感じよう
  • 音程が広い(離れる)時は、その距離をうんと感じよう
  • 音程が広がった時は、時間をとっていい

さぁ、今日は音程を少し意識して楽譜を見直してみませんか?
きっと、今までと歌い方・表情付けが変わってきますよ。

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