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ピアノ大好きなあなたは、どの作曲家がお好きかしら?
ピアノを愛する多くの方々に愛されている作曲家を一人にしぼることはできません。でも、割と多くのピアノ大好きな人たちに好まれている作曲家に、ドビュッシーも入っているでしょう。

フランスの作曲家ドビュッシー
ドビュッシーと言えば、「月の光」や「亜麻色の髪の乙女」が好まれてよく演奏されていますね。
今日はそのドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」を例に上げて、もっと美しく弾くための練習のポイントをお伝えします!
Contents
ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」とは
フランスを代表する作曲家、クロード・アシル・ドビュッシー(1862-1918)は、2つの「前奏曲集」を1909-1913年にかけて作曲しました。
前奏曲集は各巻ともに12曲ずつ収録されています。「亜麻色の髪の乙女」は、前奏曲集第1巻の8番目、変ト長調のゆったりした作品。
古い歌曲からの編曲だと言われていますが、ルコント・ド・リールというフランスの詩人の詩の一節からとられています。
この「亜麻色の髪の乙女」は情景が浮かぶような、穏やかで温かい作品ですから、多くの方々に愛されるのはよくわかりますね。
では、「亜麻色の髪の乙女」を練習する上でちょっと気をつけるともっと素敵になるよ!なポイントについてお話していきます。
優しさのニュアンス付けとは?

ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」から
画像の左手が入ってくるところに注目してみましょう。ここは「亜麻色の髪の乙女」の冒頭の部分です。
冒頭から右手だけで奏でられていた美しいメロディに、何か温かく柔らかくて優しい気持ちが重なってくる。ほわん...として、心が癒やされるような感じがしませんか?
それなのに、そこで書いてあるとおりに左手が入ってくるところをストンと弾いてしまうと、何か台無しにされる印象を受けてしまいますよ。
だから、左手の打鍵はドスンと落とさないように気をつけてみましょう。
「あったかいもの」を包むように。あなたにとって「あったかいもの」って何かしら?私はね、育児してた時の我が子です。
優しさの、ニュアンスづけ。それがあなたの音楽をもっと豊かにしますよ。
付点音符は、その付点の分の伸びを味わうのがコツ

ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」から
画像の2小節目が問題の場所です。
付点4分音符とは、「4分音符+8分音符」の長さになりますよね。その8分音符の長さの分が、付点で表されています。でもね、その付点の分の長さが、欠けてしまうことがあるの。だから注意が必要です。
もし、その音に付点がなかったらどうだろう?と考えてみましょう。想像してみて。
付点がない場合、「4分音符と8分音符をタイで+8分音符」と書き換えることができますよ。
付点で伸びて「シーード」となっているところを、あえて付点(タイ)ナシで「シーシド」と弾いてみましょう。
そうやって弾いてみると、付点で伸びている所にも音が(響きが)ある事に気づきますよ。
その「シーシド」の「シ」の響きを「シーード」ってね、「ー」の伸びを聴いて!味わってね!あなたが伸びる響きを味わえたら、今までよりももっと豊かになってステキになりますよ。
付点の分の伸びを、味わおう!
タッタカというリズムの魔物に気をつけろ!

ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」から
さぁ、こちらも画像の右手フレーズが問題です。
「8分音符+16分音符二つ=タッタカ」というリズムが繰り返される。「亜麻色の髪の乙女」には、よく出てきますね。特別に難しいリズムではなさそうでしょ。
でもね、リズムは難しくないものほど、気づかいが欠けやすいのね。
どんなに音価が短い音でも、それぞれの音と音が引っ張り合うように、音と音の「時空間」を感じながら弾くのがポイントです。
拍を正しく理解する

ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」から
フレーズを歌う。
気持ちを乗せる。フレーズや響きから感じる自分の感覚を大事にする。
どれも正しいよね。歌うことや気持ちを乗せるのは、息づかいのようなものだから、機械のように拍を刻めるものとは違うでしょう。そう、メトロノームに合わせてかっちり弾くと違和感があるようなもの。
それでもね、拍は正しく取らないとね。ルバートしてる、というのとは別のお話です。
このように伸ばす音・タイになっている音というのは、その伸ばし加減が「適当」になりやすいの。
拍がいい加減になると、拍子感が崩れます。もし、あなたにその違和感がないとしても、聴いている人にとって、どう聴こえるか?を考えてみましょう。もしもあなたが踊る人だとしてね、音楽の拍が・リズムが狂ったら、つまづいたり転びそうになると思いませんか?
リズムって難しいよね。でも、理解するよう努めましょう。
どうして、それほどに音は伸びているのかな?なんで、もっと短かったらダメだったんだろう?って、考えてみたら、きっともっと面白くなりますよ。
忘れないでね。伸ばす音は本当に注意が必要です。
伸びる響きを聴いて、なぜそれだけの長さ、伸びるのだろう?って考えてね。
楽譜はパズル?メロディは1つじゃない

ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」から
ソプラノにメロディがあるのは自然なことよね。そのメロディが美しく聴こえて来ると、幸せ。
でもね、ホラ!ココにも「動き」がありますよ。画像の内声を見てみましょう。
「G♭→A→B♭」(ソ♭→ラ→シ♭)
きれいな音階になっていますよ。ソプラノのメロディが少しずつ音が降りて来るのに対して、内声は2度ずつ上がっていきます。そう、2度ずつの動きは「音階」になっているということ。
このような動きは、ちょっと意識を向けて大事にしてあげましょう。ソプラノのメロディとは違う距離感で、違うバランスで違う角度から聴くように弾いてみましょうね。
楽譜はパズルのようなもの。「え?こんなところに!」という発見はワクワクします。あなたも楽譜をじっくり読んで、いろいろ発見してくださいね。
ワクワクすることは、あなたの想像力・創造力を上げますよ。つまり、あなたの音楽力・表現力が豊かになるということです!
息の長い演奏をピアノでするための腕のコントロールとは?

ドビュッシー「前奏曲集第1巻」から”亜麻色の髪の乙女”冒頭
画像が出ている音までが、一つのスラー付けになっています。どこまでを(ここまでなのか、その先までなのか)一つの大きなラインと捉えるかは今は置いておきますが、まずはここまでが一つのスラーである事を認識。
つまり、少なくともそのスラーの中では息が切れないようにする。歌うなら、息継ぎはしません。例えば笛を吹くなら?やはり息継ぎはしない。それが息のコントロール。でもピアノを弾くには実際に喉を息が通過しないと発音しないわけではないので。
ピアノを弾く時の呼吸のコントロールは腕の使い方がポイント。ピアノの鍵盤に何かを伝えるのは、あなたの指先。これは歌うなら(笛を吹くなら)舌に当たるでしょうか。舌で発音する。でも実際に発音に至るまでのエネルギーの伝達がありますよね。ただ舌で発音するのは「チェッ」と舌打ちするのと同じ感覚。これでは音楽にはならないので、何らかのエネルギー(感情)が体の中から湧いてくる。
ピアノの場合、それを腕から指先へ伝えます。つまり、スラーの終わりの音に至るまでの間で、腕や手首が落ちてしまうとそこで区切れてしまう。伸びていく感じは失われてしまいます。だから?
そう、ポイントは、スラーの終わりの音までは腕や手首などを落とさないで打鍵していくこと。
ピアノを弾くには鍵盤を落とす動作が必要なのに、腕や手首を落とさないってどういう事?
そうよね。ピアノを弾く、発音するために鍵盤を打鍵するというのは、そもそも鍵盤が下に落ちてその先のハンマーが弦に当たるから音が出るのですよね。テコの原理。

ピアノの発音はテコの原理
コツはね、腕の回転を使うこと。打鍵は鍵盤が落ちるけれど、あなたの腕や手首までが落ちる必要はない=鍵盤に執着する必要はない。あなたの体の中にあるものは上がっていく、あなたの体の中のエネルギーは膨らみながら上がっていくとイメージしてみてね。
それは、あなたがイメージしている音の動き方と連動しますよ。
ピアノ動画*ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」
ティブレイクは、ドビュッシー「前奏曲集第1巻」から”亜麻色の髪の乙女”。
何を思い描くかや、その時の天気や体調によっても弾き方(表現)は変わるもの。
私はそれを楽しみながらピアノを弾いていきたいと思っています。
ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」を美しく弾くポイントのまとめ
- あなたにとって「あたたかいもの」を包むようなニュアンスを持って弾こう
- 付点の分の音の伸びをうんと味わうのが豊かに響かせるコツ
- タッタカという短い音価リズムでも、音と音が引っ張り合うのを意識しよう
- なんとなく弾かないで、拍をちゃんと理解しよう
- メロディが1つとは限らないから楽譜をじっくり読んでみよう!
この記事でお伝えした「亜麻色の髪の乙女」を美しく弾くポイントは、ほんのわずかです。細かく言えば1冊の本が書けるでしょう。
でもね、ここでお話したヒントから応用できることはたくさんあります。だから、あとはあなた自身がじっくり楽譜を読んで、あなたが出す音を聴いて、あなたの音楽を創っていってくださいね。
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