どうやって音を聴くのか?7つのポイント
「聴く」って簡単なようで、実は難しいこと。
だって音は「聞こえてくる」んですもの。自分が出す音は、ちゃんと聴いてるよ、だってほら、音は鳴っているでしょ!
そう感じる人は少なくなさそう。私もある時までは「聞こえている」のと「意識して聴く」の違いが、わかっていませんでした。
もちろん、ピアノをどう楽しむかは人それぞれですから、あなたが「聴いて」おらず「聞こえている」だけで弾いていたとしても、十分楽しいでしょうし、誰も文句は言いませんよ。
私だって言いません。それはあなたの自由だから。
音楽は書いて字の如く「音を楽しむ」事ですから、あなたが楽しいなら、最高ですよね。
ただ。
もしもあなたが、自分ひとりじゃなく、聴いてくれる人の事を考えだしたとしたら?
音を「どう聴くか?」について、一歩踏み込んでみる時期ではないかと思います。
さぁ、あなたが出す音、どうやって聴く?
Contents
どの音を聴いたらいいんだろう?

和音(重音)を弾く時、ちょっと意識したいな、意識したらいいんじゃない?と思うのが、「どの音を、聴く?」という事。
上の画像ですが、前からの繋がりもあるので、ここだけを見てこうすべき!という正解を出すことは出来ませんが。
それでも、この二つの和音だけを見ても、その中で聴きたい音・より響かせたい音はどれか?と考えてみましょう。
打鍵のバランスをいろいろと変えて、感じてみる事もポイントです。
あなたが一番聴きたい音だけではなく、その次に「寄り添うように・支えるように響いてきたら美しい音はどれかしら?」と、探ってみるのは面白いですよ。
「響かせたいな」、「より聴かせたいな」と思う音があったら。
それらの打鍵をする指が、打鍵する瞬間に、他の指よりも素早く、他の指よりももっと鍵盤の奥へと入っていくようなイメージでね。
バランスを変えると、すっかり聴こえ方も変わりますよ。
是非、意識してみてくださいね。
伸びる音を聴くのがコツ

楽譜は「縦」に読んではいけません。「横へ横へ」と読んでいくものです。
何故なら、音楽とは常に動いていく・流れていくものだから。
楽譜を縦読みしてしまうと、出てくる音も「縦割りの音」になってしまいます。
すると、音が流れていきません。次の音へ繋がっていかない。
それでは、音楽にはなりません。
譜読みをする時に、一度に鳴らす(発音する)音を縦に読んでしまうと、このような縦割りの悲劇が。
よく見て。右手は二声(二人いる)よ。
上声で「レ ソーーファミレ ソーーファミ」と歌う人と、
内声で和音の上の音で「レレドー レレドー」と奏でる人が。
それを理解していないと、「レ ソーーファミレ ソーーファミレ」と言う歌は聴こえなくて、
「レ ソ ド ファミ レ ソ ド ファミ」という音の動きが順番に聴こえてきます。
上声の歌を理解したら、弾く時はいつもその歌を聴きましょうね。
つまり伸びる音、「レ ソーーファミ」の「ソーー」を、その「ソ」が伸びゆくのを、聴き続けるのがコツです。
あなたが「聴く」か「聴かない」か?それ次第で「伝わる」演奏になるかどうか、変わってきますよ。
意識の持ち方一つです。
音の伸び・膨らみを聴く

右手の1音目は3拍伸ばす付点2分音符です。
とは言え、ただ3拍伸ばす事が大事なわけではありません。
その音が次の音に向かって行く、という「音の意志」を聴き続ける事が大事。
あなたはその音が次の音に向かって行くのを感じられますか?
その音が膨らんでいくのを聴き届けられますか?
そして、その音が本当に向かって行くのは、次の音を通しての「画像3小節目の第1音」です。
目的地を理解して、そこに向かって聴き続ける事が、推進力を生む「演奏の鍵」ですよ。
いつもと違う所を聴いてみよう

右手がいっぱい動いていますよね。くねくねと。
きっとこれを弾くあなたは、その細かな動きに神経を注いでいるでしょう。
右手が気になって、仕方ありません。
粒を揃えて弾かなきゃ?音を正しく弾かなきゃ?
弾くことに一生懸命になってしまうと、次第に1音1音の打鍵が「しっかり足踏み」みたいになってきます。
重た〜くなってくる感じね。
こんな所は是非、もう一方の動きがゆったりしている方を、聴いてみましょう。
もう一方の動きは和音ですね。
和音が続く中で、少しずつ音が変化している所があるでしょ。
その音の動きを聴いてみて。
するとね、右手が「一生懸命頑張っている音」じゃ、なくなりますよ。
そしてね、伸ばす和音に「響き」が出てきます。
ほ〜ら、美しいでしょ?
ぜひ、いつもと違うところを聴いてみよう!という事も、意識してみてね。
多声の動きは違う次元で聴くのがコツ

これは、「ラ ファドミド ドシラ|ソ」だと思う?(「ファドミド」は和音の上の音です)
「ラーードシラソーーミファソラーードシラソーー….」ではないかしら?
その間で動いている和音は、別の次元、別の空間のもの。
「ラーードシラソーー..」が目の前のリアルな事なら、「ファドミド(和音の上の音)」や「レシミド」などは、ちょっと自分の頭より高くて、もう少し向こう側の空間をさまよっている。
もしくは、そのもう少し向こう側の空間から、こちらに何かを向けてやってくるような感じ。
或いは、「ラーードシラソー…」は、ゴーカートに乗っている自分の動きで、
「ファドミド」などの和音の動きは、「空飛ぶダンボ」のような感じかも?
イメージ、例えるモノや状況は何でも良いのだけれど、同じ次元で考えないで、何かに例えてみたらどうかしら?
楽譜の中から見えてくる音・聴こえてくる音を大事に

この2小節を、じっくり見てみましょうか。
何に気付くでしょう?何かに気付くでしょうか?
第2拍から第4拍を、見比べてみましょう。
音だけ見ると、同じですよ。
だけど、16分音符の第1音から第2音へは、上がるのか下がるのかと言う違いが。
同じ「ラファミファ」でも、「ラ」から「ファ」が上がるのか下がるのかで、変わるものがあるでしょう。それを感じてみる。
感じたら、あなたはそれをどう表したいと思うかしら?
全ては、自分で感じる事を大事に。
方法(答え)は、一つじゃなくていいんです。
正解も不正解も、ありません。
自分で考えれば、いいの。
楽譜の中から見えてくる音、聴こえてくる音を、大事にしましょう。
指に任せて弾くのか?音を聴くのか?

こんなフレーズ。
テンポがブレやすい人の特徴は、こんなフレーズに現れます。
音価の短い音符が続いた後に音価の長い音符が現れると、1拍が短くなってしまうのね。

赤丸した所です。ほら、長く伸ばす音でしょ?
この赤丸の所だけじゃないですが、タイもね、ですよ。
多くの人たちが、何故か「伸ばす音」への意識がとても薄いのです。
「ゆっくりの曲」も、そうですね。
「フェルマータ」も、全然長く伸ばせない。ソワソワしてしまう。
どうしてなのか?それはね、「その音の長さの分を、待つのが怖い」のです。
「ただ、伸ばしているだけ(指を置いているだけ)」の時間が、怖いの。
それは、ある日の生徒さんも、言っていました。
自分で、本当はわかってるんですよね。
わかってるなら、意識一つで改善出来るからね。大丈夫ですよ。

ねぇ、この「伸びる音」の響きを、聴いてみようよ!
ね、聴くように意識して、弾いてご覧?と、弾いてもらうと、
💖できるじゃないの〜!
そう、「意識」一つなのです。
あなたが意識するかどうか?これだけの事なの。
ね、もったいないよ〜!
ちなみに、こんな感じです。
音の響きを想像してみよう

右手のメロディは、どんな風に歌ったらいいか、歌いたいかは、想像しやすいでしょう。
しかし、右手に対して左手はどうかしら?
右手を楽しげに弾いていても、左手の4分音符の打鍵が…
まるで鉛筆で机を叩くように、直線的な打鍵をしてしまったら、とてももったいない。
左手の4分音符は、とてもシンプルです。
それでも、それぞれの音の「弾力」のようなものを感じられると、もっとワクワクしてきますよ。
じゃあ、それはどんな弾力なんだろう?
- スーパーボールみたいに反応が速い?
- トランポリンみたい?
- ふかふかのソファに座った時のよう?
- チェロやコントラバスが、弓をこんな風に使って、こんな風に音を出す感じ?
何でもいいんです。ただ、あなたがどう感じられるか?
どう感じるのが、あなたにとって自然なことなのか?
それが重要なのね。
だから、私はそのお手伝いをしているだけ。
あなたが自分で感じられたら、もっと面白くなるよね。
耳を澄ませたら、もっとワクワクしてくるよ!
響きの違いを味わおう

低音部から始まる「ドーーーシドレファソラーー」
これを受けて続く

中音域での「ドーーーシドレファソラーー」は、似ています。でも、違うのね。
- 音域が違う
- 「レファソ」の「ファソ」、1回目は上がっていくが2回目は降りる
- 最後の「ラ」が変化する(半音上がる)
この「ラのフラット」と、ナチュラルが付いて半音上がった「ラ」の、響きの違いを、うんと味わいたいもの。もっと聴いてね。うんと聴いてね。
何度でも言うけど、あなたが感じることが大事なんですよ。
だって、あなたが創る、あなたの音楽なのだからね。
まとめ
- どの音を聴いたら気持ち良く響くかバランスを考えてみよう
- 伸びる音は待つのではなく、音の膨らみ・響きを聴こう
- 忙しない動きに意識をとらわれないで、いつもとは違うところを聴いてみよう
- 多声なのに全部を混ぜこぜに聴くのはやめよう
- 音はただ並んでいるわけじゃない。楽譜から見える音の繋がりに敏感になろう
- 指に任せて弾かないで音の伸びを味わおう
- その音はどんな風に動いて響きが伝わるのか、想像してみよう
「ただ弾く」から、たまには脱却してみましょう。それだけで、今までとは違う響きを味わえますよ。
エンジョイ!あなたのピアノ・ライフをもっと豊かに!
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