メンデルスゾーン「ロンド・カプリチオーソ」を理解する12の練習ポイント
ロマン派を代表する作曲家の1人、ヤーコプ・ルートヴィヒ・フェーリクス・メンデルスゾーン・バルトルディ(1809-1847)。メンデルスゾーンはドイツの作曲家であり指揮者であり、そしてピアニスト・オルガニストでした。

メンデルスゾーンが生まれた翌年、かのショパンにシューマンが生まれています。そのまた1年後にはフランツ・リストが誕生。そうそうたるメンバーですね。メンデルスゾーンは文豪ゲーテとも親交がありました。
メンデルスゾーンは父が銀行家で、裕福な家庭に育ったのも特徴的でしょうか。メンデルスゾーンが20歳の時(1829年3月11日)、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの死後はじめて、バッハの「マタイ受難曲」の公開演奏をし、バッハの音楽を復活させたとした功績も大きなポイント。
そんなメンデルスゾーンのピアノ曲は、とてもロマンティックで華やかだったり、悲しみや憂いがあったりと、今も人気が高いものが多くあります。
今日はそのメンデルスゾーンが1824年に作曲したピアノ曲「ロンド・カプリチオーソ」Op.14を取り上げて、あなたの演奏をキラリと輝かせる練習のポイントをお話致しますね。
Contents
音や響きの変化を感じて、どこへ向かていくのかを理解しよう

序奏の和音連打がなんだか、とってもリアルになっていませんか?1つずつ打鍵を上下にしていると、8分の8拍子に聴こえてしまいますよ。じゃあ、どうしたらいいのだろう?
それはね、打鍵する鍵盤から指を離さないで。常に指先が、指の腹が鍵盤に触れているように。そして、遠くから少しずつ近づいてくるのをイメージしながら弾いてみましょう。
遠くですよ。だから、あなたも遠くを見るようにね。壁の、もっと向こうの方を想像して。向こう側に、霧に包まれた街があるのを見るように。と、この曲をレッスンしていた生徒さんにお話したら、彼女が打鍵する時の、上下運動がなくなって1小節で1つのまとまりになりましたよ。
でもね、他のことなんかもいろいろやっているうちに、以前の弾き方が戻ってきちゃうことがあるんですよね。だって、その弾き方で今までずっと弾いてきたんだもの。体が覚えているのですから、意識しないと戻ってしまうのは仕方ありません。
では、そんな時にはね、アイススケートを想像してみましょうか。スケートリンクをスゥ〜ッと一気に滑るようにね。そう、イメージするってとっても大事なの。イメージするだけですぐに弾き方を変える事ができるのですから。
イメージするということは、誰にとってもすぐに出来ることじゃありません。イメージするのに慣れていないと、何をどうイメージしたら良いのかがわからないと感じる人は少なくないんです。
言葉(体験)で伝えるとわかる人、映像で伝えるとわかる人、音で伝えるとわかる人など、いろいろいますから、必ずしも映像でイメージしなければいけないという事はありません。それでもね、あなたが今までに経験してきた事を思い返すことなら、できるんじゃないかしら?そんな所から始めてみると良いかも。
さて、映像のイメージも一つじゃないですよね。今回のように、「遠くを見る」「霧に包まれた街を見る」では、手元・手前の現実感ではなくちょっと遠くの出来事を見るとか、回顧するような感じです。
でも、「スケートでスゥ〜〜〜っと滑るように」と言うと、実際に自分がスケートする時の空気の冷たさや、氷を滑る感触や、そして何より、滑る”スピード”や”なめらかさ”などが蘇ってくるでしょう。するとそこに「推進力」が生まれます。
だから、イメージ出来たら世界は広がる!もっと、ワクワクできちゃいます。
というわけで、イメージする事はあなたが音楽を創る上で、とても役に立つので、出来ればイメージする事を意識していくと良いでしょう。
ではもう一度、画像を出しますよ。

このように和音が続いているフレーズは、どこに向かっているのかが伝わらないと、だるい感じになってしまいます。すると拍感は失われ、進んで行く気すらしなくなる。
こんな時は是非、「音が変化する所」「響きが変化する所」に、注目してみましょう。
その変化を、感じる。
その変化を、味わう。
その変化に、向かって行く。
すると、あなたの演奏に推進力も出て来ますよ。とにかく、うんと味わってね!
16分休符の意味を考えてみよう

スラーの終わりでは、手を上げる・手を払う。そうは言っても、その払い方もその時々・フレーズによって変わります。
では画像のように、スラーの次に16分休符が入って、またすぐ次が始まる時はどんな感じなのでしょうか?そしてまた、同じように繰り返され16分休符が入るのは、何を表しているんだろう?
音型は同じようだけれど、二度ずつ上がって行く意味は何なのかしら?その先にあるものは、何だろう?
もし、その16分休符を感じるのが難しいなら、その16分休符で息を吸ってみて。
4分休符でも2分休符でもない、16分休符で息を吸うなら、どんな吸い方になるかしら。
そこで吸った息は、次の音へ、次のフレーズへと注がれるエネルギーになります。
ぜひ!16分休符の意味を、考えてみましょう。そこに、何となく16分休符があるわけじゃ、ありません。貪欲に、好奇心を持ってね!
メゾ・スタッカートとアクセントの塩梅を考えてみよう

「メゾ・スタッカート」は、「スタッカート」とは違いますよ。あなたの中で、曖昧になっていませんか?
では、「メゾ・スタッカート」と「スタッカート」を、どんな塩梅で弾き分けたらいいのか?と言うのは、フレーズの前後関係をも
見る必要があります。そう、前後関係を見る=つながりを理解することで、どう弾いたら良いかが見えてきますよ。
その音はどこへ、どんな風に向かって行くのか?あるいは、どこかへ向かっていく過程なのか?
今回の問題は、その「メゾ・スタッカート」に「アクセント」も付いている点です。「アクセント」は「その音を強く」、と習うでしょう。でもね、「強く」の意味は一つではありません。「強さ」にも種類があるし、その強さの幅は、とても広い。
だけどね、「強く」という意味だけが頭にあると、ただただ強調して打鍵しがちなんです。ここが危険ポイント。でもね、ここはアクセントだけじゃなくて、メゾ・スタッカートでもあるのよね。メゾ・スタッカートでアクセントって一体どんなふうに弾いたらいいんでしょうね?
スタッカートとアクセント、とは違うでしょ?その塩梅を考えてみましょう。
「アクセント」の本質は、「その音を大事にしてね」です。アクセントは石を投げるのとは、違いますよ。
是非あなた自身で考えて、いろいろな塩梅で音を鳴らしてみましょう。響かせてみましょ。
切り返しで気をつける事とは?

音が降りてきて、方向転換で上がるこのフレーズ。
画像の中で、赤で囲っている「ラ→ラ♭→ソ→シ」の、問題は「シ」への指が外れてしまうこと。「シ」へ指が届かない、手前の「シ♭」に触れて鳴らしてしまう事が多いというお悩みを、生徒さんから寄せられました。
生徒さんは、「ラ♭」を「2」の指で弾き、「ソ」を「1」、そして切り返しての「シ」を「2」で弾いていました。「何回練習しても、外れるんです!」と、泣きそう。
こんな時は、ちょっと意識の持ち方を変えてみるのがポイントです。
何故外れるのか?を考えてみましょう。この場合、何故指が外れてしまうのかと言うと、一つは「方向転換をする」事によって「ブレが生じる」事。でもね、それだけじゃありません。もう一つの原因は、「音程の違い」です。
「ラ♭→ソ」は、短二度(半音程)ですが、「ソ→シ」は長三度。短二度と長三度では、単純に鍵盤数で幾つ違うのか?見てみてね。
すると、近い音のようで「わ!こんなに差があったんですね」と気づく。差が生じるなら、意識しなければ正しい鍵盤に指を到達させるのは厳しい事。だから、音程が違う(変わる)のだ、ということを意識しながら弾くのがポイントです。
もう一つの方法は、方向転換するのだから、グルーピングを変えてみること。
「ラ→ラ♭→ソ」までで一つのグループ。そして、「シ→レ→ファ」は新しいグループだ、と捉えてみましょう。音の動きの切り返しは、簡単に回れ右するわけじゃないんですよ。これをうんと感じてみること。
これらが、切り返しで気をつける事です。
変化を読み取る

上の画像の2小節は、とてもよく似ていますね。こんな事、他の曲でもよくあると思います。
こんなよく似ているフレーズが繰り返される時、あなたは「よく似てる」で、済ませませていませんか?それで終わりにしていない?よく似てるから、弾きやすい?で進んでしまうのは、ちょっともったいないことですよ。もうちょっと、楽譜をよく見てみましょうか。何か、違う事・変化している事が、あるはずです。
- 音の変化
- ダイナミクス
これだけを読み取っても、かなり違いを発見できますよ。例えば左手。2小節目で、オクターブに音が増える事もありますね。それだけじゃ、ありません。リズムが微妙に変わりますが、
- 1小節目にはアクセントがあるけど
- 2小節目にアクセントはない
- 1小節目はフォルテシモになるけど
- クレッシェンドしていく2小節目はフォルテだ
さぁて、変化するのは、どうしてなんだろうね?
右手を見てみると…1小節目は、左手のフォルテシモとアクセントの音を受けて、16分休符がある。
その16分休符の意味は、何だろう?
何故そこに休符が入るのだろう?
「ねぇ聞いて」
「ねぇ、聞いてるの?ちょっと聞いてよ!」みたいな掛け合いかもよ?
そして2小節目は音が上がって、和音になる所もあるよね。どうして和音になったのだろう?
そしてね、その和音の音が、この2小節の中で一番音が高くなってるよ。
高い音は「目指して行く所だ」と考える事が出来たら、この次の小節に、気持ちがうまく繋がって行くんじゃないかしら?って、考えてみる。
大丈夫。何回かやってるうちに、楽譜の読み方のパターン/ポイントはわかってくるから。このような楽譜の読み方は、パターンだからね。
さぁ、あなたも楽譜の読み方に、ちょっとこだわってみよう!
ピアノ(p)は、体を開くとラクに弾ける

そこは「ピアノ(p)」なのに、低音だとどうしても音がボン!と飛び出しそうな気がして、身を縮こめて、恐る恐る弾こうとしてしまいます。そして、音がかすれちゃう。怖いのよね。うん、わかるよ。
呼吸も止まってしまうもの。体が、頭が前に出てしまうから、肩から上腕がブロックされてしまって、コントロールが効かなくなるの。
その上「静かに、静かに」という思いから、打鍵のスピードが遅くなってしまうのね。だから、音がかすれてしまう。それなら、その逆をいってみましょうか。
目の前を、胸の前を少し広くとってみましょう。視線は前。少し上ね。
体を、上半身を開く。バレエも同じよね。体を開くから、体が自由になる。体を自由に使えるようになる。
指先から肩まで、そして背中まで、1ピース(1繋がり)ですよ。指先だけで、弾こうとしないでね。
さぁ、体を開こう!ピアノ(p)は、体を開くとラクに弾けるよ!
打鍵のニュアンスを考えてみよう

「ピアノ(p)」で16分音符で上がっていくフレーズ。初めはレガートですが、途中からリタルダンドになり、メゾ・スタッカートにそして終わりの2音には、フェルマータが付いていますよ。
- 短い音価のメゾ・スタッカートって、どんな具合なんだろう?
- 切ればいい?
- 明確に切ればいい?
- 指のどこを使おう?
- スタッカートとの違いを、どう表せるだろう?
- 短い音価に付くフェルマータって、どんな塩梅?
- それぞれ、どんなニュアンスなんだろう?
- そして、この後は、どうなるんだろう?
というのを見たら、考えたら、フェルマータのニュアンスが、見えてくるんじゃないかしら?って、考えてみましょう。
3回繰り返される時は?

同じようなフレーズが3回繰り返されて発展していく、というパターンは、あらゆる曲に出てきます。
こんな時、「よく似ているから弾きやすい〜(わかりやすい〜)」で済ませないのが、あなたの音楽力(表現力)を上げるポイント!
もちろん、「よく似ているフレーズが繰り返される」事を認識するのは、第一歩の、大事なことですよ。
さて、上の画像で見ると、同じリズムのフレーズが3回繰り返されるのがわかるでしょう。でもね、変化している事があります。こんな風に同じようなフレーズが繰り返される時は「何が変化しているのか?」に注目するのがポイントですよ。
ざっくり答えを言ってしまえば(本当は考えて欲しいので、レッスンでは考えてもらってますよ)、
- 1回めより2回めは二度下がっている
- 2回めより3回目は二度下がっている
そう、二度ずつ音域が下がっていくのです。ということは?どういうこと?あなたはどんな事を感じるかしら?
音が上がっていく時と、音が下がっていく時では、感覚は逆のものになるでしょう。そういう事を、あなた自身で感じて、感じたままに音に表してみることです。それが、あなたの表現力を育てていきますよ。
以下のフレーズも同じように見ていきましょう。

1回目がこれ。まず気を付けたいのは、「これで一つのフレーズだ」と言う事です。右手の重音を、「つかむ」事だけに意識を置かないように気をつけましょう。
これらは指でレガートで弾くのは難しいし、それが出来るのであっても、そこにはこだわらなくていいんです。他にレガートにする方法はあるからね。
だけど、だけど。この4つの重音が繋がって一つのフレーズになっている・一つの歌になっている・一つの気持ちを表している、と言う事は、忘れてはいけませんよ。そうでないと、ただ、意味のない4つの重音を「並べるだけ」になってしまうからね。

続く2つ目のフレーズがこれ。
1つ目のフレーズとの違いを何か感じたい。感じて欲しい。オクターブ下がった?音が少し違う?そうね。違う事があるのだから、響きは同じじゃない。感じる事は同じじゃない。
響きから感じられる気持ちや雰囲気や空気や性格や、いろんなものが変わってきます。それを感じてね。

3つ目のフレーズがこちら。
2つ目のフレーズと音域は同じですが、2つ目のフレーズで付けられていた「#」がなくなっていますよ。と言う事は?やはり何か変化があるという事。半音変わる・半音下がる事から感じられる変化は、どんなものだろう?
そんな3つのフレーズの違い・変化を感じて、更に次のフレーズへと展開していくのです。この次、唐突に違う場面に変わるわけじゃありません。
この3つのフレーズの違い・変化を感じられたら・味わう事が出来たら、この次のフレーズの出現は唐突じゃないと、理解できるでしょう。
今そこで弾く音だけを読まないようにね。音は、横へ横へと読む。その響きの変化を感じて読むようにしましょう。
どこを見るのか?どこが「より大事」なのか?

右手は三度和音のトリルで、左手がオクターブ(8度)で音が移動して上がったり下りたりする8分音符の動きですね。
ここね、右手のトリルが弾きにくいと感じたり、左手と合わせにくくて〜なんていうお悩みも多くの人が抱くのですが、まず、この中で「どこを見るのか?どこがより大事なのか?」に注目してみましょう。
もう、楽譜に書き込みしているので、気づいたでしょうか。矢印を入れている左手部分です。
拍単位では、同じ音が8度移動で動いていますよね。「シ→シ→シ」「ド→ド→ド」のように。
この中で見るべきことは2つ。これも、本当は自分で考えて欲しい事です。次からはあなた自身で考えていきましょうね。
1つは、書き込みを入れた矢印の音の動き。「シ→ド」「ド→ド#」「ド#→レ」「レ→レ#」と、半音ずつ上がっていきますよね。この半音の動きを「感じて」弾いてみましょう。
もう1つは、拍単位で左手は「シ→ド→ド#→レ→レ#」と、やはり半音ずつ響きが上がっていくという事を意識すること。
決して「シ・シ・シ・ド・ド・ド|ド#・ド#・ド#・レ・レ・レ|…」とボールを投げ続けているだけではない、という事に気づいて感じて表すのがポイントですよ。
弾き方がわからなかったら、響きを聴いてみよう!

こんなフレーズ、どうやって気持ちを込めて弾いたらいいのかわからない、というお悩み。
右手の動きはわかるのだけれど、そこにある左手の和音はどう弾いたらいいのか、わからない。
どうしてそこに置かれているのか、わからない。
どんな意味があるのか、わからない。
だったらそんな時はね、そこだけ。その和音だけ、その和音の変化だけを、味わってみる事をオススメします。その和音の響きの変化を味わうのね。
初めはポンって切らないで、ちょっとテヌートから、ペダルを使ってもいいので、とにかく響きを味わってみる。その変化を味わってみましょう。すると、その和音の存在・性格を感じられますよ。
右手と左手で弾く音を、ただ縦で合わせているだけだと「ここに音があるから弾かなきゃ」で終わってしまって、響きやその変化に気づきません。
その響きを聴くためには、下の画像のような練習をしてみましょう。

出来る限り、一つの和音でとるようにする。すると、それぞれの響き・響きの変化を感じる事ができますよ。
アルペジオのフレーズなんかも、アルペジオで弾かないでね、和音化して響きを味わってみると、どう弾いていったらいいか、表していったらいいか、いっぱいヒントを頂けますよ♪
例えばこんな所もね…

下のように和音化して弾く練習をしてみましょう。

どう弾いたらいいか、どう表したらいいのかわからないフレーズは、出来る限り和音化して弾いてみましょう。
アーティキュレーションを正確に読み取って演奏に反映させよう

ここからのフレーズは、アーティキュレーションを正しく読み取って演奏に反映させるのは、あまりやさしい事ではありません。
指示のあるアーティキュレーションは、正しく読み取る事が第1です。そしてアーティキュレーションの指示がない音をどう弾くのか?を考える事が第2。
右手を見ていきますよ。気をつけるポイントを書き出しますね。
- 「レレ」には何も指示がないが、スタッカート気味に弾くのか?レガートで弾くのか?
- 「ミーレ」にスラーだが「レ」はスタッカート気味に弾くのか?もっと大事に弾くのか?
- 「レドシ」は「レド」にスラーで「シ」はスタッカート。混ざらないように。
- 「シーラ」の「ラ」の離鍵具合を考える
- 「ソファ」はスラーとスタッカートの両方が付いている(メゾ・スタッカートだ)が、そのニュアンスはどんな感じなのか?
こう書いてあるから、こう弾く!ではなく、そう弾いたらキレイに聴こえるのだろうか?違和感はないだろうか?音楽的か?をポイントに、考える。あなたが出す音を聴くこと。

こちらも同じように考えましょう。
「そ~そそらし」には、スラーやスタッカートの指示はありません。では、あなたはどう弾くのか?単音ではなくて和音になっているから「そらし」をつなげて弾きたいなら、ものすごく意識しないと、和音の下の音が「レレレ」と同じ音なので、その打鍵につられて「そらし」は「ソ・ラ・シ」と切れてしまいますよ。
続く「レドラ」も、一つ前の画像の「レドシ」は「レド」にスラーで「シ」がスタッカートだった弾き方につられてしまいます。でもここは「レドラ」3音にスラーが付いていますよ。弾き方は同じにはなりませんよね。
楽譜を正しく読み取って、演奏に反映させるとは、こういう作業を細かくやっていくことです。
グルーピングと音の方向性を示す

メンデルスゾーンの「ロンド・カプリチオーソ」には、この画像のような両手でオクターブの交互奏が出てくるのが特徴的です。
同じリズムで動いていくからと、また、はじめからフォルテシモだからと、全ての音を同じように打鍵していては、何を言いたいのか?音はどこへ向かっていきたいのか?聴いている人には理解できません。そもそも弾いているあなたがわかっていないとね。
上の画像の場合は、小節単位ではなく、音が動いていく向きで捉えてみましょう。
音が動いていく向きで見ると、「ドレファソラシ」で一つ。そしてそこから4度下がって「ファソラシド」と上がっていくので、これで一つと捉えます。
その中でも、「ドレファソラシ」の終わりの「ラ#→シ」、「ファソラシドレ」の「ド#→レ」という山を、他の音よりも少し意識して大事に弾くのがポイント。

こちらも同じことです。上の画像より長くなるバージョン。しかもコーダです。これらのグルーピングも、上と同じようにとらえてみましょう。
そして、赤で四角く囲った所が「感じる所」です。
そしてね、青で丸く囲ったところが「頂点」で切り替えして下りてくる分岐点でもありますから、ここは、うんと感じてみましょう。

さぁ、先程の両手でオクターブ交互奏の果ては、このようになります。和音続きで終わる。
ここで気をつけたいのは、やはりグルーピングです。
リズムだけを見れば、ほぼ、拍を刻んでいるだけのように見える和音たちですが!それぞれの和音が1つずつ、別個なのではありません。これら全てで「1つ」ですよ。
グルーピングとしては、右手の和音の上の音で言いますと(フォルテシモのところから)
- レ#→ミ→ファ#→ソ
- レ#→ミ
- ソソー
- ミミー
と捉えてみましょう。でも、これは打鍵のグループとしての「とらえ方」であって、フレージングではありません。フレージングとしては、これら全てで1つですよ。
あなたがどう捉えて、どう感じて理解して弾くかで、出てくる音楽は変わってきます。
だから、あなたが感じること・考えることを放棄しないでね。
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