【ピアノ奏法】フォルテは破壊力じゃない!フォルテに「力」はいらなかった
あなたはピアノでフォルテ(f)を弾く時、どんな風に弾いているでしょうか?
フォルテの意味は「強く」ですが、単純に音を「強く」弾けば良いのかなぁ?
強い音にもいろいろあるんじゃないかしら?
フォルテは「強い」ではなく「豊かに」とか「大きく」とか「包容力」とか考える事が出来たら?
もっとフォルテの幅が広がるんじゃない?
「f」の記号が楽譜にあるのを見ると、一様に強く、渾身の力を振り絞ってピアノに向かっていませんか?

フォルテだからと言って、渾身の力を込めてピアノを弾かなくたって大丈夫!
ピアノに向かっていかなくたって、ピアノと闘わなくたって全然問題ないんです。
一度、今までのあなたのフォルテの弾き方を横に置いてみましょ。
そして、もう一度「フォルテ」の弾き方について、考えてみませんか?
今日は、「フォルテ」をラクに弾くためのヒントをお伝えしちゃいます!
Contents
フォルテに「力」は要らない

画像は、ドビュッシー作曲「子供の領分」第6曲の”ゴリウォーグのケークウォーク”から。
この画像では、一番「感じて」欲しいのは、画像2小節目頭の「16分休符」。
ここで息を吸ってみましょう。
息を吸ったらね、ただ腕を落とすだけです。
「・ラファミドー」の始まりが「フォルテ」だからと言って、力強く、鍵盤に向かっていかなくていいの。
そんな必要は全くありません。
1音目の「ラ」から頑張って弾いたら、音の「横の繋がり」がなくなってしまいます。
1音ずつ、投げてるみたいになっちゃう。
ここではね、あなたは16分休符を感じて息を吸って、腕を落とすだけで、十分なんですよ。

そして、この最後の和音を弾く時には、ただ「腕の重さ」を鍵盤に乗せてあげればいい。
それだけ。決して、叩きに行かないでね。
「フォルテ」を弾くのに、「力」は、いらないんだよ。
「強い」の動作、イメージの持ち方

「fp」や「sf, sfz」や「>(アクセント)」を見ると、無意識のうちに「強く弾かなきゃ!」と思うのでしょう。
その上「強く弾かなきゃ」と思うと、強い音・フォルテなどの打鍵の動作は、「下へ」行ってしまいます。
打鍵の動作が「下へ」の意味は、
- 鍵盤を叩く
- 鍵盤を押す(押し付ける)
だったりします。まるで、とっさに鍵盤にケンカをふっかける、みたいな感じです。
その動作で出てくる音がどんなものなのか?
気にしなければ、気が付かないでしょう。
鍵盤を叩くように弾いたり、鍵盤の底まで必死で弾きに行くと、出てくる音はとても「固く」なります。
音が、伸びなくなるの。響かなくなっちゃうんです。
いやいや、そんなに伸ばしたり響かせたりしたいわけじゃないと言うなら、話は別ですが。
まずは、あなたが出している音が、どんな風に鳴っているのかを聴くところから始めてみましょう。
あなたは本当に、そういう音が欲しいのかしら?と、考えて試行錯誤してみるところからね。
あなたの「強い」音のイメージは、どんなものかしら?
「強い」は、「大きい」とか「膨らむ」「増殖する」などの意味を含む時も、ありますよ。
どんな「強さ」なのでしょう?その「強さ」は、「ギュッ!」と、固く何かを縛りつけるような強さなのかしら?
それとも、大きく開放するような強さなのかしら?
内に籠るのか、外に放つのか?
もし、外にエネルギーを放つようなイメージなら、動作も同じことです。
鍵盤に「落とす」「押す」のではなく、打鍵で手を落とさない。
逆ですよ。上がっていきます。
トランポリンみたいな感じを想像してみてね。
さぁ、あなたが出す音を、よく聴いてみましょう。
フォルテに向かう音を、想像してみよう

ドビュッシー「小さな黒人」の一部分。
クレッシェンドして行って、フォルテになるフレーズ。
「クレッシェンドして行って」フォルテになるんです。
始めからフォルテなのとは、違います。
では、こんな事を考えてみましょう。
- クレッシェンドする前はどのくらいの大きさなのかな?
- この曲で、このクレッシェンド以上に大きくなる所は、あるのかな?
というように。
クレッシェンドは、フォルテに向かっていく過程を、考えていきたいね。
そしてもう一つ考えたい事。それは、
- クレッシェンドの果てのフォルテって、どんな音なんだろう?
- キラキラしてるのかな?
- 輝かしいのかな?
- それとも叫びたい心境なのかなぁ?

さてこちらは、同じドビュッシーの「ゴリウォーグのケークウォーク」の一部分。
フォルテからクレッシェンドしてのフォルテシモって、難しいですね。
フォルテは「既に強い!」と思いこみやすいでしょ。
だから、はじめのフォルテの音には、かなり気を付けないとね。
だって、そこからたった1音経過するだけで、フォルテシモになるんですよ!一体どんだけ?
こんな所では、前後関係を見てみましょうね。
- この少し前の音量は、どんなものなのか?
- ここの他にフォルテやフォルテシモ、もしくはそれ以上になる所はないのか?
あなたが出せる音量の幅を知って、その中でコントロールしてみましょう。
そして、「効果的に聴かせる音量コントロール」を考えてみましょうか。
あなたが出せる音量の「ピアニシモからフォルテシモの幅」を見てみますよ。
「メゾピアノ」はこのくらいだから、「メゾフォルテ」はこのくらいになって「フォルテ」はこのくらい…だとします。
でもね、もしもフォルテシモの直前が、ピアノやピアニシモだったら?
そんなに張り切ってドカーン!と大きくしなくても、音量の変化を感じさせる事は、出来るんじゃないかしら?
そしてね、音量だけではなく、そこで必要な音色ってどんなもの?と考えられたら素敵ね。
あなたは「フォルテ」で
- 痛い音が欲しいのか?
(ショッキングな音が欲しいのか?) - ただ驚かせたいだけなのか?
- あったか~い気持ちにさせたいのか?
- あっかる~い気持ちにさせたいのか?
そういう事を、考えるだけでも楽しいですよ。面白いよ。
考えたら、もっと弾く事そのものが面白くなるし、あなたの演奏はもっと生き生きしてきます。
あなた自身も、もっと生き生きしてくるよ。
ワクワクしちゃうよ!
だから今日は「フォルテに向かう音を想像しよう!」ね♪
ピアノ動画*ドビュッシー「ゴリウォーグのケークウォーク」
ティブレイクは、ドビュッシー様の「子供の領分」から第6曲”ゴリウォーグのケークウォーク”をお送りします。
2018年9月2日のリサイタルから。ピアノはスタインウェイでした。
フォルテをラクに弾くためのポイントまとめ
- フォルテを弾くのに「力」は必要ない
- どんなフォルテなのか、想像しよう
- フォルテに向かっていく過程をも、想像してみよう
フォルテは「強い」だけじゃない!あなたの想像力をフル回転させて、様々なフォルテを生み出そう!
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