ポンセ「間奏曲」第1番を仕上げるための10の練習ポイントをシェア

2021年2月21日

ピアノを弾くのは本当に幸せで楽しいことですよね。

長くピアノを弾いていくと、大好きな作曲家の作品に没頭する時期もあれば、ふと、それまで一度も触れたことのない作曲家の作品も弾いてみたいな、と思う事もあるでしょう。

全く初めての作曲家の作品を弾く時、知っておくべき事はありますよ。
その作曲家の事は、少しでも知っておきたいところ。
伝記が手に入るなら読んでみましょう。
他にどんな作品があるのか?とか、今あなたが向き合おうとしている作品と同時期に作曲された作品を聴いてみる事もオススメ。

出来ればピアノ以外の演奏を聴いてみることで、あなたのイメージ力も広がっていくでしょう。

でもね、楽譜の読み方・何をどう読み取るか?という「その音楽と向き合う姿勢」については、その他のどの作曲家の作品と向き合う時と、基本的に変わりはありません。

楽譜に書かれていることを、出来る限り素直に読み取る。
読み落とさないよう、何度でも読んでみる。

実際にピアノに触れての練習を始めると、この「楽譜を読む」事から遠ざかってしまう気がします。

あなたが「どう弾いたらいいか」煮詰まったり「なんか弾きにくい」と感じたら、やっぱり原点に戻ってみましょう。
そう、「楽譜を読む」ところへ。

というわけで、今日はポンセ作曲「間奏曲第1番」を例に、楽譜を読む・仕上げに向けての練習のポイントをお話していきます。

ポンセとは?

マヌエル・マリア・ポンセ・クエラルは、メキシコの作曲家でピアニスト。
1882年12月8日生まれで1948年4月24日に亡くなりました。

作曲家マヌエル・マリア・ポンセ・クエラル
作曲家マヌエル・マリア・ポンセ・クエラル

「ポンセ」という姓なのに、「クエラル」と付いているのは、スペイン語圏の方々の慣習なのだそう。
「ポンセ」は父方の姓で「クエラル」は母方の姓なのだとか。

ポンセは聖堂で教育を受け、16歳で教会のオルガニストになったとか!

メキシコシティの音楽院で学んだ後、イタリアとドイツにも留学しています。
帰国後、母校で教えたり、キューバに行ったりしながらニューヨークでデビューしたり結婚したりと忙しない月日を経て、フランスはパリ音楽院にてポール・デュカ(デュカス)に作曲を師事。

ポンセの作品にはギターのために作られたものが多いのですが、ピアノ作品もとても素敵なので、ぜひ気になったら何か弾いてみてね。

ちなみにポンセの「間奏曲」は3曲あり、第1番は1909年の作品です。

序奏は響きの変化を感じよう

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」出だし

 

7小節の序奏を経て、本編に入ります。最初の問題はその「序奏」。
この出だしが響きの変化を伴って3回繰り返されますよ。

上の画像が出だしですが、次は下のようになります。

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」3小節目〜

1回めは和音の下の「ド」に#が付いていたのに、2回めではナチュラルに。

要するにこの三度の和音が「短三度」から「長三度」になったわけですね。
短三度に比べ、長三度になると少し明るい響きになるような感じがするのに、和音の下の音が「ド#」から「ド」へと半音下がる動きが、何か寂しさを感じさせるような気が?します?しませんか?(笑)

そんな風に、何が変わったのか、あなたはその響きの違いをどう感じるか?それを目一杯感じてみましょう。

そして3回目は下のように。

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」5小節目〜

ほら、和音は2回目の長三度から音程が半音狭まり、増二度に。

1回めから2回めへは、和音の下の音が「ド#→ド」と半音下がったのに対し、2回めから3回目は和音の上の音が「ミ→レ#」と半音下がっています。

1回めから3回目までの1つめの和音の変化をまとめると

  • 上の音:ミ→ミ→レ#
  • 下の音:ド#→ド→ド

単純に、弾く音が変わるんだ、というだけでスルーしないで、それぞれの響きの変化をじっくり味わいましょう。

あなたが何を感じるか?で、あなたが何を表現出来るか?が変わってきますよ。

主題を覚えておこう=曲の構成を理解しておく

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」7小節目〜

さぁ、いよいよ本編が始まりますよ。
きっとあなたも弾いてみたら、うっかり「うっとり」しちゃうんじゃないかしら?

この主題をよく覚えておいてね。「ピアノ(p)」で始まりますよ。
どうして覚えておいてほしいかと言うとね、まず手当たり次第弾いてみる前に、楽譜をよく見てほしいのですが。

この曲の構成を知っておきましょう。

序奏から始まって本編の主題(A)→変奏(A')→展開(B)→間奏(C)→再現(A2)→再現の変奏(A2')→コーダといった感じ。
めっちゃ大雑把にお話してますけどね(笑)。
ざっくりで構わないので曲の構成は、弾き始める前に楽譜を見て理解しておきましょう。

ちょっとした変化を見逃さない

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」12小節目

主題の途中ですが、なんとこの小節だけ右手が突然「二声」になっていますよ。それまでの動きのように、ただの16分音符での和音だと思わないでね。思い込み注意ですよ。

上の音のライン「ミーミミーラ」という音の動きを、ポンセさんは聴かせたかったんでしょうね。
あなたがこの「ミーミミーラ」を聴いてあげられなかったら?
「ミララミミファファラ」と聴いてしまったら?

そこにはどんな違いが生まれるのか?考えてみましょう。

弾く前に音の響きを聴く

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」13小節目〜

右手の和音が、様々な音程で動いていきます。

さぁ、この中であなたが聴きたい音の動き・聴かせたい音の動きはどこにあるのでしょうか?

時により曲により、和音の動きはハーモニーとして、どこかの音をより聴かせることもなく、同じバランスで弾くと良いこともあります。
そういう場合もあることは覚えておいて。

ではこのフレーズはどうなのかしら?
和音の動きはハーモニーとだけ考えて良いのかしら?

いや、きっとあなたは和音の上の音の動きを、メロディとして聴かせたいんじゃない?

もしあなたがそう思うなら、あなたが上の音「ラソソシシミミソ|ソドドレレソソレ」を、あなたが打鍵する前に音を想像して(頭の中で、打鍵直前に音を響かせて)あげましょう。

打鍵直前にその音の響きを聴く!ということを意識できれば、あなたが事前に頭の中で聴いた音が、指令としてあなたの指先に伝わります。指先に指令が伝われば、ちゃんとそのメロディラインをキレイに弾こうと、打鍵直前に指が準備しようと動きますよ。

自分の指だけど、意外と思っているほど言う事を聞いてくれないの。
言うことを聞かないと言うよりは、そもそも「伝えていない」んですね。
指はあなたの分身だから、わかってんやろ?と思うのは、ただの思いこみ。

末端神経へは、きちんと、そのたびに指令を送らなければ伝わりませんよ。

夫婦ならわかるだろ!とか言ったって、わかんないよ!っていうのと同じ(あれ?同じ?笑)。

二声フレーズの練習方法

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」15小節目〜

さぁ、ここからは左手が二声になっていますよ。
多分ね、最初に楽譜を見た時は「ここから二声」って気づくでしょう。

ところがいざ弾き始めると、次の音への動き・打鍵に必死になって、二声であることが遠のいていくのかもしれません。
そうなるとね、こんな風に弾いてしまうんですよ。

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」二声だってわかっていないとこうなる

でも、本来そのようなメロディではないでしょ。二声ですから。
だからこんな風に片手で二声を弾くフレーズは、下の画像のように

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」二声の練習方法

上声と下声とに分けて、

  • 上声は右手で弾く
  • 下声は左手で弾く

という練習が効果的ですよ。絶対やってくださいね。

その上で、他の楽器だったらどの楽器が奏でるかしら?と想像してみましょう。
例えば

  • 上声はチェロ
  • 下声はコントラバス

というようにね。

そうね、弦楽器で例えてしまいましたが、もしもこのフレーズを管楽器が吹くなら、どのような吹き方をするかな?と想像してみましょう。

弦楽器が演奏するなら、ボーイングも考えてみるといいですよ。
すると、あなたがどんな風に打鍵したらいいのかが、あなたの中でハッキリしていくでしょう。

弾きにくかったら打鍵を改めてみよう

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」23小節目

この画像のところに限りません。
この曲では右手はこんな和音の動きが多いでしょ。

こんな和音の動きの中で、あなたがもしも「弾きにくい」と感じたり、どこかの音がかすれたり隣の音を一緒に鳴らしてしまったりなんて事があるなら。

画像に赤の縦線を書き入れたように、音のグループ分けをして、そこで打鍵を改めてみましょう。

なんとなく流して弾いてしまわず、赤の縦線のところで、いちいち打鍵を改める(打鍵するポジションを改め直す)とクリアに出てきますよ。

クレッシェンドは段階を感じて考えていこう

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」23小節目

ここから「poco a poco animando e cresc.」の指示が。

こんな指示が書かれている時は、ちょっと気をつけたい所。
なぜなら、その指示が目に飛び込んできた途端、えいやっ!と動きを出して壮大にクレッシェンドを始めてしまいがちだから。

でもね、このクレッシェンドの目標地点はここから10小節も後の「33小節目」なのです。

それ、いきなり壮大にしちゃったら、目標地点まで持ちませんよね。
だから、この指示があるところから目標地点の33小節目までの間がどうなっているのか?を楽譜から読み取っていきます。

すると...

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」28小節目〜

poco a poco animando e cresc.」の指示があった23小節目から5小節後のこの2小節が「第1段階」。

続いて

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」30小節〜

ここが「第2段階」ですよ。そして

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」32小節〜

「第3段階」が1小節と短く、そして目標地点であるフォルテになります。

クレッシェンドは、この「3つの段階」に分けて、クレッシェンドの段階を上げていくとわかりやすくなりますよ。

この段階を変えるというのは、そもそも弾く音の高さが上がっていくのですから、あなたがいる場所の高さが

1階→2階→3階と上がっていく事を想像するとより良いですね。

1階では見えなかったものが2階に上がると少し見えて、3階に上がったらもしかしたら富士山も見えるかもしれない!
夜は1階じゃ見えないお月さまが3階ならキレイに見えるかもよ?

という、見えるものの違いを考えると、あなたの想像力はどんどん豊かになっていきますよ。

アルペジオは弾く前に打鍵の用意をしておくのがポイント

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」33小節目〜

ここからは、このような下降アルペジオが続きます。
ここで大事なことは2つ。

1つは1音ずつ打鍵しないこと。

「ソ」「ファ」「レ」「シ」「ファ」「シ」...ではありません。
「ソファレシファシ」で一つですよ。ちゃんと連桁されてますよね。

これらの6音は打鍵しながら次の音に指を用意していくのでは、遅すぎます。
それをやっている限り、出てくる音は「1音ずつ」になって、アルペジオとしての繋がりはなくなってしまいますよ。

だから、最初から「ソファレシファシ」6音全てに指を用意しておくのがもう1つのポイントです!

1音目を打鍵した勢いで第6音まで一息で弾きます。
1音ずつ打鍵で上下の動きをしないように。

再現部は何が違うのか?どんな存在なのか?

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」39小節目〜

さぁ、再現部が始まります。ではもう一度、再現じゃないはじめの方の画像を出しますよ。

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」7小節目〜

さぁて、この二つは何が違うかわかりますか?

こんな風に再現される時は、そもそも最初のフレーズと何か違うところはないのか?という視点を持って楽譜を読んでいきましょう。
似てるばっかりでラッキー💓譜読みラク〜!ではありますが、それだけで終わらせると自ら首を絞めてしまいますよ。

気づいたかと思いますが、強弱の指示が変わっています。

出だしは「ピアノ(p)」でしたが、再現部では「ピアニシモ(pp)」になっていますよ。
音はほぼ同じなのに、どうして強弱の指示は違うんだろう?って考えることを怠けないようにしましょう。

何事も好奇心旺盛でいるよう心がけましょうか。

その違いの答えは何でもいいんです。
あなたが考えられて、あなたが納得できればそれでいい。
納得できればそのように表していけるでしょ。

私なら再現部のピアニシモは「回想シーン」と考えます。
もちろんこれが絶対回答ではないので、ヒント程度に受け止めてね。

pppは、ソフトペダルを踏むべきか?

ポンセ「間奏曲第1番」
ポンセ「間奏曲第1番」61小節目〜

さぁ、いよいよ終わりです。

最後の和音の動きは「ピアノ(p)」でしたが、最後の最後で「ピアニシシモ/トリプルピアノ(ppp)」になっていますね。

こんな時、左のソフトペダルを踏むべきか?

踏めるなら踏んだらいいでしょう。
でもね、この1音のためだけに左足を動かすのが不慣れで逆にぎこちなくなってしまうなら、踏まなくても構わないと私は考えています。

pからppではなく、pからpppまで落としたいとポンセさんは考えた。
なぜppではいけなかったんだろう?という点も、考えるポイントですよ。

静かな音・弱い音を打鍵する時、ビビっちゃったり「静かに弾こう」として打鍵のスピードが落ちると、音がかすれたり出なかったりバランスが悪くなったりします。

こんな和音を弾く時は、鼻から「フッ」と息を吐きながら、用意しておいた指を、力を入れないでただ「ストン」と落としましょう。

その時、あなたは指が触れる鍵盤ではなく、顔を上げて、前方のうんと向こうの方で音がかすかに鳴ってるのが聴こえる...という状況を想像すると尚いいですね。
そう、だから顔は上げて打鍵しましょう。ポイントですよ。

以上です。

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