ピアノでの多声(ポリフォニー)フレーズを練習するポイント

2018年5月14日

多声(ポリフォニー)音楽とは、複数の声部が協和し合う・絡み合う音楽のこと。

ピアノではバッハの作品がポリフォニーの代表のような存在です。
ポリフォニー音楽のことを、うんとわかりやすく言うと、始まりは「カエルの歌」でしょう。
言い換えれば中学生からやる混声合唱のようなもの。大雑把に言うとね。

「カエルの歌」は、先に歌い出す人も楽しいし、後から追いかける方だってワクワクするよね。
混声合唱だってそう。

声が高いソプラノばかりが主役なわけではないでしょ。
アルトやテノールやバスが登場するその歌声はワクワクしたりゾクゾクしたり。
もしその声部がなかったら、寂しく感じるかもしれません。

でもね、歌うのだったらそれぞれのフレーズは歌う人が違うのだから良いよね。
でも、1人で全ての声部を演奏するピアノや他の鍵盤楽器は、ちょっと注意しないと頭の中も指も混乱のドツボにはまってしまいます。

バッハ「シンフォニア第14番」から

今日は、そんな多声音楽のピアノ練習法を考えてみましょう。

ピアノでの三声フレーズは三人の会話。三者三様の気持ちを考えてみよう!

バッハ=ブゾーニ「トッカータとフーガ」BWV564フーガから

これは三声フーガです。
左手で弾く下の段の音符が、棒が上についている内声ラインと、棒が下についているラインがありますよね。右手に一声ありますから、合わせて三声。

ソプラノは「みふぁそふぁみれみふぁそふぁみふぁ|れー」と、終わります。

アルトは「そっみっふぁっそっみっふぁっ|そー」と、終わる。

ベースは「どー」と一度終わって「どっ|しっれどれっ・・・」と、また始まる。

終わるカタチのソプラノとアルトも、その終わり方(の気持ち)は違います。
ソプラノは気持ちが柔らかく終わる。
でも、アルトは少し希望を持つようなカタチでどこかへ向かう兆しを見せて終わる。
そしてベースは始まっていくので前へ前へと進んでいく。

だから、画像の2小節目の第一音、ソプラノの「レ」・アルトの「ソ」・ベースの「シ」、これらの気持ち/音の方向性は全て異なります。
だから、ピアノで同じ打鍵をしてしまうとそれを表せないよね。
こういうところは、意識してすごく気をつかってあげるポイントですよ。

だから、ピアノでも一声ずつの練習、それも声を出して歌う練習が有効なのです。

ピアノで内声に歌がある時は、内声だけを弾く練習を欠かさないこと

リスト「愛の夢」から

有名な曲だし、よく知ってるし、大好きだし。
だから、よくわかってる♪うふふん♪嬉し楽しですよね。

でもね、ピアノで弾く時に内声にこのように歌があって、それを右手も左手も使って奏でていく場合はね、ちょっと危険。
ちょっとした勘違いが大きな間違いになることがあります。
だから必ず、その内声だけを弾く練習をしましょう。

内声の歌だけを弾いてごらん♪と弾かせてみると、あ!あう!ってあるべき音が欠けていたりするのです。
ト音記号に書いてあったりヘ音記号に書かれてたり、棒の向きもあれれだし、ちょっと引っ掛け問題みたいよね。
だから、声部ごとに弾く練習をやってみましょう。

内声に歌がある時は、内声だけを弾く練習を欠かさないのが上達のポイントですよ。

ピアノでの多声(ポリフォニー)フレーズの練習法は、この方法が理解を深める近道だ!

シューマン「アラベスク」から

こちらは三声です。
合唱で言うならば、ソプラノ、アルトにバスと言ったところでしょうか。

ピアノの練習はまず、片手ずつ….では、ありません。
まず、ソプラノ(最高音部のライン)だけを弾いてみましょうか。
次にバス(最低音部のライン)だけを弾いていく。
そして、内声であるアルトのラインを弾いていく。

この内声(アルト)がクセモノなんですよね。
何故ならピアノでの内声のラインは、左手も右手も使って弾くことになるから。

だから、この内声のラインだけを弾く時も、両手で弾くにしても、「まるで片手で弾いているように」弾くことが大事。
そうなっているかどうか、あなたが出す音をよく聴きましょう。
つまり、バランスを聴くということですね。

左手も右手も、「1」の指を多く使うことになります。
「1」の指=親指は太くて他の指に比べると鈍感だから。
だから、受け渡しはものすごく気をつけて、気をつかって、耳でよーっく聴いて。

そして、それら各声部(ソプラノ、アルト、バスなど、それぞれのパート)の動き=音楽がわかったら。次に、二つのパートを一緒に合わせて弾いてみます。

例えば「ソプラノ+バス」「ソプラノ+アルト(内声)」「アルト(内声)+バス」というように。
この3種の中では「ソプラノ+アルト」と「アルト+バス」の練習に重心を置きたいですね。
何故かはやってみるとわかるでしょう。実にこれが(はじめのうちは)ややこしいですから。

なんちゃって合わせ弾きはピアノ練習での最大の時間の無駄

シューマン「アラベスク」から

続くこちらは「四声」。
いわば、混声合唱ですね。
ソプラノ、アルト、テノール、バスと四人勢揃い。

こちらの練習法も、基本的に「三声」のものと同じです。
まず、一声ずつさらう。そして、二声組み合わせて弾いてみましょう。

こちらは四声なので、組み合わせるパターンは三声のものより増えますね。
めんどくさー!と思うかもしれません。
でも、これをやるのとやらないのでは、理解するのにかかる時間も、実際に弾けるようになるまでの時間も、全然違いますよ。

だから、なんちゃって合わせ弾きは、もうやめましょうね。

今日のピアノ動画*バッハ「シンフォニア第14番」

ティブレイクは、バッハ様の「シンフォニア第14番」です。

バッハ作品は、何度弾いても(練習しても)発見があったり、新しい気持ちが自分の中に芽生えるのを感じて楽しいです。

ピアノでの多声(ポリフォニー)フレーズの練習法のまとめ

  • 三声フレーズは一声ずつの練習、声を出して歌う練習が有効!
  • 内声に歌がある時は、内声だけを弾く練習を欠かさない
  • ポリフォニーは一声ずつ練習したら、外声と内声を組み合わせて弾いてみる
  • なんちゃって合わせ弾きはやめる!

今日は主に三声の練習についてお話しましたが、四声でも五声でも同じ要領でやってみましょう。
最初は腰が重いかもしれません。でもね、結局急がば回れ、近道なんですよ。

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