ピアノで弾く和音でレガート奏法・音域移動、気をつけたいポイント
ピアノで弾く和音にもいろいろあるけれど、多くはハーモニーとしての役割を果たしているでしょう。
ハーモニーとして和音があるなら、主役のメロディが別にあるので、和音の動きは軽くみられやすい(涙)。
でも、中には和音そのものがメロディを担っていたり。
いずれにしても、和音が続く動きは、決して弾きやすいものではないですよね。
そんな和音の動きで、レガートで弾くには?移動で気をつけることは?アルペジオはどうとらえたらいい?
ピアノで弾く和音の動きで、ちょっと気をつけたらいいポイントをお話します。
Contents
和音のレガート奏法は、耳と指先に集中するのがポイント

右手は、三度音程の和音が続きます。それはレガートで弾くべきところ。
これは初歩の教材の小品ですが、この和音続きのレガートは身につけるべき大事な奏法です。
※ ブルクミュラー「25の練習曲週」から”狩り”。
これが出来なければ、どんなに曲が大きくなっても、三度や四度音程の和音の動きや速いパッセージを弾けるようにはなりません。
同じ和音が続く時は?

画像1小節目は同じ和音が続きますね。
同じ音が続く時は、鍵盤から指を離さない。
離さないと言うよりは、鍵盤に指を触れたまま。
あるいは、鍵盤があなたの指に吸い付いてくる!と思ってみてください。
和音が二度動く時は?

画像2小節目です。一つ目の和音から二つ目の和音へは、上の音も下の音も二度下がっていますね。
一つ目の和音を打鍵する時に、手を落とす。そして、二つ目の和音に向かって腕を落としたまま
回転させるように、自然に動かす。
二つ目の和音の打鍵で腕を上げる。
(二度上がる場合でも同じようにやります)
和音の動きの中に、共通の音がある時は?

画像3小節目です。一つ目の和音の下の音が、二つ目の和音の上の音になっていますよ。
このような場合には、二つの和音で共通していない方の音を弾いている指を残したまま(押さえたまま)、共通している音を弾いている指をわずかに先に上げて、次の和音を打鍵する準備をします。
この時、できれば、共通している音を弾いている指を上げても、鍵盤からは指が離れないと、尚良いですね。
ぜひ、気をつけてみてくださいね。
和音を極力、切らずに弾く方法

この画像の場合は左手です。
一つ目の和音から二つ目へは、特にスラーが付いているわけではありません。
でもね、この二つは限りなくレガートで
つなげて弾きたいのです。何故なら、解決する進行だから。
和音の上の音、「ドーーー」は、「シー」に優しく向かって行く。
息を吐いていきますよ。
しかし、一つ目の「ドーーー」も二つ目の「シー」も、指は「1」です。
同じ指を続けて使ってのレガートは、難しいですよね。
では、視点を変えて、支点を考えてみましょう。
一つ目の和音、「レファ#ド」は、「531」の指でとります。
二つ目の和音「ソシ」は、「21」の指。
この場合、一つ目の和音の「ファ#(3)」を支点としてみましょう。軸ですよ。
「ファ#」から次の和音の「ソ」へは、レガートで弾くことができますね。
指使いは「3→2」ですし、音程も半音しか違いません。
この2指は寄り添わせておき、二音目の「ソ」を打鍵するまでは「ファ#」は離鍵しない。
これが支点の役割です。
次に上の音。「どーーーーしーー」は、どちらも「1」の指。しかし、鍵盤は隣です。
半音降りるのですが、難点は【白鍵→白鍵】と動く点。黒鍵→白鍵ならば、滑り落とせばいいので割と弾きやすいでしょう。
でも、白鍵→白鍵であっても、隣に「ずらす」と思ってみましょう。
「弾き直す」と思わないでね。
指を上げて打鍵し直す感じではなく、ただ「ずらす」。
和音を極力切らずに弾くには、支点(軸)を意識する。是非、お試しくださいね。
重音レガートの弾き方

右手は三度の重音レガート。
一つ目は「ドとミ」を「2と4」の指で弾き、二つ目は「ラとド」を「1と2」の指で弾きます。
一つ目と二つ目の共通点は「ド(2)」。
同じ指で同じ音が続くということは、その指は弾きなおすことになります。
だから、それをレガートにというのはかなり厳しい事。
ここで気をつけるのは、一つ目で「ド(2)」を離鍵するのに重音の上の音(指)がつられないようにするという事です。
同音を含む重音レガートでは、離鍵のタイミングが重要。
一つ目の重要では、上の音より下の音の離鍵を早めに。
そして次の重音を弾く準備をします。
二つ目の重音を打鍵してから離鍵するのが、上の音ですよ。
手を交互に、近い重音を弾く時に気をつけること

「ここが、両手が重なってて、弾きにくいんですけど…」と、ある生徒さんが言うので、どれどれ〜と見てみると…。
確かに左右交互の重音弾きですが、右手で弾いた重音の一部を次の左手でも弾くんですよ。
その左手で弾いた音に、次の右手がかぶさってくるなど、確かに、どっちの手が上やねん?みたいな窮屈感も。
実際、指がビシバシぶつかります。
うん、それはね、真面目に弾いてるからだよね。
その音価の通りに、打鍵したらきっちり押さえておこう!とするから、苦しいのです。
いえ、もちろん、音価は、大事ですよ。
だけど、ペダルも使うでしょ。
(これはちょっと語弊があるといけませんね。
ペダルに全幅の信頼を寄せたらいいじゃん!>どの曲でも!とは、思わないで頂きたいのです。
今この場合のお話で、という事でご理解を!)
右手の重音で欲しい音は、一番上の音です。
だから、こうやって弾いてみたらどうでしょ?
欲しい音は、ふわりと立ち上がるし、手(指)は邪魔にならないし、一石二鳥ですよ♪
和音が続くフレーズで気をつけたいのは、アーティキュレーションだ

右手は素敵に軽やかに歌っていても、左手の弾き方ひとつでガラリと変わってしまいます。
和音はつかめている。進行も、わかっています。じゃあね、
- アーティキュレイションは?
- 音の長さと休符の関係はどう?
- スタッカートが付いている音はどれ?
- スタッカートが付いていないのは、どれ?
それらを、もう一度よく楽譜を読んで理解しましょうね。
そしてそれを演奏に反映させるとね、すっごく躍動感が出てきますよ♪
和音が続くフレーズで気をつけたいコトは、音価・アーティキュレイションだ!
分散和音は和音化して「型作り」と「移動」の練習をするのがコツ

このように、「分散和音」が続くフレーズなら、その「分散和音」を「和音」としてつかむ練習をしてみましょう。
それぞれの「分散和音」は、1音ずつ「弾きに行く」わけではありません。
それでは遅いです。
例えば右手の最初の分散和音「「ソミドっ」。
「ソ」の打鍵をする時点で、続く「ミド」には指は用意されているように。
その方が「運動量」が少ないからね。
「1つの動き」で「ソミドっ」を弾けるからです。
そもそも「ソ」「ミ」「ド」ではなく、「ドミソ」という和音を「分散させて」弾くだけなのですよ。
そのために、分散和音を、敢えて「和音化」して「つかむ」練習をするのが効果的なんです。
次に、それぞれの分散和音を全て「和音化」してつかみます。
その「和音化」した状態で、パッパッパッパッと「移動」出来るよう、練習をしてみましょう。
例えば「ドミソ」は、それぞれ「三度」ずつの音程関係ですね。
でも「ソドミ」になると、「四度+三度」(ソとドの音程は四度、ドとミの音程は三度)なので、「ドミソ」をつかむ時とは、手の状態は変わってきます。
それを、瞬時に変えられるように意識して練習する事が大事。
楽譜通りの分散和音で弾くのは、これが両手ともに(まずは片手ずつ)、スムーズに出来るようになってからです。
このような、分散和音系のフレーズが苦手だという方は、是非お試しを。
和音の動きは、先にポジションをとっておくのがポイント

こんな動きは、和音一つずつつかみに行かないようにしましょう。
赤丸したように、和音二つずつを合わせて、一度に一つの和音としてつかめるようにする。
そうすると、効率がいいですよ。
もっと言えば、右手が弾き始める時に、左手も二つの和音を同時につかめるように、ポジションの用意が出来ているとグッド!
試しに、それらの和音を二つずつ(右手も左手も、4音まとめて)つかんで、同時に鳴らして動いてみましょう。
ハーモニーの動き方が、わかりますよ。
ハーモニーの動き方がわかるということは、性格の移り変わりがわかるということ。
ふふふ。つまり、どう表現したら良いかが明確になるということです。ベリーグッド!ですね♬
音域移動は、前もって素早く用意しておくのがポイント

画像の右手のお話。
「・ファソ ソファソ ソファソ ソファソ」と、音域を移動していきますね。
初めの「ファソ」は、多分に「2→1」の指使いにするでしょうか。
そして次の1オクターブ上の「ソファソ」の指使いは、その次がまた1オクターブ上がることを考慮して、「5→2(もしくは3か4)→1」となるでしょう。
「・ファソ」を弾いているところ。

この「ソ」を「1」の指で弾いてから、次の1オクターブ上の「ソ」に手を開いて「5」の指を持っていくのでは、遅いんです。
それは賭けに出ているようなもの。命中率は一か八か。
だから、「ファソ」の「ファ」を弾いた時の「てのひら」は、「伸びるでー!」が出来る状態に。
(てのひらの筋肉が「今から伸びまっせ〜!」と、ワクワクして狙ってる感じ♪)
そして「ファソ」の「ソ」を「1」の指で弾くと同時に、もう「てのひら」は「一瞬で伸びる運動」をしていて、

このようになっている、ということ。
これは、音域移動(跳躍含め)に限らない事です。
次の音への準備は、そこに来てからではなく、「その前に」しておくのがポイントですよ。
ちょっと頭の片隅にでも、引っ掛けといてくださいね。
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