ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5を素敵に弾くための10の練習ポイント

2021年4月30日

ロシアを代表するピアニスト、セルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)。

多くのロマンティックなピアノ作品に魅了されて、日々練習に励んでいるピアノ弾きは男女問わず、とても多いことでしょう。

ラフマニノフのピアノ曲と言えば、とても有名で最初に憧れて手を出すものに、「前奏曲嬰ハ短調」”鐘”があるのではないでしょうか?ラフマニノフ自身も、アンコールで「前奏曲嬰ハ短調」”鐘”を弾く事を求められすぎてイヤになったというエピソードも。

「前奏曲嬰ハ短調」”鐘”にとどまらず、ピアノ協奏曲第2番や第3番も、世界中のピアノ弾きを魅了しています。他にも魅力あふれる作品がたくさん。そんなラフマニノフのプレリュード(前奏曲)の中に、作品23-5「アラ・マルチャ(alla marcia)」行進曲風に、というト短調の作品があります。

「アラ・マルチャ」と書かれている通り、行進曲の雰囲気で始まるのが少し勇ましい印象が。しかし中間部では、ラフマニノフ独特のロマンティックが満開に。このギャップは萌えますよね。ちなみに私が過去教えてきた中では、中高生男子がこの曲をどうしても弾きたい!とレッスンに持ってきた事が多かったですよ。

ラフマニノフ
ロシアの作曲家ラフマニノフ

ラフマニノフさん、超がつくほどのイケメンさんですよね。

今日はラフマニノフの「プレリュード」Op.23-5を取り上げて、演奏効果が上がる練習のポイントをお話します!

キャラクターの違いを感じよう

ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5
ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5、14小節目から

さぁ、ここでは楽譜をパッと見た印象から、「あれ?」「何これ?」を感じて欲しいところ。

さてここでは、なぜ8分音符の「棒」の向きが下になっていたり上になっていたり、分かれているんだろう?

なぜ、拍に対しての音符の繋げ方も違うのだろう?って、こんな風に素朴な疑問を持てたらナイスですよ。

なぜなのか?それはね、そこで歌っているのは一人じゃないからです。そこには二人、二つのキャラクターが存在するから。

一人が何かを語れば、もう一人が合いの手を入れるように。そう思えたら、その二つは同じ気持ちにはならないでしょう。同じ打鍵はしないんじゃないかしら?

8分音符をつなげる横線の付き方が、2音ずつだったり3音になってたり、1音だったりします。その中に付いているアクセントも、何でそこにアクセントが付いているんだろう?って考えたら、きっと答えが見つかりますよ♪

ぜひ、素直に疑問に感じて考えてみましょうね。

メロディはどこにあるのか?

ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5
ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5、17小節目

このフレーズを見て、あなたはどう感じるかしら?あなたは、この中のどこを歌として感じますか?

ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5
ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5、17小節目

全てが同じラインではありません。二声だとわかる書き方にはなっていなくても、前後関係からも読み取れることがありますよ。

画像に赤丸で書き込んだところが、メインのメロディです。

「シーーーシドレミレーーーー(レミファソファ)」がメイン。その間に入る「タカタッ」というリズムの重音は、メロディの音が響いている中で(内面で)増殖していくエネルギー。メロディのエネルギー増量を助ける動きのようなもの。決してメロディを分断させないよう、メロディを聴き続ける中で弾く事を意識してみましょう。

オーケストラを指揮する事を想像してみよう

ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5
ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5、35小節目から

想像してみてね。あなたは、何十人というオーケストラ・メンバーを操る指揮者なのだという事を。あなたが指揮者だったとしたら、

  • それはどんな気分だろう?
  • それはどんな視野だろう?
  • それはどんな胸の高鳴りだろう?
  • それは、どんなワクワクだろう?

そこに居る「あなた」は、どんな表情をしているかしら?あなたはどんな呼吸と身振りで、オーケストラのメンバーに語りかけて行くのかなぁ?どんな風に、コミュニケーションをとって行くと思う?

このセクションは、まるでオーケストラが奏でる音楽のよう。まるでピアノ協奏曲の中の一部のようです。そんな壮大さを感じるかしら?ちょっと、ピアノ協奏曲第2番に似ていないかなぁ?とても、美しいところですよね。

あなたは一人で弾いてるんじゃない。あなたがオーケストラを奏でさせるんだよ。それを、強く強く、想像してみましょう。それだけでいい。

あなたが感じた事を、自由に出してみましょうね。

心変わりを見逃さないで

ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5
ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5、35小節目から

画像の上の段と下の段は、よく似ています。メロディは同じですよ。でもね、ハーモニーが変わるのね。

左手のアルペジオは、ちゃんと変えて弾いているのに、右手のハーモニーが変わらない。このような微妙な変化は「ついうっかり」で、譜読みの時に誤って思い込みがちです。間違って覚えちゃうと、なかなか直せないんですよね。

両手で合わせたら気付きそうですが、間違えて覚えちゃった本人は、そういう曲だと思ってるからね、気付きません。

メロディと同じように、ハーモニーも、その「響きの違い」をよく聴くようにしましょう。ハーモニーの変化は、気持ちの変化ですよ。微妙なニュアンスの変化。

ハーモニーの変化は、心変わりを「におわす」もの。

いつもそこに居てくれて当たり前だと思っていると、大事な人の心が離れている事に気付かなかったりする。って、ちょっと違う?(笑)

16分音符フレーズを迷わず弾けるようにする方法

ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5
ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5、41小節目

この画像の左手のように、延々と16分音符フレーズが出てくる曲があります。画像のところは、少し特徴的な動きをしているので、わかりやすいかもしれません。(他の曲なら、ラフマニノフ「楽興の時第4番」、ショパンの「革命」の左手や、「黒鍵」の右手が該当しますね)

このアルペジオを含むフレーズの連続では、同じ動きかと思えば、中の数音だけ違っていたり。覚えにくい事、指に馴染みにくい事千万です!でもね、そんなところも迷わず、弾けるようになる方法がありますよ。結構、単純です。

歌ってしまえ!歌って覚えちゃう~♪こと。

呪文のように、繰り返し歌って覚える。スラスラと歌えるようになった頃には、すっかり弾けるようになります。

何故、言えるように・歌えるようになれば、弾けるようになるのか?(動きを覚えて弾けるようになるのか?)それはね、わかっているようでいても、実際に頭の中では、音の細かな動きを正しく把握できていなかったんです。だから弾けなかった。だから、弾くたび迷うの。

この「歌えるようにして覚える」方法は、過去に何人も生徒達が実証済み。

もしも、あなた様がこんな曲をやっていて困っていたら、是非お試し下さいね。

ピアノで同じ音が続く時に指を替えるのは意味がある?

ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5、49小節目から

この画像は一例で、音がどのように進行していくかは曲によりいろいろ。

でも、このように同じ音が続いて違う方向へ音が動いていく場合は、その同じ音の2音目を打鍵する時に、指を替えるのは意味があります。それはどんな意味かって?

それはね、次の音への打鍵をスムーズにする/しやすくするという利点がある、ということ。その利点は、極力美しい音を出すための、凸凹しないための技法の一つです。その方が弾き易いの。

同じ音が続いているから同じ指で弾いた方がラクチンじゃん?って思って弾いていた子も、「あ!ほんとだー」と感じてもらえました。

ある人たちにとっては、これは当たり前の事かもしれません。でもね、みんながみんな、当たり前になっていない事の一つでもあります。もちろん、同音連打の全てにこの法則が当てはまるわけではありません。

あなたも是非、同じ音が続く意味を考え、音がどのようにどこへ向かっていくのか、あなたの耳で聴いてみましょう。

重音が続く時はグルーピングすると弾きやすくなる

ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5
ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5、62小節目
ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5
ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5、63小節目

このように、重音の動きが続く場合です。

これら全てで一つだ!と思わないのがポイント。これらを細かく、グループ分けをしてみましょう。

画像1枚目のケース。赤線で区切ってあるように(右手の高音の音で言うと)「レミ」で一つ、と捉える。すると右手は、外側の音はオクターブで二度上がるだけです。中の音は変わらないので、その音を軸に動けば良いですよ。

同じ所の左手も同様。上二つの音は同じで、下の音が半音下がるだけ。

次に画像1枚目の最後の音は、画像2枚目の一つめの音とグループにしてみましょう。右手は外側の音が「ファソ」とオクターブで二度動くだけ。中の音は変わらないので軸にする。

左手は「どれら」の和音から「しれそ」に動く。中の音(れ)は同じで外側が動いています。上の音の下の音も、二度動く。

このようにして、一つのフレーズを細かくグループ分けしていくと、動きがよくわかります。「全く違うカタチになるわけではない」という事がわかると、弾くのも脳もラクになりますよ。

音と音の「間」を読んでみよう

ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5
ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5、63小節目

フレーズの終わりです。

どんなにその和音を掴みやすくても、簡単そうに弾いちゃっていいかしら?それで、「ここで一つのフレーズが終わります」ということが伝わるかしら?

  • ここはどんな雰囲気なの?
  • どんな気持ちなの?

と、空気を読んでみましょう。それぞれのフレーズが、どんな気持ちや情景なのかを表現するのは、人との会話で、空気を読むのと同じ事。音と音の「間」を読む。

気持ちを大きく持って!くじけない。あきらめないで、堂々と弾きましょう。

フレーズのオシリ(終わり)で気を抜かない

ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5
ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5、71小節目から

クライマックスに向かって、降りていきます。

スタッカートで駆け下りてくるのに、その目的地の直前の2音にはスラーが。なんでここにスラーが?これって、どういうこと?と、考えてみましょう。

  • 最後まで踏ん張れよ!
  • エネルギーを絶やすなよ!
  • 最後の一歩を踏みしめろよ!

ってこと?

スタッカートがスラーになるのは、パワーが落ちるわけではありません。気をつけたいのは、スラーの2音目。ここが「へこみ」やすいの。この音はとっても重要ですよ。その聴こえ方、バランスのとり方で、印象が変わってしまうから。

小節の最後の音や16分音符フレーズの最後の音は、そのお尻まで、最後の最後まで、気をつけるよう意識しましょう。

ペダルを過信しない

ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5
ラフマニノフ「プレリュード」Op.23-5、82小節目

左手に注目してみましょう。

両手共に「ラシレー」と弾きますが、左手の「レ」だけが2分音符になっています。そこに気付いていたかしら?

なぜ、ラフマニノフはこの低音「レ」を伸ばすように作ったのだろう?と、考えてみましょう。「レー」が響いている、その響きの上に、スタッカートの8分音符和音が動くのを、聴きたかったんじゃないかしら?低音の「レー」と伸びる響きがあるのとないのでは、聴こえ方は変わってきますよね。

だからきっと、低音の「レー」の響きが必要なんじゃないかしら。だからこそ、安易にペダルに頼らないでね。ペダルは神様ではありません。

神様はね、あなたの「耳」ですよ。ペダルは「あなたのサポーター」だと思ってね。

ここは、ペダルに頼らないで聴いてみましょう。そのためには、指を替えないと弾けないですよね。その響きを、あなたの耳で実感できないと、そこで指を替える必要性を感じられないでしょ。

指替えは、あなたの意識一つ。意識の問題です。ペダルの入れ方もね。

ほんのちょっと目を凝らして見ると、その音の意味がわかる。
ほんのちょっとした気遣いで、聴こえ方も変わりますよ。
ペダルは神様じゃない。

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