ピアノの演奏を生き生きさせる楽譜の読み方7つのポイント
ピアノを弾く上で、どんなに指が自由にすばやく動こうが、ちっとも暗譜に困らない?
だとしたら、あなたがどんなに初見が得意でも、楽譜を深く読み解くことについてはどうかしら?
難しいパッセージを弾けるようにするために、指を動かす練習ばかりしていませんか?
ピアノを弾くには、技術を身につけることも大事です。
でもね、あなたがその曲をどう表現するのか?ということが、最も重要です。
そのためには、楽譜をどこまで深く読み込んで理解できるか?という「譜読み力」を鍛えるしかありません。
これが、演奏に真実味を与えるかどうかの分岐点なんです。
せっかく縁あって向き合っている作品。
もう少し楽譜を深く読み解く事が出来たら、もっと音が生き生きしてきますよ。
じゃあどうやって楽譜を深く読み解いていくと、あなたの演奏が生き生きしてくるのかについて、例を上げながらお話いたします。
Contents
楽譜は縦に読まず横に読むのがコツ!

譜読みをする時に気を付けるべきコトはいろいろあるけれど、中でもそれぞれの音価=音の長さには、特に注意したいもの。
音符を縦割りではなく横へ横へと読んでいるつもりでいても、音価を正しく読まないと、この画像の右手のように「実はニ声なんですけど…」ということに気付きません。
すると、メロディが違うものになってしまうワナにはまってしまいます。
片手ずつ譜読みして練習している時は、横へ横への流れを意識しているでしょう。
しかし両手で合わせると途端に「縦割りのワナ」=「両手を合わせるタイミングと音」に意識がいきがちです。
しかし、横へ次へと「流れていく」「繋がっていく」「続いていく」のが音楽。
ちょっと気をつけて楽譜を読んでみましょうね。
楽譜を読み解くコツは変化を知るコト

この曲の中間部では、同じフレーズが4回出てきます。
やった~!同じ!楽勝!と思うのは危険。
全く同じというのは稀です。
1回目は上の画像のようになっていましたが、

見て!2回目は「お飾り」が付きます。そして、3回目と4回目は、

リズムが変化していますよ。
これを正しく読み取り、奏に反映させ、その通りに覚える。
どの曲にもこんな微妙な変化があります。
「エリーゼのために」など、主題が再登場する時の「みれ」の数の違いをいい加減にすると、
8分の3拍子ではなくなってしまいますよね。
こんなよく似ているフレーズが繰り返される時は、いつもよりもちょっと気をつけて楽譜を読んでみましょう。
右手と左手が別の動きをしている事を認識する

見て見て!この楽譜を!ワルツです。
ワルツと言えば左手は「ずんちゃっちゃ」ですね。
しかーし!惑わされるべからず!右手は気を付けないと、左手と同じように3拍目で手が上がってしまうワナが待ち受けていますよ(笑)。
それは何かと言うと、上の譜例のように右手は第2拍から次の小節の第1拍まで「スラー」が付いているのっ!
つまり、右手は第3拍目の音と次の小節の第1拍目の音を「超仲良し~♡に、してねぇ~ん♪」なのです♡
ね♪こんな事にも、ちょっとした気づかいで解決できますよ。
どこに向かって行くのか?を知る

この美しいフレーズ、「poco cresc.」という指示です。
ところが、音は少々うねりながらも降りてきますね。
すると、クレッシェンドだと言われても気を付けないと…

この第1音が目的地だ!と思い込んで弾いてしまいます。
でーもー。目的地は、2音目の「レ」。
ちょっと例えがうまくないかもしれませんが…
一枚目の画像のところは助走してきて、そして二枚目の画像の第1音「ド#」でジャンプする。
第2音「レ」が着地する「走り幅跳び」のような感じ。どう?
いやしかし!「レ」を打鍵したら終わり、じゃないよ。
「レ」は伸びる!伸びる!!その伸びて行く響きはまるで弦楽器が一音をクレッシェンドするように。。。
そうして、続く「どそ|しー…」でデクレッシェンドして、このフレーズが終わっていきます。
だから、目的地がどこにあるのか?
そして、そこまでどのように呼吸をコントロールして、終わりに向かってどのように持っていくか?という事を読み解いて考えて、知って欲しい。
「フレーズ」って、どんな風になってるんだろう?
このフレーズはどこから始まってどこまでなんだろう?
その一つのフレーズの中の頂点は、どこにあるんだろう?って、考えてみると面白いですよ。
何が違うのか?どう感じるのか?を大事にする

画像の上段①と下段②は、とっても、良く似たフレーズ。
でも、何かが違うの。
さぁ、ここが気をつけポイントです!
とっても良く似たフレーズ(もしくは、同じフレーズ)が繰り返される時は、
「何か」を変えて表現しよう、とする気持ちがあると、より楽しくなります。
えぇ、もっと楽しめますよ。
でもね、この「良く似た」一見「同じに見える」二つのフレーズは、違う事が「見てわかる範囲でも」、あります。
楽譜を、よ〜く見たらわかる違いは、3つ4つある。
1つじゃ、ありませんよ。
違いを、「1つ」見つけられると、とても嬉しくなります。
すると、その違う点だけに気持ちが囚われがち。
では、もう一度よく楽譜を見てみましょうか。
楽譜に書かれているだけでも、情報はいっぱい、あるのです。
だからこそ、いつも自分自身から、好奇心を奪わないように。
- 何が、違うんだろう?
- それを、私はどう感じるんだろう?
と、あなたの心と向き合うことを忘れないようにね。
フレーズの分かれ目を理解する

右手のスラーの切れ目は、とっても意識したいトコロ。
ここでフレーズが分かれているという事を理解しているだろうか?
これを理解しているか否かの差だけで、呼吸も打鍵も聴こえ方も、まるで変わってしまいます。
上の画像のように、スラーの分かれ目の音程が近いとそのまま弾いてしまうのがラク(弾き易いから)。
だからこそ、非常に危険なのです。
フレーズの分かれ目の意味は、なんだろう?
さぁ、あなたも私も、楽譜をチェックし直しましょ。
どこに意識をおいて楽譜を読んだら良いのか?

さぁて、この画像のような楽譜はどうやって読んだらいいんだろう?
どうやって理解・練習したら、いいのかなぁ?
全ては楽譜に書いてあります。
楽譜って、パズルみたいよ。
この画像のフレーズは「追いかけっこ」になっています。
それはわかると思うの。
だけど、弾いている(練習している)うちに、どっち(右手か左手か)を聴いたら良いのか?
どっちがより重要なのかが、わからなくなりやすいなフレーズの、1例。
でもね、楽譜は教えてくれていますよ。
そのフレーズの歌の始まりは、左手からなのです。
2拍目の、左手の16分音符6つを見てみましょう。
そこの第1音と第4音は、上にも棒が伸びていて、8分音符にもなっていますよね。
ここ、二声になっている、という事が見てとれます。「れーーどーー」という。
すると、第3拍では右手の16分音符6つも、同じように第1音と第4音には上に棒が伸びていて8分音符になっていますよ。
やはり、「れーーどーー」です。
これは、左手がリードしている「レース」です。
追いかけてるのよ~!逃げてるのよ~~!
追いかけっこ、やったでしょ?子供の頃。
必死で逃げて~!必死で追いかけて~~!
そんな事を、思い出したり感じてみましょ。
今日のピアノ動画*ショパン「幻想即興曲」
ティブレイクはショパン様の「幻想即興曲」Op.66。
これは熊本地震のためのチャリティ・リサイタルで、ピアノはシゲルカワイ。
熊本の皆さんを思う多くの方々のお力を頂きました。改めてお礼申し上げます。
ピアノの演奏を生き生きさせるために楽譜を読み解く方法のまとめ
- ピアノ演奏をイキイキさせるために楽譜を読み解くコツは楽譜を横に読んでいくコトから始めよう!
- 楽譜を深く読み解くには変化に敏感になるコト!
- ピアノは右手と左手の動きは同じではないことを再認識しよう!
- 今弾いている音はどこに向かっていくのか?を知っておく!
- 何が違うのか?あなたはどう感じるのか?を大事にする
- フレーズがどこでどのように分かれているのかを知っておこう!
- どこに意識を置いて楽譜を読んだら良いか?はリードする音はどこにあるのかを知っておくコトだ
ピアノを弾く上で楽譜を読むコト、深読みする・熟読する・何度も読み直すというのはとっても大事。
もう知ってると思い込みやすいけれど、思い込みほどいい加減なものはありません。
ちゃんと暗譜したつもりが、いつの間にか音を間違えて覚えていた・リズムを勘違いしていたなんて事は多くの人が経験しているでしょう。
どんなに慣れ親しんだ曲でも、改めて楽譜を読み直すとワクワクすることに出会えます。
そうね、あなたのピアノ演奏をイキイキさせる最高のコツは、本当は「あなた自身がワクワクして楽譜と向き合うコト」かもしれません。
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