【ピアノ奏法】不要な力を抜いて自然にラクに弾くポイント
脱力とは、ピアノを弾く人にとって永遠の課題のようなもの。
一言で脱力と言っても、全ての力を抜いてしまえばピアノを弾くことはおろか、椅子に座ることすらできないでしょう。

ちょうどよい塩梅で力を抜く。
必要なだけのさじ加減で力を保つ。
言うは易し行うは難しですよね。
本当はレッスンにいらして頂いて、実際に体感して頂くのが一番。
しかし、なかなかそうもいかないでしょうから、少しずつ記事に書いてお話していきますね。
Contents
ピアノの脱力のコツ*腕の動きは内側から外へ

左手のこんな跳躍。つい、頑張って弾いてしまいそうです。
あっち行って、こっち行って、ひぃひぃ…
「拍」を意識すること、
「拍」に乗る/感じることは、とても大切です。
でもね、「拍を意識する・感じる」のと「動作の意識」は、ちょっと別物。
拍の音のライン(低音のライン)は一つのライン、一つの動きになります。
でもね、だからと言ってドスドスと置くように?突き放すように?
「出そう意識」で弾いていると、疲れますよ。
その上、音が痛くなります。
腕も、痛くなるかもしれません。
ちょっとだけ、今までの感覚を、ポイポイッと横に放り投げてね。
だまされたと思っていいから、ちょっとだけ、これからお話することを試してみて。
これは拍のとらえ方の話ではなく、「弾き方のとらえ方」のお話です。
【体の内側から、外側へ】と、とらえてみましょう。
つまりね、拍頭ではない中音域の和音を、「打鍵の動作の起点」とします。
和音が、打鍵の始まり。打鍵で落とすアクションです。
そして落としたら、そのまま横(低音域)へ腕をスライドさせるように、次の拍の打鍵へ。
この2音で一つの動き、一つの打鍵の動作にするのです。
腕は、体の内側から外側へ、と持って行く方が自然で無理がなく、ラクに弾けますよ。
ご参考までにね。
「閉じて開く」動きに気をつける

画像の右手に注目してね。
1小節目第2拍の16分音符は、手の形が「閉じていく」動きです。
ところが2小節目の第1音では、それまで閉じてきた手を「開く」コトになりますよ。
「閉じて」→「開く」という動きになる時は、
「開く(広げる)準備」をしなきゃ!と無意識のうちに感じて、手が余計な動きをしてしまう場合があるんです。
余計な動きとは、「ジャンプ」してしまうコトね。
ジャンプしてしまうと、せっかくの「閉じる動き」で自然な「dim.」をしていたのに、音が飛び上がってしまいます。
一つ一つの打鍵で、どんな音が出ているのか、よーく聴いてみましょう。
鍵盤に触れる指先に、あなたの「耳」が付いていると思ってね。
音程が開く時は、いつも以上に「気」を配ってあげましょう。
声を出して歌うなら、どう歌うかしら?
金管楽器で、このように音程が開く時はどのように吹くだろう?
(金管楽器をやっている生徒には、この説明が非常に有効です)
ぜひ、こんな風に想像してみてね。
寄せて伸ばして!体はワンピース!

ピアノで打鍵する場所移動(跳躍)をして、手を広げなければならないとしたら、あなたはどうするでしょうか?
瞬間的に体に無理をさせてはいないかしら?
とても弾きにくさを感じてはいませんか?
跳躍や音域移動・閉じている手を急に広げるように見える動きも、
考え方・視点を変えられたら弾きやすくなりますよ。
合言葉は「寄せて伸ばして体はワンピース!」
伸びをすると、体中の関節が開いて、少し体が大きくなったような感じがしませんか?
高い所にあるものを取る時、
ちょっと遠くにあるものを取る時、
またはその逆で、高い所にモノを置く時、
ちょっと遠くにモノを置く時、体を伸ばして、ちょっと大事にしますよね?
画像2拍目の「ド」に「1」の指を置いて、次のオクターブ離れた「ド」は「5」の指でとる。
それは、ただその指番号で弾けばいいというものではないんです。
体が伸びをする時と同じように、手も(てのひらに各指も)伸びをしてご覧。
そうしたら、何気なく弾くのでは届かない音程でも、届く?届きそう?届かなくても、ジャンプしなくて弾けるよ。
ジャンプして弾くのと、ギリギリまで伸ばしていくのでは、違うよ。
体は伸ばしてあげると、ラクになっていく。手も同じですよ。
寄せて伸ばして体はワンピース!応用版

さぁこちらは応用版ですよ。
3拍目の音を「5」の指でとったら、その後、全ての音を「一本指」で弾くのでは、このような練習曲を弾く意味がありません。
寄せて伸ばして!寄せて伸ばして!それを体でやる時、意識しなくても体はワンピースなのです。
部位はそれぞれあるけれど、どこかで切れているわけではありません。
体の各部位は皆、つながっていますよね。
手だって同じこと。
だけどね、手指の場合は意識しないと、手指そのものはつながっていても(バラバラ事件にはならなくても)、音がバラバラ大事件になりがちです。
また、手指の筋肉は必要な使われ方をせず、柔軟に育ちません。
手が大きくなっても、指は長くなっても、オクターブはつかみにくかったり届かないという手になってしまいます。
どうして、その指使いなんだろう?と考えてみることも、大事ですよ。
しなやかに伸びをするように手をしなやかに広げているうちに(無理強いではなくてね)、てのひらの筋肉は柔軟に育ち、広がる手になりますよ。
和音の動きは横に見ていく

こちらの楽譜画像、右手がメロディで、左手の和音は伴奏だと思っていませんか?
もしかしたら、頭ではメロディは左の和音の動きにあるとわかっていても、
弾く事(音を掴む事)に必死になっていると、いつのまにか忘れてしまうのかもしれません。
このフレーズを弾く時に、左手の和音一つ一つで縦割りに考えると、左手が伴奏になってしまいます。
すると、和音を弾くたびに「ぶつ切り」になってしまう。
では、3音から成る和音を、バラバラにして考えてみましょう。
- 和音の上の音のラインは「ファソ♭ソ|ラ♭ーソソ♭…」
- 中の音のラインは「レレレ|レーレレ…」(全部♭)
- 下の音のラインは「ラ♭シ♭♭シ♭|ドーシ♭シ♭♭…」
音の動きを分解して、それぞれの音の横への動きとしてとらえてみると、意外とシンプルでわかりやすいですよね。
この動きの層が、美しい響きを出しながらメロディを作っています。
ぜひ、それを聴いてあげましょう。
ポイントは、和音の動きは、横に見ていきましょうね。
縦じゃないですよ!
ピアノはグルーピングすればラクに弾ける!

画像の初めの32分音符は、打鍵を始める前から全ての音に全ての指を乗せて用意しておくのがポイント。
すべての音へ指を用意したら、息を吸ってみましょう。
息を吸うと同時に自然に体が開いて腕が上がるので、そのまま全ての指を同時に下ろすようにして弾きます。
それはまるで「ドミノ倒し」のように、ね。
1音ずつ指を縦に(上下に)動かして弾くのではなく、まるで手を回転させるように。
全ての音に(鍵盤に)同時に指を下ろすような感覚です。
ただし本当に同時に下ろしてはまるで和音のようになってしまいますよね。
だからドミノ倒しのような回転を使います。
その後の和音三つのうちの後ろの二つの打鍵は、二つではなくて一つの動き。
最初の32分音符と同じで、一息に弾きます。
「ラ」を「1」の指で、上の「ファ」を「5」で弾く時、「ラ」を弾く指の上に「3」の指をかぶせるようなイメージです。
「ラとファ」の和音を弾いたら手を上げずに、そのままそこにある鍵盤を掴むように次の「ファとラ」を取る。
こうやって、グルーピングします。
全てを続けて弾く練習をしなくていい。分けていいのです。
グループに分けてとらえれば、練習もラク。弾くのもラクになりますよ。
今日のピアノ動画*ドビュッシー「ピックウィック卿を讃えて」
ティーブレイクです。今日のピアノ動画は、フランスの作曲家ドビュッシーの「前奏曲集第2巻」から”ピックウィック卿を讃えて”をお送りします。
ピアノはスタインウェイのフルコンでした。
いらない力を抜いて自然にラクにピアノを弾くポイント!のまとめ
- 音の動きは身体の内側から外側へとらえるとラクに弾ける!
- 和音の動きは分解して横に見ていこう!
- ピアノは音の動きをグルーピングするとラクに弾ける!
- 無駄な動きを極力減らせばうんと弾きやすくなる!
何でも捉え方・見方次第で180度変わります。
ピアノを弾いていて煮詰まったり弾きにくさを感じたなら、一度立ち止まって全てを分解して視点を変えてみましょう。
エンジョイ!あなたのピアノ・ライフをもっと豊かに!
もっとラクに心と体を使ってピアノを弾くお手伝いをしています。
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