シューベルト「即興曲」Op.90-4練習のポイント6つ教えます!
シューベルトはお好き?
ベートーヴェンやショパンに押されてちょっと影の薄い感じがするシューベルトさま。
えぇ、私にとっても子供の頃から特に好きというわけでも・・・という存在でした(ごめんなさい)。
とはいえ、大人になって随分たった今でも、特にシューベルトの作品に目覚めたわけでもないのです。
でもね、やっぱり自分も弾いてきて、そして生徒さんたちに教えてきて、愛される作品は強いなぁと。

私が子供だった頃も、教えるようになってからの長い年月の間でも、シューベルトさまの作品で人気があるのは、「即興曲」。
シューベルトの「即興曲」には、D.899(Op.90)が4曲と、D.935(Op.142)が4曲あります。
どれも華があったり感情の深さを感じたりできて、美しい作品に。
美しいのだけれど、ちょっと気をつけないと、ただ弾いているだけ、ただ音を鳴らしているだけの速弾き競争になってしまいますよ。あなたは大丈夫?
今日は、割と小学生でも弾くことが多いD.899(Op.90)の第4番を取り上げて、練習のポイントをお話していきますね。
Contents
音の方向性に、素直に従おう

シューベルト作曲「即興曲」Op.90-4の冒頭を見てみましょう。
フラット(♭)を省いて言いますが、「どみどら らどらみ みらみど どみどら」という音の動きになっていますね。
これを、拍に乗って弾くと、横への流れを感じる(伝える)のは難しくなります。
その上、指さばきもイマイチ。
では どうしたらいいのでしょうか?
こんな風にとらえてみたらどう?
- 「ど」
- 「みどらら」
- 「どらみみ」
- 「らみどど」
- 「みどら」
というとらえ方(グルーピング)をして弾いてみて!うんと弾きやすくなりますよ。
音の方向性に素直に従ってとらえると、弾きやすく・聴きやすくなる!
長く伸ばす音は動きを止めてはいけない

この画像例では、左手の第2拍「付点4分音符」の打鍵についてに注目してね。
この音は、第1拍の低音から8度上のため、打鍵するのはギリギリ!という人もいるでしょう。
該当の生徒さんもそうなの。オクターブ(8度)がギリギリです。
でもね、打鍵と同時に手の動きを止めてしまうと、音は「そこで終わり」「そこで止まってしまう」の。
音の伸びが失われます。音の勢い、とでも言いましょうか。
オクターブ(8度)ギリギリでも、大丈夫ですよ。
横幅をそれ以上広げるわけじゃからね。
打鍵している指先で「立ち上がる」ようにして、「てのひら」を膨らませてみましょう。
まるで「てのひら」に小さな風船があって、それがどんどん膨らんでいくように。
と伝えると、ほ〜ら、該当の生徒さんも出来ましたよ。ビックリしていました。
それだけで音が伸びる、生きてくるのです。
長い音に「伸び」を与えたかったら、打鍵と同時に動きを止めないのがポイント!
長く伸ばす音の打鍵の仕方*補足
もう一度画像を出しますね。

内声=左手の上声が問題でした。
ヘ音記号表記で「ミーラーーソ| ファーレーード・・・」、赤字の付点4分音符です。
画像には赤○を入れていますよ。
これらの音は、「1」の指で打鍵します。
その打鍵をして手指を落としたままにすると、音は伸びていきません。
そこで落ちて終わりです。
さぁ、ここで「てのひら」を使うのですよ!
まるで重い荷物を持ち上げる時のように、てのひらの中で風船が膨らむように。
そうすると、音は落ちずに「ふわっ」と持ち上がって、空中に広がっていきますよ。
膨らんで響いていく音を、よく聴いてね。
指示が少ないところは、テンションを想像してみよう!

画像の出だしは「フォルテシモ」(とても強く)になっていますよ。
でもね、はじめの2小節は右手だけで、しかも下降フレーズになっています。
そう思うと、デクレッシェンド(だんだん弱く)していくのは自然だと思いませんか?
だけど、その後を見てみると、左手が加わって更に下降していきますよ。
さぁ、その左手は一体、どんなテンション(気持ち)で入ってくるのだろうか?と想像してみてね。
まずは自分で考えてみましょ。
もちろん、この後はどうなっていくのか?を見てもいいですね。
まずは、自分で考えてみることが大事です。
基本的に、自然の法則はあるけどね、それを裏切る時もある。
そうだとしたら、それはサプライズだよね。
さぁて、あなたの考え・気持ちはどんなものでしょうか?
指示が少ないフレーズは、表現の可能性がいっぱいあるということ。
どんな風にも表現できるけれど、それをやるためにはまず、あなた自身がいっぱい感じていっぱい想像して、いっぱい考えること。
それがあなたの音楽を創る最大のポイントです。
音が降りていく長いフレーズは、段階を考えるのがポイント

この画像のように、長く下降していくフレーズ、音域も多岐に渡っていますよ。
このような場合、デクレッシェンドするのは注意が必要です。
もしも、画像の3小節目で既に弱くなっていると、その後が持ちません。
画像の二段目で「ピアノ(p)」ですが、その後にまた「decresc.」の指示がありますよ。
画像1小節目は「フォルテシモ(ff)」です。
画像二段目の「ピアノ(p)」までの間に「デクレッシェンド」の指示はありません。
- この間にデクレッシェンドするのか?
- それとも二段目で突然「ピアノ(p)」になるのか(するのか)?
といった事は考えどころですが、今はその選択については置いておきますね。
画像一段目の3小節目で左手が入って来た時点で既に弱かったら?と想像してみましょうか。
もし、その時点で既に弱かったとしたら、緊張感が緩んでしまいます。
ここはね、左手の2音目まではその緊張感を保ったまま弾きたいですね。
その方が効果的な演奏になります。
(その後のピアノ、デクレッシェンドが効果的になります)
じゃあ、そうするためにはどうしたらいいのか?
画像一段目の1~2小節目では、この画像前のクレッシェンドでフォルテシモに至るまで「吸ってきた息」を、下腹に「溜めて」おきます。
すると、緊張感を保ったまま、画像3小節目の左手へ入ることができますよ。
音が降りて行く長いフレーズは、どこまで緊張感を持たせると効果的か、呼吸を持ってコントロールしよう!
伸ばす音は、その音を聴き続けるのがポイント

画像3小節目の右手、ソプラノ・ラインの音に注目してみましょう。
ここまで盛り上がってきたんです。その盛り上がりを、内声の和音の動きも助けていますよ。
するとね、弾いているうちに「盛り上がっている状態」に酔ってしまいがちなの。
ところが、この「伸ばしている音」は、まだ次の小節音に向かっていますよ。
次へ繋がっているの。
だから、あなた自身がこの音を聴き続けなければ繋がりません。
伸ばす音は、その音が次の音に向かっていくのを聴き続けるのがポイントです。
フレーズが変わる時は表情が変わるサイン!

画像の「p(ピアノ)」の所からフレーズが変わります。
この画像前は音が上がっていって、クレッシェンド(だんだん大きく)でフォルテへ。
そしてデクレッシェンド(だんだん弱く)でした。
そして以下につながりますよ。

ここはガラッと雰囲気が変わるよね?音の空気が読めているなら、それを表すために呼吸をしないとね。
深く息を吸って腹にためて、少しずつ吐きながら。
腹に緊張感を持たせながら、深く低い声を少しずつ出すように。
こんな風に、ガラッと雰囲気が変わるところは「さらっと」弾いたらあかんでー!
フレーズが変わる時、それは表情が変わる時。音の空気を読んで呼吸しよう!
シューベルト「即興曲」Op.90-4練習のポイント6つのまとめ
- 音が動く方向性に、素直に従って表現しよう
- 長く伸ばす音の打鍵では、動きを止めてはいけない
- 指示が少ないフレーズは、そのテンションを想像してみよう
- 音が降りていく長いフレーズは、段階を考えていこう
- フレーズが変わる時は、表情が変わるサイン!見逃すな!
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