よく似たフレーズの繰り返しはどうしたらいい?ピアノ演奏効果がアガる譜読み法
同じフレーズやよく似たフレーズが、何回か繰り返されている事に気付いた事はありませんか?
ピアノを弾いていると、良く似たフレーズが出てくることがあるでしょう。
2回繰り返される時もあれば3回だったり4回だったりケースバイケース。
でもよくあるのは、3回繰り返されてフレーズが発展していくケースです。

よく似たフレーズが繰り返された時、あなたはピアノでどう弾くかしら?どのように表現したいと思うでしょう?
どうして繰り返されるのか?とか、繰り返されるフレーズの意味について、考えてみませんか?
そう、言い換えるなら「楽譜の読み方」についてです。
一歩踏み込んで楽譜を読む事が出来るようになれば、あなたのピアノでの表現力は更に輝きを増しますよ!
Contents
よく似ているフレーズで注意するポイント

上の画像の2小節は、とてもよく似ています。
同じではないけれど「よく似ている」。
こんな時、「あぁ、似ているなぁ」で済ませますか?それで終わり(スルー)?
よく似てるから、弾きやすい?で進んじゃう?
もう少し、楽譜をよーく見てみましょうか。
何か、違う事が、あるはずです。例えば
- 音の変化
- ダイナミクスの変化
この2点だけを読み取っても、かなり違いを発見できますよ。
ダイナミクスやリズムの変化・休符の意味を考える
例えば左手。2小節目で、オクターブに音が増えますが、それだけじゃありません。リズムが微妙に変わりますよ。
そのリズムの中で、1小節目にはアクセントがありますが、2小節目にはアクセントはありませんね。
なぜ2小節目にはアクセントがないのかしら?
ダイナミクスは?1小節目はフォルテシモになるのに、クレッシェンドしていく2小節目はフォルテだよ?どうしてなんだろうね?
次に右手を見てみると・・・1小節目は、左手のフォルテシモとアクセントの音を受けて、16分休符があります。
その16分休符の意味は何だろう?何故そこに休符が入るのかしら?
「ねぇ聞いて」「ねぇ、聞いてるの?ちょっと聞いてよ!」みたいな掛け合いかもしれませんよ?

そして2小節目は、音が上がって和音になる所もありますね。
ではどうして2小節目では和音になったのだろう?と考えてみましょう。
そして更に、その和音の音がこの2小節の中で一番音が高くなっている事に着目出来たら素敵!
高い音は、目指して行く所だ、と考える事が出来たら、この次の小節に気持ちがうまく繋がって行くんじゃないかしら?って考えてみましょ。
わ!そうやって読むんですね。いや、今までも、聞いていました。
わかったつもりになっていたけれど、まだちゃんと読み取れていませんでした。by 大人の生徒さん
大丈夫よ。何回かやってるうちに、ピアノで表現するための楽譜の読み方のパターンはわかってくるから。
このような楽譜の読み方は、パターンだからね。
音程が変わるのはどうしてだろう?

右手を見てみましょう。
1小節目より、2小節目の方が音が上がるのがわかるでしょうか?和音になる所です。
何故2小節目は音が上がるのだろう?と疑問に思ってみましょう。
そのように楽譜に書いてあるから弾くのではなく、何かの変化があるから音が変わっている。
その変化の理由・意味は何か?を考える・想像してみることがポイント。
もうひとつヒントを。
画像の1小節目と2小節目では、何故それぞれの小節の終わりの3音の始まりの音が違うのだろう?
1小節目は「しそみ」ですが2小節目は「らそみ(そ)」。
何故2小節目は1小節目の2度下の音から始まるのだと思いますか?
この、2度音程が下がる事でどのようにニュアンスは変わるでしょう?
あなたがそれをどのように感じるか?というあなたの気持ちを、感じることに耳を・心を傾けて下さい。
あなたは、あなたが感じることをピアノで表現すれば良いのです。
だから、あなたが何かを感じる事が出来なければ、表現することは難しい。
そのためにも、楽譜が教えてくれること・楽譜から読み取れることにもっと敏感に、もっと貪欲になりましょう。
表現するために必要なことは全て楽譜にある!

ピアノで何をどう表現して行くかと言う事は、その部分だけを切り取ってあーだこーだ言うのはおかしいんじゃない?と言うのは大前提でお話を続けます。
この画像のように「よく似た2小節をどう弾いたらイイのかわからない」とか「ここ、弾くたび、何だかモヤモヤする」と言うのなら、考えてみましょのヒントをお話ししましょう。
どう表現したら良いのか?実は、楽譜に全てヒントはあります。
楽譜の読み方・表現の変え方のヒント
1小節目にあって2小節目にないもの→左手第3拍の「ピアニシモ」
1小節目にはないのに、2小節目にあるもの→右手の内声和音が、1音増える そして「espressivo」
いずれも両方にあるなら、また考え方や感じ方は変わるでしょう。
でも、こっちにはあるのにあっちにはないって、どうしてなんだろう?と考えるんです。
子供のように素直に疑問に思ってみましょ。
「あ、違うのね」じゃなく「あれ?どうして違うんだろ?」です。
では、それをどうやったらそれを変えられるんだろう?
是非、こんな風に楽譜を読んでみて下さい。
まずは、自分で考えてみることを癖付けしましょう。ご参考までに。
3つの良く似たフレーズ、どうやって表現を変える?

良く似たフレーズの1回目がこちらです。
まず気を付けたいのは、「これで一つのフレーズだ」と言う事。
一つのフレーズだ、という事はこれ全部で一息だという事です。
ピアノを弾く時には実際に呼吸を意識しなくても鍵盤を打鍵すれば音は出ます。
だから一息だという呼吸は、敢えて意識しないとわかっているようで出来ない事。
だから、もう一度言います。
一つのフレーズとは一息で弾くという事!
右手の重音を「掴む」事だけに、意識を置かないようにしましょう。
これらは指でレガートで弾くのは難しい事。
そして指でつなぐレガートが出来るのであっても、それにはこだわらなくて良いと自分に言い聞かせてね。
指でつなげる以外にもレガートにする方法はあります。
しかしこの4つの重音が繋がって、一つのフレーズになっている、一つの歌になっている、一つの気持ちを表している、と言う事は、忘れたらいけません。
そうでなければただ、意味のない4つの重音を「並べるだけ」になってしまうから。
響きは同じか変化するのか?

続く2つ目のフレーズがこちら上の画像。
1つ目のフレーズとの違いを何か感じたい。感じて欲しいです。
弾く音域が、オクターブ下がった?音が少し違う?そうですね。
違う事があるのだから、響きは同じではないでしょう。
響きが同じでないなら感じる事は同じじゃないはず。
響きから感じられる気持ちや雰囲気や空気や性格や、いろんなものが変わってきます。それを感じてね。
半音の変化を感じる

3回目のフレーズがこちらです。
2回目のフレーズと音域は同じ。
しかし2回目のフレーズで付けられていた「#」がなくなっています。
と言う事は?やはり何か変化がある。
半音変わる・半音下がる事から感じられる変化は、どんなものだろう?と考えてみましょう。
そんな3つのフレーズの違い・変化を感じて、更に次のフレーズへと展開していくのです。
この次、唐突に違う場面に変わるわけではありません。
この3つのフレーズの違い・変化を感じられたら・味わう事が出来たら、この次のフレーズの出現は、唐突じゃないと、理解できるでしょう。
ポイントは俯瞰すること
今、そこで弾く音だけを読まないようにしましょう。
音は、横へ横へと読んでいきます。
その響きの変化を感じて読む。
3つの良く似たフレーズが続いたら、それぞれの変化・気持ちの変化を感じ取ってみましょう。
眼の前の音だけを見ないで、前後のつながりや全体を俯瞰する癖をつける事がポイントですよ。
今日のピアノ動画@ドビュッシー「雪は踊っている」
今日のティーブレイクは、ドビュッシー作曲「子供の領分」から”雪は踊っている”。
雪が踊っているかのように、ハラハラと降ってくる様子を見たことはありますか?
雪が舞う音を聴いていると、無心になります。
どうして3回繰り返すのか?

同じフレーズや、よく似たフレーズが3回繰り返される事はよくあります。
そんな時、あなたはどんな風に弾こうと考えますか?(気に留めるでしょうか?)
是非、気に留めてみて下さいね。
響きのバランスを変えてみるとか、圧のバランスを変えてみるとかイントネーション/ストレスの置き方を変えてみる、とかいろいろ。
少しだけシェア致します。
※ あくまで「例」なので、正しい正しくないの話では、ありません。あくまで参考に。
何をするにせよしないにせよ、それを決める基準は「わたし自身が本当に気持ち良いと思えるかどうか」です。
バランスを変える方法
3回繰り返されるフレーズを弾き分ける(表現を変える)方法の一つに、バランスを変える事があります。
例えば以下のように変えてみる。
- 両手同じバランスで
- バランスを右手に置く
- バランスを左手に置く
- フレーズの中で左右のバランスを変える
いろいろ、試してみて下さいね。
楽譜の読み方とは?ほぼ同じフレーズの繰り返しをピアノで表現する方法のまとめ
- よく似たフレーズが繰り返される時、ダイナミクスやリズムの変化や休符の意味を考えてみよう!
- よく似ているのに音程の開きが変わっているなら、何故だろう?と考えてみる
- 半音変化している所があるならその変化を感じる
- 眼の前の音だけに注目しないで俯瞰しよう!
- 何故3回変わるのかを考える
- バランスを変えてみよう!
表現に必要な事は全て楽譜にある。音だけを拾って弾く事だけに注目しないで楽譜の行間を読んでみよう!
さぁ、あなたも楽譜の読み方に、ちょっとこだわってみませんか?すると、あなたのピアノ演奏は、もっともっと生き生きとしてきますよ。
ピアノを弾く時に忘れないで欲しいのは、「楽譜に書いてあるからその音を弾く」のをやめること。
何も疑問を持たずに弾くんじゃなく、あなた自身が何かを感じることを忘れないで大事にして下さいね。
それがあなたがピアノを弾く上でのあなたの表現力に繋がる一番大事な事ですよ。
エンジョイ!あなたのピアノ・ライフをもっと豊かに!
もっとラクに心と体を使ってピアノを弾くお手伝いをしています。
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