ピアノでの歌い方がわからないフレーズの7つのポイント教えます!
ピアノを弾くのは大好き!この曲も大好き!
という人でも、「このフレーズ、いまいちよくわからないのよね」という所があったり、「気をつけて弾いているつもりなのに、なんかバランスが悪いような気がする」と感じること、あるんじゃないでしょうか?
大好きな曲なのに、「ここはどう弾いたら(歌ったら)いいか、わからない」という部分がある。何ていうのかな?納得できないから、わからないんでしょうね。でもね、あなたはその曲を作った作曲家さんではないのだから、わからない事があっても不思議じゃないですよね。
ただ、「わからない」まま弾いているのは、モヤモヤするでしょ。それ、聴いている人にも伝わります。
せっかく弾くんだから、モヤモヤを払拭して、ちゃんと歌いたくありませんか?今日はそんな「ピアノでの歌い方がわからないフレーズ」を、どう歌う?のポイントをお話していきますね。
Contents
バランスが悪いと感じたら、歌ってみよう!

上の画像は、ベートーヴェン作曲「悲愴ソナタ」第2楽章の出だし、そしてこれと、

こちらはショパン作曲のエチュードOp.10-3「別れの曲」の出だし。
この2つは作曲家が違いますし、作られた年代も違います。前者は古典派で、後者はロマン派。でも、この2曲、何だかとってもよく似ていると思いませんか?
どっちも、悲しい曲だって?うん、そうね。
弾く上で「意識する事」が同じなんです。
「なんかイマイチだな〜」という演奏になっているんじゃないか?と気づく場合、バランスが良くないコトが多いでしょう。
例えばね、本当はソプラノのラインを聴かせたいのに、内声の16分音符が「どたばた」と五月蝿く出ちゃうの。困ったものです。
じゃ、どうしたらいいのか、考えましょう。
内声は鈍い「1」の指も使うので、音量や音色のコントロールは難しいですよね。でも「難しい」って言ってても解決しないので、歌ってみましょ♪
あなたは、どこを歌いたいのかな?どこの歌を聴かせたいの?そもそもどこが「歌」だと思ってるのかしら?
あなたが「ここが歌♪」と思うところを、ぜひ、あなた自身が声を出して歌ってみましょう。
あなたが実際に歌う事で、あなたの脳はあなたの指先に指令を送れますよ。
長いラインを一息でとらえる方法

このシューマン「アベッグ変奏曲」第2変奏は4分の3拍子です。その第3拍から始まるそのフレーズは、3小節目の第1拍まで続きますよ。
1音1音を大事にしすぎるあまり、この3小節に渡る8音(4分音符のメロディ)が、とてつもなく長い、遠い道のりのように感じていないかしら?
楽譜で見ればさほど「長いライン」ではありません。なのに聴くと長く聴こえてしまうのは、どうしてかしら?
とても細い、でも長く続く道を歩いていると想像してみて。両脇は、雪があなたよりも高く積もっているような、そんな雪道。先が見えるようで見えない。だけど、ソリ一つ通れるその道をひたすら前進していくの。
そんな「狭さ」と「目的地への奥行き」と、そこへ向かう「スピード感」を想像してみてね。
イメージ一つ、呼吸一つで、それがたとえ同じテンポであっても、聴こえ方・躍動感とか推進力が変わってきます。
「このフレーズ、なんか長いよ〜!」と感じたら、うんとイメージしてみましょう。これはどんな場面なのかしら?と。
イメージ(映像)は、言葉よりも伝わるものが明確かもしれません。
オーケストラ化してみよう

もしも何かに煮詰まったら、ひらめくものがなくてどうしよう…になってしまったら、ぜひ、やって欲しいなと思うことがあります。
練習していてふと、「あ!そうだ、もしもこれがオーケストラの演奏だったら?」と想像してみました。あ、そもそもオーケストラの曲だった…(汗)笑
私はよく「この曲がもしオーケストラで演奏されるなら?」と考えたり想像したりします。ある日「これもしオーケストラだったら?」と想像したその曲は、そもそもオーケストラのために作られた曲を、作曲家本人がピアノ用に編曲したものでした。
でもね、曲によっては「ピアノのために」書かれたものが、オーケストラや弦楽○重奏とか、管楽器のために編曲されているものも結構あるんです。だからね、あなたがもし、オーケストラの楽器に馴染みがなくて、想像するのが難しかったら、はじめはオーケストラで演奏されているものを聴いてみるといいでしょう。オススメです。
今、あなたが歌おうとしているこのフレーズ、
- もしもオーケストラだったら、どの楽器が奏でるかしら?
- この支えのハーモニーは、どの楽器が奏でているかしら?
- このリズムを取っているのは、どの楽器かしら?って。
私は子供の頃から「もしも他の楽器だったら?」と想像するのが好きでした。吹奏楽をやっていた影響もあるでしょうが、吹奏楽をやる前・小学生の頃から、オーケストラの演奏を聴くのが好きだったんです。
絶対、面白いですよ!オーケストラの楽器じゃなくてもいいよね。身近にある楽器、音が出るものなら何でもいいし、あなたが知っている歌手が歌うならどうかな?でもいいしね。このメロディは、どのアニメ歌手?演歌歌手?とかね。
どうしても浮かばなかったら、それこそYouTubeで検索してみるのもいいかもしれませんね。
でも、まずはあなた自身で想像してみましょうね。
音の動きのとおりに歌ってみよう
例えば、この次に向かって行く時。「向かって行くのだー!」という、クレッシェンドのような気持ちで弾いていたと想像してね。こんな時は、ちょっと注意です。
「目標に向かって、撃てー!」っという感じで、攻撃的になりやすいの。軍隊的と言うか、1コ(1音)ずつ真面目に打鍵してしまうんですね。必死というか。
じゃあ、こんな状況でも、「歌う」にはどうしたらいいのでしょう?
それはね、音の動きの波の通りに歌うこと。これが一番、自然なんですよ。では実際、どうするのか?
音の動きの通りに、グルーピングするのです。
「シドレ ドソシ ラミファ ソ」を、「シドレド」「ソシラ」「ミファソ」と、分けてみましょう。決して分けたところで「切る」のでは、ありません。歌う上での、とらえ方のお話です。そして、打鍵もこのグルーピングに合わせて、腕を柔らかく回転させながら。
「指先で弾く」と言うよりは、「脇の下」や「背筋」から弾くような感覚でね♪
イメージの持ち方

このリズムにスタッカート。軽く飛び跳ねるようなダンスが想像できます。
でもね、ある生徒さんは、ちょっと重そうに弾いたので、
「なんか、お相撲さんの踊りみたいになってるよ!
お相撲さんじゃなくてね、あまたのような、小さくて軽い子の踊りにしようね!」と言うと、爆笑されちゃいました。
ふふふ。では、どうすれば軽く弾けるのか?
レッスンでは、生徒さんの腕や肩に触れて、軽い打鍵をする時の感覚を感じてもらうのも一つの方法ですが、
まずは本人に、イメージしてもらう。それも、出来るだけ細かく描写してね。
もし、女の子が踊っているなら、
- 何歳くらいの子?
- 髪の毛は何色?
- 髪の毛は長い?短い?
- どんな洋服を着ているの?
- 洋服は何色?
- どんな所で踊っているの?
- 一人で?誰かいる?
…..などなど。
そして、あなたが感じたコトは、あなた自身で楽譜に書き込むのです。先生に書いてもらったコトって、目に入らないし記憶に残らないんですよ。自分から(率先して)感じたこと、やった(やれた)コトは、ちゃんと身になるんですよ。だから、自分で書き込みしておきましょう。
さぁ、うんと感じてイメージしよう!
突然訪れる静寂の作り方

この画像には表示がないですが、ここは、「フォルテ」での音階下降フレーズです。一気に落ちてくるの。まるでジェットコースターで急降下するよう。
それなのに、その直後は下のようになります。

「ピアノ(p)」ですよ。それにね、上の画像の時は「短調」だったのに、この画像の所から「長調」に転じています。
この、突然の「フォルテ」から「ピアノ」への変化を、あなたならどう表すでしょうか?
ジェットコースターで急降下したのに、突然、物陰に隠れるみたいにひっそりするの?どうやって?よほど気をつけないと、ガツン!とどこかにぶつかってしまいますよね。もしくは、急ブレーキで停止して、上半身がぐわん!って、大揺れします。とても小さくだなんて…無理ちゃう?
じゃ、ほんのちょっとだけ、ほんの一瞬の「間(ま)」を、とってみましょうか。
1枚目の画像で、急降下し切ったところで、キュッと口をつぐむように、キュッと腹を引き締めるように、息を止めてみて。それから、ゆっくり息を吐きながら、2枚目の「ピアノ」のフレーズを弾き始めるのです。
ぜひ、試してみてね。
聴かせたい音は「押して」弾くのではなく、「聴く」のがポイント

画像のソプラノの、8分音符の動きのお話です。
8分音符は「シーソーファーミー|レーシードーー」と、美しいメロディを奏でていますね。しかし、内声の16分音符は2音ずつ、右手→左手と交互に弾くので、物凄く気をつけないと、
「シソそー ファソみー|レファしー ドミ・・」と、違うメロディとして聴こえてしまいます。
「シーソーファーミー|レーソードーーー」を「出せばいい」んだね!って思ってしまうと、その8分音符メロディ音の打鍵が、「押す」=手指は下へ落ちたままになりがち。
落ちたままになっちゃうとね、音量としては出るかもしれないですよ。
だけど、綺麗な音にならないの。
音は落ちて終わってしまう。伸びやかにならないの。
じゃあ、どうすればいいかしら?
ポイントは、それぞれの音を、打鍵する前に「聴く」こと。
こんな音が欲しいの!という音を、打鍵前に聴くこと。
そして、実際打鍵する手指はどうするか?ですが、それぞれの鍵盤に、指は真っ直ぐ入るように。
イメージとしては、あなたの指が鍵盤に深く、斜め下に入っていくように。
そうやって打鍵しつつも、「てのひら」側から「ふわっ」と上がって鍵盤の向こう側へ行くように抜きながら、円を描きながら弾いていくといいですよ。
そうしたらね、音は綺麗に伸びていきます。
今日のピアノ動画*シューマン「子供の情景」から”おねだり”
ティブレイクは、シューマン作曲「子供の情景」から”おねだり”をお送りします。
シューマンの「子供の情景」は、13曲から成っています。
この「おねだり」は第4曲で、第7曲には「トロイメライ」が収録されています。
どう歌ったらいいかわからないフレーズの歌い方ポイントまとめ
- バランスが悪いと思ったら、歌ってみよう!
- 長いラインを一息でとらえる方法は、どんなシーンなのか映像を想像してみよう
- もしオーケストラなら何の楽器が演奏する?と想像してみよう
- 音の動く波の通りに歌ってみよう
- イメージの持ち方は、細部まで突き詰めて描くこと
- 突然訪れる静寂は、「間(ま)」をとること
- 聴かせたい音は押して弾くのではなく、弾く前に「聴く」こと
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