ピアノを弾く上でスラーとレガートをどう捉えると良いのか?5つのポイント

小節をまたがるスラーはよく出てきますから、あなたがピアノを弾く時、もしかしたらあまり気にも留めていないかもしれません。

でもね、ピアノでは右手と左手で同じ動きをする事も多いですよね。
例えば右手がスラーで左手がスタッカートという場合です。こんな時、あなたはどうしているでしょうか?

また、同じ音が続く事もありますが、それらは全て同じ意味を持っているのでしょうか?
もしかしたら、同じ音でも「終わりの音」と「始まりの音」があるとしたら、ニュアンスは変わってしまいますよね。

そんな事を感じて考えてみませんか?
あなたが感じたことが、あなたの音楽を創りますよ。
あなたのピアノをもっと豊かにしてみませんか?

スラーは何となく付いているわけじゃない

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「スラー」って、何のために付いているんでしょう?

スラーが付いている間の音達は、手を繋ぐように、重ね合わせて奏でたいですよね。
でもそれは、「スラーが付いている間」の話。

じゃあね、「スラーが切れた時」って、どういう意味があると思います?
うん、意味があるんだよ。想像してみてね?

例えば、進行方向に向かって歩いているのに、突然、前を歩いている人が振り返って、ハッとさせられるような…
長いスラーが一度切れた後の、短いスラーって、そんな感じじゃない?
それなのに、全てを繋げてしまったら、全然違うシチュエーションになっちゃうよ?

だから、スラーは、なんとなく付いているのでは、ないからね!
もっとスラーの付き方を意識して見てみよう!

2音間スラーは、手首を使おう!

グリーグ「ピアノ協奏曲」から
グリーグ「ピアノ協奏曲」から

この画像の右手のように、2音ずつスラーが付いている場合は、

  • 1音目の打鍵で手を落として
  • 2音目のの打鍵で手を上げる

これが基本の動きです。

でもね、このような重音の場合は、手を落として上げるというシンプルな動きに、更に手首のバネを使ってみましょう。
手首のバネを使って、回転させながら打鍵していくと、もっと流れが良く、音が生き生きとしてきますよ。

ポイントは、脇の下にスーパーボールかピンポン球1個分の空間を!
 意識してね。

2音間スラーの打鍵法は、1つじゃない

ベートーヴェン「悲愴ソナタ」第2楽章から
ベートーヴェン「悲愴ソナタ」第2楽章から

次は、ヘ音記号(下段)に描かれている16分音符の動きに注目してみましょう。

これはヘ音記号のところに描かれていますが、実際に弾くのは右手。
「ソ」と「シ♭」の2分音符和音を押さえながら、弾きます。

16分音符の動きは、それぞれ2音ずつにスラーが付いていますね。

2音間に付けられるスラーの弾き方の基本は、

  • 1音目で(手・指・腕を)落として打鍵
  • 2音目で上げつつなぞるように、打鍵し離鍵

つまり、2音合わせて「落として→沈んで→上がって」という、1連=1つの動きになります。
アクションは、1つですよ
「落とす」と「上げる」の2つの動きではありません。

ピアノ学習を始めたばかりの学習者が使う教本でも、その動きを練習する練習曲が出てくるでしょう。

基本的に「落ちて上がる」であっても、いつもどんな時も、「2音間スラー」の打鍵・動き・離鍵の仕方のタイミング・勢い・深さなどが、同じわけではありません。

例えば上の画像の場合は…
スラーが付いている2音は、「極めてレガートで繋ぐ」。
しかし、スラーが切れるところで、まるでスタッカートが付いているように「ジャンプするように」跳ね上がるのは、どうかしら?

もしこのフレーズが、威勢の良いマーチのような曲なら、それもアリでしょう。
画像ではこの前後を写していないので、この曲をご存知なければ、これだけで判断するのは厳しいかもしれませんね。

私は、こう思います。

大事な人の肌に触れます。
我が子とか、親戚の子とか、お友達に生まれた赤ちゃんの腕やホッペに触れる事を、想像してみてください。

とても、とても慈しんで、大事に、傷つけないように、痛がらないように、と気をつけて、愛を注いで触れるでしょう。

そうね、「寝かしつける時」に、歌いながら、お話をしながら、体に、緩やかなリズムをとって触れるような、そんな感じでも、あるかな?

そうやって「触れて」、でも、離す時に勢い良く離したら、ビックリさせてしまいそうで、だから、離れるか離れないかのギリギリまで触れているような感じ。
そして、また触れて・・・という繰り返し。
そんな感じです。

2音間に付けられるスラーも、そこに込められる想いや、そこから読み取れる想いは色々でしょ?
だったら、弾き方も(打鍵の仕方も)、一つではないよね?

さぁ、そこに付けられているスラーはどんなものなのか?想像してみましょう。

重音スラーの意識の置き方

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画像の左手に注目。
2つの重音に、スラーが付いていますよ。

ペダルの助けを借りて、響きのレガートにする方法もあるけれど、まずは基本を押さえておきましょ。

響きのレガートは、応用編です。
まず、指使いを考えることから始めましょう。

どの重音も、「135」や「145」という指で固定してしまうと、難しいです。
例えば、一つ目の重音「ラ♭ シ ファ」は、「1 2 4」の指で取ってみましょうか。
そうして、スラーで繋がっている次の「ソ シ♭ ミ」を、「1 3 5」の指で取ってみる。

重音の上の音「ファ」と、二つめの重音「ミ」は、それぞれ「1」の指で取るので、他の指に替える場合より、滑らかにはならないかもしれません。

でもね、「ファ」から「ミ」は、すぐ隣の鍵盤ですよね。
だから、「1」の指を「横に滑らす」感覚で弾いてみましょう。

それぞれの重音の「中の音」は、「シ」から「シ♭」へ、「2」から「3」の指へ。
白鍵から黒鍵という、わずかに半音の動きですよ。
「シ♭」へ「3」の指の打鍵をするまで、それまで「シ」を弾いていた「2」の指の離鍵をしないように。
まるでリレーのバトンを渡す時のように、という事を意識すれば良いのです。

それぞれの重音の「下の音」も、同じこと。
「ラ♭」から「ソ」へ、「4」から「5」の指へ。

こちらも、黒鍵から半音下の白鍵へ降りるだけ。
2つめの「ソ」を「5」の指が打鍵するまで、それまで「ラ♭」を弾いていた「4」の指の離鍵をしないように、きちんと音を繋いであげる。

でもね、もっと簡単なのは…

「2音の間に付くスラー」の「落として上げて」という基本の弾き方をすれば、良いだけなのです。

要は、1個(1音)ずつ捉えないコトですよ。

小節にまたがるスラーで注意する事

ブルクミュラー「スティリアの女」から
ブルクミュラー「スティリアの女」から

この「小節にまたがるスラー」というパターンは、3拍子の曲に多く見られるような気が(今そう感じただけで、よく考えたら2拍子でも4拍子の曲でもありますね)。

ピアノ譜例の右手が問題ですが、第3拍の音と次の小節の第1拍の音が「スラー」で繋がっています。

スラーで繋がる二つの音は近いので(二度の音程)、ピアノを打鍵する指先に意識を置けばその2つの音を繋げるのは難しことではないでしょう。

ところがそれを難しくしているのが、左手の動きです。
3拍子で、いわゆるワルツの「ずんちゃっちゃ」の伴奏型ですね。
ということは、右手がスラーになる第3拍から次の小節の第1拍への左手には、軽い跳躍があるという事。

この時の左手の「腕の動き」に、つい右手もつられて浮いてしまいます。
すると、相当意識しない限り右手のこの場所をスラーで弾くことは出来ません。

この曲のこのフレーズに限らない事です。
先日も他の生徒のレッスンの時に他の曲で、やはり3拍子のワルツに同じような問題が見られました。

本人は、「つなげているつもり」なので、もはや「切れている(ノン・レガートになっている)」事にすら、気付いていません。
こんな時は、自覚できるまで何度もピンポイントでやらねばなりません。
生徒も私も忍耐です。

だけどね、一度気付けばしめたもの!
一度うまく弾ければ、やったー!です。
一度「出来た!」を経験できれば、次も同じように意識すれば再現できるのですから。
ただ、まぐれで出来ただけでは、二度目の正直はないので、そこは指導者側の注意が必要ですね。

いつも、あきらめちゃダメ。

音を分断させないポイントとは?

ブラームス「間奏曲」Op.118-1から
ブラームス「間奏曲」Op.118-1から

こんなフレーズ、右手の伸びる音を聴きたいのに、一生懸命聴いているのに、どうしても左手に邪魔される。
そんな気がする事はありませんか?

左手をレガートで弾いているつもりでも、どうもうまくいかない、うまく行っていない気がする。

左手のアルペジオ・フレーズが、1音1音の打鍵にならないよう、横の流れでハーモニーを作りたいのに。
じゃあ、どうしたらいいんだろう?

各音の打鍵を、鍵盤の底までしっかりとは、しないように…
じゃなくて、(結構、その感覚も易しくないのですよね)

じゃあね、ちょっと「てのひらの中心部」を、感じてみてましょう。

そこが膨らんでね、持ち上げられるように、腕は動いて行く。
その「ついで」に音が鳴らされて行く。そんな感覚で。

と、この時の生徒さんには、この「てのひらの中心部を感じる」事が、ビンゴだったのです!
たった1週間で、びっくりするほど、音が変わりました。

ちなみに先日のレッスンで、ある方は、
「てのひらに、ハムスターがいる」
と言うと、「可愛い〜〜!」と言いながら、その感覚を、わかって頂けたのです♪

それは、私が小さな子供達によく言っていた事です。

あなたのてのひらの中にはね、可愛いハムスターが居るの。
ハムスターは、狭いところが好きなの。
だから、あなたのてのひらの中にいて、あなたがピアノを弾いてくれるのを聴くのが、好きなのよ。

だけどね、あなたが音の事やどうやって弾くかを考えないで、手を落として弾いちゃったら、
ハムちゃん、潰れちゃって悲鳴をあげるよ。
そんなの、かわいそうだよね。

です。これでイケてます。

音を1つ1つ分断させたくなかったら、てのひらの中心部を感じてみましょうか。

技術の習得も表現することも、ピアノに限った話ではないと思います。
どんな事でも、まず「あなたがどう感じるか?」を大事にすること。
そして、あなたが感じたことを実践するにはどうしたら良いのか?を考えて試行錯誤すること(実行すること)なくして、あなたが欲しいものは得られない事を覚えておきましょう。

ピアノ動画*ベートーヴェン「悲愴ソナタ」第2楽章

ティブレイクは、ベートーヴェン作曲「ピアノ・ソナタ第8番」悲愴ソナタ第2楽章をお送りします。

ベートーヴェンの三大ソナタの1つと言われている「悲愴ソナタ」の第2楽章。
緩徐楽章はなかなか難しい要素がてんこ盛り。
それでも、憧れて弾きたがる方が多いそのお気持ちは、私にもよくわかります。

ピアノを弾く上でのスラー・レガートをどう捉える?5つのポイントまとめ

  • スラーは何となく付いているわけじゃないので、なぜここから?どうしてここで切れる?を考えよう!
  • 2音間に付けられたスラーの打鍵は手首を使うのがポイント!
  • 重音スラーは指の使い方に意識を置こう!
  • 小節にまたがるスラーで注意するのは「つなげているつもり」で終わらせないこと!
  • 音を分断させないポイントは「てのひらの中心部」を感じること

さぁ、あなたのちょっとした意識の置き方で、あなたの音楽はどんどん輝きを増して生きていきますよ!
今日からあなたも、あなたが出す音にもっと敏感になろう!

エンジョイ!あなたのピアノ・ライフをもっと豊かに!
もっとラクに心と体を使ってピアノを弾くお手伝いをしています。

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