ピアノで連符は速く弾かねばの先入観を捨てる!トリルと連符をきれいに弾くコツは頑張らない事!

2020年4月19日

隣り合う音を交互に弾くトリルや二つの音を交互に弾くトレモロは、ピアノで弾くのは難しくなさそう。な気がするのにね。ど
うしてあれ?って不思議に思うくらい弾きにくくなるのでしょう?

メンデルスゾーン「ロンド・カプリチオーソ」から

弾きにくいとか弾きやすいとか言う以前に、楽譜を見た印象として「楽譜が黒い!」かどうかも、心理的に受ける印象は大きく違うでしょう。
音価の短い音符がいっぱい並ぶ楽譜や和音(重音)ばかりの楽譜は黒々していてなんか、楽譜を見ただけで圧倒されちゃいますよね。

そんな圧倒されちゃった時点で息が詰まりそうなトリル。
って感じるということはもう既に「ラクに弾ける」状況から遠のいていないかしら?
ちょっと落ち着いて、見直してみましょう。

ピアノでのトリルの弾き方

モーツァルト「ソナタ」K.545第1楽章から

ピアノでのトリルも、頑張らないで弾くのがポイントです。
この画像の左手部(下段)で言うと「ドレドレドレドレ」だけど、「ドレドレドレドレ」とは弾きません。
って、これで伝わったら文字力すごい!w

そうね、例えばケーキを作っていて、お菓子を作っていて、クリームを塗った上に「ちょん」、と小さなフルーツを乗せるように。

クリームが、ぐちゃっとならないように、ふわっと、ちょんと。
その感じが1音目の「ド」。
だとすると、「どレドレドレドレ」のような感じ。
「ど」で沈み切らず、その後の音たちも落とさずに。
腕は上げていく、或いは脇の下が広がっていくと、想像してみましょう。

ポイントは、頑張らないコト。これ重要ですよ。

ピアノで弾く三度和音トリルの指遣いを考える

メンデルスゾーン「ロンド・カプリチオーソ」から

こんな、三度音程の和音のトリル、イヤですねぇ(笑)。
何がイヤってこれ、3小節続くのですよ。
これを見て、先へ進めるのをやめた、という生徒さんの気持ち、その時の表情が、目に見えるようです。

指使いの指示がありますよ。
「ソとシ」を「1と4」、「ファ#とラ」を「2と3」で。
これは弾きにくいと感じる人が多いのは、無理はないと思います。
だって「3と4」の指は、寄り添っていて支え合っていますから。それを分離して交互に動かすと言うのは、かなり大変なこと。

もちろん、弾きにくいかどうかは人によって違いますから、「それ全然難しくないし」という方だって、いるでしょう。
ちなみに私にとって「3と4」を交互に連続で使うのは、しんどいです。
絶対使わないわけではありませんが、使わない事は多い。

そんな私が使ってる指使いは、「ソとシ」が「1と5」で、「ファ#とラ」は「2と4」。
でも、時に途中で「ファ#とラ」を「2と3」に替える事もあります。

トリルやトレモロは、それが長く続くなら、途中で使う指を替えるのは、アリよ。

と、生徒ちゃんに伝えたら、突破口が見えたような、晴れやかな表情になられ、安堵。
先へ進められそう!
次回はまた新しいお悩みも出てくるでしょうが、一つずつ一緒に紐解いて行きましょ。

大丈夫!これを読んでおられるあなたもね。

トリルは頑張らないのがコツ!

バッハ「インヴェンション第7番」から

トリルは、いっぱい入れよう(弾こう)としなくていい。
トリルは、このフレーズのメインなのだろうか?歌は、どこにあるのだろう?って、考えてみよか。

トリルは、技レースじゃ、ないからね。マシンガンのように、頑張って打鍵しなくていいんだよ。

歌を聴いてみようか。そうしたら、トリルも頑張らないで弾けますよ。

ピアノで連符は速く、という先入観を捨てよう!

ショパン「ノクターンOp.9-2」から

3連符・5連符・7連符など通常より多くの音を弾く場合や、8分音符から16分音符や32分音符へリズムが変わると、個々の音の長さは短くなります。
しかし、連符であってもそれは歌。スピードを競うゲームではないのです。

「いっぱい音符があるから、速く弾かなきゃいけない!速く音を入れなきゃならない!」という感覚を持っていませんでしたか?

確かに「リズム」「拍」として考えると、同じテンポなら1拍の長さは同じですから連符が入るなら、それぞれの音価は短くなります。

正しいリズム・拍を知っておくことは第1で大事なこと。
しかし演奏は「音楽」であり「歌」です。機械が演奏するものではありません。演奏するのは「あなた」です。

さぁ、連符は速く、という先入観を捨ててしまいましょう!

その音の並び(メロディ)は、どう歌ったら素敵?どう奏でたら美しいかしら?いつも、音を大事にしたいですね。

ピアノでトリルと連符は頑張らない

モーツァルト「ピアノ・ソナタKV331」第1楽章第2変奏から

この画像の右側の方、左手3対右手4のリズムを見ると、それだけで身構えてしまいませんか?
上の画像でいうと、左手が16分3連符「ラレファ」(8分音符1つ分)に対して、右手は32分音符4つ「ファミファソ」ですね。
(ショパンの「幻想即興曲」なども3対4のリズムの、よい例かと思います)

うっうっうっ…どうやって合わせたらいいのか、わかんないぃい!
合ってるのか合ってないのか、わかんないぃい!
きーっ!いってまえー!じゃなくて(笑)。
そんなに力まないでね。落ち着いて考えたらわかるから大丈夫。

こんなリズムは、合わせて弾くことに力んで頑張ってしまうので、異常に速くなり音が硬くなってしまいます。
その上、体もこわばる。いいことナッシング!

トリルも連符も32分音符も、頑張らないでね。
肩の力を「ふぅ~っ」て抜いて。決して「弾きに行かないで」。
トリルや連符だって、音楽なのですから。
音楽なのだということを、忘れないでね。

ピアノでトリルや連符を弾くあなたの意識を、あなたの頭の少し後ろに置いてごらん。
後ろからあなた自身が弾いているのを見ているようにね。

トリルの途中で指が滑ってしまう時の対処法

湯山昭「ポップコーン」から

トリルの先に、少し音程が離れた音が控えている時、トリルの途中で指を替える場合もあります。
(その方が次の音が取りやすかったり、トリルそのものが弾きやすくなるなど)

しかし、その指かえをするために、トリルが最後まで綺麗に弾けず、滑ってしまったり弾ききれない事も。
そんな場合はどうしたらいいのでしょうか?

それは、「拍にのる」「拍を意識する」ことです。

どれどれどれどれらー!」と一気に突っ走ってしまうと、トリルの果ての和音までが綺麗な音で出ない事も。

「どれどれ」「どれどれ」と軽く、乗り直してあげる
(決して「切る」という意味でもアクセントを付けるわけでもありません。)

あくまでも、「軽く」がポイントです。
のりすぎると変なアクセントが付いてしまいますから。

あなたの中で、あなた自身がわかる程度で「のる」、拍を意識する!のです。
これがトリルで指がすべってしまうのを回避するコツですよ。

和音のトリルを安定させるちょっとしたコツ

リスト「パガニーニ・エチュード第6番」”主題と変奏”から

和音に付いているトリルもいろいろありますが、この画像のような場合を考えてみましょう。

トリル音そのものは変化しません。トリルは常に「ミ」についています。
そのトリルの下の音が小節ごとに変化していきますね。

ここで気をつけたいのは、重音が変わるたびに(タブン無意識のうちに)手を鍵盤から離して、「次の和音の形」を取り直す事。
そうすると、トリルがそのたびに切れてしまいます。

これらは、「ラとミ」「ラとレとミ」「ラとドとミ」の和音のように見えますが、実はニ声だと捉えてみましょう。

音符の棒の向きを見るとわかるでしょうか。
「ミ」を「2」の指でとり「ファ=1」と合わせてトリルを弾きます。

重音が変わる時は、「ファ=1」の指先が常に鍵盤を打鍵している状態にあれば、浮いてしまって切れることはありません。

こんな場合の練習法としては、和音を取り直す時に、「1」の指で打鍵したまま、他の指を上げる。
そしてその状態で一時停止する、という練習が有効です。

ピアノでは、同じ音で指を替えるのには理由がある

同じ音が続く時に、指を替えるケースは、多いですね。
「何で替えるの?」と、思うピアノ学習者は少なくないでしょう。

そもそも「指づかい」と言うのは「より綺麗に音と音を紡ぐため」に、指にとっても音楽にとっても、難しくないものを考えて使っていきます。

だから、同じ音なんだから同じ指で弾いた方が「大変じゃないじゃん!」と思うかもしれませんが、それはね、その時だけのお話。

音楽は、次へ、そしてまたその次へと、どんどん「つながって流れて」いきます。
だから「今だけ」良いのでは、お話(音楽)になりません。

上の楽譜の例だと右手、「ラードラファ」の次の和音が問題です。
「ラードラファ」の「ラー」を「2」の指で弾き始めると、「ラードラファ」の「ファ」は「1」の指で弾くことになります。

そして次の和音「ファとラ」ですが、指示にあるように、「2と4」で弾く方が、次に繋いで行くために、優しいですよ。

「ラードラファ」の「ファ」が「1」だから、次の「ファとラ」の和音を「1と3」で弾いたって、いいじゃん!って思う?

そうね、「ファとラ」を「1と3」で弾いたとして、次の「ミとソ」の和音を「1と2」で取るなら、この二つの和音は「繋げて」弾けます。
だけど、「ラードラファ」と繋げるのは、大変に難しいですよ。

単音の「ファ」も、和音の中の「ファ」も「1」で取るという事は、ものすごく気を使って打鍵しなければ、「ジャンプ」して音が切れてしまいます。
本当は、「ラードラファーラーソーーー」って、聴きたいのだから。
「ラードラファー」の「ファー」を弾いている時に、「1」の指に覆いかぶさるように、「2」の指を「ラ」の上に「4」の指を用意しておく

そうする事で、無駄な動きもなく、無駄な空間や、音が切れる事を回避出来ます。

同じ音なのに、指を替えるのには、必ず理由がある!

トリルの終わりに気を使おう!

ショパン「子猫のワルツ」から

トリルの終わりは、次の音に繋げていきます。

「シ」にトリルが付いていて、次の音が「シ♭」なら、そのトリルの終わりの音は「シ」。

「シ♭」にトリルが付いていて、次の音が「ラ」なら、そのトリルの終わりの音は「シ♭」です。

「シ」のトリルから「シ♭」に向かうのに、「ド」で終わらない。
「シ♭」のトリルから「ラ」に向かうのに、「ド」で終わらないように、気をつけてあげましょうね。

今日のピアノ動画*ラヴェル「ボロディン風に」

ティブレイクは、ラヴェルさまの「ボロディン風に(ボロディンのスタイルで)」。

今日はどんなピアノを弾いてみましょうか。
新たな挑戦もいいし、寄り添ってきた音楽と戯れるのもいいよね。
今日のあなたに心地良い音楽を!

ピアノでトリルを頑張らずにラクに弾く方法のまとめ

  • ピアノでトリルをキレイに弾くのは頑張らないのがコツ
  • ピアノで弾くトリル(和音のトリル)は指使いを固定する必要はない!
  • トリルはスピード競争ではないことを覚えておこう
  • トリルは主たるメロディなのか彩りを添えるものなのか?考えてみよう
  • 連符もトリルも「速く弾かねばならない」という思い込みを捨てよう!
  • 連符もトリルも、合わせなきゃ!と必死にならなくていい
  • トリルでも歌うことを忘れない
  • トリルの途中で指替えが滑ってしまう時は、拍を意識してみよう!
  • 和音のトリルを安定させるには、二声として捉えてみるのがポイント!
  • 同じ音で指を替えるのは、次の音を綺麗に弾くため!

音楽は機械じゃない。音楽をやっているのはあなただということを忘れないでね。

ピアノを弾く上でのどんな問題にも共通するのは、「頑張りすぎない」コトと「固定観念を取り払う」コトですよ。

エンジョイ!あなたのピアノ・ライフをもっと豊かに!
もっとラクに心と体を使ってピアノを弾くお手伝いをしています。

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