音がどこへ向かっているのかを読み解き、流れを生み出す3つの方法

下の画像のような景色を見る時、あなたはどこを見ているでしょうか?

ブルーマウンテン国立公園 in Australia
ブルーマウンテン国立公園 in Australia

多分、しばらくの間は「全景」を見ているでしょう。首の後ろ側のあたりのチカラが抜けた状態で。
広く大きく見る。その印象にひたる。それを楽しむ。味わう。

演奏する・曲を創る事も、それと同じです。
曲を演奏するには、小さなフレーズを理解するのも大事。でもね、それら小さなフレーズがどのように繋がり合って、大きな一つの曲になっているのか?という所まで理解する事が大切です。

大きな山を作るために、一つ一つの小さなフレーズがある。だから、1フレーズごとに「あぁ終わった。」「ひゃー!来てしまった!」と思う事がないように。
何故今そのフレーズを奏でているのか?
どうして次のフレーズがあるのか?
それは、こんな大きな山を作るためだよ、という事を理解している方が流れがわかりやすくなります。

そして、常にその大きな山を「見て」、言い換えれば「大きくとらえ」常にそれを意識し、大きなものに向かう時の呼吸をもっていく。
8小節単位の短い曲をメドレーのように弾くのとは意味が違いますよ。

今日は、音楽の流れを生み出すために「どこに向かって行くのか?」を読み解くヒントをお伝えします。

音楽の流れを生み出す方法

グリーグ「小人の行進」から
グリーグ「小人の行進」から

音楽とは、流れゆくもの。
意図して「止める」場合もあるけれど、大抵は常に流れゆくものです。

では上の画像の場合を見てみましょう。
16分6連符を、1拍に「入れよう」と思うと、2拍目の4分音符に「辿り着いた」時、動きが止まりがちです。
安心しちゃうのかな?やれやれ、と思ってしまうのかもしれませんね。
でもね、フレーズは1小節単位で出来ているのではありません。もっと先へと続いているのです。

2拍目の4分音符は「テヌート」は、「動きを止める」という意味ではありませんよ。
音楽用語的には「その音を十分に保って」でしょう。
これをね、「大事に聴いてね」と捉えて欲しいな、と思っています。
テヌートが付けられた音を「大事に聴こう」と思って弾いたら、何かが変わる事に気づきますよ。

この画像の2拍目の4分音符を打鍵した後です。
それまでの16分3連符を弾いてきた流れを止めないで、あなたの腕は「円を描く」ように次の音の位置に向かって行きましょう。

グリーグ「小人の行進」から
グリーグ「小人の行進」から

この画像は1枚目の画像の続きですが、こちらの場合も要領は同じです。
画像の1~2小節で駆け上った後。
8分休符では、それまでの「余韻」を聴きつつ、腕は次の音の場所へ。
やはり、円を描くようにして「用意」に行くのがポイントです。

音楽の「流れ」を生み出すには、打鍵するための動きを止めないこと!

音の波の動きを感じよう

モーツァルト「トルコ行進曲」から
モーツァルト「トルコ行進曲」から

楽譜に書かれている事、そして書かれてはいないけど、読み取れる事というのがあります。
作曲家が、どこまで思いを楽譜に書き込むかは、作曲家によって違うでしょう。
作曲家が書き記した事は、作曲家の意志/気持ちとして絶対。見落とさないようにしましょうね。

だけど、例えば上の譜例のように、「フォルテ」と書かれているからと、このフレーズ全てを「フォルテー!」で弾くのはどうかしら?
それは、少し乱暴な言い方をすれば、「機械的」過ぎないかなぁ?

フレーズは、その音の波のカタチの通りに、気持ちが動きます。
言い換えれば「波」。
波が寄せて来る時と引いて行く時では、見ている時の印象も違いますよね。

そういうコトですよ。

音の動きのまま素直に表現するのがポイント

バッハ「インヴェンション第13番」から
バッハ「インヴェンション第13番」から

音が上がっていくなら、その上がっていく様を素直に表現してみましょう。
右手、画像の1段目は「・ミラド シミシレ|ドラドミ レシレファ ミドミソ ファミレド」と音が動いていますね。
これらの音の動きを、「ミラドシ」「ミシレド」「ラドミレ」「シレファミ」「ドミソファ」「ミレド(シ)」と捉えてみましょう。

そして「ミラドシ」より「ミシレド」。
「ミシレド」より「ラドミレ」。
「ラドミレ」より「シレファミ」…と、段階を上げて行くと、聴く方にも非常にわかりやすい演奏になります。

左手も「ソミ|ラファ シソ ドラ レシ」と1拍毎に上がっていきますよね。
それを素直に表してみましょう。

しかし、左手はもう一つの捉え方があります。
低音の「ソ|ラ シ ド レ…」のラインと、裏打ちの「ミ| ファ ソ ラ シ…」の二声的に分けて捉えると、また違う動き・味わいが出てきますよ。

この場合は、始まりは低音の動きを意識して聴かせる。
そして途中からは、裏打ちの上の音の動きを聴かせるように。
そうすると、立体的になりますよ。

でもね、どう捉えるかは、あなた次第。あなた自身で考えて感じて、どう表現するか、いろいろ考えてみましょう。

その音はどこへ向かって行くのか知っておこう

スカルラッティ「ソナタ」K.9/L.413から
スカルラッティ「ソナタ」K.9/L.413から

このフレーズは、左手にとても気をつけたい音の打鍵がありますよ。
さぁ、どこだと思います?
って、画像でバレて~ら的なので、お話ししますが、画像の3小節目の終わり、8分音符の「ソ」です。左手ですよ。

さてその「ソ」、何が問題なのでしょう?と聞く前に。
ではあなたはココ、どのように弾くでしょう?
画像3小節目からの、和音の下の音で書きますね。

  1. 「レーーファーソ」「ラミドラー」
  2. 「レーーファー」「ソ ラミドラー」

これは、捉え方(グルーピング)の問題です。
「1.」ととるか「2.」ととるかで、使う指も変わってくるかもしれません。
この指づかいは、手の大きな人(広がる人)と小さな人(広がらない人)でも、変わるでしょう。捉え方は、「1.」も「2.」でも、どちらも正否はありません。

ただ、「1.」だと捉えた時の、その「ソ」の在り方を考えてみましょう。
その「ソ」は、どう打鍵したらいいのだろう?
どう弾いたら/どう聴こえたら不自然じゃなくなるかしら?とね。

これは、「捉え方の問題」の他にもう一つ、問題があります。
8分の6拍子の場合、1小節に8分音符が6コ入りますね。6拍子だけど、2拍子として捉えるのが基本。
するとね、小節最後の8分音符は、あまり可愛がってもらえない事が多いのです。気にかけてもらえない。
十分に気にかけてもらえてれば、この記事で問題として取り上げる事はなかったでしょう。

さぁ、その「ソ」は、どこへ向かっていくのでしょうか?

そこに音符が書かれているから弾く、という「言われたからやる」みたいな所を脱していきましょうね。

歌の行方がわかると音がウキウキしてくる!

バッハ「イタリアン・コンチェルト」第3楽章から
バッハ「イタリアン・コンチェルト」第3楽章から

さぁ、気を付けたいコトが満載ですよ。
まず、右手の歌はどのような動きになっているでしょうか?
「ファレドシ ラミドラ|レシラソ ファドラファ…」と思ったあなたは、残念賞!

右手は二声になっています。
「ファーー・みどら|レーー・どらふぁ|シーー…」と、
「・レドシラーーー|・シラソファーーー|…」
この二つが歌のラインですよ。

二人の歌が絡み合っている、掛け合っているもの。カンタンに言えば、「カエルの歌」。
それを「わかって弾く」ことが大事。二つの歌を、同時に聴きながら弾くことが、大事です。

左手は一声ですが、それでも「レ」「レ→ド」「ファ→しシ」「シ→ラ」「レ→ソ」「ソラソ」という動き=グルーピング=方向性を理解して、それがわかるように弾きましょう。

向かいどころを間違えないように

ガーシュウィン「3つのプレリュード」第1番から
ガーシュウィン「3つのプレリュード」第1番から

画像では、左手が頻繁に右手よりも高音へ行ったり、低音域へ戻ってきたりします。
こんな動きの時に気を付けたいのは、「一体どこへ向って行くのか?」という事。

画像の1小節目を弾き終わった所で終わっては、ダメですよ。
やり遂げた感を抱かないようにね。
画像1小節目の動きは、その次の小節に向って行くためにあるのです。

手の交差があったり、リズムの勢いが変わる時は、向いどころを間違えないように気を付けよう!

今日のピアノ動画*ガーシュウィン「3つのプレリュード」

ティブレイクは、ガーシュウィン作曲の「3つのプレリュード」をお送りします。

2004年、香港シティホール内リサイタルホールにて開催したクリスマス・サロン・コンサートにて。
ピアノはベーゼンドルファーでした。

まとめ

  • 流れを生み出すには、打鍵の動きを止めないこと
  • 楽譜に指示がなくても、音の波・動きを素直に感じて表そう
  • その音(歌)はどこへ向かって行くのかを理解しておく

 

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